2023年11月13日月曜日

兼題「冬構(ふゆがまえ)」「落葉」

木頭柚子山に響かん鋏の音
儚げなAKARI灯して冬の夜
柔らかなAKARI背に受け寒昴(かんすばる)
半袖のパジャマまといてオリオン座
(平尾誠二氏)ラグビーに人生かけて闘いて

■NHK俳句 兼題「冬構(ふゆがまえ)」
選者 山田佳乃 ゲスト 中江有里 司会 柴田英嗣

年間テーマ「俳句とエコロジー」
今週の兼題「冬構」
雪囲い 雪吊り 冬囲い などの設えがある

冬支度(晩秋の季語)
寒さに供えて晩秋に行う準備
布団や衣類 暖房器具など比較的手軽な支度

稲刈りした藁を利用したり 毎年再利用できる
資源を有効活用している 
設えをすることにより家の保温効果もある
エコロジーに繋がる
人々の暮らしの知恵が生きている

▪名句de穴埋めクイズ
砂濱や心元なき冬構   夏目漱石
(藁や竹では心もとなく感じる
 精一杯の冬構 海辺で暮らす厳しさを感じる
 漱石は親友正岡子規に俳句を習っていた
 漱石が教師として松山に赴任した際は
 漱石の下宿先に子規が居候
 1階に子規 2階に漱石)

俳句を嗜んでいた文豪
芥川龍之介 森鴎外 川上弘美 

文豪の名句
今朝は初雪あゝ誰もゐないのだ   太宰治
(喪失感 孤独感があゝと言う詠嘆に感じられる 山田
 自分に話しかけている孤独が太宰っぽい 中江)

手にとれば月の雫や夏帽子   泉鏡花
(現実と幻想の境目が曖昧 中江
 夏帽子が窓辺に置いてあったのかも
 月光が射していることで雫が青ざめたような
 月から雫が零れ落ちたのが帽子にかかっているような
 幻想的な感じを詠んでいるのが泉鏡花らしい。)

▪特選六句発表 兼題「冬構」
荒縄に負けぬ農の手冬構
田中政行(手に焦点を当てることで
     日に焼けた様子 皺があったり人物像が逆に広がる)

杭打ちのよき谺(こだま)して冬構
笹沼郁夫(谺してで山間が見えてくる)

老いてなほ得たる要領冬構
本間芳明

村中の夜を早めて冬構
苫野とまや(夜を早めての表現が静まり返った冬構からの元気が見える)

冬構あれもこれもの飛騨に住む
永尾定子(飛騨という言葉の力を感じる句)

縄をなふ祖母の一途や冬構
水越久哉(一途やとしたことで「一途」に焦点が合う)

▪夏井家伝来家藤正人&中西アルノ
0から俳句

俳句の文体 文語 口語
毎年よ彼岸の人に寒いのは   正岡子規
これは口語 
正岡子規の母上が子規に言った言葉をそのまま句にした

じゃんけんで負けて蛍に生まれたの   池田澄子
文語にすると
じゃんけんで負けて蛍に生まれけり
(真実味 重みが全然違ってくる)

0から俳句POINT
「口語」は心情や不思議な面白さが表現できる

▪中江有里が「冬構」で一句!
冬構母偽りのニット帽   中江有里
(「冬構」にある心構えとお母様の病を見せない姿
 気持ちが響き合う感じが伝わってくる)
添削(偽りが難しいので…。)
冬構病を見せぬ母の

▪特選三席発表 兼題「冬構」
三席 冬構ここにも母の几帳面   
藤崎由紀子
二席 冬構どこへも行かぬ影と棲み
石井宏幸
一席 古九谷(こくたに)に小さな山河冬構
横縞
(九谷村で最初に開窯されて突然閉じられるまでの約50年間の間に焼かれたもの)
(冬構の家屋と狭い空間の山河 外の冬景色までイメージが広がる
 重層的にイメージが重なる面白さがある)

▪柴田の歩み
好きな小説家を見つけよう

■NHK俳句 兼題「落葉」
選者 村上鞆彦 ゲスト 山崎ナオコーラ 司会 柴田英嗣
年間テーマは「人生を詠う」今回は「子育て」

山﨑ナオコーラさんが好きな句
入れものがない両手で受ける   尾崎放哉

小説を書くことと俳句を詠むことの共通点は❓
小説も俳句も言語芸術
小説は音楽と同じで「時間を表わす芸術」
俳句は「一瞬を永遠にする芸術」

子育てとは「生きるということを善とするだけ」
山崎ナオコーラさんの同級生の言葉
「生きている」ということを肯定する
ことだと思いながら子育てをしている
「信じる」ということかもしれない
生きていれば自分で育っていく
やっていたこととしては「細かいことには目をつぶる」
生きているからまあまあまあ
生きていてくれてありがとう❣位の気持ちで子育てを❣

子育ての名句
悴(かじか)める掌(て)を包みやり諭(さと)しけり
西村和子
手を握って諄々(じゅんじゅん)と言葉で諭す
良い親子の像が想像される
「けり」とは今の状態を強調している
一つしか注意しない
俳句的にコンパクトにして言う方が伝わる
子を詠む場合は突き放して他人の子ぐらいで見た方が
子ども自体がひとりの人間として見えてくる

▪特選句六句 兼題「落葉」
落葉踏む子象はすでに二百キロ   後藤明美
谷川岳月は落葉を降らしけり   渡邊博志
アルバムの落葉と同じ落葉踏む   黛素らん
(繰り返しがリズムになっている)
台本を丸め落葉のなかにゐる   山田蹴人(しゅうと)
神木(しんぼく)のひかりの筋を落葉かな   加藤西葱(せいそう)
(ひかりの筋は木漏れ火 厳かさが表現されている 
ひかりの筋で季節が限定される)
落葉籠猫が倒してゆきにけり   北村浩子

▪夏井家伝授!家藤正人&中西アルノ
0から俳句
文語
ラグビーや負けて自分も号泣す   青山ネモフィラ

0から俳句POINT
「切れ字」は「文語」でしか変えない

口語
鯛焼きを今日だけ尾から食べてみる   青山ネモフィラ

犬にやる手袋かわいそうだもん   家藤正人

▪今日マチ子、今日の一句
鰯雲葉っぱと共に降ってこい   山崎ナオコーラ
(落葉と固く言うより「葉っぱ」と言う言い方が生きている)

▪特選三席発表 兼題「落葉」
三席 寝室のありしあたりへ落葉降る   湯屋ゆうや
二席 無花果の大きな音の落葉かな   土井常寛(じょうかん)
一席 歌舞伎座の緋の絨毯に落葉かな   相川正敏

▪柴田の歩み
目的地まではよそ見して
(俳句もよそ見が大事)

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