2025年8月16日土曜日

夏の他流試合「白米」&星野真里&俵万智

画面から消えぬ警報盆の月

秋の雨道なき道の高き波

家屋浸水車流され秋黴雨(ついり)

秋霖や爪痕残し過ぎ去らん

乾田の稲水浸し青き空

 

■プレバト 2025814

俳句 夏の他流試合スペシャル

 

夏井選抜天才キッズVS.名人・特待生

白米で一句

第一試合

あおいさん ほうたるや田んぼの米はまだたまご

千原ジュニア 東京を金継ぎ夜半の稲光

推敲(稲光:秋の季語)

東京を金継ぎ夜半を走る雷光

 

第二試合

かりんさん 秋澄むや森の匂ひの竈飯(かまどめし)

(秋澄むや:季語)

蓮見翔 窓外は台風炊飯器の蒸気

(台風:秋の季語 破調の句)

この二句は短所をひっくるめた魅力

 

第三試合

なみきさん 炊飯器湯気ファソラシド薄暑光

(薄暑光:薄暑は初夏の日差しを表す 秋の季語で決めて欲しかった

 季語が動く 他の季節の季語でも成立すること)

梅沢富美男 新米の湯気こんもり仏飯器

(湯気に着目した句 新米:季語)

 

第四試合

けいたさん 雲のみね塩おにぎりに指のかげ

(雲の峰:夏の季語 そびえ立つ積乱雲を表す

 書かれていない情報がよく見える

白の中にある繊細な陰影 心の行き届いた表記)

中田喜子 白飯に赤酢を合わせ江戸の秋

(テクニックの入った俳句 江戸前寿司は赤シャリですよ

「知ってます」が出ている)

 

■星野真里さんのInstagramの短歌

雷鳴のごとき言葉をかき分けて静寂を知る あなたのとなり

月下美人 夜の十一時を過ぎて母と香りをしばし味わう

指に、腕に、アンパンマンの痒み止めシールはりつつ地球を生きる

ふと香る金木犀が君だから秋はどうしたって恋をする

秋雨ののちの朝陽のこんなにもゆたか 堂々負けてきなさい

8階の窓の向こうの青空と木々に流れる十月の風

「大好き!」の君の言葉が痛くってボディーブローで応戦してる

産声はティンパニ光も影もみな歌いはじめる舞台の上で

老いてゆく 私が一秒一秒と生きるを選び続けてるから

マイクへと吸い込まれゆく我が声にエールをのせるわたしのために

とろとろとまばたきをするめいちゃんの奥のなずきのやわらかきこと

応援する烏合の中にいる我の声にかさなれパステルカラー

憧れの人が永遠なる憧れとなる冬の日の空遠すぎる

五線譜に月を描けば聴こえくる地球に降りたつ前のメロディ

 

■俵万智女史がXに投稿された短歌

海の日の短歌

はじめての波はじめての白い砂はじめての風はじめての海

ぼくの見た海は青くなかったと折り紙の青持ちて言うなり

「さざやかな風」と言い張るおさなごと甲板にいる、さざやかな風

シュノーケリングした日は思う人間は地球の上半分の生き物

 

「勝ち負けの問題じゃない」と諭されぬ問題じゃないなら勝たせてほしい

朝日新聞デジタル 2024915日掲載

 

「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ

振り向かぬ子を見送りぬ振り向いたときに振る手を用意しながら

母は母、マザーはマザーでいいのにねしんぐるしんぐる銀杏ふる道

 

歌集『アボカドの種」

父に出す食後の白湯をかき混ぜて味見してから持ってゆく母

「楽しくじゃなくて正しく弾くんだね」子に見抜かれる私のピアノ

シャルドネの味を教えてくれたひと今も私はシャルドネが好き

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