2023年3月28日火曜日

題「黒」

4年ぶり号砲響く阿波の春
春のマラソンほら貝太鼓阿波の径
春陽射したっぷり浴びる桜かな
鯉のぼり大歩危峡をごゆるりと
ロックオン白鷺ゲット吉野川

■NHK短歌 題「黒」
選者 佐佐木定綱 ゲスト 武田双雲 
司会 星野真里 レギュラー カン・ハンナ

▪冒頭の短歌
まっしろな壁に一つの黒としてアダンソンハエトリ生きてゆけ
佐佐木定綱

▪入選九首 題 黒
二番目も高校受験浴室の隅の黒カビ擦(こす)る春の日
梅鶏(うめどり)
黒真珠の真偽を疑う囁きがふっと途切れて出棺の時
小夏
③カン 君の手の甲の黒子(ほくろ)に指を置き呼び鈴よりも真剣に押した
大津穂波
黒板が見逃していく西ローマ帝国に住むひとの気持ちとか
よだか
雪の野の二つに分けて蛇行する墨より黒し一本の川
磯部剛
💮星野 私 黒帯の少女の視線揺るがなくポニーテールの毛先が揺れる
青山正美
黒板に書けば生徒の二十人間違えしまま書き写したり
佐藤隆司(たかし)
② 純白の砂糖に群がる黒蟻を一匹一匹我はつぶせり
仲原佳
武田双雲 洗ってもらう側から洗う側になり母のかかとに見つける黒子(ほくろ)
芍薬

▪佐佐木先生の短歌というドラマ
わからなくなれば夜霧に垂れさがる黒きのれんを分けて出でゆく
山崎方代(ほうだい)「方代」

佐佐木定綱先生
街頭で靴の修理をしながら各地を旅したことから
「漂泊の歌人」と呼ばれた
日常のことを日常の言葉で詠うタイプ
独特の深みがある
それまでの人生が凝縮されて
はじめて押し出された一首になっている
不思議な魅力のある歌人

武田双雲氏
抽象アート

佐佐木定綱
ドラマな部分 わからなくなれば
場面はおそらく酒場 屋台
それ以外はよくわからない
決意が最後にある
方代自身は傷痍軍人
「白きのれん」と
絶対に言えない状態
この歌は歌集「方代」の
巻頭に置かれている
歌に対しての決意も
託されている

武田双雲
大人になれば答えがあると思っていた
なのにどんどんわからなくなっている
現代の問題と似ている
答えはない
希望の光は差していない
それでものれんを分けていく
今の人たちに響く歌
「白きのれん」だと全く違う
暗闇の中に光が差し込んで
答えを導いてくれる何か
「救いの神」を全く出さない
方代自身が人生の中で
救われた経験があまりない?
人ではないか?

星野真里
のれん=柔らかい
扉・窓=硬質
ちょっとの力で分けられる

カン・ハンナ
黒は重みを感じる
「わからない」「決意」「覚悟」
いろいろな意味を持った「黒」

今回の歌を深く味わうためのポイント
「色」から連想される多様なイメージ・意味が
歌の世界をより深めてくれる

▪書の姿形 言葉を具現化するのが書道家
文字は言葉を目に見える形で表したもの

文字からいただいたものを誰かにつなぐ?
Communicationのツール
いい書は「心が動く」+「語れる」
方代と飲みたい

いい歌とは❓
自己完結している歌はあまりおもしろくない
みんなの盛り上がりが出る歌はすごく良い

武田双雲さんによる揮毫(きごう)「黒」⇩























黒を入れていく覚悟
ただのきれい事だけじゃない覚悟
「方代ワールド」に寄っていった

佐佐木定綱
黒は柔らかさと力強さ両方持っている

佐佐木定綱さんからの宿題
題「黒」で歌を詠んでください
透明の水が硯(すずり)に落とされて墨をすりすりじわじわ黒へ
武田双雲

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