2023年10月6日金曜日

馬場あき子の歌&母の背中で一句

精悍な顔つき花鶏(あとり)青き空
彼岸花鴇(とき)と共演畔(あぜ)を生く
赤蕎麦とコスモスの花咲き乱る
秋の月スフマートめく人生よ
穴惑ひ自分らしさの追求か

■こころの時代ライブラリー 
歌詠みとして今を生きる 馬場あき子

抱きしめるといふよりしがみつくやうな溺れないやう雨音を蹴る

きつとわたしこの人を好きになるいつか伸ばされた手の産毛がひかる

足し算の家引き算の家ありてひとり残りし家しぐれする

習ほほゑみトランプ怒る顔映るテレビの前の無力の夕餉

いとし子は自爆せしてふ師の君の思ひはげしきまなこをぞ見る
昭和18年 15歳

十年の我生ひ立ちよそのままに全ては焼けて塵ものこらず
昭和20年 17歳

一尺の雷魚を裂きて冷冷と夜のくりやに水流すなり
昭和24年 21歳

淋しさの果にふれなむ一筋の希ひまたも「松風」をみる
昭和22年 19歳

大方の憎しみの中に我は愛す師を尊ばぬ子の溌溂(はつらつ)さ

文化国家と言ふ夢ありきはるかなる焦土の上にありし青空
血の失せし木の頬骨よ撫ずるとも女の肉はかえらざるべし

飛び去りし鳥には遠き草の笛生きながらわれを殺ししは誰

都市はもう混沌として人間はみそらーめんのやうなかなしみ

ゆるきやらの群るるをみれば暗き世の百鬼夜行のあはれ滲める

さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり

早笛に吹かれて今し歩む床かうかうたりわれに偽りはなし

■プレバト纏め 2023年10月5日

金秋戦予選 母の背中で一句

1位 春風亭昇吉
乳房切除す母よ芒(すすき)の先に絮(わた)
(背中とは書かれていないが語順で確り光景が見える
 技術として上手い お母さんの心情が後半に乗っかっている
 枯れていく芒に自分を投影しているのだろうか❓
 種子を飛ばすための絮 種子を飛ばすことで命を繋ぐ
 その光景に自分の子どもたちを思っているのだろうか❓
 などを映像で伝えている
 三段切れで上五字余り難易度の高い構成
 この俳句の内容にとってはこの形が一番ピッタリ
 よく勇気を持って挑んだ これは手放しで褒めますといつき先生)

2位 森口瑤子
黒ぶどう甘やか母の背にほくろ
(黒ぶどうが季語 甘やかで切れる句またがり 色っぽい
 甘やかの位置が良い 葡萄は漢字 ひらがなであまやかが良い)
葡萄あまやか母の背にほくろ

3位 犬山紙子
発熱の母月光の車椅子
(句またがり)

4位 森迫永依
薄月夜母の電卓スタッカート
(スタッカートは音楽用語 短く音を切って楽器を演奏する手法
 動く季語ではないか❓薄月夜とは雲がかかった薄い月明かりの夜
 薄ではスタッカートが損をしている 星にすると明るさが出てくる
 星流るにすると動きが出る 作品も締まってくる)
月夜母の電卓スタッカート
星流る母の電卓スタッカート

5位 中田喜子
母の背は硬く娘を待つ秋夜
添削(良い所は硬く)
母の背は硬し吾を待つ秋夜の背

6位 馬場典子
秋湿り添い寝の母の生返事
添削(季語秋湿りとは秋の長雨で空気が湿ること
   蚊帳という空間湿度もあるような空間での生返事が聞こえてくる)
秋の蚊帳母の背中の生返事

7位 千賀健永
手羽を煮る小さき背中や秋彼岸
添削(季語時雨とは降ったり止んだりする雨)
手羽を煮る母よ厨(くりや)のちちろ虫
手羽を煮る母よ時雨の過(よ)ぎる窓

8位 立川志らく
門(かど)付けの母に背負われ蚯蚓鳴く
添削(門付けとは家の前で芸を行い祝儀をもらう芸人をさす
   蚯蚓鳴くとは秋の夜の静けさを表現した季語
   生きるために昼間に芸をする母)
門(かど)付けの母よ真昼を鳴く蚯蚓

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