2023年3月1日水曜日

本居宣長 日本人の心の原点を探る

春の空漏れた光の煌めきよ
たゆみない美的探究風光る
春の夕焼け艶やかな青磁釉(せいじゆう)
慈愛に満ちた雄のまなざし春の朝
春の鵙戦闘態勢緩めをり

■知恵泉 本居宣長 日本人の心の原点を探る
ゲスト 又吉直樹氏 先﨑彰容氏(日本大学教授 日本思想史)

「もののあわれ」とは「しみじみとした深い感情」
「もののあわれ」こそが日本人特有の美意識である
人間の行動の規範、価値観にまで高めていった

しき嶋のやまとごゝろを人とはゞ朝日にゝほふ山ざくら花
本居宣長

対象の側 物の側に
何か心を揺り動かすものがあって
それに心を揺さぶられる
というのが「もののあはれ」

何くれと京の物語して
夜ふけぬ
いとむつまして
丑の時の末まで物語し侍る
宝暦六年(一九五六)四月二十日の日記より

恋せずは人は心も無らまし
物のあはれも是よりぞしる
藤原俊成

宝暦13年(1763)「もののあはれ」の意味に気づく

恋をするときの思いはこのようなもの
逢えない辛さはこのようなもの
逢ううれしさはこのようなもの
「紫文要領」本居宣長 著
(自分の心と比べて推察し「なるほどこうであろう」という
意味を理解すれば、それが「もののあはれ」を知るということ)

源氏物語から道徳的意味を読み取ろうとして失敗
背徳の恋を描いた「源氏物語」に
そもそも道徳的意義などなく
そこに描かれた世界観がまさに
「もののあはれ」であり日本人独特の美意識である

「紫文要領」の中でも物語の極致と言うものは
「恋」なんだということをいっています
人間の心が一番激しく揺れ動くのが
「恋」であるとするならば
宣長が「もののあはれを知る」ということを提示する
一つの物を発見するきっかけとして
自分の痛切な恋愛体験があったというのは
共感をもって受け止めることができる

恋というものは
あながちに深く思ひかへしても
なほ忍びあへねばたぐひ世に多し
心の底をさぐりてみれば
この思ひはなきことかなはず
ことにあはれ深き歌も
さる時にこそは出で来べけれ
「石上私淑言」より

心揺さぶられて気づくのが「もののあはれ」
「あはれ」というのは感情の揺さぶり

相手を表現すのではなく相手を見たときに
自分の内面にどういうことが起こっているのか
考えることがすでに
相手と自分の往還(おうかん)にもなっている
月を見たときにの自分にどういう変化が起こるのか

心が動くことが起きてから
言葉にしたい衝動が出てきて言葉って出てくる

蓄積されると出したくなる

しどけなき 女性的なものこそ人間の本当
武士道は本当の姿ではない 本居宣長

幕府が奨励する朱子学は中国起源の思想
日本人の思考は忠義工夫になってしまうのではないか❓
「漢意(からごころ)」批判
中国文化を自分たちが発明した文化のように思ってしまっている。
取り違えてしまっている日本人を批判したのが
漢意批判である。

古事記(712年)
天武天皇が語った言葉を文字にしたもの
いにしえの日本人が話していた言葉
日本書紀(720年)
すでにあった漢文の書籍から編纂された歴史書
古事記が書かれた712年には平仮名は存在しなかった。
(全て当て字)
「読み方」解明

天地はアメツチのカラモジにして
天はアメなり
古書どもを見るに
凡てアメにこたへては
必ずクニとのみ云て
「阿毎兔知弁」より

国学者 賀茂真淵(1697~1769)
宝暦13年(1763)5月25日
弟子入りが許される
「古事記」は「意味」ではなく「読み」ですよねと
言ったのではないか❓
この一言で「この男だったら自分の果たせなかった夢を
実現してくれるのではないか」そういうふうに直感した。
逢うことはなかったがその後6年半師弟関係は続いた。
この一夜のことは「松坂の一夜」と言われている。
天地はアメクニではなくアメツチ
「クニ」は限りある土地のことで
「ツチ」は無限の土地という意味を持つ

夜麻登 やまと 大和
漢字の意味に引きずられて勝手に後世に
日本人が想像してつくり上げたもの
「古事記」が書かれた頃の日本人の実際の感情とは
全く違う勝手な日本人像を作ってしまっている。

日本人の生き生きとした道徳的なものに
縛られない世界が展開されていることを発見した

人を一つのイメージの中に閉じ込めようとする
画一化しようとするそれを「からごころ」と言う

人を断定的に決めつけたり硬直してものを
考えたりすると攻撃性につながる

人の考えも取り込んで良いのですが
どこかで疑うみたいな気持ちも
両方持っておいた方が良い

揺れ動く心も含めて人間なんだって思えば
ゆったり自分を見ることができる

失敗もするし愚かさもある
そう言う幅は自分にも相手にも認めていきたい

いろんな角度からアプローチしたほうが
「もののあはれ」に近づいている気がする

0 件のコメント:

コメントを投稿