2023年10月8日日曜日

俳句甲子園2023

孤独・闇・痛み救わん星月夜
秋の宵黄と紫を重ね観る
紫(し)は透過、黄は反射、秋の夕焼
秋光や紫と黄は補色なり
秋の色日々移ろいて心をや

■自分を見つめて、17音。~俳句甲子園2023~
トマト赤し部活を辞めていく背中   谷口春奈

▪愛媛県立松山東高等学校
谷口春奈
朝焼 ハンモック 金亀子(こがねむし) トマト
金亀子歩く心の影を避け

星月夜 小鳥 コスモス 道

コスモスや救急艇に星の名を   山本恭児

島に顔なし微睡(まどろみ)のハンモック   山本恭児

星月夜潮風染むる父の椅子   

▪茨木県立下館第一高等学校
顧問 中原壱朋先生 松本凜 
手鏡なくてもビューラー星月夜   安田心優

火葬場の雲なき空に立つ小鳥   横塚ひばり

不登校やめられそうなほど朝焼   武井佳奈

群馬県立高崎高校 槙原拓巳
立教池袋高校 栗本拓実
山口県立徳山高校 増野月麦

ローファーに光を零すハンモック
思春期の真つただ中のトマトかな
進路希望調査の余白小鳥来る
君までの距離月夜までの距離
過熱トマト破裂恋って難しい
コスモスや体操少女風を慕ふ
またひとつ捨てて十八夏の道

名古屋高等学校 幸村遥都(はると)
寿司桶に生姜の残る良夜かな   
少年は傷を隠さぬゐのこ草
(季語以外の)12音はなんてことがない
僕のやつって季語で勝負しているんで
そういう句が自然と大くなる
だから味気がない
そっちの方がおもしろいと思っている
高校生活で俳句がなかったらなにも楽しくなかった
競技的なところに疲れて心が疲弊して離れた
それは去年の俳句甲子園が終わったあたりに思った

あはうみの鯉大きくて白日傘   幸村遥都

勝てる句、勝てない句っていうのがやっぱりある
僕の句は説明しづらいけど写生の句、描写の句が多い
それで負けて俳句甲子園ではあんまりウケていない
勝てる句が作れない
自分は納得できるのにチームにあんまり貢献できない

2023年3月下旬
中高生俳句バトルinあらかわ

お彼岸や河馬(かば)一頭に池濁り   幸村遥都
花過やみそかに実る河馬の恋   開成高校

複雑、チームは勝ったけど、僕は納得いっていないというか
もっといい句作れた、ほんとうに悔しかった、あのときは
完全に心はそこで折れた

俺先輩いないとやだよぉ
俺のためにも続けてよぉ と毎日後輩からメールが届いた。

感謝でしかない 休んでいるのも僕のわがままだし
正直一人だけ意見が違うのも
部のズレを生んでいるのは僕だし
それでも戻ってきてくれとか
一緒にやりたいって言ってくれたのはすごくうれしい
自分らしい句で挑むことに決めた

海へゆく帽子に貰ふトマトかな
住職に書道を習ふ稲の花

頭の中に稲の花がパッと出てきて降ってきた感じ
いちばんナチュラルに作れた感じ言葉が浮いてきた
3年の集大成というかいいところが出た

先客は十歳の犬ハンモック
爪切りの在処を問はれハンモック

自分の空間を破られる感覚なんかも
おもしろいなと思っていて 
その中で「爪切り」がいいと思っていて
薬とか緊急なものを聞かれたら
ハンモックから飛び上がるけど
「爪切り」という「自分で探せよ」って
ぐらいのものを持ってきたから
この句は成立している

単に意見を言うだけじゃなくて
(相手の)俳句を良くしたい おもしろくしたい
単に投げつけるだけなら簡単

俳句やっている高校生ってまずおもしろい
どんな俳句作るんだろう 自分とどれくらい違うのか
考える切り口 そういうものも見に行くのすごく楽しみ
俳句甲子園のありとあらゆるいいところを
全部楽しんでやるって感じ

愛媛県立松山東高等学校 谷口春奈さんは
最後の大会でこれまでにない挑戦をしようとしていた


ハンモックが揺れる静けさが怖い   谷口春奈
俳句では感情表現は避けられがち
あえて「怖い」という言葉を入れ感情をさらけ出した
例えば自分がしゃべったあとに拍手が起こるんじゃなくて
ちょっと間があるときとか 
自分が一瞬止まったときの静けさがちょっと怖い
俳句の中では型破りな方だと思うけど
最後の大会で挑戦的な意味も込めて
自分の中では受け入れている

愛媛県立松山東高等学校 顧問の言葉
勝ち負けはあるけれどもお互いの句をより良く高めていく
そういう中で成長していくわけ
そんなに涙が出るのは一生懸命やってきたということ
ありがとうな

不登校やめられそうなほど朝焼   武井佳奈(下館第一高校)
朝焼けや祠がこんなにも近所   (立教池袋高校A)

幸村遥都
楽しめたら勝ちがついてくる 意識せず勝ちとか 楽しむ

大皿の縁の触れ合ふトマトかな   海城高校B
小澤實先生から名古屋高等学校への言葉
すごい才能だね 演劇とかやってるの 小沢實先生
ただ俳句を鑑賞したいだけ 幸村遥都
いいねぇ 小沢實先生
すごく楽しい 幸村遥都
楽しさが出ているのがいい 
相手の俳句をよく読んでいて本当に感心した 
「大皿」の句はおそらく相手より深く読めていた 小沢實先生
「触れ合う」の所は自信があって 幸村遥都
あの発見は素晴らしいと思ってファンになりました 小沢實先生

名古屋高校 決勝リーグ敗退

開成高等学校 優勝
名古屋高校 団体3位

納得するものを出して自信を持って戦うことの大切さ
その2つそれがいちばん大きかった
これからもずっとやっていくと思うけど
その一歩にふさわしい最後の俳句甲子園
楽しめました とにかく 楽しみ尽くしました

今回の「自分を見つめて、17音。~俳句甲子園2023~」
最高に良かった!
幸村遥都君!あなたの俳句に痺れました。

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