冬の月じたばたするな落ち着いて
それぞれの居場所を持ちて日向ぼこ
初釜や心汲み取る二畳かな
寒の水吾の存在が認められ
舞い上がる燃やせないゴミ冬空へ
■NHK短歌 題「顔」
年間テーマ「私に出会おう」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー
▪三十一音の物語
繰り返しの魔力
母の母その母の母あつまりてさやさやと愛(め)づ老衰の母
川野里子
繰り返して「映像を作る」
ブランコを全力で漕ぐたのしさは漕げばこぐたびはなひらきゆく
内山晶太「窓、その他」
繰り返しで「リズムを生み出す」
わが一生(ひとよ)想ふに何ぞひらめける竹の一生、馬の一生
伊東一彦「青の風土記」
繰り返しで「思いを深める」
▪入選六首 題「顔」
午前二時睡(ねむ)るあなたの横顔が森の決壊のごとき色褪せ
加藤水玉(みずたま)
私 歴代の藩主の墓所で飛び跳ねる我が物顔のトノサマバッタ
飯田英範
一席 職場、家、習い事でも素を出せず全部笑顔の阿修羅像です
高原すいか
そんな顔しないでなどと君は言う私の薔薇を崩しておいて
高橋久美枝
仕事行く事は辛いか悲しいか鏡の中の自分の睫毛
岩崎純史(じゅんし)
うぶ声は暴言に似て顔(かんばせ)を紫に染め吾子登場す
秋山哲(さとし)
▪秀一郎あむのココカラ短歌
言葉を繰り返した作品で遊んでみてください
君の顔理解してよと言っている僕は逃げたい君の顔から
添削 内藤秀一郎(必要な字余りはOK)
君の顔理解してよと言っている僕は逃げたい君の笑顔から
ミルフィーユ綺麗に食べてねミルフィーユ叶わぬ願いかただ凛と立つ
添削 深尾あむ(繰り返しが生きている)
ミルフィーユ綺麗に食べてねミルフィーユ叶わぬ願いが凛と立ってる
▪ことばのバトン
アレの日玉子を割れば黄身ふたつ かまちよしろう(漫画家)
⇩
ひとしずくの夢足音(あおと)ははずむ
みなかみまるごと短歌プロジェクト 実行委員 篠原香代
群馬県みなかわ町ではQRコードをスマートフォンなどで読み取ると
その場所で詠まれた短歌が表示される
2023年7月開催 みなかみまるごと短歌
16カ所風景と短歌を楽しめる
私たちの夢はみなかみ町を短歌(の町)にしたい
その思いが雫のように垂れてこの町の中で広がっていく
見る人の心の縁(ふち)を光らせてたくみの里に水車は回る
まなざしを火の見櫓(やぐら)に預けたり歩きたしこの道のつづきを
杉の影伸びたるここに踏み入れば遠き約束のようにすずしい
大森静佳(歌人)
来年からNHK短歌の選者!
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