過去未来繋ぐ大屋根秋の空
知識活かさず読まない空気残暑
感性なき独りよがり秋暑
秋の雲貫工法の大屋根を
戦争の犠牲は庶民星月夜
■NHK俳句 兼題「音・声」
選者:岸本尚毅 レギュラー:紅甘(ぐあま) 司会:柴田英嗣
年間テーマ「描写の工夫」今週のテーマ「音を描写する」
・俳句のタネ育てましょう!
滝を背に木は無音で揺れる
自由律俳句としてはほぼ完成 滝 夏の季語
推敲⇩
滝を背に木が揺れてゐる無音かな ⇩
滝の木々揺れてゐて音なかりけり ⇩
滝の木々揺れながら音なかりけり
音の描写のポイント
滝の音の大きさを「木々の音が聞こえない」という別の視点で表現
「揺れながら音なかりけり」とすることで
読者に音のない情景を想像させる
・名句に学ぶ 音の描写
団栗の葎(むぐら)に落ちてくゞる音 鈴木花蓑
(葎(むぐら)生い茂ってやぶのようになる つる草や雑草)
・今週の特選句 兼題「音・声」
(目ばっかり使って俳句を作っている 時には耳も使ってみましょう)
一席 絡み合ふ海猫(ごめ)の声なり碇投ぐ 板倉富士夫
二席 足音に我が名呼ぶ母秋の昼 野澤均
三席 風鈴にあはせて鳴くや老いし犬 東島(とうしま)雄二
音鉄の斜め被(かぶ)りの夏帽子 猪岡義弘
(音鉄:鉄道を音で楽しむファン)
酔うて寝て目覚む秋の夜音の無く 加藤武彦
しーんという音のある山星涼し 岩田くみこ
秋立つや尺八の音の這ふやうに 浅野伸也
私 背を向けし雌蟷螂(めすかまきり)の咀嚼音 益永洋
(かりかりと蟷螂蜂(とうろうはち)のかほを食む 山口誓子
喜雨に聴く缶と盥(たらい)と子の声と 團(だん)俊晴
・「見どころあり!」の一句
蚊帳揺れて水の声聞く午前四時 アメリカ 平野光音座
(蚊帳:夏の季語)推敲⇩
蚊帳揺れて水の声聞く夜明けかな⇩
(擬人法は美し過ぎてこの部分だけが目立つ)
蚊帳揺れて水の音聞く夜明けかな
・はみだせ!教室俳句
愛媛県伊方町立九町小学校
藤原かよ先生
俳句は生徒にとっては生活の記録
一番心に残っているものを具体的に思い出させて俳句を詠ませる
ポイント 具体的な質問で記憶を掘り下げる
自分だけの気づきを俳句のタネにすることでより鮮明な描写に
十三羽フェンスに広がる寒すずめ 三年生
あなただけの気づきを十七音に
俳句は言葉の写真
・紅甘のつぶやき
まいにち聞いてる腹の声
■NHK短歌 テーマ「デザート」
選者:荻原裕幸 ゲスト:暮田真名(くれだまな) 司会:ヒコロヒー
年間テーマ「短歌は時代の波に乗って」
ネロのごとわれを見おろす誕生日卓のケーキの上の大火事
荻原裕幸
ネロ 【Nero Claudius Caesar】ローマ皇帝 第5代皇帝
・入選九首 テーマ「デザート」
半額のシュークリームよ生き抜いてわたしの中でお眠りなさい
髙山准
勝った日はピノを食べると決めてからカープ連敗街道に入る
中村美夏
チョコレートパフェあとはあなたが死なないでいてくれたならそれだけでいい
小鳥遊湖々
三席 市役所に置かれた火焔(えん)土器すごくパフェを盛りたいそして食べたい
三月とあ
一席 今日は一日世界を呪った分量と釣り合うように選ぶデザート
丸山るみ
孫らきて一緒に食べるチョコ羊羹ようかんで食べなと言いて笑わす
坂部さち
お昼にメロンパンたべたいメロンパンたべたいメロンパンたべたい
ゆっくんがあらわれた
二席 品川で舟和のようかん買えましたあと少しだけお待ちください
安井武昌
もし僕がばいきんまんならライバルのアンパンマンの貌(かお)はデザート
藤田晋一
・荻原流 詠み方指南
目の前にあるものを題材に詠む
目に前にあるものを観察したり
それにまつわる自分の記憶を掘り起こして作品を書いていく
西瓜の縞は黒ではなくて濃い緑ですと言はれてはじめて気づく
荻原裕幸
・暮田真名さんの短歌
ゼラチンでできた小鳥をもてあますゼラチンでできた小鳥のお皿
暮田真名
(「豆腐メンタル」という言葉があるので意外性が少ないと思って
見たままを作品に詠んだ)
短歌と川柳は似たところがあると言われる 荻原
俳句は自然を相手に書いている 川柳は人を相手にした詩型
短歌は和歌の時代に遡ると神様が相手 最近の短歌は人に向けて
書かれているものが多い 人間がお客さんの詩型であるということは
共通していると思う 暮田真名
題材が自分に似合っているかを考えて作ることはありますか? 暮田真名
以前はかっこよく詠める題材を探していましたが、今は自分に
似合わない題材を出してもらうほうが これまで書かなかった
世界が書けるので 今はその方が楽しいと思えるようになった
やりたいと思ったことに自分が合わせにいくタイプ
似合う似合わないは自分次第 ヒコロヒー
川柳を書く時は自分と関係ない言葉を持ってくることが多い 暮田真名
自分に関係のあることしか書けないというのが不自由に感じた 暮田真名
作り手の距離感ではないかと ヒコロヒー
・ことばのバトン
通りゃんせ呼べばうしろの百鬼夜行
相田一成(妖怪イベント企画)
⇩
幸せ運ぶ妖怪いずこ
竹居秀子(さいたま教育委員会 教育長)
そうめんと同じきもちになりたくてスライダーから流れてみたよ
小学3年生
給食の時だけ見えるみんなの顔やっとみられる笑顔のしゅん間
小学5年生(コロナ禍)
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