冬に来し古都の風情の虫籠窓(むしこまど)
しんしんと雪降り積もる古都の夜
冬椿遊ぶ椋鳥我忘れ
心豊かに心遊ばせ小春空
迫りくる禅のまなざし柿落葉
■100分de名著「古今和歌集」(2)恋こそ我が人生
うたたねに
恋しき人を
見てしより
夢てふものは
頼みそめてき
距離があることが言葉を育て
言葉を育てることで恋心も深まる
恋歌 360首 一番多い
背景には後宮があって天皇の奥方たちの
やりとりこそ政治を支えている
個人的な私信であっても他人の目に触れる可能性も極めて高い
恋愛は二人で完結する
恋は一人でもできるし集団でもできる
恋は恋愛よりも大きな世界を持っている
「古今和歌集」において恋の歌は
初期から別れへと順番に配列されている
よみ人しらず
ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめもしらぬ恋もするかな
(あやめ草 端午の節句の菖蒲湯に使われるショウブ)
あやめもしらぬ(道理)
壬生忠岑(みぶのただみね)
春日野の雪間をわけて生ひでくる草のはつかに見えし君はも
序詞(じょことば)いわば前置き
音の良さを作るために序詞はある
はつかに わずかに
リズムに変化を与えることで言葉が立ってくる
印象的に伝わる
この場合で言えば逸る(はやる)気持ち
萌えが出ている
雲に託した恋心二首
よみ人しらず
夕ぐれは雲のはたてに物ぞ思ふあまつ空なる人を恋ふとて
(恋をしている時はどんな相手でも高嶺の花)
壬生忠岑
風吹けば峰にわかるる白雲のたえてつれなき君が心か
小野小町(謎に包まれた天才歌人)
思ひつつ寝れば人の見えつらむ夢としりせば覚めざらましを
(夢と現(うつつ)を浮遊している歌)
小野小町
うたたねに恋しき人を見てしより夢てふものは頼みそめてき
(「夢の中の恋を表わしてみてくれない?」という
注文があって詠んだのではないか)
男が詠む切迫した恋歌
紀友則
命やはなにぞはつゆのあだ物を逢ふにしかへば惜しからなくに
(命?それが一体なんだというのだ。露のように儚いものではないか。
命と引き換えにあなたと逢うことができるならば、ちっとも惜しくはない。)
心乱れている様子を冷静に表現
相思相愛は和歌に向かない?
心が通じ合っているのだから言葉はいらない
大人のけじめ けじめをつける大人の恋歌
典待藤原因香朝臣(ないしのすけふじわらよるかあさおみ)
たのめこし言の葉今は返してむわが身古るればおきどころなし
_飽きてしまった
藤原因香は右大臣の源能有(よしあり)と婚姻関係にあったが離婚
近院右大臣
今はとて返す言の葉拾ひおきておのがものから形見とや見む
男性が歌に詠んだ言葉を使って女性が返歌を詠むことは多い
小町が姉
時過ぎてかれゆく小野の浅茅(あさぢ)には今は思いひぞたえず燃えける
(浅茅 イネ香の雑草 竹の低い茅ちがや)
かれ 枯る 離るの掛詞 思ひ 火
スケールの大きな恨み節
兼芸法師
もろこしの夢に見しかば近かりし思はぬ中ぞはるけかりける
(夢に現れないという事は相手が自分を思っていない
もはや異国より遠い存在になってしまったことを嘆いている
遥か遠いというイメージは恋を響き合う)
古今和歌集では自分の心として私の恋として詠むのが基本
個々の心の深いところを表わしながら皆の共感できるものになる
日本人の複雑な心が反映されているのでは?と伊集院光氏。
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