2025年8月27日水曜日

100分de名著 サン=テグジュペリ❝人間の大地❞③

一昼夜サイレン響く盆休み

精霊花あなた好みの花はなく

独りよがりを好む人をり秋思

秋暑し強きに媚びる人のをり

流れ星デフォルトモード下りてこい

 

100de名著 サン=テグジュペリ❝人間の大地❞③砂漠に落っこちる

野崎歓 伊集院光 阿部みちこ

 

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(19001944)

1900 フランス・リヨンの伯爵家に長男として生まれる

1903 ライト兄弟初飛行

1912 初めて飛行機に乗る

1914 第一次世界大戦勃発

1921 兵役 飛行士を志願するも地上勤務 自費で民間の飛行免許取得

1926 ラテコエール郵便航空会社に採用

1931 「夜間飛行」

1932 破産状態だった郵便航空会社を退社

1939 「人間の大地」

1940 アメリカに逃亡

1943 「星の王子さま(ちいさな王子)

1944 地中海で偵察飛行中に消息を絶つ

 

大変な浪費家で金銭感覚がなかった

193515万フランの賞金が懸かったパリ~サイゴン間の長距離飛行に挑戦

不時着して夜

自分を憐れんで泣いているわけじゃないからな

そう、そう、それが耐えられないのだ。

待ってくれている人々の目を思い浮かべるたびに、

焼けつくような焦燥を覚える。

立ち上がってまっすぐ、前に駈け出していきたい衝動に駆られる。

彼方では人々は助けを求めて叫んでいる。船が難破しているのだ!

沈黙の一刻一刻が、私の愛する人たちをじわじわと殺していく。

そう思うとわたしの中には大きな怒りが広がり出す。

待っていてくれ!…すぐいく!…すぐ行く!

われわれこそが救助隊だ!

サン=テグジュペリ「人間の大地」野崎歓訳 ⑦砂漠の中心で より

 

先輩飛行士ギヨメのエピソード

先輩飛行士の経験がサン=テグジュペリに受け継がれている

捜索隊が探すには2週間かかる

人間は水を飲まないと3日しかもたない

 

あの動物たちは砂漠で何を食べて生きているのだろう?

あれはおそらく「フェネック」あるいは砂漠のキツネだ。

ウサギ程度の小型の肉食獣で大きな耳がついている。

好奇心に勝てずにその一匹の足跡を追ってみる。

扇状に広がった三本の指が形作る、かわいらしいシュロの

葉のような足跡に見とれてしまう。

そうやって奇妙な喜びを覚えながら彼らの朝の散歩に参加する。

生命の痕跡にわくわくする。喉が渇いていることも

少しばかり忘れてしまう…。

ここでわたしは大いなる自然の神秘に直面する。

もし手当たり次第に腹を見たしてしまったら、

カタツムリはいなくなる。

カタツムリがいなくなれば、フェネックもいなくなるだろう。

足跡をたどるうち最初の巣穴に戻る。

フェネックはそこに潜んでいて、わたしの足音に怯えながら

聞き耳を立てているのかもしれない。

わたしはフェネックに語りかける。

「小さなキツネくん、ぼくはもうおしまいだ。

でもおかしなことに、きみのご機嫌はどうかなと、

興味を持たずにはいられないんだ…」

 

生存の危機なのにフェネックの足跡を調査!

何もない場所だからこそ生き物からギリギリの知識を教えて貰っている

赴任したキャップ・ジュビーの基地でフェネックを飼っていた

妹宛ての手紙に書いている(1928)

「星の王子さま」の中ではキツネが王子様の友だちになる

「大切なものは目に見えない」キツネの言葉

砂漠に順応しているフェネックの姿から相対的な価値観を強めていった

3日を心から生きれば30年と等しい時間になる

「呼びかける人」としてのサン=テグジュペリ

 

そうだ、引き返そう。でもまずほかの人間たちに呼びかけてみよう。

「おーい!」いやはや、この惑星には人間が住んでいるはずなんだが…。

「おーい!人間!…」

さらば、わたしが愛したみんな。

きみたちを苦しませること以外には、何の後悔もない。

結局のところ、すばらしく幸運だった。

もし生きて戻れたら、また同じことを繰り返すだろう。

人間の仕事をし、人間の苦労を知る。

風、星、夜、砂、海を相手にする。

人間の仕事をし、人間の苦労を知る。

風、星、夜、砂、海を相手にする。

自然の力と駆け引きをする。

勝負をして、負けた。この仕事にはつきものだ。

でもともかく、わたしは胸いっぱい吸い込んだのだ、海に吹く風を。

それを一度でも味わった者は、その糧を決して忘れない。

そうだろう、わが仲間たちよ?自分が何を愛しているのかはわかっている。

それは生きることなのだ。

 

「おーい!人間!」

「人間の仕事」に砂漠で目覚めた

「ニーチェを抱えていく」哲学者ニーチェの言葉「わたしは飛ぶ」

わが兄弟よ、わたしはあなたがたに切願する。大地に中絶であれ

「ツァラトゥストラはこう言った」氷上英廣訳

超人思想 具体化されているのが飛行機乗りたち

 

砂漠、それはわたしだ。もう唾液は出なくなったし、それを想って

うめくような甘い幻影を思い描くことももはやなくなった。

太陽はわたしの涙の泉を干上がらせた。

それなのに、わたしは何を見たのだろう。

希望の風が、海の上を吹く疾風のようにわたしの上を吹いていった。

 

その姿がわたしには神のように見える…。奇跡だ…。

彼は砂の上を、われわれに向かって歩いてくる。

海を渡る神のように…。われわれを救ってくれたリビアのベドウィンよ、

それなのにきみは、わたしの記憶から永遠に消え去るだろう。

きみの顔を思い出すことは決してないだろう。

きみは「人間」であり、わたしの前に同時にありとあらゆる人間の顔で現れる。

きみは顔をまじまじと見たりするまでもなく、すぐに我々を認めてくれた。

きみは最愛の兄弟だ。そしてわたしもまた、

あらゆる人間の内に君を認めるだろう。

私のあらゆる友、あらゆる敵が、きみを通してこちらに歩み寄る。

するとわたしにはみはや、この世に一人の敵もいなくなる。

 

ベドウィンの顔を忘れてしまう理由

個人を超えた「人間」への信頼を吹き込んでくれた

「人間」Hommes と表記されている

砂漠でこそ得られた宗教 信仰

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