2025年7月7日月曜日

兼題「氷水」&テーマ「道」

苔生()す庭に二輪の桔梗谷の水

岩桔梗持ちつ持たれつガラス瓶

どくだみや青磁で香を惜しげなく

凛としてどくだみの咲く日陰かな

夏の月逆転しない正義とは

 

NHK俳句 兼題「氷水」

選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣

年間テーマ「俳句のコリをほぐします」

 

今週は文語・口語

文語:古代から近代までの文章における日本語の書き言葉

口語:古代から現代までの話し言葉

 

文語調 文語調の句 文語が多めの俳句 

格調がうまれる 余韻や間が感じられる 

言葉が減ることでより多くの情報を盛り込める場合も

   子燕のこぼれむばかりこぼれざる   小澤實

口語調

燕の子こぼれそうでもこぼれない

 

口語調 口語調の句 口語が多めの俳句

   コンビニのおでんが好きで星きれい   神野紗希

文語調

コンビニのおでん好めり星清し

口語の効果

親しみやすく 共感を呼びやすい 耳に自然に入ってくる

 

文語・口語どちらを使うかは優劣ない

ツボポイント

自分の表現に合わせて文語や口語を選ぶ

口語調の句は昔からある

 

口語調+文語調

   いまきたといはぬばかりの燕かな   長之

口語 作者と燕の近さ・瞬間性

文語 一歩引いたような距離感

自分で読んでみるのが一番 句の響きと余韻を考慮する

 

口語調 口語調はさまざまな声を使うことができる

   戦争が廊下の奥に立つてゐた   渡邊白泉

 

「ねえ今日が立冬だったんですね」「うん」   阿部青鞋(せいや)

口語をいかすと そのまま会話文を入れることができる

 

実践

・シチュエーションは屋内

・心に浮かんだことを話し言葉で五・七か七・五の形で書く

・できるだけ季語は入れない

 

季語「かき氷」

 

柴田

ネクタイを緩めたくなったかき氷💮

かき氷なんだかんだでハラ減った💮

かき氷あと10分で終わります

 

庄司

かき氷替えの靴下が見つからない

ハミガキを5分もしてるかき氷

小説のページ折れてた…かき氷⇨かき氷小説のページ折れてた…

 

今週の兼題「氷水」

惑星を丸ごと愛す氷水   つちやよしふみ

大盛りの湯気が出さうなかき氷   野村直輝

友達のままでいましょう氷水   柿彦(不可能であることを氷水で示唆)

かき氷みづのかたちをもてあそぶ   岡一夏

かき氷食む婆様の幼顔   荒木信夫

かき氷くちやくちや食べてきつと詐欺師   川畑英里花

 

柴田・庄司の歩み

「文語も口語も試してみよう」「うん」   しばた

「話し言葉でもいいってよ」「サイコ~‼」   庄司

 

NHK短歌 テーマ「道」

選者:横山未来子 レギュラー:菊池銀河と横田真子 司会:ヒコロヒー

年間テーマ「三十一音が扉を開く」

 

太陽は真うへに移りひと粒の葡萄のうちに張りつむるみづ

横山未来子「午後の蝶」

 

ゆうやみを白描来たり舗道から足を剥がしてまた貼るように

吉川宏志「雪の偶然」

色や形や動きを表現すると読む人もイメージを共有できる歌になる

 

灯さずにゐる室内に雷(らい)させば雷が彫りたる一瞬の壜(びん)

小原奈美「声影記」

一瞬の発見をとらえた歌

 

草花の一枝を枕元に置いて、それを正直に写生して居ると、

造化の秘密が段々分つて来るやうなきがする。

正岡子規「病牀六尺」

 

横山先生へ 

声が小さすぎてほとんど聞こえません。

もう少し、否、もっと大きくしゃべって貰えませんか❓

 

・入選六首 テーマ「道」

杖つきておもてに出れば目の前に風のみちあり蝶になりたし

山口範子

新雪の広がる朝に人間の重さの跡が駅へと延びる

新井正記

半分に分かれた鳩に譲られる道今だけはモーセとなって

藤原ほとり

一席 農道を歩けが今も草笛の震えを忘れていないくちびる

西鎮(さいちん)

真夜中の道路工事の人たちに安心をもらい眠る日もある

全美(ぜんみ)

次々と店が変わってゆく道で君の横顔だけが消えない

檜澤(ひざわ)さくら

 

・歌人への道

目的と違う場所へと辿り着く君は寄り道のプロフェッショナル

菊池銀河(添削)

海の香へリードを引いて走りゆく君は寄り道のプロフェッショナル

歌人への道ポイント① 具体的な情景を入れる

         ② 「君」が犬とわかるようにする

 

日が沈み道路に流るる天の川俯(うつむ)く我の心を照らす

横田真子(添削)

午後九時の道路に流るる天の川俯(うつむ)く我の心を照らす

歌人への道ポイント① 動詞は3つぐらいまで

 

行先に何が待つのかわからぬが心惹かれる緑の道へ

横田真子

行先に何が待つのかわからぬが若葉の揺れる道へ踏みだす

 

・ことばのバトン

何度も再生するラストラン

宇佐美綾香(日本大学芸術学部文芸学科 日芸短歌会 会長)

まだやれる明け三日月に言ってみる

金親幹彦(鉄道会社 車掌)

心情を伝えるには肉声でないと伝わらない部分も多くあるのでは

始発電車 まだ暗い薄明の中 三日月が見えることがあります

この日57歳のお誕生日だった金親さま 

まだまだやれること残っているのかな という思いを詠まれたそうです。

はい、まだまだやれますよ…。期待しています…。 

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