2023年10月31日火曜日

22人の言葉のバトン

星月夜二本の指の祝福を
颯爽と巴里でミロンガ月更くる
海と丘ブイヤベースの出会いかな
秋の潮思いそのままぶつけたり
秋の夜隣に眠る人の呼気

■NHK短歌
NHK短歌スペシャル 22人の言葉のバトン
出演 岡野大嗣 岡本真帆 司会 尾崎世界観

つなぐときバトンはしっぽだったから   岡野大嗣
(好きなように繋いで貰えたらなという気持ちを込めて詠んだ)
つかみしこねて仰ぐ青空   岩下尚史
神様の盃にぬる燗注ぎ足して   金井真紀
会議室との通信を切る   桜井あらん
ひび割れたメガネで明日をのぞいてる   藤井渚央
春夏秋冬咲け山桜   池野弘葉
あの歌も羽根もいっしょに埋めました   梅﨑実奈
(尾崎世界観 推し)
「希望」と名付けた木の根元へ   小坂井大輔
ブランコをこいで足から陽を受ける   上本彩加
苦しくても今ぼくらは始まる   高山邦男
区役所で出生届け型破り   FUNI
(尾崎世界観 推し)
過去退けたるは春筍か(かこのけたるははるたけのこか)   井口吾郎
竹の秋触れては破れ土筆水母   ドゥーグル・リンズィー
午後のおやつはいちご大福   矢沢吉美
もちもちで包んだ幸せほおばって   小宮山碧生
盤駒がある生まれたる家   先崎学
(岡野大嗣 推し)
上の空グラスホッパーならばただ   短歌AI&浦川通
触覚で穴を開ければ雷雨   涌田悠
闇のなかただとんでみるとんでみる   初瀬勇輔
(岡本真帆 推し)
鼓動のリズム「此処にいるよ」と   真山りか
目を閉じて戦に揺れる無窮の野   ガリーナ・シェフツォバ
誰のバトンも落とさず走れ   久永草太

https://www.nhk.jp/p/ts/JM12GR5RLP/blog/bl/pa263M9vxa/bp/pbPr7zpNjW/

短歌はクリームパン

打ち水に一瞬架かる虹だった   岡本真帆
朝目が覚めてもそこにいるサボ   岩手県立盛岡第一高校 野場希海
(唇を歪めて笑う君連れて雨に溶けたいお年頃なの)
ぷるぷるぷるつれない君の河鹿鳴く   尚学館高等部 花岡杏吏
(月曜日恋も収集してほしいとうの前から燃えてるけれど)
ぼくらの隙間を抜けてゆく風   高田高等学校 神田実咲
(忘却は逃げだとおもう眼の奥に刺さったままの花火の欠片)
筑波大学付属高等学校 へ

https://www.nhk.jp/p/ts/JM12GR5RLP/blog/bl/pa263M9vxa/bp/pBJ4DLPj6E/

2023年10月30日月曜日

発想力を鍛えるドリル!

ひとまわり大きくなった蔦の家
蔦茂る西日を受けて煌めかん
秋の声見ない聞かない話さない
君の持つ凶暴と穏和貴船菊
頬抑えガレット・デ・ロワ秋の空

■NHK俳句 スペシャル 
夏井いつきの発想力を鍛えるドリル!
夏井いつき 家藤正人 アンジェリーナ1/3 ペンた丸 司会 柴田英嗣

凡人発想から抜け出すための方法を体験するスペシャル版。
頭を柔らかくする俳句大喜利や発想を広げる「凡人脱出マップ」に挑戦!
ジャージ姿の夏井いつきが体を張って伝授。

ドリル①俳句大喜利
胡瓜もみ蛙(かわず)の匂ひしてあはれ   川端茅舎

▢ペンた丸 洗剤 胡瓜もみとは夏の季語
 柴田 せんこう ソースの 実家の
 家藤 金気の ラム肉 星死ぬ ギプスに
 アンジェリーナ1/3 元カノ 砂風
あわれには「庶民の哀しみ」というニュアンスもある
胡瓜もみと蛙は季重なり 
蛙の匂ひは比喩にしてあり季重なりも成立させている
青蛙の生臭さと胡瓜もみの匂いが茅舎の中でヒットした句
いきものの哀れが心の中をよぎる

ドリル②凡人脱出マップ
凡人脱出のための地図を体を使って作る
第1キーワードから第2キーワードを作りさらに第3キーワードを考える

秋刀魚⇨七輪⇨人物⇨感情・速さ
       感情
       別の道具
       出す・しまう
       無い
       昭和
       買う
       落語
       数
       酒
       大根おろし
       塩
       場所
       尻尾
       煙⇨時間・涙・扇ぐ
       網
       火⇨火事・脂
       焼く
       香味
       一物

ドリル③凡人脱出マップ 実践編
季語「氷」
第2キーワードを思考
ここで選んだワードを選択すると季重なり
今回はつららとスケートを選ぶと季重なり

2023年10月29日日曜日

マウス購入&音楽と言葉のマリアージュ

秋深しあなたの色に抱かれて
行く秋やレオナルド(・ダビンチ)めく未完成
Paul Kleeの月と太陽見つめ合い
肌寒し抱かれし浜サンセット
甘さ弾けるクイーンルージュ秋日和

■マウス購入 BUFFALO 2023年10月25日
電源を入れるスイッチが小さすぎて扱いが大変。
電池の入れ替えが大変でした。
電池ボックス開けられなくて往生しました。
こんな遣い勝手の悪い商品があることに吃驚!

■クラシックTV 音楽と言葉のマリアージュ
音楽と文学のコラボレート
メフィスト・ワルツ第1番 リスト作曲
レーナウ×リスト 物語のワンシーンを直接的に描写
メフェストフェレスが酒場で
バイオリンを弾きながら踊るシーンがある
ピアノの右手はバイオリンの調弦の音です。

バラード第1番 ショパン作曲
アダム・ミツキェヴィチ×ショパン
詩から得たインスピレーションを音楽に昇華
ショパンの祖国ポーランドは当時ロシアに支配されていた
バラード第1番は独立の機運が高まる1830年代に作曲された

子供の情景 シューマン作曲
1、 知らない国々
2、 珍しいお話
3、 鬼ごっこ
4、 おねだり
5、 満足
6、 大事件
7、 トロイメライ
8、 炉ばたで
9、 木馬の騎士
10、 むきになって
11、 おどかし
12、 こどもは眠る
13、 詩人のお話
短編小説のような味わいで内なる世界を表現した
シューマン自身が原作があるかのように音楽を作った
文学的アプローチで文学に近づこうとしている

19世紀 象徴主義 音楽では印象派と言った
意味を断定的に伝えるというよりその奥にある
空気感とか漂う香りとかを伝えたいと思うようになった
言葉を自分で鑑賞して頭の中でイメージを広げ
その状態に次の言葉が入ってきて混ざっていって
どういう風になっていくのかということを楽しんでいた

音楽から詩人たちの富を取り戻す
フランス語の響きやリズムを重視
音楽のように聴こえる「詩」を追求しました
文法を無視することもあった

そんな象徴主義を代表するマラルメの「牧神の午後」に
大きな刺激を受けたのがドビュッシー

あのニンフたちを永久にとどめたい
透き通るように軽やかな肌の色が、舞っていく
生い茂る眠気に沈む大気の中を
わたしは夢を愛したのだろうか
訳 博多かおる

詩をまとった音楽でした

音楽みたいな文学ができたっていうことでいうと
小説も例えば読点をどこに打つかで どんどん外していくと
読む側が息継ぎするタイミングがないんで
ペースがどんどん上がっていったり
打っていくと、ここで、リズムが、刻まれていくので
割と、書く側が、コントロールしていたりできる

音楽と宗教の関係では初めは聖書とか宗教音楽があって
さまざまな小説や詩をはさんで象徴主義などの影響を受けた
ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞した
音楽ではなく文学賞として…。

文学と音楽というものは同じとも言える可能性がある

ボブ・ディラン – ブロウイン・イン・ザ・ウィンド(邦題:風に吹かれて)
どれだけ道を歩めば
一人前だと認められるのか?

どれだけ海を越えれば
白鳩は砂浜で休むことができるのか?

どれだけの砲弾が飛び交ったなら
武器は永遠に禁止されるのか?

答えは、友よ、風の中だ
答えは風の中を舞っている

山はどれだけ経てば
海に洗い流されてしまうのか?

人々はどれだけ経てば
自由が許されるのか?

人は何度顔を背け、
見て見ぬふりをしていられるのか?

答えは、友よ、風の中だ
答えは風の中を舞っている

そして、何度天を仰げば、
青空が見られるのだろうか?

いくつの耳を持ったなら、
人々の悲しみが聴きとれるのだろうか?

どれだけ多くの人が死んだなら、
あまりに酷い犠牲を払った事に、気付くのだろうか?

答えは、友よ、風の中だ
答えは風の中を舞っている

https://lyriclist.mrshll129.com/bobdylan-blowin-in-the-wind/




2023年10月28日土曜日

ジャー炊飯器&俵万智女史の短歌&名言

秋深しゴヤも降参ベラスケス
秋高し計算通りベラスケス
ベラスケス奇跡の構図星月夜
(エミール・ガレ)秋麗森の営み淡々と
そぞろ寒(森田)童子の吐息聞こえくる
あと何度見られるだろう十三夜

■ジャー炊飯器 購入 IRIS OHYAMA 2023年10月19日
最初、予約時間を間違えてしまったのですが…。
それ以降は、予約で炊けるようになりました。
取説とにらめっこで奮闘したのが嘘みたいに
簡単に予約できるようになりました。
しかし、玄米はちょっと炊き上がりが固いです。
今までの水分量より増やした方が良いみたい。
内窯の厚さには驚きました。
薩摩芋は美味しく蒸せそうです。
と言いつつ、昨日水を入れ忘れました。しょんぼり…。




■俵万智女史の短歌
台風が誰にも等しく迫る夜めくり忘れた暦に気づく

台風はひゅうびゅうと来てマンションを小さな笛のごとく鳴らせり

冷凍庫のハーゲンダッツ思いきり食べねばならぬ停電の夜

駐車場の車つまんで転がして信号機折る台風の指

食パンとビールを買いにつっかけを履いて並んで日曜の朝

ふと思いついた感じのシャンパンの気泡のような口づけが好き

おさなごがビールの缶を抱きしめてぷはっと笑う それは私か

ああ島の飲み会あるある12分遅刻の我が一番乗りだ

「生まれたよ」と父親の声はずみつつ五月の朝に弟が来た

初恋の人をまだ見ぬ弟と映画観に行く きれいでいたい

軽井沢の空気ひんやり深まりてもうそこにある弟の結婚

ブーケトスおどけてキャッチする我の中で何かが泣きそうになる

何度でも見るドラマありあの人が元気でいるか確かめたくて

キムタクよ返事をしろと妹の焚く護摩の炎(ひ)の冬空高く
笹公人(キムタク と 護摩焚く)

■名言
デモクリトス 曰く
「快と不快こそ、
 有益なものと無益なものを分ける境界線である。」

ソクラテス 曰く
「生きることでなく、よく生きることをこそ、
 何よりも大切にしなければならない 。」

サルバドール・ダリ 曰く
「完璧を恐れるな - 絶対に到達できない。」

2023年10月27日金曜日

パンメーカー購入&「猪」&名言

藤袴アサギマダラを魅惑せり
星月夜上下左右の無き宇宙
秋の声やる気の失せる宇宙かな
重力は道徳さえも十三夜
(三好長慶)秋の風理世安民(りせいあんみん)斜め上

■ブランパンメーカー購入 TWINBIRD 2023年5月31日
パンケースの設置する時と外す時に大変な思いをしています。
金具に全く遊びがないのが原因かと…。
それと運ぶための取っ手がないため持ち運びに困難を極めています。
焼き上がりは素晴らしいのですが、いつも偏って焼けています。
1.5斤長方形だからなのでしょうか❓
ちょっと残念な商品でした。























■ 夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「猪」

誰もがよく知っている「猪」ですが
現在でも日本各地におります
農家にとってはかなり恐ろしい天敵でもあります
この「猪」秋の季語になっていまして
実際その頃に撃った「猪」を食べても
美味しいというそんな季語です
猟師の間では 「猪」の大きさを表す単位として
その「猪」の皮一頭で靴が何足分できるか
という数え方をしたという記録も残っています
「猪」の大きさを「何足もの」として
カウントというか評価していたようです

■名言
フランク・ロイド・ライト 曰く
「長生きすればするほど、人生は美しくなる。
 あなたが愚かにも美しさを無視するなら、
 あなたはすぐにそれがない自分を見つけるでしょう。
 あなたの人生は貧しくなるでしょう。
 しかし、あなたが美に投資するなら、
 それはあなたの人生ずっとあなたに残ります。 」

ナポレオン・ボナパルト 曰く
「私は何事も
 最悪の事態を想定することから始める。」

チェーホフ 曰く
「すでに生きてしまった一つの人生はいわゆる下書きで、
 もう一つのほうが清書だったらねえ!
 その時こそ、われわれはめいめい、まず何よりも
 自分自身を繰り返すまいと努力するだろうと思うんですがね。」

2023年10月26日木曜日

格助詞「に」を掘り下げるその⑥&名言

秋の暮被害者意識持ち生きん
身に入むや常に思考はネガティブへ
星月夜何が何でも不幸へと
都合良き思い込みあり秋の色
秋黴雨(ついり)思い通りに生くる人

■夏井いつき俳句チャンネル
格助詞「に」を掘り下げるその⑥
【程度のはなはだしさ/動詞の意を強める・動作が行われる手段/方法・状態の認定】
⑬程度の甚だしい事を表しその動詞の意を強める
例 待ちに待ったこの日

打ちに打つオオタニビール打ち鳴らす   家藤正人
飲みに飲む今日待望のビアホール   朗善
鳴るに鳴る風鈴の舌ちぎれそう   夏井いつき

⑭動作が行われる手段 方法を表わす
例 この皮衣は火に焼かむ  
⑨変化する結果を表わす
⑪尊敬すべき主語を表わすのに用いる
⑫条件付きの許諾の意
⑩動作状態の行われ方あり方を表わす

座布団に寝る夏休み宿題まだ   朗善②
この恋は水(海)に流さん(隔たれ)日雷   夏井いつき
初恋は海にへだたれアマリリス   夏井いつき
水にほふらん油虫まだ動く   家藤正人

⑮状態を認定するのに用いる
例 花ぞむかしの香ににほひける
長崎忌潮は故郷の香に匂ひ   家藤正人
秋の蚊を打つや誰ぞの血にまみれ   朗善
この寺の竹ぞ昔の香に笑う   夏井いつき

閉めは⑫条件付きの許諾の意 やるにはやった!
しかし
日本国語大辞典に⑮の後が記載されていました
第7回へと続くそうです。
私はすっかり飽きてしまっています。(笑)

■名言
福田恒在 曰く
「生きる喜びとは
 主役を演じることを意味しない。」

松下幸之助 曰く
「いくつになってもわからないのが
 人生というものである。
 わからない人生を、
 わかったようなつもりで歩むほど
 危険なことはない。」

青木奈緒 曰く
「日々いろいろなことに追われていれば
 心が急くのは当たり前です。
 それでも心急くままに忙しさを振り回すのと
 物事を手早くするのは違います。」

2023年10月25日水曜日

ロッチと子羊57 バレエダンサー編(1)

秋鰹魔法の幻惑触覚値
秋に逝く重さ表現したボテロ
秋の鳥声届けども名は知らず
哲学とポエムを語る夕月日(Paul Klee)
そぞろ寒不幸を招く人のいる

■ロッチと子羊57 バレエダンサー編(1)
▪K-BALLET TOKYO プリンシパル 浅川紫織

プリンシパルとはバレエ団の中で最高位のダンサー
主役を踊ることが多い

お悩み
厳しい指導をすることに葛藤を抱えている

個人の成長や集団の秩序のために
縦横の分業が必要です
洵子(じゅんし)思想の要約 国を安定させる思想

性悪説 人は生まれながらにして悪である
と、説いた
荀子は国家安定のためには役割と分業が大切と説きました
国の安定には秩序も必要

縦の分業が大切
バレエ団に例えると
芸術監督 副芸術監督 リハーサル・ディレクター バレエ・ミストレス/マスター ダンサー
縦の分業は上下関係も役割分担もない

荀子は人間を木に例えた
曲がった木は必ずため木にあて蒸し柔(やわら)げて
はじめてまっすぐになる
人を指導することは時間も苦労もともなう

葛藤はつきもの
本気になってぶつかったと思えば救われる

指導することは苦労をともなう
厳しくすることに自信が持てますと、浅川紫織さん

▪鈴木里佳子 バレエダンサー
元々はバイオリニストを目指していたが13歳でバレエに転向
それまでロスアンゼルスにいたが17歳で日本へ帰国

お悩み
本物のプロになるにはどうしたらいい?
女性ダンサーは競争が激しい中で
目に留まらないと使ってもらえない
優しい言葉をかけてあげたい
なぐさめたい時もあるけどしないようにしている
準団員に与えられた時間は3年
結果が出せなければ団員にはなれない

海のほか何も見えないときに陸地がないと
考えるのは決して優れた探検家ではない
ベーコン

ベーコンの正体はシェークスピアだとまで言われています

ベーコン哲学
可能性を信じて前へ進むことができるのが優れた探検家

解らなくても前へ進むことができるのがプロ
未開の地へ迷い込んだら自分で地図を作らなくてはならない

哲学プラクティス
自分を信じて進む人だけが失敗もできる
Big picture(全体像)は見えてきた前だけ見て突き進みたいと、鈴木里佳子さん

2023年10月24日火曜日

兼題「虫」&名言

秋晴れや墨の雫を花とする
秋の声承継の念、自責をや
フェミニスト怒涛の如く論破せり
秋の日や生々流転描き留めん
故郷を思い続けて秋時雨

■NHK俳句 兼題「虫」
選者 高野ムツオ ゲスト 伊集院光 レギュラー 中西アルノ
相子智恵 板倉ケンタ 司会 柴田英嗣
年間テーマ「語ろう俳句」

「虫」とは「虫全体が鳴いている」ということを基本にする
蛇も蛙も虫に入る
「虫」という字が目がふたつしっぽを伸ばしている形
「蝮」です

①一声を躓く虫よ聞いてやる   相子智恵
②虫螻(むしけら)や百舌鳥(もず)の嘴(はし)から見たこの世   伊集院光
「が」とし一行で続ける手もあったと高野ムツオ先生
③月出でよ月よ出でよと虫すだく   高野ムツオ
④虫が虫食ひうつくしき夜(よ)は来(きた)り   板倉ケンタ
⑤足早に自転車押して虫の闇   中西アルノ

私感
伊集院光さま!凄い!
プレバトを拝見していて伊集院光様の俳句の大ファンでした。
半端ない実力の裏にはきちんとした学びがあったのですね。
伊集院光(著)「名著の話 芭蕉も僕も盛っている」
感動いたしました。
相子智恵先生の分析力、読解力に圧倒されました。
このような句会もあったのですね。
みんなが上昇できるように思いました。
人の弱点ばかりを指摘し傷つけ合う句会は苦手です。

特選三席発表 兼題「虫」
三席 虫の秋地球高速回転中   堀田福朗
二席 虫の音や厩舎に睡(ねむ)る競走馬   鵜澤(うざわ)正信
一席 全島の停電中の虫時雨   曽根新五郎

特選
虫すだく備荒貯穀(びこうちょこく)の蔵の跡   遠藤一治
(備荒貯穀とは凶年に備えて穀物を貯蔵しておくこと。)
虫時雨ここは除染土眠る地区   中田昇
陶潜(とうせん)の琴に絃(いと)なし虫しぐれ   梧桐
(陶潜は中国の詩人 陶淵明(えんめい)の本名。
いつも絃のない琴を携え、酔えば心の中で演奏を楽しんでいたという。)
病棟を結ぶ通路や虫時雨   佐藤豊子
糠床はわが家の匂ひ虫の闇   梅田康恵
三軒のためのバス停虫しぐれ   須坂大寒

転記:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/p7klOJXVeK/

■名言

トリイ・ヘイデン 曰く
「そうよ、大変よ
 それを叶えるのは物凄く大変だわ。
 だけど『大変』というのはね、
 『不可能』とは違うのよ。」

ジイド 曰く
「幸福になる秘訣は
 快楽を得ようとひたすらに努力することではなく
 努力そのもののうちに
 快楽を見出すことである。」

アルバート・アインシュタイン 曰く
「人生を通してユーモラスな態度を保ちなさい...。
 なぜなら、人間の問題はユーモアなしに耐えられるものはほとんどないから。
 彼らは笑いを通して、彼らの馬鹿げたことさえ失う。 」

2023年10月23日月曜日

テーマ「逆転」

秋の声長く続いた性加害
いじめっ子いじめられっ子秋さびし
沈黙の存在感や十三夜
扇風機ストーブ同居秋の居間
耽美主義の鬼才ビアズリー秋思

■NHK短歌 テーマ「逆転」
選者 岡野大嗣 ゲスト 為末大 司会 尾崎世界観

忘れものがあなたを思い出すときにあなたは忘れものを思い出す
岡野大嗣

忘れものを思い出す主体は自分自身だが
思い出す主体が逆転している
忘れものの方が私のことを思い出して
それをきっかけとして自分も思い出している
「忘れられもの」ですね

▪岡野大嗣の❝グッときた九首❞
入選九首テーマ「逆転」
一席 網棚に荷物を上げるあの夏の外してしまったスリーポイント
麻倉遥
おはようと言って眠りにつく父を横目に捉えた高三の夏
西園寺梨瑚
バーガーにかじりつくときバーガーの包みにかじりつかれてしまう
竹林ミ來(みらい)
 山﨑の﨑がたつさきだったので弁護士として初の意義あり
中里正樹
三席 かつたためにまけてきたこときづかないだからあなたはこれからまける
●○○〇○○〇○○〇○○〇○○〇○○〇○○〇○○〇○○〇○○〇●
文野やよい
網戸越し他の誰かへ向けられた歓声を聞くバイトの帰り
桃園ユキチ
お母さんを産みたい。困ってない眉で笑うところを見てみたいから
瀬生ゆう子
本名は何だったっけ一度だけ不良を頭突きで泣かせたメガネ
高原すいか
二席 河川敷でひとり空きカン蹴りながらわたし勝ったと思ったんだよ
へそごま

▪表現者の原点
練習してフォームを
身につけなきゃいけないスポーツは
全部嫌だった
走るのは自由にしていいし大きくやっていいし
だからそういうのだ好きだった

心と体の関係っておもしろい

僕らはそのままの心を表現するというより
結果を出したい試合に対して
ぴったり合う心の状態に持っていく
自分の心を羊飼いの羊みたいに寄せていって
あるべきところに心を持っていきたい
自分の心に直接手を突っ込むよりも体のほうでやる

「うあまくなる」っていうのにすごく興味があった
「うまくなる」は最後の方は
「なんかいいよね」の世界

最後は「解放」自分が表現できると解放感がある
最初は窮屈っぱいんだけど
実はすごく解放されていくような

▪それぞれの「逆転」それぞれの「表現」
追い込まれ守る自分にきがついて捨ててしまえばいまここからだ
為末大
選手がピンチの状況になるときに
体にフォーカスする心じゃなくて
2つが重なっておもしろいなというところから考えていった

観念の歌と思ったが体が最後に座っている
一気に景色が開かれた
岡野大嗣

ここからだわたしがわたしを飛びこえて背中に風の火が熾(おこ)るとき
岡野大嗣

▪ことばのバトン
ぷるぷるぷるつれない君の河鹿鳴く
尚学館高等部 花岡杏吏

ぼくらの隙間を抜けてゆく風
高田高等学校 文芸部 神田実咲
(忘却は逃げだとおもう眼の奥に刺さったままの花火の欠片)

筑波大学付属高等学校

2023年10月22日日曜日

杏はただいまフランス修業中&「鎌祝」

秋の朝子供番組耳痛し
素手で蜘蛛殺める女秋の音
(バンクシー)星月夜花束投げん戦場で
降(くだ)り月裏の裏には裏があり
縦は伝統横は現代紡ぐ秋

■杏はただいまフランス修業中です より
タンゴの師匠 ジャン・クロード氏の言葉
「タンゴを踊るとき 
 ひとりでいるみたいに歩いて欲しいのです
 できるだけ自然な感じで普通に歩いて」

タンゴのポイントは歩くように踊る

「後ろへ歩きながら踊るのはタンゴだけです」

「いつも一緒なのです 常に一緒」

「聞くのです 常に相手の体に聞くのです」

互いに聞くのがタンゴのポイント

「あなたは僕を受け入れるイメージで
 僕が到着すると両腕で僕を抱く感じで
 翼みたいな感じでね
 軽くです 自分から向かって行きます
 ゆっくりだけど自分から
 離れるときはゆっくり
 一緒に作り上げたものの中から
 出ていく感じでに」

空気を壊さないようにゆっくり離れるのがポイント

「もしかしたら一緒に作り上げていくより
 離れる方が難しいかもしれません」

「タンゴな残り香の中に居続けなければいけない
 とよく言われてます」

「多くの人は技術とはああだこうだと
 考えがちだけど違うのです
 何か理解したいときは
 根っこを理解しないといけない
 結局は実践しながら
 理解しないといけないのです」

「コンピューターやロボットではなく
 生身の人間と関わる中では
 探しているものが見つからなかったとしても
 幸せを感じることができます
 驚くだけでもいいし  理解しなくてもいい
 こういうことが幸せへの第一歩ではないでしょうか」

アルゼンチンのタンゴをパリで…❓❓と思いましたが
パリでもタンゴがありました

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「鎌祝(かまいわい)」

日本は農業の国でもありまして
農にまつわる季語は沢山沢山あります
「鎌祝」もその一つです
稲刈りを終えた後の行事でその稲刈りに使った鎌に
感謝しその鎌をお祝いする行事だそうです
日本全国で様々な呼び方やその「鎌祝」のやり方も
それぞれの風土があるようです
中国地方では「鎌祝」近畿地方では「鎌納め」
長野地方では「鎌あげ」熊本地方では「鎌払い」
等と呼ぶそうです
鎌を清めて床の間に飾ったりするということです

2023年10月21日土曜日

兼題「秋茄子」

風吹きて波の立つ秋の夕焼け
断腸の思いを持ちて秋の法廷
障子越しやわき陽射しと秋草と
引き立て役の強き眼力渡り鳥
実る秋山よ畑よ歓喜あぐ

■ギュッと四国!
夏井いつきの俳句道場 兼題「秋茄子」

茄子・茄子の花は秋の季語

家族食ふ吾箸進まぬ秋茄子を   たこやき
(語順が勿体ない 中七から始まって詠むと良い。)
秋茄子がひとつ先ずは味噌汁に   如月弥生
(秋茄子の初物ぐらいにしてとすると調べが整う。)
秋茄子や日々指折りの実りかな   佐々木和美
(「や」と「かな」詠嘆が重なっている。
感動の焦点がぶれる。「や」を消して整えると良い。)
縦じまの歓喜も染みる秋茄子かな   ささポッチャ
(タイガース優勝の句ですね。おめでとう。)
秋茄子を揚げて胡麻味噌たらす夕   海月のあさ
(秀作)
秋茄子は嫁に喰わすな言い伝え   しばたまねくん
(人のふんどし借りすぎ)
秋茄子を嫁の代わりに俺食らう   ひさくん
(これは日記?作文?)
秋茄子を食む嫁あらず吾(われ)食らふ   舛田順一
(佳作 言い伝えを下敷きに悲哀が入っている。)
父の焼く秋茄子背には格子柄   ゆるるん
(解りにくくしている。ヒントは次)
寛解(かんかい)の夫や秋茄子には焼け目   井上さち
(寛解とは全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかであること。
秀作)
朝陽浴び秋茄子光る散歩道   ひろこ
(浴びいらない。浴びを除くと光の不要。解決方法は次)
秋茄子の尻よ朝日に伸ぶる畝(うね)   巴里乃嬬(つま)
(尻よでカットされることで浴びるや光はいらなくなってくる。
秀作)

秀作への道
秋茄子を嫁に食わせて末永く   双海の夕日
旨そうに秋茄子食べる嫁四十   服部与四郎

諺 秋茄子は嫁に食わすな 
嫁に食わせるのが惜しいほどおいしい
体を冷やさぬように嫁への気遣い

服部与四郎の句が佳作
入選ポイント 少しでも具体的に

ギュッと特選
秋茄子や姉颯爽と出戻りぬ   洒落神戸

選句のポイント
諺を下敷きにしたテクニック

私感 これは素晴らしい!
私のお気に入りに入れさせていただきます。

■名言
バートランド・ラッセル 曰く
「人間、関心を寄せるものが多ければ多いほど、
 ますます幸福になるチャンスが多くなる。」

バールーフ・デ・スピノザ 曰く
「平和とは戦争が無い状態ではない。
 平和とは、美徳であり、心の状態であり、
 慈愛、自信、正義を求める
 心持ちである。」

エルヴィス・プレスリー 曰く
「どこへ行きたいのかわからなければ、
 目的地に着いても気づかない。」

2023年10月20日金曜日

渋谷スクランブル交差点で一句

虚(うつ)ろひを虚(くつ)ろぐ人とともに秋
銀木犀の甘やかな香東福寺
乱れ草正すことこそ価値となる
秋の声ダイナミックと乱暴と
雨の如文字を流さん秋の夜

■プレバト纏め 2023年10月19日
渋谷スクランブル交差点で一句

特別永世名人の締めの一句
梅沢富美男
甘栗の香を行く渋谷交差点
添削(行くは不必要) 
渋谷はや甘栗の香交差点
渋谷かの甘栗の香交差点

俳句史に残る句集作り
千原ジュニア
秋雨や渋谷の路地に鼠と吾
(秋雨とはしとしと降り続く長雨
 鼠と吾を並列 同じ場所・同じ位置 
 自分も鼠のような存在ではないか?
 書いてないが作者の思いが流れ込んでくる)

永世名人への道
中田喜子
青年の歩幅につられ青空へ
(視点の誘導が良い 一気に広がる爽快感
 助詞「へ」の使い方も上手い 
 書いていないけど交差点のイメージが浮かんでくる)

1位 水野真紀
オーデション帰り渋谷の秋そぞろ
(基礎がしっかりしている印象 特待生へ)

2位 山下真司
秋の夜ビルの谷間に光る傘
添削(着地が良い 「に」が良くない 語順が悪い)
ビルの谷間秋夜を光る傘

3位 武田真一
三十年余(みそとせよ)勤めし渋谷野分晴(のわきばれ)
添削(野分晴とは秋の季語 台風一過の晴天 映像が薄くなっている
   季語はストレートに天高しとか秋高しを持ってきた方が良い
   退職の思いを書いた句としては普通)
三十余年(三十三年)勤めし渋谷秋高し

4位 青山フォール勝ち(ネルソンズ)
天高しビジョンに写る同世代
添削(気持ちが伝わってくる 写るは不要
   季語の選び方 目の付け所が将来性がある)
天高し街頭ビジョンに同世代

次回のお題は「夜更かし」

2023年10月19日木曜日

ロッチと子羊56&名言

分別は相対へそして対立(無季句)
秋日和無心に動く体かな
安心と自由を求め星月夜
善の為仏の為の秋の声
身に入(し)むやあって分別無分別

■ロッチと子羊56
▪アイドル編 橘花怜
悩み 都会に劣等感を抱き不安になる

都会への劣等感は
アイデンティティーの誤解から生まれます
アイデンティティーはニセモノの場所ではなく
本物の場所にしか作れません
レルフ思想からの応用

アイデンティティーとは自分らしくいられると捉える
それはアイデンティティーの誤解だ   レルフ

場所は抽象的なものや概念ではなく
生きられる世界の直接に経験された現象である

本物の場所とは
人が生きていく中で様々な経験を培ったところ
実際に生活してきた場所こそが本物の場所
経験を培って自分らしさを作る

ニセモノの場所とは抽象的なものや概念

没場所性

静的な物質要素
その場所の何に愛着を感じるのか
人間の活動
その場所で何をしているか
意味
その場所での活動にどんな意味を求めているのか

▪アイドル編 K-maru(けまる)
悩み 売れるための方向性がわからない

自己を売り出すためには
個性の違いだけを求めるのではなく
同じ構造に目を向けましょう
レヴィ=ストロース思想からの応用

オルフェウスとエウリュデイケ
亡くなった妻を連れ戻そうと
オルフェウスは冥界へ向かう
「戻るまでは決して後ろを振り向くな」
その指令を背きオルフェウスは愛する妻を失う

イザナギとイザナミ
亡くなった妻を取り戻そうと
イザナギは黄泉の国へ向かう
「戻るには時間が必要 それまでは絶対に見ないで」
その警告を破り変わり果てた姿を見た
イザナギは妻と別れてしまう

二つの神話何か似ていない❓
世の中の有名なものは同じ構造が見えてくる

スターウォーズ ジョージ・ルーカスは
神話を基に着想したと言われる

夢に向かって走り続けてください

■名言

ルネ・デスカルト  曰く
「良い心を持っているだけでは不十分だ。
 大事なのは上手に使うことです。」

エドマンド・バーク 曰く
「読書して考えないのは、
 食事をして消化しないのと同じである。」

ラ・ロシュフコー 曰く
「雄弁とは、適切なことを言って、後は黙ることだ。」

2023年10月18日水曜日

レオナルド・ダビンチ ザ・プロファイラー

大元(おおもと)を見失うとは秋あわれ
望みなく生まれて死せり秋の月
秋の風意識の動く迷いかな
秋の夜相対的な言い回し
秋旱相反するや二元性

■ザ・プロファイラー 
「万能の天才」は永遠の努力家 レオナルド・ダビンチ

この人物はいかなることも成し遂げることはできない

昔から現在に至るまで私はどんな作品も完成させたことはなかった
レオナルドの手紙

私は陛下のために誰も見たことがないほどの
強力な兵器を作ることができます
パトロンへの自薦状

教えてくれ本当のことを言えば私はしなかったんだ
レオナルドの手稿

1452年 レオナルド・ダビンチ ビンチ村にて誕生

家族や友人から離れ田舎へ山や谷に出かけよう
一人になれば真の自分でいられる
レオナルドの手稿

1465年(13歳頃)フィレンツェの工房に入る
アンドレア・デル・ヴェロッキオも工房だった
ヴィーナスの誕生に参加 
ボッティチェリもここで働いていた

画家は創造主である   絵画論

もし作品の中に何か間違いを発見した場合は
その作品を公開することで自分のしみったれた根性をも
公開することなきよう間違いを訂正した方がいい
レオナルドの手稿

「岩窟の聖母」は教会側から受け取り拒否
書き直し・金銭未払などを25年にわたる裁判で争った

フィレンツェからミラノ公国へ
「最後の晩餐」

私は陛下のために誰も見たことがないほどの
強力な兵器を作ることができます
敵の強固な城を攻める方法もお見せできます
自己推薦状

平和な時には彫刻や絵画をこなし立派な騎馬像も作れます
自己推薦状

ミラノで名声を上げたのは1490年(37歳)結婚式の舞台の演出
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の壁画制作の依頼
これこそが「最後の晩餐」

人物を描いた絵画は描かれた人物の動作を通じて
その人の考えを見るものが容易に
理解できるようにしなければならない
レオナルドの手稿

フランス王ルイ12世が壁を外して
フランスに持ち帰ろうとした

1502年(50歳)フィレンツェに戻る

その渦の観点力が3枚の扉(弁)の側面部に
衝撃を与えそれらを閉じるのだ
レオナルドの手稿

画家になりたいものはまず科学を学べ
科学から得られたことで(絵画制作を)実践をせよ
絵画論

人間と世界は似ている
レオナルドの手稿
アナロギアという考え方

ヴェッキオ宮殿の大広間の壁に絵を描いてくれという依頼が舞い込む
その反対側の壁の発注を受けた画家はミケランジェロ
28歳年下の若手芸術家

二人は対照的
レオナルドは正式な教育を受けず苦労続き
ミケランジェロは若くして名声を得ていた
寡作だったレオナルド 多作だったミケランジェロ
レオナルドが得意としたのは絵画 ミケランジェは彫刻
相容れない二人はライバル心を燃やしていた

絵画というものは浮き彫り(彫刻)のようならいいものとなる
そして浮き彫り(彫刻)は絵画のようになるほど悪くなるのだ
ミケランジェが知人に宛てた手紙

彫刻は科学ではない 製作者に肉体的苦痛と
汗をもたらす点で機械的作業と言える
彫刻は眺めるものに絵画がもたらす感動をなんらもたらさない
レオナルドの手稿

フィレンツェ共和国を讃える絵
レオナルドは「アンギアーリの戦い」(1504年~)
姿勢や身ぶりを上手に描くため腱や骨や筋肉の
構造を知る解剖が画家には必要だ
絵画論

ミケランジェは「カッシーナの戦い」(1504年~)

人の裸体を優美さのない材木のように描いている
まるで人間ではなくクルミの入った袋
筋肉が束になった大根のように見えてしまう
レオナルドの手稿

二人共フィレンツェを去ってしまう
決着はつかなかった

幾何学⇨建築
幾何学⇨人体⇨解剖
人間の両腕は身長と等しい

「モナ・リザ」(1503年~)未完成だと言われている
爪に色が塗られていない
15年以上描いたがそれでも完成できなかった

フランス国王フランソワ1世
芸術面では遅れていたフランス

レオナルドほど博識な人物がこの世にいるとは思えない
その知識は彫刻、絵画、建築にとどまらず
また真に偉大な哲学者である
同時代の芸術家の証言

レオナルドは宮廷画家として研究や創作に没頭する
「聖アンナと聖母子」「洗礼者ヨハネ」「モナ・リザ」の
3枚を持ち込んでいた

自然界は光と影で構成され輪郭線などないという理論のもと
「スフマート」という超絶技巧で描いた
「煙のような」という意味
輪郭線を描かず陰影で表現する描き方

X線解析するとモナ・リザの下絵が消えた
16層もの絵の具が重なって描かれていることが解った

理想的な人間
同性愛者だったレオナルドは若く美しい男性を弟子にとり
彼らをモデルに描いていた
「洗礼者ヨハネ」も弟子がモデルと言われている
レオナルドにとっての理想的な人間とは中性的な存在
そのため、モナ・リザから女性らしい官能性を排除している
モナ・リザはレオナルド
が追い求めた理想的の人だったかもしれない

モナ・リザは母性を描いたのだという説もある
1493年7月カテリーナ(幼い時に引き離された母)来たる
2年後母が亡くなる

池上英洋 東京造形大学 教授
穏やかな表情には母の面影があるのかもしれない
彼の最終的なイメージが入っている作品
実際のモデルがいる作品とは考えられない
普遍的・理想的な美を持った人間像を
示しているに違いない
母性を含めた暖かみのある女性像が彼にとっては理想に近かった

1519年5月2日 レオナルド・ダビンチ死去(67歳)
生涯で遺した作品はわずか十数点

本当のことを言えば私は成功しなかったんだ
レオナルドの手稿

完成と同時に崩壊が始まる   田中道子

生涯をかけて人間の愛を描こうとしていた   岡田准一

2023年10月17日火曜日

題「車窓」

物書きのら抜き言葉や秋湿り
秋黴雨品なき人のファルセット
秋の暮目指しているのはそこじゃない
悲哀ひたりて笑いはじけん夜寒
怒り燃やして赦し溶かさん秋思

■NHK短歌 題「車窓」
選者 吉川宏志 ゲスト 小川哲 司会 尾崎世界観

年間テーマ「実感的 表現力アップ」
今月のテーマ「歌わなくても伝わるもの―省略―」

トランプの切らるる迅(はや)さ鉄橋のすきますきまに冬の海輝(て)る
吉川宏志

▪入選九首 テーマ「車窓」
U形に砕石山(さいせきやま)は掘られゆく通学三年車窓に深く
大野太加し(たかし)
電車から我の勤めし職場見ゆあの窓を開け閉めした日々よ
白浜尚子
三席 右側に三川(さんせん)合流地点見え土産の袋を下ろし始める
小倉るい
一席 きみ以外の世界が窓に溶けていた夕焼け迫るゴンドラの中
仲原佳
隙間なく人を詰め込み走り去る広い車窓に雲ひとつ浮く
糸賀きな
窓の外見慣れた駅が流れてくかつて最寄りと呼んでいた駅が
佐藤橙(だいだい)
車窓より不意に見えたる先頭車大きく曲がり山国(やまぐに)に入る
小坪広
二席 私 またすこし記憶の薄れたる父と車窓より見る帰りゆく雁(かり)
鈴木正芳
百メートル埋め立てられて百メートル夕日が迫る臨海道路
平良凡(ぼん)

▪入選あと一歩
ドア窓に色紙のごとき手形あり朝の苦闘の刻印として
七玻ゑむ(ななはえむ)
添削
ドア窓に色紙のごとき手形あり朝(あした)の群れの刻印として

▪表現の最前線
衆視のなかはばかりもなく嗚咽(おえつ)して君の妻が不幸をみせびらかせり
中城(なかじょう)ふみ子
(葬式の場面が見えてくる。毒だけではなく憐憫(れんびん)がある。
こうあるべきという姿を冷ややかに見ている。)

▪小川哲の表現の最前線
君のクイズ 小川哲著
「問題―」
僕は呼吸を整える。
理不尽な正解をされたあと、
次の問題に平常心で挑めるかどうかが
重要だと経験的に知っているからだ。
頭に血がのぼって、雑な回答を繰り返して
自滅した事なら何度もある。
同じことはもうしない。
「現在は淡路島の保存―」
パァンという音がする。
本庄絆(ほんじょうきずな)のランプが光っている。

途中で自分の対戦相手が回答ボタンを押してしまった
問題は、
現在は淡路島の「保存館」で天然記念物として展示されている
阪神・淡路大震災で出現した活断層を何というでしょう?
答えは、野島断層
人生に関わってくる題材は省力されてもわかる
出題する作り手と回答する受け手の間には共犯関係がある

短歌でも作り手と受け手の関係
想い・景色を伝えたい
クイズの作り手と受け手の関係(作問者と回答者)
問題を解いて欲しい

情報量の少ない表現が伝わった時
より深い感情が喚起される

読めるわけがないのに読めてしまう時
感動がある

歌は言葉としては多分伝わってないけれど
伝わったことにはなる

地図と拳 小川哲著
高木の眠りを妨げたのは、慌ただしい靴音だった。
気がつくと、高木は枕元の小銃を手にとって
部屋の中央に立っていた。
しばらくの間、
自分がどこにいるのか思い出せずにいた。
(日露戦争の戦場を、高木という人物像を
 端的に短い言葉で省略して伝えたかった。
 この場面では高木が自意識のないうちに
 着替えも済ませて銃も持って部屋の中央に
 立っているというシーンを描きたかった。
 すぐに臨戦態勢に入らなきゃいけないくらい
 苛酷な状況を伝えたかった。)

歴史を描くことは省略

▪ことばのバトン
朝目が覚めてもそこにいるサボ
盛岡第一高校 野場希海

ぷるぷるぷるつれない君の河鹿鳴く
尚学館高等部 花岡杏吏
(月曜日恋も収集して欲しいとうも前から燃えてるけれど
 花岡杏吏)

2023年10月16日月曜日

兼題「秋晴」&名言

秋遍路サポーター巻き杖ついて
忙し気に朝焼けを背に秋小鳥
重力の変える常識秋の夢
秋高し皮膚が作らんドーパミン
秋の日や事件は現場で作られる

■NHK俳句 兼題「秋晴」
選者 村上鞆彦 ゲスト 虻(あぶ)川美穂子 司会 柴田英嗣
年間テーマは「人生を詠う」
今週のテーマは「出産」

女性にしか詠めない妊娠や出産の名句
星涼しいのと宿るをまだ告げず   日下野由季(ひがのゆき)

産声のまはりの無言花吹雪   鶴岡加苗

▪特選句六句
逃げ惑う群衆の役秋晴るる   山口良子
秋晴れや草に拡(ひろ)げる絵具箱   堀内照美
秋晴れや水かげろふに少女揺れ   松尾睦月(むつき)
秋晴れや目鼻描きたるゆで玉子   阪本道子
秋晴れや免許返納して歩く   久保田由紀子
小さき水脈(みお)大きなる水脈秋の晴   吉澤幸江
(「水脈」とは船が進むとき船の後ろに白い跡ができます。
航跡とも言います。そのことを「水脈」という。)

▪特選三席発表 兼題「秋晴」
三席 耳すこし遠きふたりの秋日和   神野志季三江(こうのしきみえ)
二席 向こうから百歳の母秋日和   室川羊子
一席 佐久鯉のくちびる厚し秋の晴   藤雪陽(ふじゆきひ)

▪夏井家伝来!家藤正人&中西アルノ
0から俳句

歴史的仮名遣いの名句を現代仮名遣いに変換!
わが死後のとかくの噂いわし雲   山口草堂

ひっかけ問題でこれは変換できません

ゐのこづちくつつき一つづき緑   岡田日郎

いのこずちくつっき一続き緑

▪今日マチ子、今日の一句
あーあつい一緒に走った冬の朝   虻(あぶ)川美穂子
添削
あーあつい一緒に走った落葉道

落葉踏みつつ母にだけ話すこと   村上鞆彦

▪柴田の歩み
初心者もえんりょせず

■名言
ラルフ・ワルド・エマーソン 曰く
「世間の考えに従って生活することはたやすい。
 自分の事だけ考えて孤独の生活を送るのも簡単だ。
 しかし悟った人は群集の真っ只中にあって、
 自立の醍醐味を心ゆくまで味わう。」

ポール・クリー 曰く
「芸術は休日のようなものであるべきだ。
 男に物事の異なる見方と見方を変える機会を与えるものだ。 」

アルバート・アインシュタイン 曰く
「真の小説のアイデアは、若さの中にのみ浮かび上がる。
 後で経験豊富になり、有名になり、愚か者になる。」

2023年10月15日日曜日

Paul Klee&「雁瘡(がんがさ)」&名言

(歌川国芳)秋の日や止まらぬ動き飛び出さん
秋高し時空を超えて今を生く
目を閉じて安心決定(あんしんけつじょう)秋澄む
大拙(だいせつ)の言う無の世界とは仏掌薯(つくねいも)
秋の風色不異空(しきふいくう)で立ち止まり
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10168510885

■ Paul Klee https://www.youtube.com/watch?v=yBcwunifHb0
建築的絵画×詩的絵画
視覚化した音に時間の流れを追加
絵画による壮大な交響曲

クレーという人は要するに
絵は既にあるものを描くものではない
写実的に顔を写すとかカメラを描くとか
そういうものではない
たとえそれをもっと記号化して
デフォルメし描いても
それは既にあるものを描いただけです
違います無から生まれてくるものが真の創造なのです
物が無から生まれてくるにあたっては
ある種の法則性があるのです
無から有が生まれてくる時には
方向だったり次元だったり
質量だったりエネルギーだったり
そういう法則性があります
それに則って無から有を作るというのが本当の創造なのです
更に言うならば
創造というのはその過程であって結果ではありません
もちろん出来上がった作品は素晴らしいですが
この作品における創造とは何か
クリエーションとは何かと言ったら
点を描く過程こそに創造があるのです
現代アートの根幹こそが Paul Kleeの想いです
何もないところから光などが出てきて
音楽と一緒で鳴り終わった時にはもう終わりなのです
と、 Paul Kleeは繰り返し仰っています
読んでも解りませんがただ気持ちだけは伝わってきます
と、山田五郎氏は力説するのでありました

ポール・クリー(1879年12月18日、スイス、ミュンヘンブクシー
1940年6月29日、スイス、ムラルト、1939年。

「芸術は私たちが見ているものを再現するものではなく、むしろ私たちを見せるものだ。」

1879年にスイスで生まれたポール・クリーは20世紀の芸術の重要な人物の一人です。
しばらく絵画と音楽の間を振ったが、そのアーティストは最終的に前者を選んだが、
絵画的な練習を通して音楽の影響は否定できない。
初期のキリスト教とビザンチンの芸術からインスピレーションを得たKleeはまた、
彼の旅からインスピレーションを受け、
特に北アフリカの太陽を「色で乗り越える」と感じさせた。
"バウハウス・ワイマールの教師であり、
象徴的なジャーナルDer Blaue Reiterの創始者の一人であるクリーは、
色彩科学に関する記述を通して抽象芸術を理論化する重要な役割を果たしました。
彼の作品は、神秘的な抽象化と科学的厳格の分岐点にある現代美術のビジョンの証です。
(*)サミュエル・ル・ペールページ経由のテキスト より

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 雁瘡(がんがさ)

この雁瘡とは体のあちこちに非常に痒い
発疹ができる症状のことを言います
雁(かり)が日本にやってくる頃に始まり
雁が帰っていく頃に治る
そのことから「雁瘡」という名前がついています
実はこの「雁瘡」という名前は
かなり古くから日本に存在しており
江戸時代の資料にも名前を見かけることができます
江戸の人はいろいろ番付比べをするのが好きで
病や薬を番付にしたものの中にも
この「雁瘡」というのを
人間の名前のようにして記載しています
その資料によると「雁瘡脛右衛門足病」
という名前で記載されています

■名言
ロマン・ロラン 曰く
「真の偉大な人物なら
 喜びの中でも苦難の中でも
 楽しむことができる。」

ソクラテス 曰く
「彼は何も知らないのに、
 何かを知っていると信じており、
 これに反して私は、何も知りもしないが、
 知っているとも思っていない。」

ニノン・ド・ランクロ 曰く
「目を奪うほど美しいものが、いつも善いものとは限らない。
 しかし、善いものはいつでも美しい。」

2023年10月14日土曜日

棟方志功 板の生命を活かす

大あくび意識遠のく秋日和
人生は退屈しのぎ降り月
鳶の声遥かかなたへ秋の空
自信から確信へ色変えぬ松
伸びやかに糸杉と星秋の夜

■日曜美術館 棟方志功 板の生命を活かす
自分は板の持っている生命
木の持っている生命と合体して
自分の思いを十分に発揮し
作るより頂く方が多いので
「板画」という字を使う

女の方を真っ裸にしたものこそ
ぼくの世界だと思うんですよ
それを本当に突き詰めると
そこに信心が出てくる 宗教が出てきます
初めから拝むだけで宗教じゃない
お経の文字だけが宗教じゃない
あるものを真っ裸にしてしまって
それをどう食い入っていくかが
信心が出てくるし 宗教が出てくるんです

眼病の棟方志功
眼を剥きて
猛然と彫(え)るよ森羅万象   谷崎潤一郎

谷崎先生が僕の仕事ぶりを
森羅万象をえぐるように
棟方の板画を生み出すと
歌にしているが
猛然と彫れよっていうんですね
それを谷崎先生が私に与えてくれた
本当に外から見て
そう思えるかもしれません
私は自分自体では勢い込んではいないのですが
ひとりでに体が上がってくるっていうか
湧いてくるっていうか あふれてくるというか
そういうようにひとりでになってきますね   棟方志功

私の右目は板画の刃物を持つと見えてきます
米粒のような字でも線でも点でも刀を持つと彫れます
神さまがそのように育ててくれているので有難い極みです
「わだばゴッホになる」より

驚イテモ、オドロキ限(キ)レナイ、
歓コンデモ、ヨロコビ限(キ)レナイ、
哭(カナ)シンデモ、カナシミ限(キ)レナイ。
ソレガ板画デス。
ソウイウ無限際ノモノニ、
亦、遊バセテ貰ッテヰル、
ワタクシハ、倖セモノデス。   棟方志功

2023年10月13日金曜日

金秋戦2023 兼題「月」

碇星悔いなく生きん生ききらん
無から有、有とは無から秋の月
秋の潮無限大と永遠と
空澄むや意識の目覚め予測済み
水澄むや主観客観意識かな

■プレバト纏め 2023年10月12日
金秋戦2023 兼題「月」

1位 森迫永依
朝月のアザーン砂漠の空港へ
(「アザーン」とはイスラム教における礼拝時間の呼びかけ
 モロッコでの海外の光景を詠んだ「海外詠」
 実体験らしい詠み口 光景として齟齬は全くない)

2位 藤本敏史
月白のワーディー渡るヌーの群
(季語「月白」は月が出る前のやや明るい空のこと)

3位 森口瑤子
こりりとすっぱそうな三日月のかど
(上滑りしなかったのは「かど」に焦点を絞ったから)

4位 村上健志
良夜かな香典返しの茶漬け食ふ
(「香典返しなる茶漬け」とすると
茶漬けを見ているように誤読されるので「食ふ」は必要)

5位 春風亭昇吉
名月は東に父島観測所
添削(父島気象観測所の固有名詞が効いている
   まん丸な月が出てくる方に軸足がある
   「名月」は愛でる心「満月」は月の映像 それぞれに意味がある)
月は東に父島観測所

6位 横尾渉
良夜のノーヒッター肘の手術痕
(「ノーヒッター」は相手チームに一本もヒットを打たれなかった試合のこと
 情報の詰め込み過ぎ
 季語「良夜」が脇役になっている)

7位 千原ジュニア
あんな家二度と帰るか睨む月
添削(前半が強い、後半「月に吼ゆ」とすることで
   睨むという行為がストレートに表現できる)
あんな家二度と帰るか月皓皓(こうこう)
あんな家二度と帰るか月明し
あんな家二度と帰るか月睨む
あんな家二度と帰るか月に吼ゆ

8位 梅沢富美男
桂月やキャラメルの香の満ち満ちて
添削(「桂月」とは「月」の別名と陰暦8月の別名でもある
   中七下五で桂月の説明をしている)
キャラメルの香桂月の甘からん

9位 犬山紙子
別れるはずだったのに月が綺麗
添削(夏目漱石が"I love you "を「月が綺麗ですね」と訳した逸話
   後半の月が綺麗=I love you は隠してある言葉ある
   「のに」が説明になっている 
   「だった」を繰り返すべきだった)
別れるはずだった月が綺麗だった

10位 皆藤愛子
細月を探す三箇所残り蚊に
添削(季重なりが活きていない 「細月」「残り蚊」主役季語が不明)
さがす間を残り蚊に刺されけり

2023年10月12日木曜日

ビビアン・リー ザ・プロファイラー

重力に従う我が身秋の声
(マティス)絵の次に君が好き紅葉かつ散る
心なき言葉連ねん秋湿り
除草剤受けてすくすく秋の草
浮かんでは消えゆく雲よ秋の山

■ザ・プロファイラー
ビビアン・リー 愛に芝居に…燃え尽きるまで

「いつも❝スカーレットが演じている❞と言われてしまう」
友人の証言

それ(赤ん坊)は微笑むというよりも
ただやかましく泣き続けるだけ。これから何か月も
母乳で育てないといけないと思うとうんざりします。
光り輝く母性は私にはあるのかしら❓
(友人への手紙)

母もつらそうだったよ
心から父を愛していたからね
でも母はビビアンを憎むことができなかった
夫を奪われているのに
むしろ彼女のことが大好きだったんだ
ビビアンにはそういう魅力があった
(オリビエの息子の証言)

(デビッド・O・セルズニック)
彼女を一目見てピッタリだと思ったよ
少なくとも私がイメージしていた
スカーレット・オハラそのままだったね
(伝記「ビビアン・リー」)

(アン・ラザフォード)
ビビアンは誰よりも早く現場に来て
一番遅くに帰るの
そして自分のセリフだけじゃなく
相手のセリフも暗記していたわ
彼女はスカーレットになる必要がなかった
スカーレットそのものだったもの
(アン・ラザフォードの証言)

私のスカーレットはこうしかできないの
(伝記「永遠のスカーレット・オハラ」)

私に寛大にしてくださった方々の
名前を申し上げたら「風と共に去りぬ」の
上映時間と同じだけかかります。
(アカデミー賞受賞時の言葉)

憑依型(ひょういがた)

自分が称号をもらえなかったことに
ビビアンは憤っていた
彼女は野心家だったから悔しかったはずだ
(友人の証言)

今ほど健康で幸福で自身に満ちていたことはないわ
(伝記「ビビアン・リー」)

やがて戦争が終わり平和が訪れようとする矢先に
女として何よりも大きな悲しみを私はかみしめました
(伝記「永遠のスカーレット・オハラ」)

双極性障害(躁うつ病)
著しく気分が高揚する「躁」状態と
意欲が低下し憂鬱になる「鬱」状態を繰り返す

肺結核を発症後 長期療養を拒む 1945年(31歳)

双極極性障害の症状に対して何もできず

私はもちろんビビアンを必死に慰めたが
彼女は私の慰めを受け付けようとしなかった
私は過労のあまりその日その日を生きるのが
やっとという状態だった
(ローレンス・オリビエの自伝)

心を病んだ原因の一つは流産した事だと思う
追い打ちをかけるように結核にもなった
それからビビアンの命の炎を
燃やすような日々が始まった
タークイン・オリビエ(オリビエの息子)の証言

「いつも❝スカーレットが演じている❞と言われてしまう
私には❝風と共に去りぬ❞で大きな成功の嵐が来たけけど
それに全て吹き飛ばされた」
(友人の証言)

「私は映画スターではありません 女優です
なぜなら 女優はさまざまな役に取り組めるからです」
(ビビアン・リー)

自分が称号をもらえなかったことにビビアンは憤っていた
彼女は野心家だったから悔しかったはずだ
それは疑いようがない
(ビビアンの友人)

ビビアンは「ブランチを演じるのは苦しかった」と言っていた
あの役は彼女に大きなダメージを与えたと思うよ
(友人の証言)

「欲望という名の電車」で2度目のアカデミー主演女優賞を受賞
双極性障害が悪化

彼女はもはや私が愛した人ではなくなってしまった
かつてのようには愛せなくなってしまった
私は心身ともにこれ以上耐えることができなかった
(ローレンス・オリビエの自伝)

ジョーン・プロウライトを愛するようになっていった

私レディ・オリビエはローレンス卿が
離婚を求めてきたことをお知らせします
私は彼が望むことはどんなことも承諾するわ
(記者発表)

ビビアンにもジョン・メリベールという恋人が出現

どうしてそれを恥じる必要があるのか❓
あなたはこの病気と闘いながら成功した人生を送れるという見本だ
あなたは多くの人々に勇気と希望を与えているのだよ
(ジョン・メリベール)

スタンリークレイマー監督
彼女は私が一緒に仕事をした俳優の中で
最も勤勉で最もプロの精神に徹していた一人だ

肺結核が再発

ジョンが帰宅後、ビビアンの寝室を覗くと熟睡していた
15分後に再び覗くと床に
すでに息をしていないビビアンが横たわっていた
肺結核の悪化による突然死
1967年7月8日 永眠(53歳)

そのベッドサイドには
ローレンス・オリビエの写真が飾られていた。

演ずるという性(さが)を持って生まれた
女優業を極めていくのが唯一の真実

オリビエの子(タークイン・オリビエ)に残した言葉
最初の夫ホフマンはどうやって生きるかを教えてくれた
オリビエはどうやって愛するかを教えてくれた
ジョンはどうやって孤独でいるかを教えてくれた

大女優を最期まで演じきった人
大地真央

円熟の境地に達したとき新しいビビアンが見られたかも
岡田准一

2023年10月11日水曜日

歌川国芳の言葉&「風津波」&応募俳句&格助詞「に」⑤

(2023年)青き空僅かが熟す柿熟す
鳥狙う枝重たげな熟れた柿
多視点や遠近法をなくしけり(無季句)
離岸流乗って天へと秋に逝く
秋の雲素直な思い伝えずに

■新美の巨人たち より
もし我が腕力
彼の上に出でなば
名を成し富を致すこと
難きにあらざるべし
歌川国芳伝 より

■夏井いつき俳句チャンネル
【花王メリット「風に舞う金木犀の香り」】
きんもくせい俳句コンテスト【発売記念】

応募期間:2023年10月2日(月)~10日(火)

① 「メリット公式アカウント(@merit_jp)」フォロー。
キャンペーン投稿引用リポストで、俳句と俳号を投稿。
② 夏井いつき公式Xアカウント(@natsui_haiku)の
記事内に記載の専用ホームから投句。

ポイント
きんもくせい ○○○○○○○ ○〇○○○
5・7・5の最初か最後の5音に「金木犀」と置いてみよう!

今日会ったこと、日々の出来事をたくさんメモして12音に整えよう!

■夏井いつき俳句チャンネル
一分季語ウンチク「風津波」

初めて聞く季語ですね
時期としては仲秋の頃の季語になります
「高潮」の傍題として歳時記には
記載されていることが多いようです
「風津波」というのは「高潮」そして台風の
接近襲来に伴って発生することが多いことから
仲秋の季語になっております
「高潮」発生には主に2つのメカニズムが
あるとされておりまして一つは気圧の低下による
海水面の上昇 そして吹き寄せる風の強さによって
波がぐっと押されてきて 湾、浅瀬に近づけば近づくほど
波が高くなっていくという この2つがあるそうです
皆さまくれぐれも注意しましょう

■夏井いつき俳句チャンネル
格助詞「に」を掘り下げるその⑤【尊敬すべき主語/条件付きの許諾】

⑪尊敬すべき主語を表すのに用いる
例 陛下にはご休憩いただく
横綱に召しあがられて栗の飯   家藤正人
塩あめを秋の遍路に差上げぬ   朗善
父上におかれましては心太   夏井いつき
お遍路に食べていただく栗の飯   合作

⑫条件付きの許諾の意
例 行くには行くが
おこごとは聞くには聞くが心太   夏井いつき
雷雲や飛ぶには飛ぶが戻ります   家藤正人
秋かるた引くには引くがババは嫌   朗善
握るには握る鮨飯しかないが   夏井いつき

2023年10月10日火曜日

第61回 徳島彫刻集団 野外彫刻展

10月9日 第61回 徳島彫刻集団 野外彫刻展 へ

行ってきました。

義姉からまた酷い言葉をかけられました。

以前は「馬鹿」今回は「憎まれ者」。

目の前の人間によく言えるものです。

作品にしっかり出ているような…。

その作品の題名は「ゴヤはロックだ人間だ~VIVA 0 美術館採掘土」❣













テーマ「隠していたこと」&マーケットアナライズCONNECT「事実」

秋の夕焼誤字多き透過光
秋日和ミスの少なき反射光
蚯蚓鳴く記憶の換気明確化
鵙の贄(もずのにえ)記憶の底を回しけり
降(くだ)り月いずれ消えゆく記憶かな

■NHK短歌 テーマ「隠していたこと」
選者 山崎聡子 ゲスト 井上咲楽さん 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「伝えられなかった思い」

ほんたうはすこしだけひと恋しいと言ふてみたきを秋の笹の葉
永井陽子

▪つぶやきを短歌に
わたくしを目がけて落花する虫も怖かったろう誰にも告げず
山崎聡子

▪テレビ歌会
入選九首 テーマ 隠していたこと
リビングに君がモデルの抽象画荒ぶる海の絵として飾り
野口み里
二席 来世では一緒だよって撫でてゆく髪は針千本の鋭さ
石川真琴
あの頃は秘めた思いを告げられずピアスが耳の道で彷徨う
高垣満枝
下腹部を「えくぼがあるね」と撫でられて笑った気がする切開の痕
小松百合華
三席 逃げ出しし仔犬の轢死(れきし)知りつつも言えずにいたり変声期われ
原田浩生(ひろお)
一席 この先に咲くリンドウのことを伏せ君と並んで立つ望湖台(ぼうこだい)
塩本抄(しょう)
あなたへと溢れるわけにはいきません水平線を隠すてのひら
こはく
ぎっしりと頑なまでにピオーネはあの日の自分黒き塊
北浦秀子
育ててはならない気持ちを身ごもった卵を割ってかき混ぜる朝
藤平怜

▪井上さんの「隠していたこと」
帰宅して頭がぱんく走り出す何度やっても初心のままかな
井上咲楽

▪ことばのバトン
打ち水に一瞬架かる虹だった   岡本真帆

朝目が覚めてもそこにいるサボ
盛岡第一高校 野場希海
唇を歪めて笑う君連れて雨にとけたいお年頃なの
野場希海

尚学館高等部 花岡杏吏

■マーケットアナライズCONNECT より
これまでに観察されている事実
米国30年名目金利は過去の名目成長率と連動する
米国10年名目金利は過去のインフレ率と連動する
日本の5年以上の長期金利は米国金利と連動する
ドル円は日米5~10年金利の差に連動して動く

2023年10月9日月曜日

兼題「椿の実」&名言

秋の雲宙の畑で住む二人
教える夫(つま)と従う妻の秋畑
澄む秋や歳を重ねて知った価値
それぞれの幸せ有らん風爽か
秋の水住人九人山に住む
一人では住めぬ(限界)集落星月夜

■NHK俳句 兼題「椿の実」
選者 山田佳乃 ゲスト 半﨑美子 司会 柴田英嗣
レギュラー 家藤正人 中西アルノ
年間テーマ「俳句とエコロジー」

▪名句de穴埋めクイズ
はじまりし月日かぐはし椿実に   稲畑汀子

稲畑汀子エピソード
高浜虚子の孫「ホトトギス」継承
ご自宅で句会を開かれ、早朝の句会では
参加者に朝食を出しておられた。
みんなのお母さんみたいな先生でした。
俳句に関しては厳しかった。
すごくあったかい先生でした。
と山田佳乃先生。

▪特選六句発表 兼題「椿の実」
椿の実拾ふ夕陽を拾ふごと   佐藤強
連絡船ひとつころがる椿の実   岡彬
神宮の霊気を宿し椿の実   赤壁郷子
こぼれ日が映し出したる椿の実   渡邉宏興(ひろおき)
 木漏れ日 木々や森林から漏れてくる光
 こぼれ日 雲のすき間から射してくる光
椿の実爆ぜて一粒万倍日   萩原豊彦
火山灰(よな)の道分け入る山路椿の実   田中まさじ

▪特選三席の発表 兼題「椿の実」
三席 源流に水の産声椿の実   上田桃花
二席 夜雨(よさめ)より少し冷たき椿の実   酒谷百合子
一席 分かち合ふ島の暮らしや椿の実   榧野(かやの)実

▪夏井家伝来!家藤正人と中西アルノ
0から俳句

けふ 今日 きょう
てふ 蝶 ちょう
くわんげい 歓迎 かんげい
ちやうちやう 町長 ちょうちょう

▪半﨑美子が「椿の実」で一句!
ちりとりに背く種なき椿の実   半﨑美子

▪柴田の歩み
山田さんも誰かに怒られる様な経験されているんだな

■名言
▪Charlie Chaplinはハリウッドで唯一の人物
Albert Einsteinに会いたかったと言われていました。
1931年、彼は映画「シティ・ライツ」の
プレミアで俳優と話す機会を得ました。
Einsteinは言いました。
「あなたの芸術について私が最も感心しているのは、その普遍性です。
 あなたは一言も言わないけれど、世界はあなたを理解しています。」
Chaplinは答えました。
「本当だ。」
「でも、あなたの名声はさらに大きい。
 誰もあなたを理ていないのに、世界はあなたを賞賛しています。」

アルベルト・アインシュタイン 曰く
「深く探求すればするほど、
 知らなくてはならないことが見つかる。
 人間の命が続く限り、
 常にそうだろうとわたしは思う。」

チャーリー・チャップリン 曰く
「何のために意味なんか求めるんだ?
 人生は願望だ、意味じゃない。」

2023年10月8日日曜日

俳句甲子園2023

孤独・闇・痛み救わん星月夜
秋の宵黄と紫を重ね観る
紫(し)は透過、黄は反射、秋の夕焼
秋光や紫と黄は補色なり
秋の色日々移ろいて心をや

■自分を見つめて、17音。~俳句甲子園2023~
トマト赤し部活を辞めていく背中   谷口春奈

▪愛媛県立松山東高等学校
谷口春奈
朝焼 ハンモック 金亀子(こがねむし) トマト
金亀子歩く心の影を避け

星月夜 小鳥 コスモス 道

コスモスや救急艇に星の名を   山本恭児

島に顔なし微睡(まどろみ)のハンモック   山本恭児

星月夜潮風染むる父の椅子   

▪茨木県立下館第一高等学校
顧問 中原壱朋先生 松本凜 
手鏡なくてもビューラー星月夜   安田心優

火葬場の雲なき空に立つ小鳥   横塚ひばり

不登校やめられそうなほど朝焼   武井佳奈

群馬県立高崎高校 槙原拓巳
立教池袋高校 栗本拓実
山口県立徳山高校 増野月麦

ローファーに光を零すハンモック
思春期の真つただ中のトマトかな
進路希望調査の余白小鳥来る
君までの距離月夜までの距離
過熱トマト破裂恋って難しい
コスモスや体操少女風を慕ふ
またひとつ捨てて十八夏の道

名古屋高等学校 幸村遥都(はると)
寿司桶に生姜の残る良夜かな   
少年は傷を隠さぬゐのこ草
(季語以外の)12音はなんてことがない
僕のやつって季語で勝負しているんで
そういう句が自然と大くなる
だから味気がない
そっちの方がおもしろいと思っている
高校生活で俳句がなかったらなにも楽しくなかった
競技的なところに疲れて心が疲弊して離れた
それは去年の俳句甲子園が終わったあたりに思った

あはうみの鯉大きくて白日傘   幸村遥都

勝てる句、勝てない句っていうのがやっぱりある
僕の句は説明しづらいけど写生の句、描写の句が多い
それで負けて俳句甲子園ではあんまりウケていない
勝てる句が作れない
自分は納得できるのにチームにあんまり貢献できない

2023年3月下旬
中高生俳句バトルinあらかわ

お彼岸や河馬(かば)一頭に池濁り   幸村遥都
花過やみそかに実る河馬の恋   開成高校

複雑、チームは勝ったけど、僕は納得いっていないというか
もっといい句作れた、ほんとうに悔しかった、あのときは
完全に心はそこで折れた

俺先輩いないとやだよぉ
俺のためにも続けてよぉ と毎日後輩からメールが届いた。

感謝でしかない 休んでいるのも僕のわがままだし
正直一人だけ意見が違うのも
部のズレを生んでいるのは僕だし
それでも戻ってきてくれとか
一緒にやりたいって言ってくれたのはすごくうれしい
自分らしい句で挑むことに決めた

海へゆく帽子に貰ふトマトかな
住職に書道を習ふ稲の花

頭の中に稲の花がパッと出てきて降ってきた感じ
いちばんナチュラルに作れた感じ言葉が浮いてきた
3年の集大成というかいいところが出た

先客は十歳の犬ハンモック
爪切りの在処を問はれハンモック

自分の空間を破られる感覚なんかも
おもしろいなと思っていて 
その中で「爪切り」がいいと思っていて
薬とか緊急なものを聞かれたら
ハンモックから飛び上がるけど
「爪切り」という「自分で探せよ」って
ぐらいのものを持ってきたから
この句は成立している

単に意見を言うだけじゃなくて
(相手の)俳句を良くしたい おもしろくしたい
単に投げつけるだけなら簡単

俳句やっている高校生ってまずおもしろい
どんな俳句作るんだろう 自分とどれくらい違うのか
考える切り口 そういうものも見に行くのすごく楽しみ
俳句甲子園のありとあらゆるいいところを
全部楽しんでやるって感じ

愛媛県立松山東高等学校 谷口春奈さんは
最後の大会でこれまでにない挑戦をしようとしていた


ハンモックが揺れる静けさが怖い   谷口春奈
俳句では感情表現は避けられがち
あえて「怖い」という言葉を入れ感情をさらけ出した
例えば自分がしゃべったあとに拍手が起こるんじゃなくて
ちょっと間があるときとか 
自分が一瞬止まったときの静けさがちょっと怖い
俳句の中では型破りな方だと思うけど
最後の大会で挑戦的な意味も込めて
自分の中では受け入れている

愛媛県立松山東高等学校 顧問の言葉
勝ち負けはあるけれどもお互いの句をより良く高めていく
そういう中で成長していくわけ
そんなに涙が出るのは一生懸命やってきたということ
ありがとうな

不登校やめられそうなほど朝焼   武井佳奈(下館第一高校)
朝焼けや祠がこんなにも近所   (立教池袋高校A)

幸村遥都
楽しめたら勝ちがついてくる 意識せず勝ちとか 楽しむ

大皿の縁の触れ合ふトマトかな   海城高校B
小澤實先生から名古屋高等学校への言葉
すごい才能だね 演劇とかやってるの 小沢實先生
ただ俳句を鑑賞したいだけ 幸村遥都
いいねぇ 小沢實先生
すごく楽しい 幸村遥都
楽しさが出ているのがいい 
相手の俳句をよく読んでいて本当に感心した 
「大皿」の句はおそらく相手より深く読めていた 小沢實先生
「触れ合う」の所は自信があって 幸村遥都
あの発見は素晴らしいと思ってファンになりました 小沢實先生

名古屋高校 決勝リーグ敗退

開成高等学校 優勝
名古屋高校 団体3位

納得するものを出して自信を持って戦うことの大切さ
その2つそれがいちばん大きかった
これからもずっとやっていくと思うけど
その一歩にふさわしい最後の俳句甲子園
楽しめました とにかく 楽しみ尽くしました

今回の「自分を見つめて、17音。~俳句甲子園2023~」
最高に良かった!
幸村遥都君!あなたの俳句に痺れました。

2023年10月7日土曜日

国枝慎吾氏 アナザースカイ

竹の春明るき未来掴み取れ
風爽か貴男と決めて飛び降りた
陽が沈み月が昇りてまた明日
失せる喜び失せぬ悲しみ月更くる
(大谷翔平選手)インターナル・ブレース天高し

■アナザースカイ 車いすテニス国枝慎吾が運命のウィンブルドンヘ
ウィンブルドンが鬼門でもあったので僕にとって
「重い気持ち」と「興奮」と両方心にありながら向かいました

2016年からシングルスが始まったんですけど
昨年此処で優勝した事で自分自身も
テニスのキャリアに一区切りついたな、と
コート上で思えたので引退を決意した大会にもなりました
これだけのお客さんがいるので、車いすの試合でも
スタンド満席になる ウィンブルドンの聖地で
お客さんの前でやれて幸せだなと思った

東京パラリンピック終わってから引退というものが
すごく僕の中で迫っているなと思った
思いとどまったのはウィンブルドンがあったから

引退してテニスの見方が変わった
「この選手に対してはこう攻めたらいい」
そういう考えで見るじゃないですか
この選手もっと「こうした方が良いのにな」
っていう目で見るようになりました
コーチだとかもある意味興味ある所なんだと思います

(現役が)終わったからこそ言える事がある

テニスの試合は自分とも戦わなきゃいけないし
相手とも戦わなきゃいけないし僕の場合はそれにプラス
「人の目との戦い」車いすテニスをより発展させたい
スポーツとして見られたい

ただ「勝つ」だけでは意味がなかった

アテネ五輪の時に結果が出てなかったら
おそらくニ十歳で辞めていたと思う
テニスは世界を周るスポーツなので
まだまだ車いすテニスの賞金はそれほど多くない
特に僕が三十歳ぐらいの時は
1番でかい大会で優勝しても30万円ぐらい
遠征費も両親に頼っていた
それがアテネ五輪の金メダルをとった事で
もしかしたら金メダルがあればテニス選手として
就職させてくれるかもなっていう想いでちょっと繋がった

2008年北京パラリンピックシングルスで金メダル
その時金メダルをとってなかったら
こうしてプロとして活動はしていなかった
その後全然生活できなかったらこの先
プロの車いすテニス選手を選ぶ人がいなくなる
僕なりの責任の取り方が「勝つこと」だった

最初の2004年のアテネの時はパラリンピックの扱いが
どっちかというと福祉
車いすテニスがスポーツとして観られることはない
その舞台に車いすテニスを上げていかないと
世の中に認知され広がることはない
東京パラリンピックでたくさんの方々に
車いすテニスを見てもらうきっかけがあって
ようやくその戦いが東京で終えられたと僕の中で思った
それが引退の理由でもあります
自分の役目というか役目としてたものに
決着がついた感覚がありました

前人未到の記録とともに現役を引退
車いすテニス選手「国枝慎吾」の名は世界に轟いた
そして、道は、続いていく
夢の数だけ空がある

錦織圭選手も言ってたけど
「一言一言でHPが1ずつ減っていかない?」

試合に帯同するようになったきっかけは?
2016年に怪我してその時に
もう引退かなっていう感じだったので
最後にグランドスラム(4大大会)を観ておこうと思って
なんだかんだ最後の5年間ぐらい一緒に帯同してた
良い現役時代のところを観れたので良かった
ホテルに帰ったら妻との時間がある
家のようなアットホームな空気が流れるっていうのは
ON/OFFの切り替えが上手くなった

接戦でどっちが勝つか最後わからないみたい感じで
勝ったので…
あの時の喜びを超えるものは多分この先はない

1番最初に目が合うのは妻

やっぱりアスリートって怪我したり
思うような成績が出せなくて辞める方も多い
こんなに欲しいタイトル全て手にして引退できるなんて
「名誉なこと」「全然いいよ」って感じでした

これから二人でやりたいこと
本当に荷物少ない状態で
「海外行きたいな」とはずっと思ってましたね
これからチャンスがあると思うので

前人未到の頂まで昇り詰めることができた
二人で新しい空を探そうか

奥さま愛さまはモルディブに行きたいと言われているそうです。

アメリカで英語の勉強をしようかなと思っています。と、国枝慎吾氏!




2023年10月6日金曜日

馬場あき子の歌&母の背中で一句

精悍な顔つき花鶏(あとり)青き空
彼岸花鴇(とき)と共演畔(あぜ)を生く
赤蕎麦とコスモスの花咲き乱る
秋の月スフマートめく人生よ
穴惑ひ自分らしさの追求か

■こころの時代ライブラリー 
歌詠みとして今を生きる 馬場あき子

抱きしめるといふよりしがみつくやうな溺れないやう雨音を蹴る

きつとわたしこの人を好きになるいつか伸ばされた手の産毛がひかる

足し算の家引き算の家ありてひとり残りし家しぐれする

習ほほゑみトランプ怒る顔映るテレビの前の無力の夕餉

いとし子は自爆せしてふ師の君の思ひはげしきまなこをぞ見る
昭和18年 15歳

十年の我生ひ立ちよそのままに全ては焼けて塵ものこらず
昭和20年 17歳

一尺の雷魚を裂きて冷冷と夜のくりやに水流すなり
昭和24年 21歳

淋しさの果にふれなむ一筋の希ひまたも「松風」をみる
昭和22年 19歳

大方の憎しみの中に我は愛す師を尊ばぬ子の溌溂(はつらつ)さ

文化国家と言ふ夢ありきはるかなる焦土の上にありし青空
血の失せし木の頬骨よ撫ずるとも女の肉はかえらざるべし

飛び去りし鳥には遠き草の笛生きながらわれを殺ししは誰

都市はもう混沌として人間はみそらーめんのやうなかなしみ

ゆるきやらの群るるをみれば暗き世の百鬼夜行のあはれ滲める

さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり

早笛に吹かれて今し歩む床かうかうたりわれに偽りはなし

■プレバト纏め 2023年10月5日

金秋戦予選 母の背中で一句

1位 春風亭昇吉
乳房切除す母よ芒(すすき)の先に絮(わた)
(背中とは書かれていないが語順で確り光景が見える
 技術として上手い お母さんの心情が後半に乗っかっている
 枯れていく芒に自分を投影しているのだろうか❓
 種子を飛ばすための絮 種子を飛ばすことで命を繋ぐ
 その光景に自分の子どもたちを思っているのだろうか❓
 などを映像で伝えている
 三段切れで上五字余り難易度の高い構成
 この俳句の内容にとってはこの形が一番ピッタリ
 よく勇気を持って挑んだ これは手放しで褒めますといつき先生)

2位 森口瑤子
黒ぶどう甘やか母の背にほくろ
(黒ぶどうが季語 甘やかで切れる句またがり 色っぽい
 甘やかの位置が良い 葡萄は漢字 ひらがなであまやかが良い)
葡萄あまやか母の背にほくろ

3位 犬山紙子
発熱の母月光の車椅子
(句またがり)

4位 森迫永依
薄月夜母の電卓スタッカート
(スタッカートは音楽用語 短く音を切って楽器を演奏する手法
 動く季語ではないか❓薄月夜とは雲がかかった薄い月明かりの夜
 薄ではスタッカートが損をしている 星にすると明るさが出てくる
 星流るにすると動きが出る 作品も締まってくる)
月夜母の電卓スタッカート
星流る母の電卓スタッカート

5位 中田喜子
母の背は硬く娘を待つ秋夜
添削(良い所は硬く)
母の背は硬し吾を待つ秋夜の背

6位 馬場典子
秋湿り添い寝の母の生返事
添削(季語秋湿りとは秋の長雨で空気が湿ること
   蚊帳という空間湿度もあるような空間での生返事が聞こえてくる)
秋の蚊帳母の背中の生返事

7位 千賀健永
手羽を煮る小さき背中や秋彼岸
添削(季語時雨とは降ったり止んだりする雨)
手羽を煮る母よ厨(くりや)のちちろ虫
手羽を煮る母よ時雨の過(よ)ぎる窓

8位 立川志らく
門(かど)付けの母に背負われ蚯蚓鳴く
添削(門付けとは家の前で芸を行い祝儀をもらう芸人をさす
   蚯蚓鳴くとは秋の夜の静けさを表現した季語
   生きるために昼間に芸をする母)
門(かど)付けの母よ真昼を鳴く蚯蚓

2023年10月5日木曜日

こころの時代「宮沢賢治」より

昇る月沈みゆく陽よ秋の山
沈む夕陽と輝く湖面秋の風
地虫鳴くテクノロジーが凌駕せり
蚯蚓鳴くテクノロジーと抗(あらが)わん
新旧の交代近し秋の雲

■こころの時代 宮沢賢治 より
宮沢賢治最期の詩
方十里 稗貫のみかも 稲熟れて
み祭三日 そらはれわたる

病(いたつき)のゆゑにも朽ちん いのちなり
みのりに棄てば うれしからまし

宮沢清六「兄のトランク」
私がいまも目に見えるようなのは、
八月になると
「困ったなあ。日が出ないかなあ。
 暑くならないかなあ。」
といっていた兄の顔である。
開花期に、
寒かったり雨ばかり続けば、
必ず不作となるので、
「サムサノ夏ハオロオロアルキ」
という言葉そのままのように
兄は見えたのであった。
私は永い間傍らにいて、
ある人には立派な資格だと言われ、
或る人々にはどうしても理解されないで、
この世では、まことに不幸でもあったこの
持って生まれた性格を
弟として何ともできず全く気の毒で
しかたなかったのである。
しかし
賢治の性格も生涯も、
他からの批判や同情などと全然無縁の、
そうしか出来得ない必然的な事実であり、
結果でもあったと思う。
私の気がかりとなるのは、
兄が遺言した後で
父の問いに答えた言葉である。
「それはいずれ後でまた起きて
 詳しく書きます。」といった
その言葉についてである。
私には
あのときの兄の目の色などから
考えあわせると、
あの言葉にはもっと深い意味が
籠められていたように思われ、
賢治の将来への悲願とか誓願が
籠められていると考えていいと思うのである。
「また起きて」
という言葉の奥には
「また生まれ変わって」
という意味があるように私には思われ
もう案外賢治はあこがれの土地に
生まれ変わって、
「また起きて詳しく書きます。」
という言葉を
実行に移しているのではないかと、
子供の考えるようなことを思うのである。

2023年10月4日水曜日

色不異空

日本女子オープンゴルフ選手権
秋の芝二人のえりか闘わん
秋の空キラキラネーム羽ばたけり
秋陽射しこぼれる涙かくしけり
感極まりて溢れる涙秋日和
秋の日や手術乗り越え勝利せり

■色不異空(しきふいくう)
転記:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10168510885

般若心経は、摩訶般若波羅蜜経の要約です。
摩訶般若波羅蜜経自体が難解な経典なので、
要約された内容だけで理解しようとするのは困難です。

五蘊皆空。
色不異空。空不異色。
色即是空。空即是色。

五蘊皆空を理解していれば、そのことを前提にして、
色不異空・空不異色を理解することができ、
色不異空・空不異色を理解すれば、
そのことを前提にして、色即是空・空即是色を理解できます。
なので、最初に知っておくべきことは、五蘊皆空です。

五蘊とは、この世界を構成する五つの要素のことです。
それを色受想行識といいます。

色(しき)=物
受(じゅ)=感受 感じること
想(そう)=表象 想うこと
行(ぎょう)=意志 関わること
識(しき)=認識

物(色)を見て(受)、それをリンゴだと想起(想)し、食べようと思う(行)。
これらの心の動きを認識するのが「識」です。
これは、主体と客体の関係です。
色とは、自分の外の世界のことであり、
それを自分が感じ、想い、関わりを決め、認識します。
よって、受想行識というのは自分の内の世界のことであり、心のことです。

物と心=外と内=色と受想行識

それが有るという認識は、そのものと自分との関係によってあります。
自他という因縁和合によって、認識が生起するので、これを縁起といいます。
因縁によるのであれば、それ自体のみで存在しないので、
これを無自性といい、または空といいます。
「因縁によるものを空と言う」ということが非常に重要なポイントです。

空とは無自性(実体の欠如)のことです。
因縁によるものは、縁って起こるのですから、
独自によっては存在していません。
独自によって存在するものを自性といい、
因縁によって存在するものを無自性といいます。
他との関係によって有るのですから、仮の存在であり、これを空といいます。
縁起・空と言うのは、自然界の法則ですから、すべてに共通する真理です。

五蘊皆空、つまり、存在の認識は因縁によるので空である、
ということを前提にして次に進みます。

色不異空。
空不異色。

物は空と離れていません。
空は物と離れていません。

不異というのは、ナ・プルタク "na pṛthak" の訳です。
プルタクというのは、異なる・離れる・孤立などの意味です。
ナというのは否定のことですので、
異ならない・離れていない・孤立しないという意味になります。
漢訳では不異というので、同体の意味としてとられることもありますが、
ナ・プルタクはコインの裏表のような関係です。
文字や絵画などの図は、何らかの地がなければ存在できません。
図は地と離れて存在しません。因縁によってあります。

物は因縁によって有ります。
よって、物は因縁という法と離れて存在しません。
また、因縁という法だけが、物と離れて孤立して存在しません。
因縁によるものを無自性、空といいますので、
物は空と離れていないし、空は物と離れていません。
事物・現象は真理と離れて存在するわけではないし、
真理が事物・現象と離れてあるわけではありません。
このことを色不異空・空不異色といいます。

次に、色不異空・空不異色を前提にして、さらに観察を深めれば、
色即是空・空即是色だということが分かります。

色即是空。
空即是色。

物、それは空です。
空、それは物です。

物は空です。
つまり、物は因縁によって認識されますから、それ自体には実体がありません。
よって、色即是空です。また、その物が空であるから、
五蘊という関係をつくることが可能であり、
主体と客体と見るという働きによって、その物が存在すると認識されます。

ここまでの結論としては、空即是色です。
もし、その物に実体が有るのならば、他と和合することがありませんから、
見るという関わりをすることができません。
見ることができないので、認識という作用は起こりません。
その物に実体がないので、他と和合することが可能であり、
その物を見て、認識することができます。

色即是空の色は、まだ現実だと思われている事物・現象のことです。
空即是色の色は、認識された事物・現象のことです。
この差は非常に大きいので注意が必要です。

リンゴを見るとき、私たちは現実として存在している
リンゴを見ていると思っていますが、そうではありません。
主体と客体と見るという働きによって、五蘊という因縁によって
認識された物を私たちは見ているのです。

たとえばテレビ・カメラによって撮影され、それが放送され、
アンテナで受信し、テレビに映ったものを見ているように、
眼で見て、脳が感受し、イメージとして脳が作ったものを私たちは見ています。

そのような仮設された世界を私たちは現実だと見ています。
そのことを指摘し、見ている物は仮であること、
空であることを伝えるのが、空即是色です。

2023年10月3日火曜日

題「ジグザグ」

モスリンに刺繍ほどこし秋の風
風の布ショール重ねて秋の街
抵抗と希望の間秋の雲
秋の陽やダニの棲家干されけり
(トゥトアンクアメン)秋の声19歳で目を閉じる

■NHK短歌 題「ジグザグ」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー

▪三十一音の物語
入門コース テーマはカタカナ語を活かそう
拗音 ちょ ちゃ
言葉を音楽のようにオブジェのように感じ直す⇨詩の言葉にする

エボルブルス ブルーラグーン そのさきへ ゆかねばならず 未だ見ぬ花
川野里子

アヌビアス・ナナ水槽に揺れてゐてナナ、ナナ、きみの残像がある
山田航
カタカナ語が心を引き出してくる

ファルセットボイスが遠くひるがへり秋のフィラデルフィアを思へり
大辻隆弘
言葉が言葉を捕まえに行く
言葉に憧れるというのは詩の第一歩

▪入選六首 題「ジグザグ」
シマウマのジグザグ模様は生きるため強そうな服を選ぶ月曜
君村類
一席 ジグザグの光としての稲妻が僕を照らした無職の僕を
大野恭敬
ジグザグに走れ銃弾当たらぬよう赤白帽のゴムがしょっぱい
牧野冴(当たらぬは中らぬを使うべきでは❓)
ジグザグに歩いてみるとき顔を出す歩幅のちいさな無敵の私
佐竹紫円
手を広げジグザグに走る幼子がふいに消えたり夕闇の路
瀬戸口真澄
ジグザグに座るようにと指示された夏期講習で見つけた君を
佐々木泰三

▪秀一郎あむのココカラ短歌
本を読み何か足りないひとピース納得しない自分の演技
内藤秀一郎 添削(心の輪郭がくっきり出てきた)
本読み何か足りないひとピース納得できない自分の演技

瞳閉じ息吐きゆっくり目を開きポニーテールをぐいと引っ張る
深尾あむ 添削(輪郭をきちんと加える)
瞳閉じ息吐きゆっくり目を開きポニーテールをぐいと引っ張り勝負

▪ことばのバトン
岡本真帆(歌人)
ほんとうにわたしでいいの?ずぼらだし

家のドアにクリスマスの飾りまだついているし
キャベツが花を咲かせているし
チャーハンの素舐めてビール飲むし
パスタと一緒にソース茹でるし

一瞬のきらめきだったり強烈に胸に焼き付いている瞬間とか
そういうイメージでつくります

打ち水に一瞬架かる虹だった   岡本真帆

2023年10月2日月曜日

兼題「流れ星」

星月夜ダイナミズムと向き合わん
おけら鳴くひたすら利潤追い求め
秋懐や未踏の世界夢見つつ
秋の声時代切り裂き前へ前
秋の夢時代捕まえ追い越さん

■NHK俳句 兼題「流れ星」
選者 夏井いつき レギュラー 家藤正人 中西アルノ 司会 柴田英嗣
年間テーマ 凡人からの脱出

ボン
あおぐ空流れ星見て願い事   松村達雄
流れ星お願い事がしたくなる   高橋弘一
流れ星消えぬまにまに願ひごと   松本直樹
流れ星消えないうちに又いのる   伊藤博子
流れ星未だ消えないで願い事   今津茂
流星の堕ちゆく前に願い事   嶋田貴夫
流れ星願ひ言うまで待ってくれ   岸下庄二
流星や願う暇(いとま)の無かりけり   北村聡

「流れ星」「願い事」「消えないうち」
音数的にほぼ同じ句になる

半ボン
流れ星願いの数を煌めけり   森尻恵美子
流れ星消えて願ひは尾を引きて   堀美和子
流れ星願いを集めて消ゆる宙(そら)   三宅雄一郎

脱ボン
流れ星なんて散文的な願い   正念亭若知古
「散文的」意味は「普通の文章」と思ってください
俳句は「韻文」
「詩のないもの」が人々の願い
こういう気付きにオリジナリティーとリアリティーがある

願いの例
流れ星日々安寧と願かけて   栗原晋二
星流るとっさに家内安全と   野中昭久
言えるかな?「家内安全」流れ星   宮崎和美
流れ星今宵一句に願掛ける   右田捷昭
脱ボンの願ひ叶うか流れ星   西田泰己

俳句での「散文的」は
「詩がない」と考えていただければと思います
ボンの句には「散文的」という特徴もある

願いごと思いうかばず流れ星   國吉眞惇
願いごと(が)思いうかばず(に)流れ星(が消えていきました)

流れ星願い事すぐ出てこずに   十亀剛一
流れ星(を見つけたのに)願い事(が)すぐ出てこずに(残念に思いました)

流れ星すつからかんの野心かな   加藤草児
流れ星(だよ。)(願いごとが一つ思い浮かばないってことは)すつからかんの野心かな(なのだなあ)
切れがある⇧「切れ」があることが韻文である俳句の特徴
「流れ星」の季語が出た瞬間に「願い事」「夜空の光景」全部思い浮かぶ
最後の「かな」という詠嘆は俳句独特の「韻文」になる
俳句の「調べ」も持っている 心にスーっと入ってくる
メロディーとリズムを持っている

▪夏井家伝来!家藤正人&中西アルノ
0から俳句
「歴史的仮名遣い」について学んでみたいと思う
「歴史的仮名遣い」の使い方を学ぶかというと
芭蕉とかの時代から考えると30年ぐらい前から
「歴史的仮名遣い」の俳句が残っている
それ等を読むためには知識として入れていないと読めない
だからこそ学んでおこう

名句を読んでみよう
妻がゐて夜長を言へりさう思ふ   森澄雄

歴史的仮名遣いの代表例
え⇨え・へ・ゑ
い⇨い・ひ・ゐ
お⇨お・ほ・を
う⇨う・ふ

0からPOINT
歴史的仮名遣いにするか 現代仮名遣いにするか選択できる
「現代仮名遣い」と「歴史的仮名遣い」のどちらかを選択し
作品は一貫してその仮名遣いを使うことが大事
「現代仮名遣い」にした時に
自分のちょっとした心の屈折みたいなものを表しきれない
作者の視点として選ぶことができる

▪特選六句発表 兼題「流れ星」
熊鈴だラヂオだ流れ星きれい   看做(みな)しみず
流星や壁画の民の無表情   卓鐘
もう父のカラダガラクタ流れ星   英ルナ
流れ星山のどこかに子猿の死   蒼空蒼子(あおぞらあおこ)
流星の余白よ故郷は練馬   みづちみわ
フェリーの湯に小さきさざなみ流れ星   越智空子

▪柴田の歩み
「切れ」使っていこうと思ふ

2023年10月1日日曜日

デイヴィッド・ホックニーの言葉&「とんぶり」&「月夜茸」

秋の神山集え天才アカデミー
星飛ぶやドラマを超えた事実あり
秋の夢校歌を胸に突き進め
伝統に裏付けられた秋の声
パラダイムシフト起こりて菊日和

■デイヴィッド・ホックニーの言葉
日本の人々へ
私が伝えたい唯一のメッセージは
❝Be Yourself❞「あなたらしくいなさい」です
好きなことを見つけてください
心の底から愛せるものに
いつか必ず巡りあうことができるでしょう
❝Be Yourself❞「あなたらしくいなさい」
これが私のアドバイスです 
年齢に関係なく皆さんに向けて

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「とんぶり」

ひらがなで「とんぶり」とだけ4文字出てきても
一体何ものか まるでピンときませんね
この「とんぶり」とは食べ物のことのようです
アカザ科の一年草の箒(ほうき)草の実であると
歳時記には解説がございます
外見がキャビアに似ていることから
畑のキャビアとも呼ばれているそうです
そう聞くと何だかとても良いものに聞こえてきますね
プチプチとした食感が美味しいものらしいです
生産としては秋田や山形、
岩手で栽培されている物とのこと
愛媛ではあまり食べたことのない食材です
一体どんな味なのか歳時記を見て
想像を膨らませております

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「月夜茸」

綺麗な名前ですね
この「月夜茸」とは文字通りキノコです
このキノコ名前は綺麗なんですが毒を持っていまして
8~11月頃日本全国で見られるキノコだとのことです
椎茸に似てはいるけれど暗闇で
青白く光るという特徴があるようです
食べてしまうと特にこのキノコ
日本で最も中毒事故の多いキノコともされていて
食後間も無くから3時間ほど激しい下痢と
嘔吐が現れるそうです
そういう毒ではありますが
致命的ではないとも解説があります
そんな恐ろしい目には遭いたくないですね
気を付けましょう