2023年11月7日火曜日

題「天」

それぞれにあらん逆転冬北斗
ビハーラですか❓ホスピスですか❓木の葉
仏は死キリストは愛冬の月
冬天や昨日のような今日を生く
マニュアルじゃないあなたの気持ち霜夜

■NHK短歌 題「天」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「私に出会おう」

▪三十一音の物語
テーマ「比喩で飛躍しよう」
比喩は詩歌の表現の核心

いきのびてわたしもわたしも布袋草(ほていそう)ふつくりと泥の大河に浮かぶ
川野里子

比喩に楽しむレッスン1
雲 比喩を使って表現!
詩歌は情報を伝えるだけではなく心を伝えたい
呼ばれた仔犬のような雲   川野里子
新宿の喫煙所のような雲   ヒコロヒー
自由にはじけとんだポップコーンのような雲   内藤秀一郎
しぼりたてのハンドソープ   深尾あむ

比喩に楽しむレッスン2
かぼちゃ 比喩を使って表現!
踏まれた太陽みたいなかぼちゃ   川野里子
化粧落とさず寝た次の日みたいな色素沈着   ヒコロヒー
バスケットボール   深尾あむ
この世の全ての憎しみあつめた食材の王   内藤秀一郎

それぞれに目の付け所が違う
同時に、抱えている気分も違う
その気分の違いが比喩になって出てくる   川野里子

差し出せば握手のように水が出てでも水はただ手を濡らすだけ
田村穂隆
水がまるで意志を持って握手をするように
近づいてきたと表現することで
かえって水のサラサラした何の意志もないような性格が強調される
誰もが経験している場面をとって
そこをちょっと驚くような比喩で表現すると
作品になりやすい

神々が錘(おもり)をつけて下ろしくるような木々よこの世の深さを測るかのように
川野芽生(めぐみ)

短歌は三十一音と短いが比喩を使うととても膨らみのある世界
一編の物語のような世界が表現できる

▪入選六首 題「天」
沈黙を「天使が通る」と言う国の人の瞳を抜けてゆく風
丹生(にわ)祥子
なにげなく日傘に入れてくれた君の右肩が太陽でびしょぬれ
ゆき
秋天をめざして進むミドリガメ故郷(ふくさと)はココデハナイドコカ
朝月夜
プロジェクト外れる前の吾のようなせり上がる尾の海老天を食む
まさけ
千本の赤ピン刺した虫みたい天気予報の日本列島
ひねもす
一席 不得手こそがんばる子だと褒められて寒天質のプールを泳ぐ
毛糸

▪ココカラ短歌
芝居場で100%で返しても天馬のようには駆け上がれない
添削 内藤秀一郎
ここが見せ場100%で返しても天馬になれない駆け上がれない

返された模試にため息吹きかけて天を仰ぐよ真夜中0時
添削 深尾あむ
返された手紙にため息

言葉を変えることで物語が変わる
言葉に出会うことイコール

▪ことばのバトン
13回牧水短歌甲子園より
とぎすまそう、恋愛、トラウマ天国では思い出せずに星・光・朝日
永井敦也

ぷるぷるぷるつれない君の河鹿鳴く

ぼくらの隙間を抜けてゆく風

君の目が掃いたところはより緑
高田高等学校

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