苔生(む)す庭に二輪の桔梗谷の水
岩桔梗持ちつ持たれつガラス瓶
どくだみや青磁で香を惜しげなく
凛としてどくだみの咲く日陰かな
夏の月逆転しない正義とは
■NHK俳句 兼題「氷水」
選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣
年間テーマ「俳句のコリをほぐします」
今週は文語・口語
文語:古代から近代までの文章における日本語の書き言葉
口語:古代から現代までの話し言葉
文語調 文語調の句 文語が多めの俳句
格調がうまれる 余韻や間が感じられる
言葉が減ることでより多くの情報を盛り込める場合も
①
子燕のこぼれむばかりこぼれざる 小澤實
口語調
燕の子こぼれそうでもこぼれない
口語調 口語調の句 口語が多めの俳句
②
コンビニのおでんが好きで星きれい 神野紗希
文語調
コンビニのおでん好めり星清し
口語の効果
親しみやすく 共感を呼びやすい 耳に自然に入ってくる
文語・口語どちらを使うかは優劣ない
ツボポイント
自分の表現に合わせて文語や口語を選ぶ
口語調の句は昔からある
口語調+文語調
③
いまきたといはぬばかりの燕かな 長之
口語 作者と燕の近さ・瞬間性
文語 一歩引いたような距離感
自分で読んでみるのが一番 句の響きと余韻を考慮する
口語調 口語調はさまざまな声を使うことができる
④
戦争が廊下の奥に立つてゐた 渡邊白泉
「ねえ今日が立冬だったんですね」「うん」 阿部青鞋(せいや)
口語をいかすと そのまま会話文を入れることができる
実践
・シチュエーションは屋内
・心に浮かんだことを話し言葉で五・七か七・五の形で書く
・できるだけ季語は入れない
季語「かき氷」
柴田
ネクタイを緩めたくなったかき氷💮
かき氷なんだかんだでハラ減った💮
かき氷あと10分で終わります
庄司
かき氷替えの靴下が見つからない
ハミガキを5分もしてるかき氷
小説のページ折れてた…かき氷⇨かき氷小説のページ折れてた…
今週の兼題「氷水」
惑星を丸ごと愛す氷水 つちやよしふみ
大盛りの湯気が出さうなかき氷 野村直輝
友達のままでいましょう氷水 柿彦(不可能であることを氷水で示唆)
かき氷みづのかたちをもてあそぶ 岡一夏
かき氷食む婆様の幼顔 荒木信夫
かき氷くちやくちや食べてきつと詐欺師 川畑英里花
柴田・庄司の歩み
「文語も口語も試してみよう」「うん」 しばた
「話し言葉でもいいってよ」「サイコ~‼」 庄司
■NHK短歌 テーマ「道」
選者:横山未来子 レギュラー:菊池銀河と横田真子 司会:ヒコロヒー
年間テーマ「三十一音が扉を開く」
太陽は真うへに移りひと粒の葡萄のうちに張りつむるみづ
横山未来子「午後の蝶」
ゆうやみを白描来たり舗道から足を剥がしてまた貼るように
吉川宏志「雪の偶然」
色や形や動きを表現すると読む人もイメージを共有できる歌になる
灯さずにゐる室内に雷(らい)させば雷が彫りたる一瞬の壜(びん)
小原奈美「声影記」
一瞬の発見をとらえた歌
草花の一枝を枕元に置いて、それを正直に写生して居ると、
造化の秘密が段々分つて来るやうなきがする。
正岡子規「病牀六尺」
横山先生へ
声が小さすぎてほとんど聞こえません。
もう少し、否、もっと大きくしゃべって貰えませんか❓
・入選六首 テーマ「道」
杖つきておもてに出れば目の前に風のみちあり蝶になりたし
山口範子
新雪の広がる朝に人間の重さの跡が駅へと延びる
新井正記
半分に分かれた鳩に譲られる道今だけはモーセとなって
藤原ほとり
一席 農道を歩けが今も草笛の震えを忘れていないくちびる
西鎮(さいちん)
真夜中の道路工事の人たちに安心をもらい眠る日もある
全美(ぜんみ)
次々と店が変わってゆく道で君の横顔だけが消えない
檜澤(ひざわ)さくら
・歌人への道
目的と違う場所へと辿り着く君は寄り道のプロフェッショナル
菊池銀河(添削)⇩
海の香へリードを引いて走りゆく君は寄り道のプロフェッショナル
歌人への道ポイント① 具体的な情景を入れる
② 「君」が犬とわかるようにする
日が沈み道路に流るる天の川俯(うつむ)く我の心を照らす
横田真子(添削)⇩
午後九時の道路に流るる天の川俯(うつむ)く我の心を照らす
歌人への道ポイント① 動詞は3つぐらいまで
行先に何が待つのかわからぬが心惹かれる緑の道へ
横田真子
行先に何が待つのかわからぬが若葉の揺れる道へ踏みだす
・ことばのバトン
何度も再生するラストラン
宇佐美綾香(日本大学芸術学部文芸学科 日芸短歌会 会長)
⇩
まだやれる明け三日月に言ってみる
金親幹彦(鉄道会社 車掌)
心情を伝えるには肉声でないと伝わらない部分も多くあるのでは
始発電車 まだ暗い薄明の中 三日月が見えることがあります
この日57歳のお誕生日だった金親さま
まだまだやれること残っているのかな という思いを詠まれたそうです。
はい、まだまだやれますよ…。期待しています…。
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