2025年7月31日木曜日

100分de名著 フッサール③&「徳島のピアノ」

浮世絵で辿る鉱脈明易し

走馬灯愛でる稚拙美新しき

忙しなく左右する蠅夏の朝

美~なすの陽光受けて増す白さ

美~なすや切らずに揚げん夏の夕

 

100de名著 フッサール❝現象学❞③現象学的還元によって見えるもの

西研 伊集院光 阿部みちこ

「ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学」

意識 思考実験

むしろ、それ自体において最初のものは主観性である。

主客一致の難問:主客が客観にどうやって一致に果たして正しい認識を得られるのか❓

 ⇧   ⇧

客観主義 相対主義

 

現象学は客観主義でも相対主義でもない第三の道を提案している

 

意識体験 価値 認識

 

それ自体において最初のものは問われるまでもない

自明性のうちにある世界の存在ではない

むしろ、それ自体において最初のものは主観性である。

主観性は、世界の存在を素朴にあらかじめ与えておき

次いでそれを合理化し、あるいは同じことであるが、

客観化するのである。

 

現象学的還元:あらゆる現象を意識における信念・確信とみなす という思考の方法 

Epoche 判断停止 意識の場面だけをみましょう

主客一致はどう解決される?

 

ありありと知覚され 体験のつじつまが合う 体験の調和 他者との体験の調和

 

すなわち、われわれの連続的に流れる世界知覚において

われわれは孤立しているのではなく この世界知覚において同時に

ほかの人間と連携しているという点である。

各人は、それぞれ自分の知覚や()自分の調和性をもち

また自分の確信がその価値を失って それが単なる可能性や

疑わしさや問いや仮象に変わってゆくということを経験する。

しかし他人と共に生きることによって だれでもが他人の生に

与ることができる。

こうして一般に世界は個別化された人間にとってのみ

存在するのではなく 人間共同体にとって()存在するのである。

 

世界信念の条件

1ありありとした知覚

2自分の中の体験の調和

3他者との体験の調和

 超越論的間主観性

 (他者とお互い喋りあって世界を作っている)

 

世界信念が維持されるためには❝他者の存在❞が重要 

知覚 他者 客観的認識 知覚 

 

知覚は直感の根本様相であり 知覚は根源的本現世、すなわち

「実物が目の前にある」という様相においてものを呈示する。

もしわれわれが純粋に事物の物体的性格だけで注意するならば

それは明らかに()見る、触れる、聞くといったはたらきのおいて

()のみ知覚的に呈示される。

 

現象学では知覚が客観的認識のカギとみなされる

 

間主観的に 共有できる

多様な他者たちと共生していく知恵や作法に繋がる

 

神の存在は共有できないがその心は共有できる

 

今、読むべき本です!西研先生のおかげです。

 

2025728日 鳴潮の一文より

〈どこかのあばら家の中から「徳島のピアノ」、すなわち

家庭の機織(はたおり)機械の調子のよいカタカタという

ゆっくりとした物音が聞こえることがときどきある〉。

子どもたちとの生活を支えるため、母親が夜なべ仕事をしているのだ。

深夜に響く音を、鍵盤楽器になぞられた。

一方欧州では、各家庭に置かれたこの楽器は夜の静寂をはなはだ乱すもの、

と辛辣に書くモラエス。

〈ヨーロッパのピアノにはいらいらさせられる、

「徳島のピアノ」にはほろりとさせられる〉

つつましく暮らす者たちへのやさしい視線が感じられ、

いささか暑さも吹き飛ぶ気分である。

 

私感

この一文を拝見しモラエスへ表現し難い近しさを感じたのでした。 

2025年7月30日水曜日

闘うガンディー 非暴力を支えた聖典④

(篠原一男氏)空間へ永遠を刻んだ熱き日々

夏の暁最期の日をそのままに

夏の風主なきまま2年経ち

夏館油絵の具の飛び散りて

夏夕べ最後はいつも赤ワイン

 

■こころの時代 闘うガンディー 

非暴力思想を支えた聖典④奉仕ヤジュニャを生きる

小野正嗣 赤松明彦

 

私はこの糸車をこの時代における至高のヤジュニャの手段だと考えています

この仕事に精を出す人は価値のある生き方をし人生の闘いに勝利するでしょう

The Collected Works of Mahatma Gandhi

ヤジュニャとは「バガヴァッド・ギーター」に記された言葉

 

この人の世はヤジュニャのために行われる行為を除いて

すべての行為から束縛を受けています この目的のために

アルジュナよ 執着することなく 行為を行いなさい

これにより神々を繁栄させよ その神々も汝らを繁栄せしめんことを

互いに繁栄させつつ 汝らは最高の幸せを得るであろう

The Collected Works of Mahatma Gandhi

ヤジュニャとは崇拝する事 動物供儀(くぎ)

 

ヤジュニャは他者の利益に奉仕するために行こなわれるものである事

しかしそれはいかなる生き物にも苦しみを与えることなしに

おこなわれるものであることです 我々は他の生き物に苦しみを

与えないようにすることによって世界の利益に奉仕するのです

The Collected Works of Mahatma Gandhi

 

ヤッジュとは崇拝する サクリファイスsacrifice

サティヤーグラハとは真理をつかむ

 

ある日 ハンセン病患者で身体に障害のある人が家にやってきました

食物を与え帰す気にはなれませんでした 小部屋に泊めました

傷口を手当てし看病しました しかし これで心が安らぐということは

ありませんでした このような何か看護の仕事をいつも続けられたら

どんなによいか!

「ガーンディー自叙伝」田中敏雄訳

 

人は執着を放棄すれば「私」や「私のもの」という感覚から

自由になります それゆえその人はヤジュニャの精神に基づいて

他者の利益のためだけに働くことを決心します 

そのような精神で行われる仕事がアヒンサー(非暴力)です

The Collected Works of Mahatma Gandhi

 

無私利他 アヒンサーとは非暴力・不殺生

 

農民たちへの奉仕は農民たちの間にいてこそ

今日ここでできるように思います

ですから私は自発的にチャムパーランを

退去するわけにはいきません

法的権威ある政府を侮辱するのが目的ではなく

私の心の中にあるもっと高い法

―つまり魂の声―を受け入れそれに従うのが

目的であると伝えたかったのです

「ガーンディー自叙伝」

 

チャムパーランの外の世界を人々は知りませんでした

それでも人々と私との出会いは旧友たちの出会いのように思われました

私が神に非暴力に心理に対面したというのは誇張ではなく文字通り

真実です この対面の資格を検証すると自分の人々

(チャムパーランの農民たち)に対する愛情のほかには何も見当たりません

この愛情とはつまり非暴力に対する私の不動の信念なのです

「ガーンディー自叙伝」

 

ガンディーの曾孫 シュリークリシュナ・クルカルニ

国を回って見たらインドの貧しさが見えてもにこっとしてる貧しさ

ガンディーはその貧しさを感じて自分の生活をその民族に

近づけるために自分の生活も落としちゃった それでわかったのは

彼はわがままじゃないね なぜならultimate freedom(真の自由)

の道をみんなに教えたい 大体の人たちはultimate freedom

道が分かったら自分で歩き始めて 他を無視するんですよ

そこでselhish(自分勝手)になってしまいます 彼はその道に対して

selfless(無私)だった

 

何百万ものもの言わぬ人々の心の中にいる神以外の神を私は認めません

そして私はこの何百万もの人々への奉仕を通じて真理である神を

礼拝しているのです

Harijyan

 

ヤジュニャを捧げれば神々は望む恩恵をあなたに授けてくれるでしょう

何も捧げずに神々の恩恵を享受するだけの人はまさに盗人です

「バガヴァッド・ギーター」

 

ガンディーの遺品「神の国は汝らのうちにあり」レフ・トルストイ著

 

人は生きるために働かなければならない トルストイがパンのための

労働について書いているのを読んだとき わたしははじめてこの法則を

はっきり理解したのでした 私の知るところでは「ギーター」にも

同じ原理が述べられています そこには犠牲(ヤジュニャ)を捧げずに

物を食する者は盗んだ食物を食らっているのだと教えられています

ここに言う犠牲とはパンのための労働の意にほかなりません

「獄中からの手紙」森本達雄訳

 

私たちには70万の村があります その多くの村人たちは半飢餓状態で

暮しています ですから彼らが慣れ親しんできた仕事を与えることが

必要です その仕事こそが糸紡ぎなのです 

National Gandhi Museum

 

食べ物からすべての生命が生まれ 雨から食べ物が生まれ 

ヤジュニャから雨が生まれ ヤジュニャは行為から結実します

このようにこの世で回転している車輪に従わない人は

アルジュナよ 無駄に生きているのです

「バガヴァッド・ギーター」

 

私はこの詩節における「車輪」を糸車を意味すると説明しました

私はこの糸車をこの時代における至高のヤジュニャの手段だと考えています

この仕事に精を出す人は価値ある生き方をし人生の闘いに勝利するでしょう

The Collected Works of Mahatma Gandhi

 

スワデシーとは国産品愛用

 

スワデシーには利己心の入り込む余地はありません

すなわち もしそこに利己心があるとしたなら それは最高の利他の心と

変わることのない他者のために己をささげたいとの最高の利己心です

最も純粋な型でのスワデシーは万人への奉仕の極致です

「獄中からの手紙」

 

カーディーとは手作業で作られたインド製の綿布

 

バール・ガンガーダル・ティラク(18561920)の著作

「ギーター・ラハスヤ」ギーターの秘密の教え

人がどのような方法で私を頼りにするにしても 私はその人々に

まさにそれに見合った分を与えます アルジュナよ 

どのような道であれ 人々がたどる道はすべて私の道なのです

 

私はティラクに主張したのは私たちを平手打ちしたかもしれない

相手にでも私たちは耐えるべきであるということでした

これに答えて彼はこの「ギーター」の詩節を引用したのです

つまり相手が私たちにするように私たちも相手に対して

行動すべきだというのです 私はこの詩節については彼の意見を

支持できないと主張しました その人が私たちに対して

悪者であったとしても私たちがその人に対して悪者であって

よいことにはなりません

The Collected Works of Mahatma Gandhi

 

ルイス・フィッシャー:ジャーナリスト ガンディーの伝記を執筆

 

ローラット法

 

われわれは市民としてこれらの法律に従うことを拒否する

われわれはさらに この闘争において忠実に真理に従い

生命・個人・財産に暴力を振るうことはしないだろう

「インド独立史」森本達雄訳

 

法律への不服従は法律を謙虚に自発的に尊重する人々こそができるものです

私はこのような資格の人々が勝つ前に不服従を呼びかけたのです

この自分の誤りが私には山のように思えました

「ガンディー自叙伝」

 

ガンディーの曾孫 シュリークリシュナ・クルカルニ

人には生きるために❝必要な分❞があります 必要以上に取る事

それが❝暴力❞なのかもしれません なぜなら自分が多くを取れば

誰かがそれを得られなくなるからです 恐怖が人を暴力に

駆り立てるのだと思います 恐れを手放すことができる人

それは「無私」の人です

 

世界にはまだ これほど多くの人間がいることは世界の基礎は

武器ではなく 真理 慈悲 つまり魂の力であることを伝えています

ですから戦争の力よりもほかの力が世界の基礎なのです

「真の独立への道」田中敏雄訳

2025年7月29日火曜日

兼題「虹」&テーマ「怖かったこと」

麗しき時代の記憶風炉点前

もんぺ穿きタンクトップで夏闊歩

夏痩せを夢見る少女走馬灯

愛込めたばいきんまんの遊ぶ夏

夏の月自分軸持ち生ききらん

 

NHK俳句 兼題「虹」

年間テーマは「語ろう!俳句」

選者:高野ムツオ ゲスト:三村陵霄 月野ぽぽな

中西アルノ 能町みね子 司会:柴田英嗣

 

   逢いにゆく故郷の虹に濡れながら   月野ぽぽな

自分の中の思いが募ってくると言葉がやって来る時がある

本人が言葉を語るのではなく言葉が語ってくれる

もともとの感性と言うか言葉を呼び寄せる感性がある

   すこーんと蹴とばしたのは青草と大虹   中西アルノ

この中にはなにも書いていないのに空の色が一番鮮やかに見えてくる

季重なりがエネルギッシュさを醸し出している

青草と大虹の色の組み合わせが融合しない感じがある

   放水にデモ隊が散る虹遺る   能町みね子

散る遺るという繰り返しの「る」で終わる終止形の形も魅力的

デモ隊自体はいなくなったけどその主張は概念として残りますという意味

   虹かかる終着駅のある山に   三村陵霄

終着駅と言うのは人生の最後に自分が暮らしたい場所

倒置法の表現の仕方が決まっている 一枚の絵になっている

整った句より勢いのある俳句の方がとられやすい

この句は強羅駅(ごうらえき)を詠んだ

   教室はすでに空っぽ虹の橋   高野ムツオ

だれもいなくなったむなしさと外にかかった

メルヘン的な虹の橋の取り合わせと言うのは面白いかなと 

自分でもよくわからないというのは俳句の面白いところ

 

・特選三席発表 兼題「虹」

一席 虹ですね綺麗ですねの一会(いちえ)かな   冬野志奈(とうのしな)

二席 虹と言ひ虹の方へと車椅子   雅喜

三席 夕虹が見えたイヤフォン外したら   千歳みち乃

 

特選六句 兼題「虹」

ミサイルの飛ぶ空にさへ虹立ちぬ   星野清風

何もなき日が虹の日となりにけり   桜鯛みわ

町中華出前は虹のむかふがは   はれまふよう

思春期をぼかしたやうな虹立ちぬ   亘航希

雲梯の向こうの虹へ手を伸ばす   木染湧水

乳せがむ子とふたりきり空に虹   升田陽子

 

参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/pYxpDK5OqY/

 

NHK短歌 テーマ「怖かったこと」

年間テーマ「“伝える”短歌 “伝わる”短歌」

選者:木下龍也 ゲスト:深津さくら 司会:尾崎世界観

 

・入選九首 テーマ「怖かったこと」

太陽についてる顔がずっと見てる私は直接見れないのに

多野電柱

俺を見ている俺が言う「俺を見ている俺がいるような気がする」

富尾大地

(トッペルゲンガー 自分自身の姿をした分身または幻覚として現れる存在)

出てくって言われた父は振り向かずWindows再起動何度も

三平(みつひら)

三席 レジ待ちのさなか背中をさすられて「がんばったね」と囁いてきた

トミト・モチメリ

一席 コロナ禍に産んだいのちとただふたり個室に向かう廊下の長さ

古橋紗弓

怖くても私がここにいなければもののけたちが野放しになる

竹中英雄

のこぎりで首を引かれるなら舌をかもうときめて、かんだあの夏

小橋辰矢

二席 マンションの十五階から見下ろした桜は四肢を畳んだあの世

常田瑛子

弟が家で一人でカギかけて大人はだれも近くにいない

有冨太徠(たいら)この歌は小学校のグループ投稿からの1

 

・“伝える”短歌 “伝わる”短歌 木下流短歌の育て方

黒い線でお下がりくださいって父の火の粉がささやいている

スキップで渡る細さでないことを照らしてくれた父の街の火

あなただけ黒い線までお下がりになれるだなんてお思いですか

深津さくら

怖さは宝物 何かを怖がる気持ちは尊くて大事

 

実話階段「間違い電話」

過剰に怖くすればいいわけではない 尾崎

「一体何だったんだろう?」と言う余韻の中にも怖さがある

余白がものすごく怖い

階段と短歌の共通点は?

似ている所は余白の部分 余白をどういうふうに 

どのくらいのスペースをとるか計算をして自分はつくる 木下

ひとつの言葉を眺めているとイメージが広がって個人的な感情が膨らむ 

何とも思っていなかったものが意味を持って怖いものになる 深津

 

・ことばのバトン

未来へとすべての今を文(ふみ)に添え

小山将平(喫茶店オーナー 詩人)

逢えなくなった君に届けぬ

柳重雄(弁護士)

エネルギー使いきるごと激突の法廷内の真剣勝負

 

短歌の再開は妻ひろ子(享年67)さんとの別れでした

まったく突然でした お別れを言う暇もなくて

「白地地帯」と言うひろ子さんへの想いを綴った短歌集を3年前に出版

 

背広着てスーパーに菜買うときにふいにこみあげきたる悲しみ

前向いて歩いていることを見ていてほしい

2025年7月28日月曜日

わたしの日々が、言葉になるまで 綿矢りさ&川谷絵音

熱き日や大谷(さん)のスプラッシュ弾

熱き日そのまま野見山(暁治)のアトリエ

夏料理奔放にして大胆に

夏の空色と形の迫り来る

耳寄りな話届かん夏の風

 

■わたしの日々が、言葉になるまで 夢から生まれる感情を言語化!

テーマ「夢」

劇団ひとり 綿矢りさ 森迫永依 川谷絵音 桐山照史

 

ひとつの道を究めようともがく主人公の原点

ピアノの調律師を志す青年の成長物語

 

調律師になる、と決めたときのよろこびを、今でもはっきり思い出せる。

何の保証もないのに、突然目の前の靄が晴れたような、初めて自分の足が

地面を蹴って歩き出したような、手でその輪郭をなぞれそうな、よろこび。

あのときは、これからどこまででも歩いていけると思ったのだ。

羊と鋼の森 宮下奈都著/文藝春秋

 

自分の本能に忠実にできたときのよろこび 森迫

景色がバキッとピントが合ったような 桐山

人は感情に輪郭を帯びたとき夢を志す 復習が夢 

対立が夢を進める ハートフル皆無 川谷

目とか足とか手とか体を使ってよろこびを表現 

自分も体験しているような 夢が輪郭化したことがない 綿矢

 

言語化のヒント

目足手など体の部位を使って表現することで

体験しているような感情移入できる文章になる

 

世界的巨匠の芸人人生はここから始まった!

自伝的小説につづった❝夢を決めたときの気持ち❞

 

下積み時代を振り返った自伝的小説

ある日突然「浅草へ行って芸人になろう」

浅草に降り立った時の気持ち

 

浅草がオイラを呼んじゃってる。そう思い込んだら、矢も盾もたまらなかった。

(中略)

オレは、真夏の太陽が白くまぶしく照り返す六区の通りを、ガキの時分に

味わったワクワクするような気分で入って行った。まるで、

これからなにか悪だくみでもしに行くような気分だった。

浅草キッド ビートたけし著/講談社文庫

 

【矢も盾もたまらず】

どうにもじっとがまんしていることができずに

 

本当に追いかけたい夢は本能に近いもの 森迫

悪魔っぽいワクワクも入っている 綿矢

文章の緩急がすごい のめり込んでしまう文章 川谷

 

「浅草キッド」と言えば脚本・監督を務めた天才と言われる

劇団ひとり監督ですが すべて了承済み

「この作品を映画化するなら自分しかいない!」と

公開の7年前から脚本を書き始めた 

配給会社を見返してやると思った 夢を進めるのはやっぱり復讐心

 

少年マンガでは異例の❝アラサーヒーロー❞が感じた夢を追うときの気持ち

怪獣と戦うため防衛隊入隊を志す 

怪獣8号 松本直也著/集英社

夢を追うってのは一番譲れない大事なもので

毎分毎秒誰かに負け続けることなんだ

 

米津玄師が出てきたとき…

「最近の曲美しくないぞ」って言われて

もっとあともうちょっと 君を好きになったら

もう切ないとは言わせない 溢れるたび言葉濁さない

―ゲスの極み乙女「もう切ないとは言わせない」 川谷

 

自分自身がどんどん敵になっていく 自分との戦いになってくる

執筆活動は自分との戦い 

自殺する直前で自分を追求していく凄く苦しい作業

自分を追い詰め過ぎず追いつめる 

コントロール不可避の方が芸術的には破綻していて人の心を

惹きつけるけど ここまでできるほど自分は芸術家じゃない 綿矢

 

型破りなサッカーマンガで説かれた❝夢を叶えるための意外な心構え❞

ブルーロック 金城宗幸・ノ村優介/講談社

思い描いた夢の道筋をー ❝諦める❞行為でしか見ることの

できない道筋があり それが新しい己の可能性となるー

❝絶望❞しても尚 戦わんとする人間に❝夢を叶える❞能力は宿る

金城宗幸「ブルーロック」

 

自分だったらどこで戦えるか 桐山

 

夢を諦めたことは?

 

芥川賞受賞後の苦悩 綿矢

無間(むげん)地獄みたいになって こんなこと書いたらなめられる

全然続かなくなる 大文豪みたいな小説を書きたかったけれど

自分には書けない 自分の見えている世界を書いていきたい

夢のスケールデカすぎた 書けると思っていたから

わたしが書きたいと思っていた夢の物語は

 

夢を叶えてからも人生長い 劇団ひとり

 

小説家・恩田陸は描いた❝夢の終わり❞に見えたもの

四人のピアニストの葛藤と成長

蜜蜂と遠雷() 恩田陸著/幻冬舎

会社員と両立しながら音楽を続けてきた 二十八歳の明石

音楽家としてのキャリアに終止符 

二次予選落選後 沸き起こった気持ち

 

これほどまでに、何かを強く望んだことはなかったような気がした。

全身の肌がひりひりして、冷たい炎の膜が覆っているようだ。

俺のコンクールは終わった。そう思ったはずだった。(中略)

これは始まりなのだ。明石はほとんど恐怖しながらそう確信した。

ようやく俺はスタートラインに立った。これからもずっと、

あの場所を、音楽を、焦がれて、焦がれて、切望する。

恩田陸「蜜蜂と遠雷()

 

両極端のものが一緒にある事で切実さが伝わる 森迫

混乱している様子が伝わってくる 混乱しながらも前に進んでいる 川谷

かみしめるような書き方一文一文がどんどん短くなっていく 綿矢

 

言語化のヒント

一文を短くしていくことで確信や意志の強さを表現できる

 

今まさに夢を追う人に伝えたい言葉

あなたにとってはそれが人生にとって必要な時間。 桐山

正解を選ぶのではなく選んだものを正解に 森迫

夢に食われるな 綿矢

夢は背中合わせだから今は見えないだけだよ 川谷

有名人の語る夢を叶えた方法とかって大体が後付けです 劇団ひとり

2025年7月27日日曜日

いしだあゆみ&やなせたかし

夏空や甘味しっかりごうしゅいも

西阿波の肥沃な畑夏陽射し

種芋の選別する目夏の宵

ベーコンとごうしゅいものスパゲッティー

雲の峰甘味と粘りごうしゅいも

 

■あの人に会いたい いしだあゆみ

2025(令和7)年 76歳没

セリフの少ない作品というのはすごく緊張します なんでかというと 

その行間の余白の部分を埋めるのは私なんですよね

作家は書いてくれていないから そこで気合が入りますね

そこのほうがセリフより意味があったりするから

 

ちょうどスケートリンクに宝塚歌劇の方たちが」練習にいらしていて

それで東宝の今の松岡修造さんのおじい様にあたる方が

そのとき会長さんだったんです それですごく可愛がっていただきまして

「芸能界に入らないか」って それで気がついたときには

梅田コマ劇場で歌っていました 

 

.歌のほうは小さいころから好きだったんですか

 

ううん 別にレッスンしたわけじゃないんです

好きだったんでしょうね でも 嫌いだったらやっていないと思う

 

音程が悪いっていつも怒られてね もう自分の中では「私は歌が下手なんだ」

っていうね 何かこうイメージがあるんですよ レコーディングがね

2日かかったんですよ 歌えなくて 

 

.本当横浜のイメージがかなり定着したというか

 

ええ それはおかげさまでね 悪く変わっちゃった感じがするんですね

流されちゃっているなっていう感じで でも そのまま抵抗しないで

流れたほうが話が早くていいかなとかね 何かとてもずるく思った

時期があった 

 

すごく好きなんですよ お芝居することがね ずっと好きだったんですけど

最初から褒めてくださっていたの「あゆみちゃん いいね もう一回やろう」

って 怒られたことがないんです 「いい!」とかって言われちゃうの

それで「明日はもっと頑張ろう」って 思っちゃうの 

 

これで(俳優を)ずっとやっていきたいなって思いましたね

歌手は私本人なんですね でもお芝居っていうのは私じゃないから

すごく正直になれるっていうか ちょっと変装したら思い切り

できちゃうことってありますでしょう そういうことだと思います

1枚ベールをかぶると何でもできちゃう 

 

わりと向田(邦子)さんって その本人を見て(脚本を)お書きになる方だから

例えば連続(ドラマ)のときなんかは どんどんどんどんイメージが

変わっていっちゃう すごく人をよく見ていらっしゃるっていうか

自分で気が付かない私がすごく出てる レンズって怖いですね

テレビのレンズってすごく怖いですよ 自分でもね 肉眼より

映像の方がちゃんと映るっていう感じがする だからびっくりする時が

あります 「えー私こんな顔するのかしら」とか 私なんかが

やっている仕事はウソですよね ウソの世界をやっているんですけど

ウソの中でものすごく本当があるときがある もしかしたら こうやって

お話ししているときよりもっと本当・・な姿が出ているんじゃないか

 

.夫が何をしていてもですね 全部たなごころにいて

「全部わかっていますよ」ってあの一言がね すごいなって

いう感じがしたんですよね

 

でもその辺は今のご家庭の奥様もお変わりはないんじゃないですか

 

.割と耐える女とかですね 北が似合うとかですね そういうイメージがね

強いでしょう ご自分では「こんな役をやってみたい」というのは?

 

あまりないです 人から見て下さった私のほうがもしかしたら

正しいんじゃないかと思います 自分は私はこうなんだって思っているより

 

私は女くさい女になりたい わからないけど うまく言えないけど

女らしいんじゃなくて 女くさい人っているじゃない

味わいのある女優さんになりたい 

 

現場へ行って すごく不安なんですよ 衣装を着て 魔法が”ひゅっ“とかかる

 

自分の中に理想があるんですよね

こういう女になりたいっていう

それがずっと消えないでいるから

死ぬまでそれを追い続けていると思う

 

■アナザーストーリーズ

運命の分岐点 やなせたかし アンパンがヒーローのなった日

 

アンパンマンと対をなす、ばいきんまん誕生の秘密。

善と悪に込めたやないたかし氏の思いをはじめて知りました。

 

やなせスタジオ代表 越尾正子

何が正しい正義かと思えば目の前に飢え死にしそうに

お腹をすかせている人がいたら自分の持っているパンを

半分こしてあげたくなる気持ち それが正義

 

よその国の領土を侵しちゃうわけね お腹すかした子がいるからっていって

でも その国にしてみれば 変なおじさんが空を飛んだきたっていって

撃ち落されてしまう この不条理さは見向きもされなかった

 

自分だけが生き残って帰ってきたから 死んだ人たちに申し訳なくて

戦争のことは話せなかった 最晩年に体験した人間として 戦争のことは

語っておかなくてはいけないって言われて この戦後のやなせ先生の

そういう思いの移り変わり これって戦争に行った人じゃないと

絶対わからないことだと思う 

 

目に見えないバイキンだから ほんのみじめなくらしだが

人間だっておんなじさ この世にわいてきえていく

ああ なんといういじらしさ けんかなんかよそう

なかよくしよう どうせおれたちバイキンだもの

 

平松利津子 担当編集者 詩とメルヘン

さみしさに負けそうなとき にぎりこぶしをつくりなさい

げんこつで涙ふきなさい やっつけなさい 弱いこころ

夕日にむかってさけびなさい おまえもひとり ぼくもひとり

そんなに紅く燃えていても ぼくとおんなじ仲間だと

 

アンパンマンは一つの町を応援することはできない

アンパンマンで支援はできないけれど

僕やなせたかしが君を応援しよう

個人的に一千万円を陸前高田市に寄付

一本松をモチーフに

「やなせたかしのメルヘン絵本」(朝日学生新聞社)を提供 

松の木の歌

一本松の保存への募金を募ることを提案

結果目標額の一億五千万円を上回る資金が集まった

 

最初の一年目の3月11日を迎えるにあたり祈る場所がなかった

墓も流され家もなくした人たちは、その松へ祈りをささげた

これはやなせのなくなる2年前のことだった やなせ92

 

120%頑張る方でした 戸田恵子

 

亡くなる5日前に平松さんに渡した原稿 タイトルは「コナ」

原稿の最後に「おわり」と記されていたそうです

今まで一度のなかった事だったそうです

 

こんな素晴らしい原作のテンションを違えた表現はよくないですね…。

河合優実さん、北村匠海さん、吉田鋼太郎さんの表現に惚れ惚れです。