2025年7月29日火曜日

兼題「虹」&テーマ「怖かったこと」

麗しき時代の記憶風炉点前

もんぺ穿きタンクトップで夏闊歩

夏痩せを夢見る少女走馬灯

愛込めたばいきんまんの遊ぶ夏

夏の月自分軸持ち生ききらん

 

NHK俳句 兼題「虹」

年間テーマは「語ろう!俳句」

選者:高野ムツオ ゲスト:三村陵霄 月野ぽぽな

中西アルノ 能町みね子 司会:柴田英嗣

 

   逢いにゆく故郷の虹に濡れながら   月野ぽぽな

自分の中の思いが募ってくると言葉がやって来る時がある

本人が言葉を語るのではなく言葉が語ってくれる

もともとの感性と言うか言葉を呼び寄せる感性がある

   すこーんと蹴とばしたのは青草と大虹   中西アルノ

この中にはなにも書いていないのに空の色が一番鮮やかに見えてくる

季重なりがエネルギッシュさを醸し出している

青草と大虹の色の組み合わせが融合しない感じがある

   放水にデモ隊が散る虹遺る   能町みね子

散る遺るという繰り返しの「る」で終わる終止形の形も魅力的

デモ隊自体はいなくなったけどその主張は概念として残りますという意味

   虹かかる終着駅のある山に   三村陵霄

終着駅と言うのは人生の最後に自分が暮らしたい場所

倒置法の表現の仕方が決まっている 一枚の絵になっている

整った句より勢いのある俳句の方がとられやすい

この句は強羅駅(ごうらえき)を詠んだ

   教室はすでに空っぽ虹の橋   高野ムツオ

だれもいなくなったむなしさと外にかかった

メルヘン的な虹の橋の取り合わせと言うのは面白いかなと 

自分でもよくわからないというのは俳句の面白いところ

 

・特選三席発表 兼題「虹」

一席 虹ですね綺麗ですねの一会(いちえ)かな   冬野志奈(とうのしな)

二席 虹と言ひ虹の方へと車椅子   雅喜

三席 夕虹が見えたイヤフォン外したら   千歳みち乃

 

特選六句 兼題「虹」

ミサイルの飛ぶ空にさへ虹立ちぬ   星野清風

何もなき日が虹の日となりにけり   桜鯛みわ

町中華出前は虹のむかふがは   はれまふよう

思春期をぼかしたやうな虹立ちぬ   亘航希

雲梯の向こうの虹へ手を伸ばす   木染湧水

乳せがむ子とふたりきり空に虹   升田陽子

 

参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/pYxpDK5OqY/

 

NHK短歌 テーマ「怖かったこと」

年間テーマ「“伝える”短歌 “伝わる”短歌」

選者:木下龍也 ゲスト:深津さくら 司会:尾崎世界観

 

・入選九首 テーマ「怖かったこと」

太陽についてる顔がずっと見てる私は直接見れないのに

多野電柱

俺を見ている俺が言う「俺を見ている俺がいるような気がする」

富尾大地

(トッペルゲンガー 自分自身の姿をした分身または幻覚として現れる存在)

出てくって言われた父は振り向かずWindows再起動何度も

三平(みつひら)

三席 レジ待ちのさなか背中をさすられて「がんばったね」と囁いてきた

トミト・モチメリ

一席 コロナ禍に産んだいのちとただふたり個室に向かう廊下の長さ

古橋紗弓

怖くても私がここにいなければもののけたちが野放しになる

竹中英雄

のこぎりで首を引かれるなら舌をかもうときめて、かんだあの夏

小橋辰矢

二席 マンションの十五階から見下ろした桜は四肢を畳んだあの世

常田瑛子

弟が家で一人でカギかけて大人はだれも近くにいない

有冨太徠(たいら)この歌は小学校のグループ投稿からの1

 

・“伝える”短歌 “伝わる”短歌 木下流短歌の育て方

黒い線でお下がりくださいって父の火の粉がささやいている

スキップで渡る細さでないことを照らしてくれた父の街の火

あなただけ黒い線までお下がりになれるだなんてお思いですか

深津さくら

怖さは宝物 何かを怖がる気持ちは尊くて大事

 

実話階段「間違い電話」

過剰に怖くすればいいわけではない 尾崎

「一体何だったんだろう?」と言う余韻の中にも怖さがある

余白がものすごく怖い

階段と短歌の共通点は?

似ている所は余白の部分 余白をどういうふうに 

どのくらいのスペースをとるか計算をして自分はつくる 木下

ひとつの言葉を眺めているとイメージが広がって個人的な感情が膨らむ 

何とも思っていなかったものが意味を持って怖いものになる 深津

 

・ことばのバトン

未来へとすべての今を文(ふみ)に添え

小山将平(喫茶店オーナー 詩人)

逢えなくなった君に届けぬ

柳重雄(弁護士)

エネルギー使いきるごと激突の法廷内の真剣勝負

 

短歌の再開は妻ひろ子(享年67)さんとの別れでした

まったく突然でした お別れを言う暇もなくて

「白地地帯」と言うひろ子さんへの想いを綴った短歌集を3年前に出版

 

背広着てスーパーに菜買うときにふいにこみあげきたる悲しみ

前向いて歩いていることを見ていてほしい

0 件のコメント:

コメントを投稿