2025年8月19日火曜日

100分de名著❝人間の大地❞②&おしゃべり俳句⑭

月影を追う桂離宮の十三夜

長野から奄美めがけて鷹渡る

ポーランド黄金に染めた紅葉かな

空高く夕日と紅葉呼応せり

サシバ落つ跳んだかえるを捕えけり

 

100de名著 

サン=テグジュペリ❝人間の大地❞②惑星視点で見る

野崎歓 伊集院光 阿部みちこ

 

「人間の大地」原題Terre des hommes

地球・土地・大地 

「人間の大地」構成

   定期路線

   仲間たち

   飛行機

   飛行機と惑星

   オアシス

   砂漠の中で

   砂漠の中心で

   人間たち

 

そのときから、惑星のあいだで

宇宙空間をさまよっているような気分になった。

近づくことのできない百もの星々のただなかで、

唯一の本当の星、われわれの星、

なじみのある風景や大切な家や愛情がそこにだけ保たれている、

 

サン=テグジュペリ人間の大地」野崎歓訳

ただ一つの星を求めて飛び続けた。

私にとって生きる喜びは、その香ばしくやけどしそうに

熱い最初の一口のうちに、牛乳とコーヒーと小麦の

渾然(混然)一体のうちに集約されていた。

われわれはそれを通して、なごやかな牧場や、

エキゾチックな大農園や、刈り入れ時の麦畑と結ばれ、

大地のすべてと結ばれるのだ。

これほどたくさんある星のうち、われわれに寄り添って、

その香り高い夜明けの食事を用意してくれる星はたった一つしかない。

 

吹きさらし状態 おそろしく体が冷える

 

離陸してしまえば、水飼い場や家畜小屋のほうに曲がったり、

町から町へと蛇行したりする道とはおさらばだ。
慣れ親しんできた束縛から解かれ、泉の必要性から解放されて、

はるか彼方の目的地へ進路を取る。
そのとき初めて、直線的軌道の高みから、本当の地盤を発見する。

土台となっているのは岩石、砂、塩であり、生命は廃墟の
空洞に生えるわずかばかりの苔のように、そこここにかろうじて
花を咲かせているにすぎない。

そうやってわれわれは、人間を宇宙的尺度で判断し、

実験器具をのぞくようにして舷窓(げんそう)越しに人間を観察する。

自分たちの歴史を読み直すのだ。

 

道路は人々をだましてきた!

人間の文明はほんの小さな領域

道具が変われば見えてくるものは変わる

不帰順地帯 

西欧と政治的な葛藤があると同時に

砂漠は人間の世界と切り離された所でもある

 

私は限りなく無垢な砂地を踏みしめていた。この貝殻の砂を

貴重な砂金のように手から手へとこぼれされた最初の人間。

ここの沈黙を乱した最初の人間。それはわたしだった。

この真っ白な地面は何十万年も前から、星々にだけ

捧げられてきたのだと思った。

リンゴの木の下に広げたテーブルクロスに落ちてくるのはリンゴだけだ。

星々の下に広げられたテーブルクロスに落ちてくるのは星のかけらだけだ。

いまだかつてどんな隕石も、自分がどこから落ちてきたのかを

これほど明確に示してみせたことはなかった。

私はごく自然に、この天空のリンゴの木からはほかにも

リンゴが落ちてきたにちがいないと考えた。

目を覚ましたとき、目に入ったのは夜空の水面だけだった。

なぜなら丘の頂上で腕を左右に広げ、星々の生簀と相対して

横たわっていたからだ。その深みがどれほどのものかを

まだ理解できないまま、わたしはめまいに襲われた。

その深みと自分のあいだにはしがみつくべき根っこも、屋根も、

木の枝もない。わたしはたちまち解き放たれ、

潜水夫のように空に落ちていった。だが、落ちてなどいなかった。

自分がうなじからかかとまで、大地に縛り付けられているのがわかった。

大地に体重をゆだねていると一種の安らぎを覚えた。

重力は愛のように至上のものであると思えた。大地がわたしの腰を支え

助け起こし、夜の空間の中を運んで行くのが感じられた。

カーブを切るときに圧力がかかって車体に押し付けられるのと同じく、

自分が地球に押しつけられているのに気がついた。そうやって

支えてもらう事のすばらしさ、安定感と安心を味わい、体の下に

自分の乗っている船の甲板の丸みを感じ取った。

 

前人未到の地に降り立つ

一種の啓示の瞬間

宇宙の星々と大地の間に自分がいて意識を持っている

自分を確認する経験

 

映画「ゼロ・グラビティ(原題Gravity)(2013)

無重力の宇宙空間に取り残された宇宙飛行士が地球への帰還を目指す

地球という船 世界の人々は同じ船に乗っている仲間

重力は心の中にもある 子どもの頃の思い出が湧き上がってくる

幸せな幼年時代が引力を持ち自分の居場所を確認させてくれる

 

飛行機のもう一つの奇跡とは、それが直接、

神秘のただなかに降下させてくれることである。

いま彼女たちはナプキンを広げて、横目で慎重に私を観察し、

仲間の動物たちの一員に、加えるべきかどうか思案していた。

ほかにも、イグアナ、マングース、キツネ、猿、そして

蜜蜂がいたからだ。それらがみんな一緒に、実に仲睦まじく
暮らし、新たな地上の楽園を作り上げられていた。

 

飛行機が導く不思議な場所 楽園のイメージ

お姉さんたちの少女時代も重ねられている?

食卓の下をマムシが通っていった

相部屋になったのが映画監督ジャン・ルノワール

映画化アイデアの中心となるのがこの少女たちのエピソード

 

■夏井いつき俳句チャンネル

【第14回おしゃべり俳句】組長が気になる句を紹介!

 

初夏や団子虫は目がかわいい   きこちゃん 4

山笑うたべないでなめるだけにして   くろころ 2

「あっ!ゆきちゃんの素敵な葉っぱ」猫じゃらし   ゆきの 4

チューリップママベビーカー押してあげる   アニマルヘム猫 5

霜焼や靴下の砂は宝物   すがわらよしはる 4

ぎゅぎゅぎゅっと充電させて浅き春   みくり 5

人ってさ慣れるもんだね冬始め   みじゅはもう9

風たべてつよくなれるよ冬木立   琥鉄 5

一年生「い」のつく言葉「いにちをなんだとおもっている」 みなと 6 

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