2023年11月14日火曜日

題「友だちのこと」

胸張った武者行列や冬の道
長慶讃え甲冑纏い冬の空
茅刈りてコエグロ作りて冬浅し
コエグロを守る西阿波冬野かな
コエグロにみる農業遺産冬日向

■NHK短歌 題「友だちのこと」
選者 山崎聡子 ゲスト 安藤桃子 司会 ヒコロヒー

年間テーマ「伝えられなかった思い」
今月のテーマ「友だちのこと」
友だち関係の多様性を短歌を通じて見ていけたらと思って…。

いつまでを友だったのかセロテープ透ける向こうが学生時代
小島なお
(セロテープが学生時代をのぞき見る
 フィルターみたいな役割を果たしている)

▪つぶやきを短歌に
恒星のあなたと思う薄闇のなかで言葉を溶かしあったら
山崎聡子

▪てれび歌会
入選九首 テーマ「友だちのこと」

自閉症の子の友だちが溢れたる居間に井守と家守のアパート
永岡ピロエル
燃えて骨になったあとでも痩せたいと言っていそうな可愛い親友
芍薬
一席 中年の身を寄せあひてまた弾かむ〈小さなすずめ〉六手連弾
真南
母がまだよく笑ふ人でゐた頃をやさしき友は上書きをせず
水須ゆき子
思い出のzipファイルがつごつぎとひらかれてゆく秋のファミレス
大鋸静香
二席 寮という器に四人よそわれて「はじめまして」の波長がそろう
森雅子
三席 仕事好き山好き海好き旅好きが逝って酒好きのわれひとりなり
末松博明
くれてやるつもりで貸した十万を友は返しに来た雨の日に
梅鶏
お互いの睫毛の白く凍るのを雪降る露天風呂で見ていた
溝口のぞみ

▪安藤さんの「友だちのこと」
サイレントここちがいいね君とならドキドキしないカンケイサイコー
安藤桃子
(Kの音が繰り返されていてグルーヴを生んでいる)

▪ことばのバトン
筑波大学付属高等学校
君の目が掃いたところはより緑

富山県立伏木高等学校 高田響楓
仰いだ空に光彩の舞う

富山県立伏木高等学校 如意が丘
黎明(れいめい)に流る星河のなす綾に願いの欠片描き散りばむ

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