2025年8月22日金曜日

あの人に会いたい 半藤一利

剣山レンゲショウマの咲き始む

膨らんだつぼみ彩る剣山

木漏れ日を浴びて斜面で秋を咲く

甘き香レンゲショウマの俯かん

受け継がんレンゲショウマの伝統よ

 

■あの人に会いたい 半藤一利(作家)

作家 半藤一利 1930-2021(令和3)年 90歳没

 

「なぜこんな国になっちゃったのか」となぜこんな

無残な戦争をやって日本中焼け野原にして全面降伏

なんてことになったのか 本当に考えても分からねぇ

 

昭和史というだけでものすごい教訓に満ちているんですよ

きちっとした教訓を選び出してつかみ取ってこないと

この国は目標を失ったままどこに行っちゃうか分からない

 

14歳の時 東京大空襲(1945)昭和20年3月10日経験

飛び起きましたとき表へ出たら深川の方が南の方が一面

火の海でした 火がもうガンガン押してくるわけです

火のない方へ逃げていきますと中川という今でも川が

流れておりますが平井橋という橋があります 沢山の人が

そこに集まりました 大丈夫と思っていたらとんでもない話です

バァ~と火がまた もうあっという間にそこにかぶって来まして

川に飛び込めないさりとてどうしようもないという女の方なんか

赤ちゃんを抱いてうずくまっているんです 「飛び込め 飛び込め」

とどなってるんですが飛び込めないんです それが随分いましたけど

そこに火がバァ~っとかぶると ファ~とまるで炭俵が燃えるように

人間の体がバァ~ッと燃えました

 

肝に銘じたこと

「世の中に絶対というものはない」とか「絶対に人を殺さない」とか

「絶対に日本は勝つ」とか そういうたくさんの絶対がまわりに

山ほどあったわけです あの当時 絶対信仰みたいな ですから

そういうものはウソだと これからは「絶対なんてことはない」と

 

東大卒業後出版社で編集者に そこで会ったのが

小説家 坂口安吾(19061955) そこで教えられたのは

安吾さん一流の「歴史探偵術」というやつを私に教えてくれたんです

例えば「大化の改新」ということが歴史にあると あれは「大化の改新」

とおいふうに書かれているがよく読むとあれはクーデターなんだと

こういう見方をしなきゃいけないって具体的に教えてくれるんですよ

歴史というのはそういう文献と文献の間に何かおかしいものが必ずある

その時そこにはしっかりとした推理を探偵をする必要があるんだと

目からウロコが落ちたというのはよく言いますけど なるほど

歴史は面白いと

 

「日本で一番長い日」文藝春秋 昭和388月号

~いま語り継ぐ戦争体験~(2010)

戦争を起こすのは簡単なんですよ しかしこれを止めるということは

もうとんでもない大事業だと並大抵のことでは戦争は終わりませんから

 

「ノモンハンの夏」ノモンハン事件昭和14(1939)

このとき もし日本陸軍がこの完敗を正しく認めて正しく分析して

反省してそしてどうすべきかということを本気で考えたなら

太平洋戦争への道はあんなにあっさりとサッと行かなかったと思いますね

これは日本人の通弊(つうへい)なんでしょうね 秀才どもの

秀才が一つの組織を作りますと何か不思議にみんなが同じ倫理と

同じ心情で動き出すんです ですから現実というものを本当の

リアリズムというのを無視して何か自分たちが思った空想の世界

根拠なき確信と言いますか それで「大丈夫」と

進んでいっちゃうわけですね

 

女子大生50人いたんですが 昭和という時代に日本は戦争してたと

そのとき 日本と戦争をしていなかった国を次の中から挙げて下さいと

Aアメリカ Bドイツ Cカナダ Dオーストラリア豪州ですね

そういうふうに4つ挙げたんです それで答えてもらいました

恐れるなかれというか唖然としたというか アメリカを

戦争していない方に丸を付けた人が10何人いたんですよ

本当にビックリしました ここまで日本の歴史を自分たちの

生きている時代を全く知らない人たちが育ってきたのかと

 

「私の戦後70年談話」

日本の国というのは守れない国なんですよ 北海道から沖縄まで

すごい海岸線なんです 私たち国民は岸辺にだけ住んでいるんです

原発が全部海岸線にあるんです 54基もあるんです これで

どうするんですか 狙われたら防げませんよ しかも放射能が

一気に出てきますよ 私たちのリアリズムは「この国は

守れないんだから外交力とか文化力を発揮して何とかこれを

戦争にもっていかないようにしなければダメなんだ」ということを

きちっと認識しなきゃいけないんです 外交の力というのが

いちばん大事なんです 

 

東日本大震災(2011)福島第一原発

「原子力神話」という「原発神話」という言葉がありますけど

まさに神話というのは考えによっては底知れない無責任という

言葉の代名詞だと思います 殻の中に集まったエリートの

人たちというのは本当に自分たちの世界でしか通用しない考えで

あらゆることを計画しあらゆることを遂行していくんですね

本当に今までのあんた方が考えているような楽観的な物の見方

考え方でこの日本の国の平安と無事と繁栄を維持して行けるんですか

ということを突き付けられたと思うんですよね

 

 

国家目標というものをもう一遍自分たちできちっと

立てなきゃダメですよ それで「政府に任せとけば」なんて

思ってますとダメですよ そんなものは 国民がみんなして

「どういう国をこれから作っていくのか」ということを

本気になってみんな考えなきゃダメだと思うんです

 

「焼けあとのちかい」半藤一利・文 塚本やすし・絵 大月書店

「戦争は絶対にはじめてはいけない」

 

教育によって国というものは立つ 

経済によっては立たない

教育によって立つのだから今からでもまだ間に合う

0 件のコメント:

コメントを投稿