2023年11月12日日曜日

古今和歌集(1) 100分de名著

並木道風と落葉のシンフォニー
冬浅し弱くてもろき吾と対峙
三穂野杉知らずに生きん神無月
拭うことなく溢るる涙冬の月
本性を弄ばれて冬の波

■100分de名著 古今和歌集
(1)めぐる季節の中で
心に思ふことを
見るもの聞くものにつけて
いひいだせるなり

言葉を味わうことの喜び
五感を表現する事の豊かさを伝える

国文学者・国文学研究資料館館長 渡部泰明
編纂 延喜5(905)年 醍醐天皇の勅命によって編纂された 日本初の勅撰和歌集
選者 紀友則 紀貫之 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) 壬生忠岑(みぶのただみね)
構成 全20巻 1100首
序文 1真名序(まむじょ)(漢字)
   2仮名序(ひらがな)やまと言葉で説明

つけていひいだせるなり(託して表現する)
目にしたものや耳でとらえたものに託して表現する

四季の歌~春を喜ぶ歌
詞書(ことばがき)春たちける日よめる 紀貫之
袖ひちてむすびし水こほれる
春立つけふの風やとくらむ
 夏   冬  春

春の夜梅の花をよめる   凡河内躬恒
春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる
闇夜を擬人化している
あやなしとは無益で意味がないという意味 雅ではない言葉

六歌仙
在原業平朝臣
世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
美しいを使わず狂おしいほどの美しさを表現
反実仮想 幻想と現実の「あわい(間)」を非常にうまく表現

小野小町 掛詞を使い春を表現 
掛詞とは1つの言葉に2つの意味を持たせる技法
花の色はうつりにけりないたづらにわが身よにふるながめせしまに
ふるとながめが掛詞です
ふる 降る 経る ながめ 長雨 眺め(物思いにふける)
長雨自体も心の中に降っている

風流ではない夏を詠む
夏の巻の34首のうち28首がホトトギスの歌

ほととぎすの初めて鳴きけるを聞きてよめる   素性(そせい)法師
ほととぎす初声聞けばあぢきなくぬし定まらぬ恋せらるはた
あぢきなし(味気ない 始末に負えない)

はちすのつゆを見てよめる   増正遍昭(素性法師の父)
はちす葉の濁りにしまぬ心もてなにかは露を玉とあざむく
見立て あるものを別のものになぞらえて表現する技法
異化作用で距離を置かせ逆に共感を呼ぶ

和歌のシーズン!秋の歌
秋立つ日よめる   藤原敏行朝臣
秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
現在の8月上旬 秋の兆しを感じた歌

是貞親王(これさだみこ)の家の歌合(うたあわせ)によめる   大江千里(ちさと)
月見ればちぢに物こそかなしけれわが身ひとつの秋にはあらねど
ちぢ⇨千千 バラバラになった自分の心が1つに収斂して突き刺さる
歌合とは和歌で競う大人のゲーム
菊合(きくあわせ)歌を添えて菊花の美しさを競い合う宮中の催し

菅原道真朝臣
秋風の吹きあげに立てる白菊は花かあらぬか波のよするか

一種の風流度テスト

冬の歌~大晦日に詠む
年の果によめる   春道列樹
昨日といひけふとくらしてあすか川流れて早き月日なりけり
昨日 けふ今日 あす明日 が掛けてある
飛鳥川とは万葉集にも多く登場する奈良県の河川
ルネサンス的意識
和歌を社会化しようという選者の意図の表れ

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