時超えて今年も咲かん大賀蓮
早朝の薄紅色の大賀蓮
朝開き昼には閉じん大賀蓮
もう二度と会わない人よ雲の峰
すれ違う人との別れ夏の月
■NHK俳句 兼題「滝」
選者:和田華凜 ゲスト:藪崎次郎(美術家) 司会 柴田英嗣
年間テーマ「季語からみるDNA」
「静謐寂然」(2025) 薮崎次郎
自然との共鳴を作品に込めた 一億ピクセルを描いた
「俳句は半空間芸術である」後藤比奈夫の言葉
絵画や写真が空間芸術というそれは見た瞬間に鑑賞できるもの
俳句は読み下ろす瞬間に数秒はかかる でも景色が見えてくることから
けっこう絵画的なもの それで半空間芸術という
俳句も自然の中に身を置いて五感で感じたことをフォーカスしていって
構図を決めてそれをことばで写生するという技法がある 和田
構図を決めるというのはまさに写真と同じですね 薮崎
自分の心の中にいちばん感じた部分をここだと切り取るんです
心のシャッターで写すというのが俳句のひとつの技法としてあるので
すごく通じるところが感じられた 和田
・名句鑑賞
瀧の上に水現れて落ちにけり 後藤夜半
後藤夜半は和田華凜先生の曽祖父にあたる方です
瀧落ちて群青世界とどろけり 水原秋櫻子
群青世界というのは水原秋櫻子の作った造語
・特選句発表 今週の兼題「滝」
滝壺や獣の白き骨眠る 三船悦子
月の夜はつきのひかりの女滝かな 梅田康恵
滝の前小さき人ら立ち尽くす 古川晴野
一本の燭(しょく)の奥なる滝行場 柏原才子(かしはらさいこ)
滝口の水力こぶ力こぶ 萩原豊彦
滝飛沫(しぶき)ヴァン・ヘイレンのかかる茶屋 仁和田永
一席 一点を空にあづけて滝の落つ 山田蹴人(しゅうと)
二席 裏見(うらみ)滝私のなかにいるわたし 丹羽口憲夫(にわぐちのりお)
三席 滝音の山を降(くだ)りて和紙の里 木曽武子(たけこ)
・薮崎次郎の一句
足つけてああ生き返る滝の水 薮崎次郎
⇩添削(三段切れを語順を変えて回避した 滝による命の再生を感じるような句)
滝の水に足つけて嗚呼(ああ)生き返る
・はみだせ!教室俳句
愛媛県 久万高原町立明神小学校
稲垣文 校長先生
ポイント
思いついた言葉のメモが俳句のタネになる
俳句で想いを認める
夏カレーまぜるおとちゃんしんぱい左手にぎる 二年生
ポイント
十七音で収まらない率直な感情を表現
磨き合う子の熱気乗せ春一番 稲垣文
・柴田の気づき
心のシャッターを切る
■NHK短歌 テーマ「宇宙」
選者:永田紅 ゲスト:伊与原新 司会:ヒコロヒー 司会:尾崎世界観
年間テーマ「❝理科のことば❞で羽ばたく」
伊与原新
「藍を継ぐ海」
各地に継承されている文化や自然に科学的な光を当てて描いてみた
「笑わぬ木瓜」吉原和子歌集(伊与原新氏のお母上の歌集)
短歌の中にも理科の言葉がよく出てこられるとか…。
永田紅
科学的な事柄が通奏低音のように物語に流れていて
切実な抒情性が引き出されている
「宇宙」が詠みこまれた歌
満月は空にのぼりて一日の体言止めのようなる白さ
永田紅
今日一日を静かに締めくくる体言止めのようなもの
・入選九首 テーマ「宇宙」
流星がたった二秒で友達の彼をあなたに変えてしまった
セト碧
UFOのファンに「存在せぬ」と答えれば「証拠をみせてみろ」と迫らる
白浜尚子
一席 私 存在は名付けて初めて現れる 恋だのブラックホールだの
水無月悠
(科学の本質をついている作品 見事に表現している
人間の発見は何かを探して見つけて分類して名付けて始まて世界を理解する
その過程が見事に表現してある 感動している 伊与原)
私 スタメンを初めて外れた日の夜更け冥王星の憂鬱を知る
前地碧
(冥王星が惑星から準惑星になった理由とスタメンを外された理由を重ね
格下げになった理由に同じ軌道に同じ大きさの惑星が沢山ある事がわかった
惑星には仲間がいっぱいいたのだった 伊与原
野球も九人九番目の惑星冥王星 永田)
いい意味で遠視の人が多いから地球惑星学科もいいよ
荒木久美子
(俯瞰してみる癖のついている人が多いよと言いたかったのでは?伊与原)
人間は宇宙と違って有限なのだから早く結婚しようよ
山本萌
二席 限りなく宇宙は膨張しているとお前は言うが割り勘だからな
松本淳一
(落ち着き方の落差が良い 永田)
三席 夜空って夜空だなあと思うときと宇宙だなあと思うときがある
守谷(もりたに)直紀
(余裕のある時とない時とでは見方が変わってくる)
七夕とアポロ月面着陸が「ランデブー」なる言葉を教えた
みまさかまどか
・❝理科の言葉❞ピックアップ テーマ「宇宙」
だれだって心の奥に触れられぬシュバルツシルト半径がある
立田渓
質量を持つ天体を小さくしていくとブラックホールが生まれる
これ以上小さくなるとブラックホールになるという限界の半径のこと
太陽だと半径3kmぐらい 地球の場合は半径1cmぐらい
伊与原
(科学用語は)独特の魅力がある言葉が多い 知ると使いたくなることが多い
自分の心と科学的な事象を重ねている 私は小説でよくやる 例えば
地球と月の関係を親と子に例える 理科の言葉を使うときは
最初から説明しない 五感などが小説の雰囲気を作るのに大事
知らない言葉でも想像して自分の中で言葉を育てる 尾崎
・私の❝理科のことば❞
❝We are
made of star-stuff❞「わたしたちはみな、星の子ども」
カール・セーガン
全部星から生まれた元素 人間中心主義からの脱出
stuff(物)を子どもと訳したことで生命感が吹き込まれた 永田
物質は循環している
大きな時間と空間のスケールで物は循環している
その中に一つ一つの命がある 伊与原
・伊与原新氏の一首
彗星はどこどこ小さき指を指す知らで君等もまた星の子と
伊与原新
宮古島でたまたまアトラス彗星が見えた
「本当は彗星と君たちだってつながっているんだよ」
といつか教えたいと思いながら詠んだ
今の空間だけでなく宇宙の成り立ちから子ども達が大きくなった未来
時間的広がりをすごく感じる 永田
信じられるものが少なくなっている 科学の確からしさが
片隅にあるだけで 希望や救いがある 化学は道標のような感じがする 伊与原
・ことばのバトン
よし元気100倍ほいたらね
西村雄正(土佐ことば指導 俳優)
⇩
未来へとすべての今を文(ふみ)に添え
小山将平(喫茶店オーナー 詩人)
1年後の自分に手紙が書ける喫茶店を経営
世の中はうたで溢れています
緑の中に春をあなたがみつけたとき
そこに確かにあるように
風の中に自由をあなたが見つけたとき
そこに確かに感じるように
ここにも そこにも うた
小山将平「うた」より一部抜粋
昔の自分が今の自分に贈ってくれた手紙のように感じられた
自分にあてて書く手紙なのですごく詩的になっているんじゃないか
新鮮な気持ちで受け止めてくれているんじゃないかな
(文は)ちょっと俯瞰して見れる自分の気持ちでもあるので
生きてきた証明でもありますから みんなもっと文 書いたらいいのに
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