2023年11月30日木曜日

死の迎え方 ヒトの穏やかな死とは

自然の中の人の営み隙間風
反省なきトマトケチャップ冬ざれ
冬の靄調教されたレタス食む
寒潮(かんちょう)や時間泥棒許す人
月氷る終わらぬ修業疲れ果て

■ヒューマニエンス「死の迎え方 ヒトの穏やかな死とは」
心的外傷後生長 PTG(PosttraumaticGrowth)
がん体験後の新しい人生観 5つの変化

人生に対する感謝 
一日一日を大切にするようになった 生きていることに感謝する

新たな視線 
生きがいについて考える 人生の優先順位が変わる

他者との関係
周囲に支えられていることに気づく 人の痛みや苦しみがわかる

人間としての強さ
人生の終わりを受け入れる 自分の気持ちに素直になる

精神性的変容 
超越的な力を感じる 自然への感性が鋭敏になる

緩和ケア 萬田緑平在宅緩和ケア医師
本人の好きなように苦しまないようにするのが僕の仕事
本人が決めた方法が人生の正解
それを徹底的にみんなで支えようじゃないか
私は医療を知っているから医療で支える 
心掛けていることは患者の心を明るくすること
寝ている時間が長くなると「棺桶に入る練習ですね」
「そんなんじゃ死んじゃうよ いいの?」
「ちゃんと動きましょ」と叱咤激励を飛ばす
大受けしていた

今どきの子どもには死ぬのを見せないですよね❓
死を知っている子どもと知らない子どもじゃ全然違う
それがばあちゃんの大事な仕事
最後の仕事だからぼーっと生きてるんじゃねえよって感じ
死ぬってこういうことだってちゃんと子どもに見せてあげたい
死ぬのを待つのではなく
「孫に死ぬ姿を見せなきゃいけないんだよ」
「ちゃんと格好つけなきゃいけないんだよ」
とか話をするとみんなにこにこしだす
死んだときには「ああ人生だった」と本人が言って
それを支えられたって家族は満足して
晴れ晴れしく亡くなっていく 人生成功で終わる
医療にとって死は失敗だけど私にとっては死んだときに成功で
「ありがとうございました」と言われるいい仕事

外科医は手術して助けてありがとうございましたと言われる
良い仕事だったけど今の方が喜ばれるし楽しい

殆どの人が医療用麻薬を誤解している
「医療用麻薬が効かなくなる」
「依存症になる」「最後に痛みが取れない」
これは全て誤解
痛くないようにして寿命は目一杯使いましょう
萬田緑平医師のしていることは「寄り添い」
僕は必ず子どもたちや家族に「ありがとう大好きだよ」
言わないと駄目だよと言っています
「頑張れ!頑張れ!」は可哀想
今までずっと頑張っていたのにまだ頑張れなの?
「頑張れ」は止めて欲しい
「ありがとう」と言うともみんな確実に「いい人生だった」と言う
「頑張れ」と言われて死ぬのと「ありがとう」と言われて死ぬのでは
天国と地獄
痛みをとって貰えればかっこつけられる

いとうせいこう氏
「死は孤独ではなく コミュニケーションの手段となる」

織田裕二氏
「ピンピンコロリが理想と思っていたがもっと欲が出てきた
 やりたいことをたればいい」
「しかし、ステージの上で死ねたら最高!とか言うけど
 ステージの上で死ぬのは迷惑」

ヒューマニエンスをずっと拝見してきたのですが
始めて感動しました。
このような切り口の番組制作をお願いいたします。

2023年11月29日水曜日

夏井いつきのよみ旅!In静岡 前後編&山本大平氏の言葉

(ロック)冬の夜重たい言葉飛び翔(かけ)り
雪催(ゆきもよい)月の勝手に感じ入り
耳澄ませ神の歌声雪意(せつい)かな
色づいた銀杏に積もる重き雪
ふわりふわりと花を隠さん牡丹雪

■夏井いつきのよみ旅!In静岡 前編

身ふるひのつく程清し秋の不二   正岡子規

バズるかな富士の笠雲震える手   橋向真
富士の笠雲は冬の季語

俳句一口メモ
初富士は新年 赤富士は夏 富士の初雪は秋 富士の笠雲は冬

今年酒夫(つま)の初作をつまみとす   影山百々絵
今年酒は秋の季語
今年米腹枕なら「しょんないね」   影山真央

俳句は理系文学 メカニカルな文芸 
公式
季語×▢+心情=俳句

あ、オレだけど詐欺か無心か秋の風   小川伸子
秋の風って初秋、中秋、晩秋もある
いろんな感情を込めた

「過去と他人は変えられない」

水澄みて富士の恵みに強く生く   岩﨑伸男

湧き水をたたへて秋鱒をたたふ   夏井いつき

四方山の話つきない虫の宿   藤田喜久子
虫は秋の季語

黒い富士光なくなる大根蒔く   坂尻啓
大根(だいこ)蒔くは秋の季語
夏の時期は雪がないので富士山に夜になると
真っ黒いシルエットが浮かび上がる
登山する方の光が見える
(9月)閉山すると登山者がいなくなるので
光がなくなってそろそろ大根蒔かないとな

■夏井いつきのよみ旅!In静岡 後編
色変えぬ松移住者の武者行列   山根祐子
(色変えぬ松 秋の季語)

電車乗り母の形相秋深し
家族旅ドアたたく母秋の暮れ   鈴木善衛(ぜんえい)&優珠歩(ゆずほ)

からっ風届けよピアノ異国の地   岩佐真
(空風 冬の季語 
 遠州のからっ風 静岡県西部遠州地方に吹く冬の強い風)

天高し車輪に託して舞いあがれ   橋本裕司
やらまいか とにかくやってみたらいいじゃないかという精神
遠州の企業は「やらまいか精神」から生まれてきている

秋高く生くやらまいかやらまいか   夏井いつき

木犀や模試の帰り道はひとり   鈴木拓夢(ひろむ) 
(木犀 秋の季語)  俳号 北里有李(ゆうり)

答えがないから追い求める価値があるしおもしろい ROLAND

「ど暑いら~」お国訛りも盆土産   平尾綾乃
(「ど」=大変・非常に・とてもの意 
 「ら~」=○○でしょ・○○だよねの意 共感を求める)

■先人たちの底力 知恵泉
「松平家忠日記」に見る戦国処世術

戦略コンサルタント 山本大平氏の言葉

サードプレイス 僕は2個ほど持っていて
ぼーっと野球を見るのが僕のサードプレイスです
去年もヤクルト戦の半分くらいは多分行っている
元々阪神ファンだったのに…。
野球をただぼーっと眺めて無になる
野球も見てない 臨場感を味わって
ストレスが抜けていって
「ああ今日ヤクルト勝ったんだ」みたいな…。
どっちが勝っても負けてもストレスになることはない
もう一つは東京競馬場です
馬券買わないんですよ
ワーって歓声がくる あれが凄い脳に気持ちがいい
全く関係なしにただ見ているだけ
というのはいいかもしれない

ストレス発散って人によって違う
自分の脳の負荷がかからないってことって何か
会話からひも解いていって結局相手に答えはある
よっぽどしんどい人だったら絶対何か言ってきます
未だ耐えられる人だったらそこで「眠れています」
嘘でもそう言ってきます
それが組織の中の重要人物だと組織が崩壊していく予兆
早めに食い止めないといけない
ケアするようにコンサルとして
キーとなる人に指示を出す
きっかけは「眠れていますか?」
これは標準的に使えます
経験値で解るようになりました

2023年11月28日火曜日

兼題「手」&桐野夏生先生

古伊賀を詠む
霜の夜個性豊かか❓失敗か❓
緑の釉薬焼き付けて雪晴
偶然できたビードロ釉(ゆう)風花
十二月型にはまらずはみ出さん
特有の美意識たらん冬日和

■NHK俳句 兼題「手」
選者 高野ムツオ ゲスト 西村和子 堀田季何 能町みね子 
レギュラー 中西アルノ 司会 柴田英嗣
第4週の年間テーマは「語ろう!俳句」
今回から季語ではなく「無季」

① 冬隣掌(こぶし)ひらけば何もなし   西村和子
② ほうたるの包む手の中は小宇宙   中西アルノ
③ 弱い手が物書きの冬の夜が動く   能町みね子 一席
④ 雪霏霏(ひひ)と線量測る手に力   堀田季何 二席
⑤ 木枯しの星にも繋ぐ両手あり   高野ムツオ 三席

▪特選三席発表 兼題「手」
三席 スケートの手解きや手を取り合(お)うて   
久塚謙一
二席 手に蓋をして団栗は宝物
大野洋(ひろ)子
一席 両の手が銀河にとどく肩車
大和田博道(はくどう)

特選
手袋のまだ掴(つか)もうとする形  秋田県大仙市 鈴木仁
早々(はやばや)と皸(あかぎれ)一号薬指  群馬県渋川市 星野芳美
同棲の手相みせあふ炬燵かな  東京都 桜鯛みわ
石焼芋右手左手はほはほと  神奈川県横浜市 中野誠一
手をつなぐ日々は短し鼓草  愛知県名古屋市 山田由美子
手のひらに疼くすいばり冬支度  山口県萩市 新井文江

参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/pAoOL1q1EA/


■11月26日
「秋の文学講演会 小説家という生き方 桐野夏生」 
へ行ってきました。

新作「オパールの灯」に因んで榎美沙子、神山町。
五木寛之氏、伊集院静氏、小川哲氏。
危険だった取材。等についてお話しくださいました。
深い造形、細やかな取材に感銘を受けました。

「人生とゴルフは雨天決行」伊集院静
「帽子をかぶった五木寛之」
「地獄の黙示録」印象に残った映画。
「作家とは全人格がばれる。」桐野夏生
「作家の資質に必要なものは懐疑的であること。」
「小説とは大衆的検閲。」
「小説家は常に平和を希求している。」
「ペンクラブの会長はボランティア。時間を取られている。」

素晴しい講演でした。ありがとうございました。
桐野夏生先生の大ファンになりました。





2023年11月27日月曜日

題「高速道路」

「久し振り」声かけらえて冬銀河
始まりは吐き吸って終わらん冬の道
日向ぼこエンドルフィンのありがたき
未来の医学はケアの引き算冬灯(ふゆひ)
茶を点てて飲み干すまでのゆとりかな

■NHK短歌 題「高速道路」
選者 岡野大嗣 ゲスト 田根剛 司会 尾崎世界観
第4週のテーマは「グッとくる瞬間」

多根剛氏 曰く 「帝国ホテル建築には
品格・継承・挑戦の3つのテーマがあった」

岡野大嗣
高速道路は現世の裏返しのエリアみたいな感じもする

夕方のサ-ビスエリアで息を吐くあと百年は持たない肺で
岡野大嗣
(時間を前借してる感じがある 
 時間が早送りされている中でサービスエリアに来ると
 自分の通常の時間を取り戻した感覚になる)

▪入選九首 テーマ「高速道路」
渋滞の東北道のしりとりにルイ一族の永遠はある
鳥原さみ
三席 宮本浩次(ひろじ)の大音量の夜だった葬儀より戻る常磐道は
佐藤せのか
多根 尾崎 私 かろうじて生まれてきたしかろうじて灯る深夜のサービスエリア
武井宏美
四階から高速道路の光る列眺めていただけ九歳の夏
堤朱子
高速道路逆走している夢を見た二学期最初の国語の時間
山田歌子
コンビナートの隙間を縫って風になる高速しかないこの町が好き
つきひざ
一席 海老名らへんから寝落ちてたすごい角度の首で眺める東京の夜明け
前田小春
二席 私 真夜中の高速道路で取り戻す「わたし」を制限速度の中で
久保哲也
プルタブに引っ掛ける指高速は月と眠気がずうっと近い
常田瑛子

▪表現者の原点
「場所の記憶」を考えながら
建築をどのように作るかが大きなポイント
エストニア国立博物館
2016年26歳の時 初めて国際コンペに友人と一緒に応募した
敷地の傍らに消しゴムで消されたような
真っ白なスペースがあった
実際見ていたら巨大な滑走路が横たわっていた
調べるとソ連軍の軍容基地の滑走路が残されたままだった
知ったあとにそれを無視できず
その時代を乗り越えるようにエストニアの未来が拓かれたらと
滑走路から延びるようにナショナルミュージアムがつながって
でき上る提案をした 突然一等賞に選ばれた
元々あった場所には記憶があって
そこを引き受けてその先の未来を示すというのが
建築にはできるのではないかと言うのを
初めてこのプロジェクトで気が付いた
同じ場所でもありながら違う記憶が重なっていくという所に
建築が関われるのではないか
新しいものを求める近代的な思想だと
新しいものが一番大事 僕らとしては
人類がこれまで生きてきた過程も含めて
継続して作っていきたい

「自分らしく」ということに拘ることをやめてからが長い
建築にはもっと大きな役割がある
この場所にしかできない建築があるのか
「場所」を中心に考えている
自分は考古学者のような仕事の仕方

岡野大嗣
自分の中にある記憶や感情を掘り下げながら
(短歌を)作るようにしている
多根さんは「自分らしさ」を捨てながら
外にそれを見つけている感じがする

掘り下げていくと自分の言葉から
内なる心に繋がるということに近い

▪それぞれの高速道路
川の上オリンピックの走馬灯闇夜を走る記憶の欠片
多根剛

テーマから最初に浮かんだのが首都高のうねるような動き
2021年のオリンピックに繋がった時にあれだけ大騒ぎしながらも
終わったら跡形も無く忘れ去るように感じが
走馬灯のように消えていってしまったよう

首都高に街の記憶は綻(ほころ)んでまたたく走馬灯のスピードで
岡野大嗣

新しくなることにフランスは拒否反応が激しい
街は自分の誇りとして思っている時に
それをどう自分たちから次の世代に大事にしていくか
価値観は変わりました
建築がないと街のイメージがつかない

「記憶を継承する」みたいな
だいそれたことは仰っていない気がする

記憶の未来があると思っているので
今あるものを失っていくと未来が失われていく
という危機感を感じている

▪ことばのバトン
黒板に「・(てん)」だけ残る昼休み 飛騨神岡高等学校

ざわめきながらしんとしている 作家 池松舞

5月7日負け
三分で攻撃が終わる阪神はウルトラマンにも負けてしまうな
池松舞「野球短歌」(ナナロク社)より
10月9日負け
阪神のホームは今日も遠すぎてどこにも帰れぬ私みたいで
池松舞「野球短歌」(ナナロク社)より

辛い悲しい切ない
「でも」っていうその感情をのせるものに
五七五七七の定型が自分の気持ちを引き上げてくれて
詠みながら気づいてきた

2023年11月26日日曜日

古今和歌集(3) 100分de名著

万歳とこぼれる笑顔ヤッコソウ
しない人できない人の冬の朝
剣山二十日遅れの初冠雪
冬空へ植木職人鋏の音
冬ぬくし舌禍転じて福となす

■100分de名著 古今和歌集(3) 歌は世につれ、世は歌につれ
国文学者 国文学研究資料館館長 渡部泰明

しかりとてそむかれなくに事しあれば
まづ嘆かれぬあな憂世の中

和歌はボヤキ愚痴の文学
雑歌(ぞうのうた)
喜怒哀楽の全てが雑歌にはある
雑と言うより萬

五節の舞姫を見てよめる   良峯宗貞(よしみねのむねさだ)
僧正遍照(そうじょうへんじょう)の俗名
良峯宗貞(後の僧正遍照)仁明天皇の腹心の部下として蔵人頭(くろうどのとう)を務めた宮廷人
天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめむ
(五節の舞姫とは大嘗会だいじょうえ・新嘗会 宮中の伝統行事)

よみ人しらず
わが心なぐさめかめつ更級(さらしな)や姨(をば)捨山に照る月を見て
(棄老きろう伝説に基づいた歌)
冠着山(かむりきやま)
現在の長野県千曲市と東筑紫群筑豊村にまたがる山
美しいものが蓋をしたい心の奥底を開けてしまう

尼敬信(きょうしん)
大空を照りゆく月し清ければ雲かくせども光消なくに
皇女彗子(あきらけいこ)が母の不祥事に連座し斎院を解任されかけるが
辞めずに済んだことを受けて尼敬信が詠んだ
和歌で政治を抗う
社会的関係を超越する和歌の機能が発揮された歌
大空は宮廷社会 月は彗子・母 雲は罪に問われたこと

小野篁(たかむら)伝説多き歌人
しかりとてとてそむかれなくに事しあればまず嘆かれぬあな憂世の中
嘆かれぬ とは嘆息する 溜め息をつく こと
昼は朝廷に出仕し夜は閻魔庁につとめていたという伝承がある
遣唐副使に任じられるがトラブルを起こし乗船を拒否
その後漢詩で遣唐使を批判したため流罪となる
この世の憂いを一身に集めたような歌
しかりとて とは だからといって

よみ人しらず
山里はもののわびしきことこそあれ世の憂きよりは住みよかりけり

素性法師
いづこにか世をばいとはむ心こそ野にも山にもまどふべらなれ

和歌は愚痴・ぼやきの文学
和歌の一大テーマが愚痴や悩み事になる
述懐(じゅっかい)
愚痴は理想と対になっている
マイナス思考が歌心を育む
祈る 和歌は祈りの言葉

賀歌(がのうた)
よみ人しらず
わが君は千代に八千代にさざれ石の巖(いはほ)となりて苔のむすまで
さざれ石とは小石の意

哀傷歌(死者を悼む歌)
上野岑雄(かみつけのみねお)
深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染めに咲け
擬人法で表す生死のドラマ
人の死さえも新たな表現を生む大きな原動力となる

旅先で郷愁を詠む
唐土(もろこし)にて月を見てよみける 安倍仲麿(あべのなかまろ)
天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山にいでし月かも
安倍仲麿 奈良時代の遣唐留学生 717年入唐し玄宗皇帝に仕える
左注 歌の左に書かれた伝承的な情報
帰国に際し唐の浜で詠んだ歌だが船が難破し生涯日本に戻れなかった
宇宙感覚の距離感

本当は楽しい古今和歌集
物名(もののな)
「隠し題」とも呼ばれる読み方 与えられた題を歌の中に隠し詠む

をがたまの木 紀友則
みよしのの吉野の滝に浮かびいづる泡をかたまのきゆと見つらむ

よみ人しらず
枕よりあとより恋のせめくればせむ方なみぞ床中にをる
あととは足許のこと
優雅ならざる身体を詠む
あえてルールから外れた詠み方をしている
巻19「雑体」には俳諧歌(はいかいのうた)が58首収められている
俳とはそしる 諧とはととのっている ボケと突っ込み
その場を盛り上げるニュアンスがあるのでは?
俳諧歌と言う括りを設けて優雅ならざる歌も意図的に取り組んだ
俗と雅の境界を詠む 古今和歌集の懐の深いところ 柔軟なところ

2023年11月25日土曜日

中村メイコ女史の言葉&北宋絵画&名言

今もなお時空をかける冬蝗(いなご)
北颪カスハラする人される人
冬紅葉助けあらまし量と質
冬の靄(もや)抱え込んではいけませぬ
襟たてて肩をすくめる霜夜かな

■日曜美術館 より
北宋絵画 ベールを脱ぐ中国芸術の最高峰

山本悌二郎の特別な思いが記されている
澄懐堂書画目録 李成喬松平遠圖立軸
画に対して洸然として
画を忘るるが如きが
唯此の軸あるのみ

阿部房次郎
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E9%83%A8%E6%88%BF%E6%AC%A1%E9%83%8E

内藤湖南
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E8%97%A4%E6%B9%96%E5%8D%97

黒川幸七(黒川古文化研究所)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E5%B7%9D%E5%8F%A4%E6%96%87%E5%8C%96%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん~昭和の大先輩とおかしな2人~
中村メイコの言葉
赤ちゃんのような
やわらかい心で
いつまでも

中村メイコ女史は中村政常氏のお嬢さまだったそうです。
なので下記の方々と人間関係を構築されたようです。

横山エンタツ、花菱アチャコ、三木のり平、黒澤明監督、
水の江瀧子、杉村春子、高峰秀子、山田五十鈴、水谷八重子、
三木鶏朗、徳川夢声などなど…。

菊池寛氏とのデート、
田中角栄氏へのピーナッツのプレゼント、
美空ひばりさんのお泊りのエピソード、
神津善行氏とのなり染め、
葉月カンナ女史&はづき女史とのやり取り、
どれもこれも最高に興味深いお話でした。
一冊の本にまとめて欲しいです。
お待ちしています。

■名言
デール・カーネギー 曰く
「運命がレモンをくれたら、
 それでレモネードを作る努力をしよう。」

Vassiliy Kandinsky 曰く
「芸術家は目だけでなく
 魂も訓練しなければならない。」

ショウペンハウエル 曰く
「凡人は時をつぶし、賢人は時を利用する。」

2023年11月24日金曜日

コロコロで一句

雪見月桜と柿と乳銀杏(神山)
驚きとたじろぎと冬の鴬
牡丹焚火(ぼたんきび)鋭き目に委縮せり
寒念仏(かんねぶつ)健気な素に戻りませう
活き活きと命輝く寒昴(かんすばる)

■プレバト纏め 2023年11月23日
コロコロで一句

特別永世名人締めの一句 梅沢富美男
コロコロのミシン目ずれている四音
(四音は冬の季語 冬に寒い日が3日続いた後に
 暖かい日が4日ほど続く
 季語「三寒四温」の傍題(関連季語)
 今回は格の違いを見せつけた
 「コロコロ」というものだけを描写
 ずれている映像だけを切り取って
 それが「四音」の気分に似合っている)

「名人10段」を目指す試験 皆藤愛子
着膨れた背中猫の毛あちこちに
(季語は着膨れ
 着膨れ猫の毛あちこちに付けて 
 とすると自分を詠んだ句になる
 背中が入っていることで色々勝手に
 読者が想像して面白がる 可笑しみのある句)

1位 河井ゆずる(アインシュタイン)
初冬のラグかの愛犬の尨毛(むくげ)あり
(尨毛とは動物などの長くふさふさした毛のこと
 上五を字余りにして中七・下五で調べを取り戻す
 愛犬はすでに亡くなっているのかも❓を
 引き出させるために「かの」を入れたのではと思った
 この形が自分の心に適っていると思い表現した)

2位 YOU
手入れして畳むセーター弛(たゆ)む歌
添削(畳む動作が強く出すより軽くして弛むに重心を置く
   セーターの感触も戻ってくる 
   ひらがなの方が表情が優しくなる)
手入れしてたたむセーター弛む歌

3位 竹財輝之助
コロコロする寒夜ルンバ充電中
添削(「寒夜」と言う季語が主役にたっていない
   絨毯を入れると充電と韻が出てくる)
コロコロする絨毯ルンバ充電中

4位 辰巳琢朗
重ね着でコロコロ使う孫の顔
添削(重ね着をしているのは孫 明確に 「で」が散文的
   どんな風に使っているのか❓描写をする 「よ」で詠嘆が出る)
コロコロを巧みに重ね着

5位 山之内すず
家族集うセーターから取る犬のぬくもり
添削(材料の詰め込み過ぎ 季語を大事にする)
セーターの毛をコロコロで取るしあわせ
セーターの毛をコロコロで取るお元日
セーターの毛をコロコロで取るお正月

次回のお題「万国旗」

2023年11月23日木曜日

古今和歌集(2) 100分de名著

冬に来し古都の風情の虫籠窓(むしこまど)
しんしんと雪降り積もる古都の夜
冬椿遊ぶ椋鳥我忘れ
心豊かに心遊ばせ小春空
迫りくる禅のまなざし柿落葉

■100分de名著「古今和歌集」(2)恋こそ我が人生
うたたねに
恋しき人を
見てしより
夢てふものは
頼みそめてき

距離があることが言葉を育て
言葉を育てることで恋心も深まる

恋歌 360首 一番多い
背景には後宮があって天皇の奥方たちの
やりとりこそ政治を支えている
個人的な私信であっても他人の目に触れる可能性も極めて高い
恋愛は二人で完結する
恋は一人でもできるし集団でもできる
恋は恋愛よりも大きな世界を持っている

「古今和歌集」において恋の歌は
初期から別れへと順番に配列されている

よみ人しらず
ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめもしらぬ恋もするかな
(あやめ草 端午の節句の菖蒲湯に使われるショウブ)
 あやめもしらぬ(道理)

壬生忠岑(みぶのただみね)
春日野の雪間をわけて生ひでくる草のはつかに見えし君はも
序詞(じょことば)いわば前置き
音の良さを作るために序詞はある
はつかに わずかに
リズムに変化を与えることで言葉が立ってくる
印象的に伝わる
この場合で言えば逸る(はやる)気持ち
萌えが出ている

雲に託した恋心二首
よみ人しらず
夕ぐれは雲のはたてに物ぞ思ふあまつ空なる人を恋ふとて
(恋をしている時はどんな相手でも高嶺の花)

壬生忠岑
風吹けば峰にわかるる白雲のたえてつれなき君が心か

小野小町(謎に包まれた天才歌人)
思ひつつ寝れば人の見えつらむ夢としりせば覚めざらましを
(夢と現(うつつ)を浮遊している歌)

小野小町
うたたねに恋しき人を見てしより夢てふものは頼みそめてき
(「夢の中の恋を表わしてみてくれない?」という
 注文があって詠んだのではないか)

男が詠む切迫した恋歌
紀友則
命やはなにぞはつゆのあだ物を逢ふにしかへば惜しからなくに
(命?それが一体なんだというのだ。露のように儚いものではないか。
 命と引き換えにあなたと逢うことができるならば、ちっとも惜しくはない。)
心乱れている様子を冷静に表現

相思相愛は和歌に向かない?
心が通じ合っているのだから言葉はいらない

大人のけじめ けじめをつける大人の恋歌
典待藤原因香朝臣(ないしのすけふじわらよるかあさおみ)
たのめこし言の葉今は返してむわが身古るればおきどころなし
_飽きてしまった
藤原因香は右大臣の源能有(よしあり)と婚姻関係にあったが離婚

近院右大臣
今はとて返す言の葉拾ひおきておのがものから形見とや見む

男性が歌に詠んだ言葉を使って女性が返歌を詠むことは多い

小町が姉
時過ぎてかれゆく小野の浅茅(あさぢ)には今は思いひぞたえず燃えける
(浅茅 イネ香の雑草 竹の低い茅ちがや)
かれ 枯る 離るの掛詞 思ひ 火

スケールの大きな恨み節
兼芸法師
もろこしの夢に見しかば近かりし思はぬ中ぞはるけかりける
(夢に現れないという事は相手が自分を思っていない
 もはや異国より遠い存在になってしまったことを嘆いている
 遥か遠いというイメージは恋を響き合う)

古今和歌集では自分の心として私の恋として詠むのが基本
個々の心の深いところを表わしながら皆の共感できるものになる
日本人の複雑な心が反映されているのでは?と伊集院光氏。

2023年11月22日水曜日

夏井いつきのよみ旅!In愛知後編&ロッチと子羊60

冬日和冬のスイスの死の匂い
諦める人そうでない人冬の波
持つものを失った時冬銀河
冬天やここしばらくは無限遠(むげんえん)
眠る山光と空気戯れん

■夏井いつきのよみ旅!In愛知 後編
徳川家康の生誕の地 岡﨑

龍渡り蜻蛉(あきつ)描く円あなふしぎ   本多葵美子
(蜻蛉とは秋の季語 岡﨑上の別名「龍城」
 本多忠勝の子孫 忠勝公の持っていらした有名な「槍」があり
 その槍の名が「蜻蛉切(とんぼきり)」
 闘う遺伝子 東京都女子アマチュアボクシング元チャンピオン
 現在は岡崎城にある歴史資料館で学芸員を務める)

秋うらら一色うなぎの大行列   石川美智子

味噌の香を見上げる声の盆休み   熊谷京子

味噌仕込み山と谷超え家担ぐ   早川久右衛門

十九代たる金秋の味噌の香(か)ぞ   夏井いつき

八朔やマスクの油断顔に見る   稲垣八重子
(八朔 8月1日が誕生日なので…。
 八朔は秋の季語 旧暦八月朔日(ついたち)の略 豊作祈願)
 家康が江戸城に入城した日とされ武家の間でも重要な日)

もうもうもなくまやもなく冬隣   中嶋京子
(もうもうは牛 まやは牛舎)

■ロッチと子羊60 eスポーツ学校遍2
▪上澤和志 eスポーツ高等学院2年生

悩み 100%集中しすぎてモチベーションが続かない

この道を体得している者は満ち足りようとはしない
そもそも満ち足りようとしないから壊れてもまた出来上がる
老子思想より

足りないからこそ力が出る
足りない部分に余力や遊びあるからこそさらに最大限の力が発揮できる
適度なマイナス=プラス
いい加減

上澤和志さん
心に余裕ができて少しミスしてもカリカリしない
穏やかにできたり今まで100%でやっていたので自分に余裕がなかった
余力を持って何事にも取り組めたらそういうのも亡くなるし雰囲気も良くなる

小川仁志先生
さぼれとか手を抜けと言っている訳ではない
自分にとって本当にちょうどいい本来の力をですためにはどうしたらよいか
余力はパワーにもなるし余裕という意味では自由にもなる

▪門岡利弥 eスポーツ高等学院 教頭・数学教師

悩み 意識しないと人に関心が持てない

名伯楽 優れた資質を持った人を見抜く力がある人物

自分は他者からできています
だから人はどんな他者にも関心が持てるのです
レヴィナス哲学の要約

親、知人、友人以外でも道ですれ違った人も
自分を作ってくれています
人は目に見えないたくさんの他者に影響を受けて生きている
自分と言うのは他者がいないと形作れない
自分も他者に影響を与えています
極端なことを言うと人類は全部繋がっている

いろんなものに関心を向けているから何が良いかが見える

2023年11月21日火曜日

マーガレット・サッチャー ザ・プロファイラー

体動けど頭回らず冬の山
落葉掃く煙草咥えて睨む人
冬の街空気をまとう心地よさ
冬ざるる苔を守らん敷き松葉
月氷る雪見障子の化粧前

■ザ・プロファイラー マーガレット・サッチャー
鉄の女の信念とは?

あなたの言いたいことは分かっています
答えはノーよ

今の私があるのは父のお陰です
「何を信じるべきか」という価値観は
父から教わりました

他の人がしているからという理由で何かをしてはダメだ
他人に頼らず自らの力で乗り越える

父は自分の信念に確信を持ち実行することを教えてくれた 
大事なのは決して妥協しないこと

私の心に強く残ったのはユダヤ人が
街路をブラシで掃除させられている話だった
私たちは必要なら戦争によってでも
ヒトラーの悪行を終わらせたかった

将来自分で生計を立てていかなければならないと知って
それなら科学の世界が非常に魅力的に見えた

あの運命のいたずらによって人生で本当に
何をしたいかを見つけたのだった

なぜチャーチルに対して有権者がこんなことを
できるのか 私には全く理解できなかった
保守党支持者の友人は
このニュースをむしろ良い事だと言っていた
私はますます近いできなかった

1951年(26歳)デニスと結婚
デニスから妻になって欲しいとプロポーズされた時
私は真剣に考え続けた
40年以上たっても今でも「イエス」と答えたのは
これまで下した決断の中で最高の一つだ

1953年(27歳)双子を出産
幼い子の面倒を見る
母親としての義務と国会議員としての義務
その両方を本当に果たせると思ってるんですか?

私が憤慨したのは議会は女の行くところではない
という感情が見え隠れした事だ
しかしそんなものでくじけるつもりはなかった

33歳で議員に
私が生きている間に女性の首相が誕生するとは思えません
選挙区の方々は私が単刀直入に本題に入り
問題については説明する以外を望んではいません

私の信念は普通の人は自立を望み
国の世話になりたくない筈だという事です

栄養学的に見ればミルク1杯は大して
子どもの役に立たないのにひどくお金がかかります
給食用ミルクを有料化
世論は猛反発
ミルク泥棒のサッチャーと呼ばれた
あんな人たちに負けるもんですか
私を強引に追い出そうとしたってそうはいかないわ

私が立候補しましょう
私たちの意見を背負った
誰かが立候補しなければならない
とにかく私は党と国家をヒース流の政治に任せておけなかった

コンセンサス政治からの脱却
信念を持たない政党を誰が支持しようとするだろうか
我が党が負けたのは「独自で前向きなもの」を
しっかりと守っているという印象を与えられなかったからだ

1975年(49歳)保守党党首選挙に勝利
1979年(53歳)総選挙に挑む
イメージ戦略に挑む

緊張すると声が高くなるの
だから原稿の余白に「声は低く落ち着いて」と書いておいたわ
イギリス史上初の女性首相となる

非常に興奮しながら責任の重さを感じています
選挙は終わりです私たちが誇りとするこの国に仕え
皆で力を合わせて強国に目指していきましょう

マギー・サッチャーは反動的ですって?
議長 反論はいくらでもありますよ

私こそ西側における「鉄の女」です

「国が面倒を見るのは当たり前」と言う人には感心しません
勤勉で努力する人が報われる社会
巨大な社会補償費をカット
予算を徹底削減
非効率な企業への補助金カット
競争力のない企業は倒産させた
所得税最高税率83%を60%に引き下げビジネスを活発化させた
ところが2年連続マイナス成長

私の政策のUターンを心待ちにする人に言いたい
そうしたければあなたこそターンしなさい
私に逆戻りはないのです

デニスがそばにいなかったら私は11年以上も
首相を続けることができなかったでしょう
デニスがいてくれたおかげで決して独りぼっちではなかった

私は世界でもっとも偉大な女性を妻としてきました
ほんのわずかでも私に出来た事は愛と忠誠心だけでした

働く女性は皆同じです
いつも仕事があってお手玉のように
次から次へと操る訳です
私は政治が好きですし家族が応援してくれます
がっちりまとまった家族あればこそです

1982年(56歳)フォークランド紛争
我々の国民がいて我々の島があるのだ
私は即座にそう言った
「もし侵略されたならば取り戻さねばならない」
国際的な支持を得た 国連安保理決議
フォークランドでの勝利は愛国心の勝利です
世界は我々の愛国心の強さに驚嘆したでしょう
フォークランド紛争が終結した日の事は一生忘れません
大変な重圧でしたが本当にほっとしました
若い兵士の命を危険にさらしていることが
最もつらかったことです

1983年(57歳)総選挙で大勝
労働組合を弱体化させる
国営企業を民営化していった
一連の政策はサッチャリズムと呼ばれ新自由改革となった
人々はもうイギリス病を気にしなくなりました

鉄の女サッチャーの切り札 ハンドバッグ
同僚政治家の弱点や攻撃材料のメモを入れていた
魔法でもあり悪魔のようなバッグ

私は先週彼女と会って15分間も罵倒された
handbag(動) 率直な攻撃や激しい批判を浴びる
1982年ころから辞書にも掲載された

ロナルド・レーガン機密な協力関係を結ぶ
レーガンの温かさその魅力気取りのなさにすぐに魅かれた

1984年(59歳)
ミハイル・ゴルバチョフをイギリスに招いた
腹話術の人形みたいにしか話せない
従来のソビエトのトップとはまるで違う個性の持ち主だわ
一緒に仕事ができる男よ

1990年(65歳)パリ憲章

ヨーロッパの統合はイギリスの主権を損なう
ECへの分担金を返還要求
ECからお金をくれとは言っていません
私たちのお金を返して

私は大臣の座にいて貰おうとしました
優秀な人ですし代わりの利かない役職です
私な今まで通り強い理念と信念持つ人物であり続けます
私の強い指導力は終わりません

格差の拡大 人頭税 不公平をなくそうとした
しかし弱者の切り捨てと国民は猛反発

私は直接議員たちへの選挙運動は行わないことにした
11年半に及ぶ首相経験
そして党首を15年以上も務めたこの私が
始めて党首候補リストに入ったような
振る舞いをするなんてバカげているわ

もうやめるんだ デニスの言葉…。

1990年11月28日
11年半の素晴らしい思い出と共に
首相官邸を離れる時が来ました
ここに来たときよりはるかにイギリスの状況を
向上させて離れることが私の誇りです
ありがとう さようなら

声は震えていません
辛いこともありましたが私は乗り越えました
テレビや反対議員への対応以上に
やるべきことがあったからです
重要な使命があったからです

2013年4月8日
マーガレット・サッチャー死去(87歳)



2023年11月20日月曜日

題「切る」

冬の靄悪き都合は予想外
完璧な雲を作らん冬の空
轟の滝掛け声かけて冬山路
冬の空神輿担ぎて滝つぼへ
白装束太鼓響かせ滝に入る(無季句)

■NHK短歌 テーマ「動詞の工夫」
選者 吉川宏志 ゲスト ピーター・マクミラン 司会 尾崎世界観

▪動詞を工夫することによって歌をさらに活き活きとさせられる
実感的 表現力アップ「切る」

夏の暮ガスの青火のかたわらに豆腐を切りて豆腐を増やす 
吉川宏志
「切る」を肯定的に使っているのが新鮮

▪入選九首 題「切る」
二席 帝切の創口(そうこう)に汗疹できぬよう優しく洗う夏が過ぎゆく
絹真絹子(帝切とは帝王切開の意 時間の流れを感じる)
ステッチを終えた静かな母の手がほつりと切った鳶(とび)色の糸
水沢わさび
木箱には箸箱、眼鏡、千人針ニ十歳で叔父の時は途切れて
鈴木綾子
ざんばらで初めて手刀(てがたな)切る二十歳土俵の土を顔に残して
渡部晃大(臨場感が出ている)
切り花を買い求めてく人たちのそれぞれが待つ盆の迎え火
春ひより
ニワトリも風切羽(かざきりばね)持っていて手紙を開ける頻度で羽ばたく
楢原もか
三席 御社とか慣れないことを書いた手で証明写真を真四角に切る
中山あゆみ(リアリティーがあって良い表現)
一席 私 もう切れぬところまで切る足の爪手で確かめてトゥシューズ履く
玉響雷子
チョコを切り刻んで鍋に重ねたらそこがじわりと消える日曜
金城ひろ子

和歌は「型」を詠む
現代短歌は「自分の事」を詠む
型がありつつ自分の個性も入ってくる

▪入選あと一歩
切ることでようやっと生きてきた子の腕の横線白く浮き立つ
永岡桐子(添削⇩)
切ることでようやっと子は生きてきた腕の横線白く浮き立つ

広告会社(のつくるコピー)はわりと七五調を使っている
日本人の魂の音

▪表現の最前線
晩夏光(ばんかこう)おとろへし夕酢は立てり一本の壜(びん)の中にて
葛原妙子

寺山修司の「立つ」を使った素晴らしい詩がある
「一本の木にも流れている血がある
 そこでは血は立ったまま眠っている」

ピーター・J・マクミラン 表現の最前線
心あてに折らばや折らむ初霜の置きまどわせる白菊の花
凡河内躬恒(おおしこうしのみつね)

To pluck a stem (茎を摘み取る)
I shall have to guess
For I cannot tell apart
White chrysanthemums
from the frost.

「初霜」と「白菊」は
誰でも区別できるんじゃないかという批判がある
見立て 対象を他のものになぞらえて表現すること
日本的な美意識の大事な軸

はじめから沖縄は沖縄のものなるを順(したが)わせ従わせ殉(したが)わせ来ぬ
吉川宏志

この動詞は使い方は英語にはない
このまま英訳すると元々の歌の魂が消える

大海の磯もとどろによする波われて砕けて裂けて散るかも
源実朝
日本の和歌の中では異例
当時の美意識だとはかない感じが多い
別の動詞を使う工夫が大事(舞う・輝く)
予測変換みたいに出てくる言葉に
どこかであらがわないと「作品」にならない

▪ことばのバトン
仰いだ空に光彩の舞う  
富山県立伏木高等学校 如意が丘 高田響楓

黒板に「・」(てん)だけ残る昼休み
岐阜県立飛騨神岡高等学校 文芸部
級友のマスク外した口元に笑窪(えくぼ)発見高三の春
中島彩音

2023年11月19日日曜日

田丸雅智杯&「露霜」&「兎」&名言

言祝ぎ(ことほぎ)に願いを込めて冬の朝
たおやかに生きてゆきたく寒威かな
視界からはみ出す視線冬の波
動線に冬の鴬誘(いざな)われ
(ラグビー)ノーサイドまで一瞬の奪い合い

■夏井いつき俳句チャンネル
【第2回コラボ投句企画】田丸雅智杯、開催します!

https://www.youtube.com/watch?v=7C-5IFcGOJY

田丸雅智杯
お題:「雨傘科」を読んで一句
【締切】2023年12月31日正午12:00:00

★投句は下記専用フォームから★
https://forms.gle/jULgQoMcypuPGUMX7

★「雨傘科」⇩
https://short-short.garden/S-uCSXev

■夏井いつき俳句チャンネル
一分季語ウンチク「露霜(つゆじも)」 

「露」が更に気温が下がって凍った状態になったものを
「霜」と言います。
「露霜」とは一体何ものかと言いますと
「露」が「霜」に変化していくどちらとも見えるような
間の状態の事を「露霜」と言う
非常に境界の難しい季語になります
傍題として「水霜」と言う言い方もありますが
「露」なのか「霜」なのかはっきり区別できない
その絶妙の有り様をいかにして読むか
俳人心を刺激される季語でもあります
「万葉集」では枕詞としても使われていたようです

■夏井いつき俳句チャンネル
一分季語ウンチク「 兎」

家で飼ったり学校や幼稚園などで
「兎」を飼った経験のある方も多いのではないでしょうか❓
そうやって一年中目にしていると中々ピンとこないかもしれません
「兎」は冬の季語になるんです
何故冬の季語かと言うと元々は狩猟の対象狩りの対象であった
ということから冬の季語になっています
日本では野兎が狩りの対象になっておりとった皮は防寒具に
肉は料理などに使われていたと記録に残っています
あんまり身近に「兎」を狩って食べたというような記憶は
さすがに私もないんですが一定以上の世代の方は
ひょっとしたら経験あるかもしれませんね

■名言
北大路魯山人 曰く
「三度炊く、飯さえ硬し柔らかし、
 思うままにはならぬ世の中。」

日野原重明 曰く
「誰しも幸福を望みますが、
 それを実感することにおいては
 きわめて鈍感です。」

城山三郎 曰く
「どんな事態にも、第三の道がある。
 そう思えば、人生にも
 新しい風が吹いてくるのではないか。」

2023年11月18日土曜日

牧野富太郎の言葉&岡林信康の言葉&稚児俳句

暮早し嗚咽隠してシャワー浴ぶ
冬の星プロローグから落つ涙(「友情」)
繕いたソックスまたも冬の朝
古九谷(こくたに)の五十年をや冬の星
隙間風周りを暗くさせる人

■大日本植物志 より 牧野富太郎氏の言葉
可能な限り正確に裏も表も始まりも終わりも
一枚に等しく書き込む
そのすべてに深い意味があるのだ

草を褥(しとね)に
木の根を枕
花と恋して九十年

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん
~昭和の大先輩とおかしな2人~
岡林信康氏の言葉
咲くのも花なら
散るのも花よ
少しでも楽しんで行きましょう

江州(ごうしゅう)音頭
https://www.town.toyosato.shiga.jp/0000000056.html

岡林信康とともに紐解く、コロナ禍で生まれた23年ぶりのアルバム
https://news.infoseek.co.jp/article/rollingstonejapan_35532/

蝉時しぐれ今は消え
https://www.youtube.com/watch?v=Okd5POCBaZo

今日までの道のりを ふり返り辿る時
まばたきのひと時か つかの間の夢のよう
この旅を終えた時 亡骸(なきがら)となるけれど
良き思い出となって 君の心に宿り
生き続けたいと思う
このような曲は作れない。
落ちてくるんだ。

■ワルイコあつまれ
稚児俳句 辻内京子 髙柳克弘 松尾葉翔

今回の稚児 鼻血ブー

綱引きにパパ鼻血ブー天高し   辻内京子
(天高し 秋の季語 秋に空気が澄んで空が高く感じられること
天上と地上を大きく捉えた句)

鼻血ブーして笑いあう草ずもう   髙柳克弘
(草ずもう 秋の季語 祭りなどで素人がとるすもうのこと
 「う」で韻を踏んでいる

鼻血ブー告白受ける秋の古都   松尾葉翔
(秋が季語 表現しなくても修学旅行だと解る
 秋の古都では映像が見えない 散文的である)

松尾葉翔の句 添削
古都は秋好きと言われて鼻血ブー   辻内京子
(語順に注目 作者が秋を実感しているのがわかる
 助詞を変える 受け取る側もイメージが違ってくる)

黄落の京告白に鼻血ブー   髙柳克弘
(黄落 黄色く色づいた葉が落ちること 映像的に添削 
 ポイント つきすぎ(定番の組み合わせ)を避ける べたである
 紅葉から銀杏にずらせた 黄落に明るくてきらきらした青春に似合う
 赤と黄色のコントラストを見せた)

最後の一句
高木ブードリフをみたよ鼻血ブー   松尾葉翔

2023年11月17日金曜日

兼題「相撲」&名言

ほぼ日にまた救われんオリオン座
風冴ゆるやって良いこと悪いこと
バスタブで聞く子守歌冬の鳥
人生はラグビーボール息白し
理不尽を面白がらん寒昴

■ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場
兼題「相撲」
本来は年の豊凶を占う神事。
傍題には相撲節会、宮相撲、草相撲、辻相撲、相撲取り、勝相撲、
負相撲、夜相撲、土俵、角力(すもう)、すまい、等がある。

ギュッと!特選
奥宮はがらんどうなり相撲の日   沢胡桃
選句のポイント
土俵を描かず行司を描いている 
見事に視点をずらしている

放送された秀作
精霊と四つに組みたる相撲かな   野中泰風
(アップになり寄っていったところを褒めたい 
 ここまで描写できたのは良い)
弁当は赤飯にぎり宮相撲   とことん
(めでたくて良さそう)

放送された佳作
少年の肩に湯気立つ相撲かな   木村弩凡
(上後中七良い かなで詠嘆しないで宮相撲にすると背景が立つ)
激戦の相撲髷の片寄り直しをり   竹井白髪
(上五字余り 激戦ではなく水入り相撲くらいにすると秀作に推せた)
瀬戸の島精霊相手の相撲とり   十亀
(愛媛県大山祇神社「御田植祭」一人角力を詠んだんだと思う)

放送された句
ザンバラへ出世出世とちゃんこ鍋   お恵ちゃん
(ちゃんこ鍋は季語ではない)
巡業やちゃんこにどさり山茸(きのこ)   沢野鬼ぐるみ
(相撲ではなく季語は茸が入れてある)
千秋楽かじり付く祖母こぶしの手   克甫
(無季句 千秋楽の土俵とかにすべきだった)
取り直しになってサウナを出られない   GONZA
(無季句なのですがいつき先生の心の秀作)
相撲部の朝日や息と土埃(つちぼこり)   なか鹿の子
(相撲部は季語とは言えない)
髷(まげ)乱れ取り組み後の息あらし   千真
(描写しようとする意識はある 無季句)
境内で豊作願う大相撲   浜松ヘイタパパ
(上後中七で季語を説明しただけとなった)
弁当は赤飯にぎり宮相撲   とことん

秀作への道
権禰宜(ごんねぎ)の行司不慣れな宮相撲   豚々舎 休庵
(権禰宜とは神職の職階のひとつ 不慣れが説明になっている)

差し違への行司は宮司宮相撲   はなぶさあきら
(説明がない 行事宮司と韻を踏んでいる 視点をずらしてある)

入選ポイント
多様な視点で季語にアプローチ

■名言
ダーウィン 曰く
「一時間の浪費をなんとも思わない人は、
 人生の価値をまだ発見してはいない。」

フリードリッヒ・ブーテルベーク 曰く
「希望が逃げていっても、
 勇気を逃がすな。
 希望はしばしば我々をあざむくが、
 勇気は力の息吹である。」

ドイツの諺 より
「侮辱した人は砂に書くが、
 された人は鉄に書く。」

2023年11月16日木曜日

ロッチと子羊(59)「eスポーツ格好遍(1)」

代替わりすれど今年も届く(木頭)柚子
(木頭柚子)冬至まで続く収穫冬の空
祖谷川の濡れた紅葉の彩よ
コストコの追徴課税冬の雨
冬の会見反論すれど謝罪なし

■ロッチと子羊59 eスポーツ学校遍(1)
▪村上晃士(18) eスポーツ高等学校2年生
悩み 引っ込み思案な性格で
自分の素を出すことができない

素の自分なんていません
なぜなら人間は
知覚の束にすぎないからです
ヒューム哲学の要約

素の自分とは確固たる自我と考えますが
それは単なる思い込みだとヒュームは言います。

自我とは熱っ、怖い、臭いのような
外的刺激に対する反応を知覚と言います
自我とはこういった近くが集まったもの
つまり知覚の束にすぎないとヒュームは考えたのです

ミニ哲学プラクティス
自我は外的刺激が変わるたび
物凄い速さで変化する
自我とは絶えず変化する実体のないもの

常にいろんな自分がある
どれも本当の自分
自分というものを自由に捉える

哲学プラクティス
知覚の束=自分 を利用してコミュニケーションをとる練習
外的刺激を自分に与えて自分自身を変えていく
自分を抑えるための外的刺激を入れて自分自身を変えればよい
思ったより自分は変幻自在に変化できる

▪鶴長容治(25) ゲーム講師
悩み 夢をいつ諦めるべきか
タイミングがわからない
諦めたくないけど諦めないといけないのかな❓
反射神経がついて行けない

夢は諦めるものではありません
諦めざるをえないものなのです
ヤスパース哲学の応用

夢に向かっている時、死、戦争、年齢などの壁が立ちはざかります。
限界状況にぶち当たった時、限界を受け入れざるをえない
それでもヤスパースは懸命に進め!いいことだ!と言うのです

ただ運命に従うのと必死に突き進んで壁にぶつかるのとは全然違う
壁にぶつかると真の自分にたどり着ける

ヤスパースは自身が経験しています。
妻がユダヤ人でした
ナチスから哲学をとるか、妻をとるかナチスから迫られました
ヤスパース夫妻は強制収容所へ移送が決まりました
全てを諦めざるをえない状況に追い込まれました
生き延びたヤスパースは哲学者として新たな地位を築きます
それは限界状況に追い込まれたことがあったからです

人間は壁を乗り越えようとして力を振り絞ります
力尽き無力な自分に絶望します
実はそこがチャンスなのです
新しい自分が絶望した自分の前に現れ、抜け殻に入り込むのです
人生の限界を受け入れ更なる自分の希望を
確信した真の自分へと生まれ変わるのです
そうすると心の迷いが消えるのと同時に
古い自分の行く手を阻んでいた壁が消え去り
新たな人生を歩みだせるのです

懸命に頑張っても諦めざるをえない状況になった時
人は一旦からっぽになる
だからこそ新しいものを取り込める
真の自分が本当にやりたいことと出会える
生き方を自分の中で納得して新しい自分に進化できる

自分が一生懸命生きてて出会うもの
遠くから選ぶものじゃない

2023年11月15日水曜日

吉本ばなな登場!あの本読みました?

上勝町落葉前線通過中
後輩の紫綬褒章や神無月
木星と並んだ月や厳かに
佐那河内棚にずっしり生るキウイ
もっちもちたらいうどんの冬の山(土柱)

■あの本、読みました?
~吉本ばなな登場!知られざる創作の裏側
吉本ばなな×鈴木保奈美

担当編集者 石原正康氏 インタビューでは
ないことない事だったらしい。
吉本さんと石原さんの最初の出会い
「お盆の裏に原稿用紙が張ってあった。」は
塗り替えられた話だったようです。(笑)
「そんな素敵な話じゃない。アルバイトをしていた
孔雀茶屋(糸井重里氏が経営する喫茶店)で会いました。

「人生の経験値を増やすため」に重要なこととは?
https://diamond.jp/articles/-/182646

孔雀茶屋で益子由美さんと一緒でした。
彼女に「キッチン」「白河夜船」「アムリタ」等の
カバーイラストを描いてもらいました。
糸井重里氏は店はなくなったが二人も
素晴しい才能のある人が巣立ってくれたことを喜んでくれています。

バイト中に創作はしませんでしたが
ゲラの原稿修正をしたりしていました。
仕事しながら仕事をしていたということになります。
当時のヒットは予想外。
経験してから10年位してから書いている。
経験してすぐには作品にできない。
いつも-10歳の人を書いている。
家族は生々しい存在です。
自身の家族も疑似家族的な距離感がありました。
強烈な人を箱に入れているといった感じ。
私の場合、家族を書かずにはいられない。
男性キャラは吉本ばなな男版です。

例えば「吹上奇譚 第1話」の序文
水入りの重い手桶を持ってくれたし、
お墓の周りの木にあげる水が
足りないかもしれないと、
近くの水道まで
再度汲みに行ってくれた。
この力持ちの好青年がいたことが
ひたすらありがたかった。

美鈴はつぐみより性格がダーク
「TUGUMI」は覚えていない❓

保奈美はアンチつぐみだった
綺麗で病弱でわがままでずるいこの人って思っていた。

「TUGUMI」の一文
つぐみが本当に意地悪そうに
「ざまあみろ!」
と叫ぶと、ポチはワン、とほえた。
「どうしてそんなことを言うのよ」
とあきれた私が言うと、
「犬畜生に言葉がわかってたまるか」
と笑ってつぐみは海を見ていた。

女性キャラは友達のしたくないタイプ
自分の中になかったのでつぐみを書く時は苦しかった。
描きたいテーマありきのキャラクター
執着が強い状態から解き放たれていく物語なので
執着が強くて大胆な性格じゃないと駄目じゃないですか
テーマが書きたいから主人公を上手くフィットさせていた。
力技で決めたエンディングへ持っていていた
ビジュアルでイメージしている
「吹上奇譚」の続きは構想がある
長編を書くという根気が私にはないから…。
現在は1/4、分冊にすれば頑張れるかもしれない。
自己分析も冷静にしている。
プロジューサー的な視点でも見ている。

まだ、主人公の恋愛が描けていない。
次のシリーズで描きたい。
作品のキャラにインタビューしながら執筆。
現在、恋愛至上主義でなくなってきています。
時代の先を読んでいた?

作品の男性主人公に関して、出版直後非難を浴びた。
現在、みんなそうなってきている。
若い人は今この作品を読んで自分のことが
描かれているみたいと言われている。
時代が追い付いてきた。
「吹上奇譚」の結末は大体見えてきている。
主人公は母に執着している。

吉本ばなな女史!最高に素敵でした。
何度繰り返し拝見してもまた、新たな発見が…。
鈴木保奈美女史にも魅了されました。

2023年11月14日火曜日

題「友だちのこと」

胸張った武者行列や冬の道
長慶讃え甲冑纏い冬の空
茅刈りてコエグロ作りて冬浅し
コエグロを守る西阿波冬野かな
コエグロにみる農業遺産冬日向

■NHK短歌 題「友だちのこと」
選者 山崎聡子 ゲスト 安藤桃子 司会 ヒコロヒー

年間テーマ「伝えられなかった思い」
今月のテーマ「友だちのこと」
友だち関係の多様性を短歌を通じて見ていけたらと思って…。

いつまでを友だったのかセロテープ透ける向こうが学生時代
小島なお
(セロテープが学生時代をのぞき見る
 フィルターみたいな役割を果たしている)

▪つぶやきを短歌に
恒星のあなたと思う薄闇のなかで言葉を溶かしあったら
山崎聡子

▪てれび歌会
入選九首 テーマ「友だちのこと」

自閉症の子の友だちが溢れたる居間に井守と家守のアパート
永岡ピロエル
燃えて骨になったあとでも痩せたいと言っていそうな可愛い親友
芍薬
一席 中年の身を寄せあひてまた弾かむ〈小さなすずめ〉六手連弾
真南
母がまだよく笑ふ人でゐた頃をやさしき友は上書きをせず
水須ゆき子
思い出のzipファイルがつごつぎとひらかれてゆく秋のファミレス
大鋸静香
二席 寮という器に四人よそわれて「はじめまして」の波長がそろう
森雅子
三席 仕事好き山好き海好き旅好きが逝って酒好きのわれひとりなり
末松博明
くれてやるつもりで貸した十万を友は返しに来た雨の日に
梅鶏
お互いの睫毛の白く凍るのを雪降る露天風呂で見ていた
溝口のぞみ

▪安藤さんの「友だちのこと」
サイレントここちがいいね君とならドキドキしないカンケイサイコー
安藤桃子
(Kの音が繰り返されていてグルーヴを生んでいる)

▪ことばのバトン
筑波大学付属高等学校
君の目が掃いたところはより緑

富山県立伏木高等学校 高田響楓
仰いだ空に光彩の舞う

富山県立伏木高等学校 如意が丘
黎明(れいめい)に流る星河のなす綾に願いの欠片描き散りばむ

2023年11月13日月曜日

兼題「冬構(ふゆがまえ)」「落葉」

木頭柚子山に響かん鋏の音
儚げなAKARI灯して冬の夜
柔らかなAKARI背に受け寒昴(かんすばる)
半袖のパジャマまといてオリオン座
(平尾誠二氏)ラグビーに人生かけて闘いて

■NHK俳句 兼題「冬構(ふゆがまえ)」
選者 山田佳乃 ゲスト 中江有里 司会 柴田英嗣

年間テーマ「俳句とエコロジー」
今週の兼題「冬構」
雪囲い 雪吊り 冬囲い などの設えがある

冬支度(晩秋の季語)
寒さに供えて晩秋に行う準備
布団や衣類 暖房器具など比較的手軽な支度

稲刈りした藁を利用したり 毎年再利用できる
資源を有効活用している 
設えをすることにより家の保温効果もある
エコロジーに繋がる
人々の暮らしの知恵が生きている

▪名句de穴埋めクイズ
砂濱や心元なき冬構   夏目漱石
(藁や竹では心もとなく感じる
 精一杯の冬構 海辺で暮らす厳しさを感じる
 漱石は親友正岡子規に俳句を習っていた
 漱石が教師として松山に赴任した際は
 漱石の下宿先に子規が居候
 1階に子規 2階に漱石)

俳句を嗜んでいた文豪
芥川龍之介 森鴎外 川上弘美 

文豪の名句
今朝は初雪あゝ誰もゐないのだ   太宰治
(喪失感 孤独感があゝと言う詠嘆に感じられる 山田
 自分に話しかけている孤独が太宰っぽい 中江)

手にとれば月の雫や夏帽子   泉鏡花
(現実と幻想の境目が曖昧 中江
 夏帽子が窓辺に置いてあったのかも
 月光が射していることで雫が青ざめたような
 月から雫が零れ落ちたのが帽子にかかっているような
 幻想的な感じを詠んでいるのが泉鏡花らしい。)

▪特選六句発表 兼題「冬構」
荒縄に負けぬ農の手冬構
田中政行(手に焦点を当てることで
     日に焼けた様子 皺があったり人物像が逆に広がる)

杭打ちのよき谺(こだま)して冬構
笹沼郁夫(谺してで山間が見えてくる)

老いてなほ得たる要領冬構
本間芳明

村中の夜を早めて冬構
苫野とまや(夜を早めての表現が静まり返った冬構からの元気が見える)

冬構あれもこれもの飛騨に住む
永尾定子(飛騨という言葉の力を感じる句)

縄をなふ祖母の一途や冬構
水越久哉(一途やとしたことで「一途」に焦点が合う)

▪夏井家伝来家藤正人&中西アルノ
0から俳句

俳句の文体 文語 口語
毎年よ彼岸の人に寒いのは   正岡子規
これは口語 
正岡子規の母上が子規に言った言葉をそのまま句にした

じゃんけんで負けて蛍に生まれたの   池田澄子
文語にすると
じゃんけんで負けて蛍に生まれけり
(真実味 重みが全然違ってくる)

0から俳句POINT
「口語」は心情や不思議な面白さが表現できる

▪中江有里が「冬構」で一句!
冬構母偽りのニット帽   中江有里
(「冬構」にある心構えとお母様の病を見せない姿
 気持ちが響き合う感じが伝わってくる)
添削(偽りが難しいので…。)
冬構病を見せぬ母の

▪特選三席発表 兼題「冬構」
三席 冬構ここにも母の几帳面   
藤崎由紀子
二席 冬構どこへも行かぬ影と棲み
石井宏幸
一席 古九谷(こくたに)に小さな山河冬構
横縞
(九谷村で最初に開窯されて突然閉じられるまでの約50年間の間に焼かれたもの)
(冬構の家屋と狭い空間の山河 外の冬景色までイメージが広がる
 重層的にイメージが重なる面白さがある)

▪柴田の歩み
好きな小説家を見つけよう

■NHK俳句 兼題「落葉」
選者 村上鞆彦 ゲスト 山崎ナオコーラ 司会 柴田英嗣
年間テーマは「人生を詠う」今回は「子育て」

山﨑ナオコーラさんが好きな句
入れものがない両手で受ける   尾崎放哉

小説を書くことと俳句を詠むことの共通点は❓
小説も俳句も言語芸術
小説は音楽と同じで「時間を表わす芸術」
俳句は「一瞬を永遠にする芸術」

子育てとは「生きるということを善とするだけ」
山崎ナオコーラさんの同級生の言葉
「生きている」ということを肯定する
ことだと思いながら子育てをしている
「信じる」ということかもしれない
生きていれば自分で育っていく
やっていたこととしては「細かいことには目をつぶる」
生きているからまあまあまあ
生きていてくれてありがとう❣位の気持ちで子育てを❣

子育ての名句
悴(かじか)める掌(て)を包みやり諭(さと)しけり
西村和子
手を握って諄々(じゅんじゅん)と言葉で諭す
良い親子の像が想像される
「けり」とは今の状態を強調している
一つしか注意しない
俳句的にコンパクトにして言う方が伝わる
子を詠む場合は突き放して他人の子ぐらいで見た方が
子ども自体がひとりの人間として見えてくる

▪特選句六句 兼題「落葉」
落葉踏む子象はすでに二百キロ   後藤明美
谷川岳月は落葉を降らしけり   渡邊博志
アルバムの落葉と同じ落葉踏む   黛素らん
(繰り返しがリズムになっている)
台本を丸め落葉のなかにゐる   山田蹴人(しゅうと)
神木(しんぼく)のひかりの筋を落葉かな   加藤西葱(せいそう)
(ひかりの筋は木漏れ火 厳かさが表現されている 
ひかりの筋で季節が限定される)
落葉籠猫が倒してゆきにけり   北村浩子

▪夏井家伝授!家藤正人&中西アルノ
0から俳句
文語
ラグビーや負けて自分も号泣す   青山ネモフィラ

0から俳句POINT
「切れ字」は「文語」でしか変えない

口語
鯛焼きを今日だけ尾から食べてみる   青山ネモフィラ

犬にやる手袋かわいそうだもん   家藤正人

▪今日マチ子、今日の一句
鰯雲葉っぱと共に降ってこい   山崎ナオコーラ
(落葉と固く言うより「葉っぱ」と言う言い方が生きている)

▪特選三席発表 兼題「落葉」
三席 寝室のありしあたりへ落葉降る   湯屋ゆうや
二席 無花果の大きな音の落葉かな   土井常寛(じょうかん)
一席 歌舞伎座の緋の絨毯に落葉かな   相川正敏

▪柴田の歩み
目的地まではよそ見して
(俳句もよそ見が大事)

2023年11月12日日曜日

古今和歌集(1) 100分de名著

並木道風と落葉のシンフォニー
冬浅し弱くてもろき吾と対峙
三穂野杉知らずに生きん神無月
拭うことなく溢るる涙冬の月
本性を弄ばれて冬の波

■100分de名著 古今和歌集
(1)めぐる季節の中で
心に思ふことを
見るもの聞くものにつけて
いひいだせるなり

言葉を味わうことの喜び
五感を表現する事の豊かさを伝える

国文学者・国文学研究資料館館長 渡部泰明
編纂 延喜5(905)年 醍醐天皇の勅命によって編纂された 日本初の勅撰和歌集
選者 紀友則 紀貫之 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね) 壬生忠岑(みぶのただみね)
構成 全20巻 1100首
序文 1真名序(まむじょ)(漢字)
   2仮名序(ひらがな)やまと言葉で説明

つけていひいだせるなり(託して表現する)
目にしたものや耳でとらえたものに託して表現する

四季の歌~春を喜ぶ歌
詞書(ことばがき)春たちける日よめる 紀貫之
袖ひちてむすびし水こほれる
春立つけふの風やとくらむ
 夏   冬  春

春の夜梅の花をよめる   凡河内躬恒
春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる
闇夜を擬人化している
あやなしとは無益で意味がないという意味 雅ではない言葉

六歌仙
在原業平朝臣
世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
美しいを使わず狂おしいほどの美しさを表現
反実仮想 幻想と現実の「あわい(間)」を非常にうまく表現

小野小町 掛詞を使い春を表現 
掛詞とは1つの言葉に2つの意味を持たせる技法
花の色はうつりにけりないたづらにわが身よにふるながめせしまに
ふるとながめが掛詞です
ふる 降る 経る ながめ 長雨 眺め(物思いにふける)
長雨自体も心の中に降っている

風流ではない夏を詠む
夏の巻の34首のうち28首がホトトギスの歌

ほととぎすの初めて鳴きけるを聞きてよめる   素性(そせい)法師
ほととぎす初声聞けばあぢきなくぬし定まらぬ恋せらるはた
あぢきなし(味気ない 始末に負えない)

はちすのつゆを見てよめる   増正遍昭(素性法師の父)
はちす葉の濁りにしまぬ心もてなにかは露を玉とあざむく
見立て あるものを別のものになぞらえて表現する技法
異化作用で距離を置かせ逆に共感を呼ぶ

和歌のシーズン!秋の歌
秋立つ日よめる   藤原敏行朝臣
秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
現在の8月上旬 秋の兆しを感じた歌

是貞親王(これさだみこ)の家の歌合(うたあわせ)によめる   大江千里(ちさと)
月見ればちぢに物こそかなしけれわが身ひとつの秋にはあらねど
ちぢ⇨千千 バラバラになった自分の心が1つに収斂して突き刺さる
歌合とは和歌で競う大人のゲーム
菊合(きくあわせ)歌を添えて菊花の美しさを競い合う宮中の催し

菅原道真朝臣
秋風の吹きあげに立てる白菊は花かあらぬか波のよするか

一種の風流度テスト

冬の歌~大晦日に詠む
年の果によめる   春道列樹
昨日といひけふとくらしてあすか川流れて早き月日なりけり
昨日 けふ今日 あす明日 が掛けてある
飛鳥川とは万葉集にも多く登場する奈良県の河川
ルネサンス的意識
和歌を社会化しようという選者の意図の表れ

2023年11月11日土曜日

夏井いつきのよみ旅!In愛知 前編

落葉時足音軽く腕振らん
青赤黄白黒載せて冬景色
記憶の中の古びた風情冬陽射し
悲しみは記憶の奥へ秋日和
美の変化時間と共に紅葉散る

■夏井いつきのよみ旅!In愛知 前編
季白婚(きはくこん)絆深まる米農家   伊藤幸彦
(季白は秋の季語 白は秋 赤は夏 冬は黒 イメージカラー)

まつ虫もたれぞ思いて焦がれなき   すずめ
(まつ虫が秋の季語)

業界を変えるのはどんな取り組みとか制度改革よりもひとりのスター
ROLAND

老いた手に映える朱の爪秋の服   伊藤ちひろ

格好がどうでもよくなると人生までどうでもよくなる
僕の理論は外見と内面はセット   
内面を変える一番の方法も外見を変えること   
見た目を変えるだけでその人の人生も変わったりします ROLAND

体が動くと心も動く   伊藤ちひろ

想い継ぎ秋空に映ゆ瀬戸の土   水野智路

父の背と子の背と秋麗の工房   夏井いつき

衰退す狂俳(きょうはい)戻れ星祭   紅紫あやめ
(星祭が秋の季語 狂俳とはお題に対して「12音」でつくるもの)

俳句一口メモ
狂俳は「五・七」か「七・五」 12音 季語を入れなくても良い
俳句は「五・七・五」が基本 17音 季語を入れる
その歴史は江戸時代に岐阜で発祥とされる
東海地方を中心に広がる

生き甲斐と言うお題
タレ染み込んだ鰻食う

「狂俳」の句座がなくなっている現状があるので
立ち上げたいなと今、思っています
「根気がいる」夏井いつき先生のアドバイス
ROLANDさんは「石橋をたたかない」わからないけどとりあえず渡ってみる
アクティブな心が新しいことをやるには大事だと思う

鼻舐めるミケブチトラや鷹渡る   菊山志帆
(鷹渡るが秋の季語)

俳句って自分の価値観とか物事の捉え方が出る
私の俳句を「好き」って言ってくれる人がでたら
「私の本質が好き」ってことだと思っています   菊山志帆

俳句は為人がでます とは夏井いつき先生

2023年11月10日金曜日

メガネで一句

隙間風見えないものが見えたなら
小さきもの繋がり合って草の冬
勝ち負けの先にあるもの冬の波
冬遍路血肉となってゆく言葉
(イルローザ)幕を引く懐かしき店冬林檎

■プレバト纏め 2023年11月9日
メガネで一句

特別永世名人締めの一句 梅沢富美男
鼈甲(べっこう)のフレームにある小春かな
(小春が季語 陰暦の10月のこと 雨風が少なくなってきて
 暖かい日が続き始める 小春は映像を持たない季語
 かなと言う切れ字は呼びかけるような詠嘆 
 私はこう思いますが皆さんはどうですか❓)

特待生昇格試験
永世名人 横尾渉 傑作50選
年の瀬の終電網棚に眼鏡
(年末らしいリアリティー 句またがり
 年の瀬が季語 終電は時間 映像が網棚に絞られていく
 視線が眼鏡に寄っていく 俳句は映像
 年の瀬の慌ただしさを表現)

1位 八嶋智人
眼鏡落つ押しくら饅頭空を見る
(調べがたどたどしい 
 内容にあっているのでマイナスになっていない
 押しくら饅頭が季語
 冬の空が広がって諦めがでてくる)

2位 矢柴俊博
荒星を映すメガネや死体役
(季語は荒星 実体験ならではの目の付け所 
 良い素材を捕まえてきた 詠んでいる死体役の観点)
 荒星にメガネ冷えゆく死体役

3位 山﨑ケイ
ねんねこや視力は似るなと同じ顔
添削(季語はねんねこ 「同じ顔」は不要 読み手に想像させる)
視力よき子であれねんねこの吾子よ

4位 飯尾和樹
指ワイパー払うメガネの冬景色
添削(ワイパーはつまらない つまらない事をするのは止めましょう)
で拭くメガネきゅきゅっと冬景色

5位 マヂラブ村上
家の妻の眼鏡も白くあんこう鍋
添削(白ではない曇っている 幸せ感を出すのであれば「ほのぼのと」)
鮟鱇鍋妻の眼鏡も曇りたり
鮟鱇鍋妻の眼鏡もほのぼのと

次回のお題はコロコロ

2023年11月9日木曜日

格助詞「に」を掘り下げる⑦前・後編&名言

木頭柚子餅や味噌へと変化せり
強き風気温にめげず冬の草
健全な懐疑心冬の夕焼
リストラで筋肉質へ冬浅し 
リストラで水ぶくれせり神無月

■夏井いつき俳句チャンネル
▪格助詞「に」を掘り下げるその⑦前編【物事の有無を問題にする対象を表す】

⑯ある物事の有無を問題にする対象を表わす
例 岸にもいふことあるべし

二百十日あの子に婚期あるやなし   朗善
星月夜猫にも好みなどあらん   夏井いつき
ひぐらしやそこ(妻)に愛はあるんか   お客さん
星月夜倉庫に在庫いかほどに   家藤正人

▪格助詞「に」を掘り下げるその⑦後編
【あり場所を示すことで婉曲に人物が動きの主体であることを表す・
似合いのものを添加する/物事を並べ挙げる】

⑰あり場所を示すことによって婉曲に
そこにいる人が動きの主体であることを表わす
例 御前にもいみじゅうボちわらはせたまふ

消防団にお夜食の笑ひ声   朗善
仏前に供へ終え打つ秋の鈴   家藤正人
流星や王座に歌うことたからば   夏井いつき

⑱似合いのものを添加したり物事を並べ挙げたりする意を表す
例 月の村雲花に風

猫に小判豚に真珠のあっぱっぱ   家藤正人
父に酒母に間男月に雲   夏井いつき

やっと終わりました。
もう格助詞シリーズは私はパスしたいと思います。

■名言
バルタザール・グラシアン 曰く
「人には労せずしてすべてうまくいく時期もあれば、
 何をやってもうまくいかないときもある。
 どんな人でも、つねに賢人ではいられない。」

ニーチェ 曰く
「不当に非難することより
 不当に称賛してしまうことの方が、
 良心の呵責を呼び起こす。」

L・M・モンゴメリ 曰く
「人生は広くもなれば狭くもなる。
 それは、人生から何を得るかではなく
 人生に何をそそぎ込むかにかかっている。」

2023年11月8日水曜日

サイエンスZERO 575でカガク!

懸命に刹那(せつな)を生きる帰り花
枯真菰(かれまこも)品の欠片もなき女
枯葎(かれむぐら)重い人生背たろうて
冬の蚊につきまとわれん枕元
冬の空遍路転がす太龍寺

■サイエンスZERO 575でカガク!
宇宙一のミステリアス天体 ブラックホール
国立天文台 水沢VLBI観測所 所長 本間希樹(まれき)

銀河の深窓百億歳の姫   たらちねの蛍

巨大な星の残骸がつぶれてできた天体

星だった記憶狐火うおんとなく   常幸龍BCAD

ほのあかくゆつくり滝はとこしなへ   北野きのこ

Chapter1 見えない天体 ブラックホールをとらえろ

星潰(つぶ)るる音秋声として我へ   山本先生
星だった記憶狐火うおんとなく   常幸龍BCAD
(狐火 冬の季語)
ブラックホールに隠した君の赤い靴   GONZA
(無季句)
ブラックホールに捨てた君の赤い靴   添削

しんしんと時間の捻じれたる寒さ   喜祝音
(寒さ 冬の季語) 

Chapter2 世界初撮影で見えた! ブラックホールの意外な特徴
ブラックホールは地球に対して傾き時計回りの回転
光に近い速さでガスが回っている

夏夜風水沢集う光の輪   正岡滉翔

Chapter3 動画で明らかに!? ブラックホールの新たな真実
ブラックホールが吐き出すエネルギービーム
専門用語では「ジェット」と呼ばれている
M87ブラックホールジェット 速さ時速10憶㎞ 長さ5000光年
中心のブラックホールが自転していることが解った
ブラックホールが自転をしていると
(帯びている)磁気がぐるぐる巻きになる
(その結果)5000光年先までジェットを飛ばす
こんな強力なジェットになるには自転していないとおかしい?

星流る秦先生の恋いづこ   夏井いつき

落蝉の黒目に星の匂ひかな   岸来夢
(蝉は夏の季語)
ブラックホールに匂いはない 感じる方法はジェットしかない
ジェットがいまだに謎なので解明しないと匂いは解らない

ほのあかくゆつくり滝はとこしなへ   北野きのこ
(ガスがブラックホールに落ちていくイメージが滝
 ブラックホールの蕎麦にいる人が
 青いライトを照らすと赤くなってしまう
 ブラックホールに近づいていくと時間がゆっくりになる
 光の波長が伸びて色が変わる
 ブラックホールの表面では時間がほとんど止まって見える
 俳人的には「ほのあかく」だけが謎の言葉だった
 逆に科学者的にはこれですと
 滝は夏の季語)

想像力に驚かされたし我々も天文を解り易く伝える時に
どうやって言葉を置き換えるか気にしています
俳句の斬新な発想力が研究に使えるかもしれない
興味を持ちました と、本間希樹(まれき)

奈落なら底もあろうに星の恋   木ぼこやしき

冬銀河てふ葬列に生まれたか   渡辺桃蓮

星ちぢむ力露みなぎる力   夏井いつき

2023年11月7日火曜日

題「天」

それぞれにあらん逆転冬北斗
ビハーラですか❓ホスピスですか❓木の葉
仏は死キリストは愛冬の月
冬天や昨日のような今日を生く
マニュアルじゃないあなたの気持ち霜夜

■NHK短歌 題「天」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「私に出会おう」

▪三十一音の物語
テーマ「比喩で飛躍しよう」
比喩は詩歌の表現の核心

いきのびてわたしもわたしも布袋草(ほていそう)ふつくりと泥の大河に浮かぶ
川野里子

比喩に楽しむレッスン1
雲 比喩を使って表現!
詩歌は情報を伝えるだけではなく心を伝えたい
呼ばれた仔犬のような雲   川野里子
新宿の喫煙所のような雲   ヒコロヒー
自由にはじけとんだポップコーンのような雲   内藤秀一郎
しぼりたてのハンドソープ   深尾あむ

比喩に楽しむレッスン2
かぼちゃ 比喩を使って表現!
踏まれた太陽みたいなかぼちゃ   川野里子
化粧落とさず寝た次の日みたいな色素沈着   ヒコロヒー
バスケットボール   深尾あむ
この世の全ての憎しみあつめた食材の王   内藤秀一郎

それぞれに目の付け所が違う
同時に、抱えている気分も違う
その気分の違いが比喩になって出てくる   川野里子

差し出せば握手のように水が出てでも水はただ手を濡らすだけ
田村穂隆
水がまるで意志を持って握手をするように
近づいてきたと表現することで
かえって水のサラサラした何の意志もないような性格が強調される
誰もが経験している場面をとって
そこをちょっと驚くような比喩で表現すると
作品になりやすい

神々が錘(おもり)をつけて下ろしくるような木々よこの世の深さを測るかのように
川野芽生(めぐみ)

短歌は三十一音と短いが比喩を使うととても膨らみのある世界
一編の物語のような世界が表現できる

▪入選六首 題「天」
沈黙を「天使が通る」と言う国の人の瞳を抜けてゆく風
丹生(にわ)祥子
なにげなく日傘に入れてくれた君の右肩が太陽でびしょぬれ
ゆき
秋天をめざして進むミドリガメ故郷(ふくさと)はココデハナイドコカ
朝月夜
プロジェクト外れる前の吾のようなせり上がる尾の海老天を食む
まさけ
千本の赤ピン刺した虫みたい天気予報の日本列島
ひねもす
一席 不得手こそがんばる子だと褒められて寒天質のプールを泳ぐ
毛糸

▪ココカラ短歌
芝居場で100%で返しても天馬のようには駆け上がれない
添削 内藤秀一郎
ここが見せ場100%で返しても天馬になれない駆け上がれない

返された模試にため息吹きかけて天を仰ぐよ真夜中0時
添削 深尾あむ
返された手紙にため息

言葉を変えることで物語が変わる
言葉に出会うことイコール

▪ことばのバトン
13回牧水短歌甲子園より
とぎすまそう、恋愛、トラウマ天国では思い出せずに星・光・朝日
永井敦也

ぷるぷるぷるつれない君の河鹿鳴く

ぼくらの隙間を抜けてゆく風

君の目が掃いたところはより緑
高田高等学校

2023年11月6日月曜日

兼題「七五三」

種田山頭火賞 桃井かおり女史受賞
「この旅果てもない旅のつくつくぼうし」

感謝は黒地のお着物で秋草
桃井的言葉つむぎて秋高し
降り月あばれあばれて生きて来た
生き崩し生きていきます秋の草
野の花や無頼孤高を旨として

■NHK俳句 兼題「七五三」
選者 夏井いつき レギュラー 家藤正人 中西アルノ 司会 柴田英嗣
年間テーマ「凡人からの脱出」

兼題「七五三」
ボンの段
着くずれて眠りたるまま七五三   民けい子
着くずれの四つ身ねむたし七五三   手塚悠美子
着くずれて背に眠る七五三   如月海雲
はじゃぎ過ぎ果ての着崩れ七五三   山村宗生
着崩れて不機嫌な顔七五三   新藤美佳子
着崩れて半べそかきて七五三   出口文子
ぐずぐずに着崩れてゆく七五三   未補
着くずれを直す母の手七五三   稲田新吾
子も親も着崩れてをり七五三   田川育枝

アルアル度が高い=共感度が高い
今回、晴れ着はなくなったが着崩れに集まった

半ボンの段
笑顔出た頃に着崩れ七五三   恒藤俊子
着くずれてチャイルドシート七五三   柳絮

(小さな意図を17音の中に入れている
そこをキャッチする
それが作り手と読み手がいる俳句の一番面白いところ)

脱ボンの段
直し直し崩れし崩れしの七五三   乾いと

(季語の力がリアルな七五三の想像を引っ張り出している
 季語の力がどれぐらいの力を持っているのか)

▪検証 季語の力
A.足の指やっとおさめて七五三   芦澤富子
B.七五三ひだりぬげれば右もぬげ   木染湧水

何を履かせているかは書いていない
足袋 下駄 草履
ありありと表情まで見えてくる
「七五三=季語」があるから前提として脳に映像が流れ込む

C.家で転ぶ家出て転ぶ七五三   石井一草
履き物 裾を踏み 袖が邪魔

別の季語になったらどうなるか
家で転ぶ家出て転ぶ敬老日

季語が内包している情報を私たちの脳が理解している
人物事情が全部変わる

家で転ぶ家出て転ぶ受験の日
季語の力が不吉な状況を描く

夏井いつき先生は敬老日では不吉なことを予想されないのでしょうか❓
私は一番に不吉な未来が脳裏をかすめましたが…。

家で転ぶ家出て転ぶ春の雲
春の雲(空の様子)と言う季語では人物が出てこない
なぞなぞボールの解き方
親子を想像することもできる
祖父祖母を連れだしてあげたいという気持ちも想像できる
こういう季語にすると読みの幅が広がる

家で転ぶ家出て転ぶ秋の暮(くれ)
季語の持っている大きな情報
大きい季語 小さい季語もある
季語のボールが大きくなると「転ぶ」が比喩になってくる
人生をも詠める
季語の力を使いこなす
季語の本意をしっかり知って季語を信じる

▪夏井家伝授!家藤正人&中西アルノ
0から俳句
俳句の文体を学ぶ
俳句の文体 口語 文語
俳句の文語は平安時代の文章をベースにして
独特の発展を遂げてきた 書き言葉
文語の俳句
桐一葉日当りながら落ちにけり   高浜虚子(文語)
落ちにけり
文語から口語へ

「けり」が「すでに起こっていたことに気づいた」
「過去 起きたことに気づいた」
ニュアンスを大事にした場合
「現在 落ちている」とは取れない言い方
桐一葉日当りながら落ちました
こういうことでかんぜんに「落ちた」っていう状態

0から俳句POINT
「文語」には格調の良さがある

「口語」についても学んでみましょう
次回は口語の俳句!

▪特選六句発表 兼題「七五三」
名に小(ち)さくルビ足す祝詞(のりと)七五三   池之端モルト
家で転ぶ家出て転ぶ七五三   石井一草
七五三袖は降るもの拭(ぬぐ)ふもの   大黒とむとむ
袂(たもと)から玉砂利二つ七五三   とひの花穂
七五三おみくじ付きの鯉のえさ   天陽(てんよう)ゆう
ああそこで砂利と遊ぶか七五三   小田慶喜

▪柴田の歩み
季語の力を信じよう

2023年11月5日日曜日

田中英和先生Lecture

銀杏散るそれでも続く人生は
経済を語る女子アナそぞろ寒
浅間竜胆日の出とともに咲きませう
芸術の秋はどこから来るのやら
冬支度己を生きた母でした

■田中英和先生のLectureに参加!
紀代先生のご厚意でスタジオが入っている
ビルの駐車場に入れさせて貰えました。(恐縮の極み!)

田中英和先生と紀代先生のSlowFoxtrotで始まりました。
正しいBasicの理解の大切さをまたまた教えて貰えました。
何気ない動作に反応するお二人のダンスに魅了致しました。

今回のLectureは社交ダンスの基本の考え方をお教えくださいました。

覚書
SlowFoxtrotはクローズしない歩くように。
3歩でムーブメントを作る
1歩目はロア 2歩目でSwing ブランコ=Swing 

Quickstep
シャッセの時 1歩目が60㎝なら2歩目は120㎝

カップルの不具合は120%男性の失敗
ボックスステップは減速 Whiskは加速して相手に伝える
Footworkの色気
床への圧力・反発でBodyshapeができる

くるぶし・膝の延長線上に骨盤(股関節)を運ぶ
テクニック 外回りの人が前進 
足を引く時はノーフットライズ 最後にヒールを落とす
進行方向へつま先を向ける ポインティング
いきなり外回りをはじめてはいけない
3歩に1回はロア ポインティング

リバースの角度は135度 1/4+1/8 90度+45度=135度
8回で360度

Tango 
女性も積極的に
5ステップの4歩目はヒールを落とさない 浮かせている
ヒールが着く前に回転する

女性がする時は男性もする
つま先を回してから顔の向きを変える
プログレッシブリンクでは顔の向きを変えるのが先

またまた素晴らしいLectureをありがとうございました。
今回は最後に田中英和先生の写真を撮らせて貰いに行ったら…。
なんと、田中英和先生とツーショットで撮ってくださいました。
なんと撮ってくださったのは歩美先生。
嬉し過ぎるお心遣いに胸が熱くなりました。
この画像は家宝とさせてもらいます。
田中英和先生&紀代先生&歩美先生に感謝を込めて…。



2023年11月4日土曜日

あの本、読みましたか❓吉本ばなな

まん丸の色づくコキア陽射し受く
曼殊沙華愛か❓正義か❓バンクシー
ヨーヨー・マ音の視覚化秋の夜
音楽を色と形へ紅葉の賀
点は音、線は時間を秋の筆

■あの本、読みました?より
一大旋風を巻き起こした吉本ばなな
当時からの担当編集者が語る「ヒットの裏側」

日常で感じる「何気ない幸せ」
生きることは淋しいでも美しい
私がこの世で一番好きな場所は
台所だと思う
台所が好きという少女と
風変わりな青年の家族との
同居生活を描いた作品
1989年森田芳光監督により映画化

もうたくさんだと思いながら
見上げる月明かりの、
心にしみ入るような美しさを、
私は知っている。
「キッチン」の一文

等身大の幸せ、日常の中の幸せを表現
丁寧に親切に書いていた
バブルの時代だったから余計に響いたのかもしれない

デビュー当時の吉本ばななとは?
石原正康氏(幻冬舎の編集最高責任者)の言葉
1988年の4月か5月にはじめて会った
バイト中も執筆していた
よっぽど書くことが好きだったのだろう
当時このヒットをどう感じていた?
予想以上のヒットに驚き 
アップアップな感じもあったが覚悟もあった
リアルな女性の心情を描き大ヒット

1989年年間ベストセラー
① TUGUMI(つぐみ)
② キッチン
③ 栗良平作品集(2) 栗良平
④ 白河夜船
⑤ うたかた/サンクチュアリ
⑥ 時計の砂(上・下) シドニィ・シェルダン
⑦ 悲しい予感
⑧ ノルウェイの森(上・下) 村上春樹
⑨ ラッフルズホテル 村上龍
⑩ 孔子 井上靖

当時と今の吉本作品で変化は?
骨太になった
経験も積み(不倫と南米 南米を舞台に狂おしい恋と家族の絆を描く)
取材にイグアスの滝を見た時言った言葉は
この大きさを書く日本語がないと言っていた
と言いつつ書き上げた

ジャングルを這う無数の虫のように、
様々な方向にのび、
踊るように地面を這い、
やがて、それらのすべての滝が、
あるひとつの巨大な裂け目に
注ぎ込まれていく。
「不倫と南米」の一文

吉本作品で今も変わらないところは?
吉本ばななの執筆業

異世界と通じているという
吹上町を舞台に
双子のミミとこだちの物語を
描いたホラー作品
吹上奇譚(ふきあげきたん) 第一話 ミミとこだち 
2017年10月 初版発売

生と死の世界が近い関係
キャラクターにも類似点も感じている

TUGUMI
少女から大人へ
西伊豆を舞台に
病弱で、口の悪い生意気な美少女、
ツグミを中心とした
少女たちの出会いと別れを描く。
輝かしい季節を描く切なく透明な物語
1990年牧瀬里穂主演で映画化

「吹上奇譚」に出てくる霊媒師の美鈴=「TUGUMI」のつぐみと
「吹上奇譚」に出てくる墓守くん=「キッチン」の田辺雄一
が、通じていると分析。
書きたい人物は共通している
吉本ばななの好きな人物像だと思う

「吹上奇譚」では美鈴の出産が描かれている
これは本人の経験が作品にもたらして影響?
子育ての経験でも作品の幅を広げたのでは?

石原正康氏がおススメする吉本作品は?
「吹上奇譚」四作品を読んで欲しい
デビュー作「キッチン」も魅力があります
「悲しい予感」がお薦めです

次週はいよいよ、吉本ばなな女史の登場です。
今回の鈴木保奈美女史の深い読みにはぞくっとしました。
鈴木保奈美女史とのトークが楽しみでなりません。

2023年11月3日金曜日

夜更かしで一句

流れ星幸せ知らぬ子の明日
秋さびし弱気を愛す弱き人
いわし雲吾の生き方はスフマート
一齣(ひとくさり)温め酒を待ちきれず
フジバカマに集うサツマニシキかな

■プレバト纏め 2023年11月2日
夜更かしで一句

特別永世名人の締めの一句
梅沢富美男
夜半の秋即席めんを鍋のまま
添削(述べ方が散文そのまま。)
長き夜や鍋のまま喰う即席

俳句史に残る句集作り
村上健志
夜食喰うもうない王朝を覚え
(「夜食喰う」は意図的なミスリード。)

永世名人への道
岩永徹也
おはようの電話待つロンドンの夜長
添削(目の付け所、素材は良い。感覚は衰えていない。)
朝を待つ電話ロンドン夜長

1位 丸山桂里奈
吾子眠る秋のドラマをミュートで観る
添削(吾子が眠る静けさ ミュートで見る静けさ
   季語「秋夜」が包んでくれる)
吾子眠るミュートでドラマ観る秋
夜泣き果てミュートでドラマ観る秋

2位 鈴木砂羽
秋寒し家路につく朝千鳥足
添削(「朝寒」という季語もある。と、村上健志。
   「へ」という助詞で家路へ向かっていることを表現。)
秋寒き朝よ家路へ千鳥足

3位 高橋恭平
秋のあさゲームしすぎて目が開かない
添削(眠と眼にすると面白いかもしれない。)
秋の朝眠しゲームしすぎた眼

4位 水田信二
暗がりで骨の秋刀魚が睨んでる
添削(散文的とは詩的な情景に乏しいこと。「で」が良くない。
   擬人化は止め映像化する。)
暗がり骨の秋刀魚の目が白い
夜のシンク骨の秋刀魚の目が白い
夜の皿や骨の秋刀魚の目が白い

次回のお題は「メガネ」

2023年11月2日木曜日

名言&陸奥宗光の言葉&「露」

秋濤(しゅうとう)や生きて感じてまた生きて
杜鵑(ほととぎす)小さき世界を持つヴィオレ
秋の声賢き犬と緩き犬(応挙と芦雪)
秋の日や唐子(からこ)とはしゃぐ子犬かな
月の暈(かさ)子孫残さんろくでなし

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「露」

昔から句の題材として親しまれてきた季語です
季語のジャンルとしては「天文」に分類される季語です
「露」が降りるなんて言う言い方もしますが
その名の通り「露」は空気中に漂っていた水蒸気が
地表の温度が低くなる為に地表にある物の表面に凝結していく
空気中にあるものが凝集していくという現象になります
非常に様々な傍題を持つ季語でもありまして
時間要素を含んだ「夕露」「夜露」「朝露」などと
言う言い方によっても味わいが変わってくる季語です

■先人たちの底力 知恵泉 
陸奥宗光 不平等条約を改正せよ!

陸奥宗光が囚人服に記した言葉
人生の行路は
幾重にも連なる
山のように険しい
旅の宿で過ごす一夜
恨めしい気持ちには
限りがない

深い後悔の念がうかがえます
道は自力で拓け

「陸奥宗光が妻に宛てた手紙」より
 毎朝8時ごろより
 夜は12時まで
 つとめて書物などを読み
 1日もおこたりたることなし

■名言
ヘレン・ケラー 曰く
「安全などというものは、
 実は存在しません。
 長い目で見ると危険を避けるということは、
 真正面から危険に直面するよりも
 安全とは言えないのです。」

モンゴルの諺 曰く
「山が高いからといって、戻ってはならない。
 行けば超えられる。
 仕事が多いからといって、ひるんではいけない。
 行えば必ず終わるのだ。」

W.ミュラー 曰く
「何を切り捨てるべきかを知ること、
 それを知恵という。
 何かを手放す必要がある時に、
 それを手放せるだけの明晰さと強さを持つこと、
 それを勇気という。」

2023年11月1日水曜日

ロッチと子羊58 バレエダンサー編(2)

秋の風襖を垂れる墨の痕
青き空子犬戯る菊の香
秋の雲飢えた人生さようなら
そぞろ寒美感を持たぬ記憶力
墨絵めく霧立ち込めた秋の山

■ロッチと子羊58 バレエダンサー編(2)
▪堀内將平(Kバレエプリンシパルダンサー)
バレエは自分のアイデンティティー
悩み 
自分が本当に好きなこと やりたいことが分からない
目標がなくても踊っていたのか❓
バレエが好きか考えもしなかった

好きなこと
わからないままの方が良い

全ては変化し続けます
だから私たちは自分を問うことしかできないのです
ヘラクレイトスの哲学要約

万物は流転する
同じ川に二度足を入れることはできない
変化に対し自分はどうするか考える
これこそがヘラクレイトスの言う「自分を問う」
変化に応じ自分に問い続ける

▪髙橋芳鳳(もとたか) プロダンサーで大学生
悩み
品格の学び方が分からない

バレエ界発展のためビジネス知識を学びたい
品格とはその人の内面から醸し出されるもの?

品格とは学ぶものではなく育つものなのです
ミル哲学の応用

品格を別の言葉に置き換えると❓
品格=優れた人間性
人間性とは自分で育てるもの
ミルは人間性を樹木のようなものと例えた
人間性とはどんな形にもなり得るもの
人間性を育てるには自由であること
他者への配慮も必要
品格とは自由と配慮を併せ持つこと

品格を持った人を見て遊びがないと思う可能性
余裕は大事になってくる

完璧さや品格に個性が加わると唯一無二のものになる