短日や広がる琵琶湖月見亭
琵琶湖と月と紫式部霜夜
痛みとの闘い続く雪時雨
真実は人の数だけ波の花
尻拭きで鼻をかむなり寒の水
■100分de名著
ローティ❝偶然性アイロニー連帯❞(1)近代哲学を葬り去った男
20年前に予言した哲学者
その時点において何かが決壊する。(中略)
一連の制度が破綻したと判断し、
投票すべき「強い男」を
探し始めることを決断するだろう。
「アメリカ 未完のプロジェクト」より
その哲学者の名はリチャード・ローティ(1931-2007)
「偶然性・アイロニー・連帯」
これ迄の伝統的哲学を否定し
葬り去ろうとした反逆者でもありました。
著書「アメリカ 未完のプロジェクト」(1998)が
トランプ現象を予言したことで再注目された
哲学者 朱喜哲(チュヒチョル)
隠れた鉱脈と言えるかもしれないと…。
「哲学は何をするのか❓」という疑問に対して
答えを自ら示したのが「偶然性・アイロニー・連帯」
哲学者の使命は永遠不変の真理を見つけ出すこと
哲学者は、知識について(中略)
他の誰もが良く知らないことを知っているのだと
考えるのを辞めるべきだ。
それは、哲学者の声が、いついかなるときも
会話の他の参加者たちの耳目を疑う価値をもつ
特権的なものだと考えるのをやめることである。
「哲学と自然の鏡」より
ローティの哲学批判
人間に何か本質があるという考え方自体が
百害あって一利なしだと切り捨てた
感心事 哲学的問いの例
古代 自然 万物の起源は何か❓
目に見える世界を超えて存在する何かはありか❓(物理学や天文化学)
中世 神 神は同夜て理解するか❓
信仰と理性はどういう関係にあるのか❓
近代 人間 人間は真なる知識を獲得できるか❓(脳科学や認知科学)
今では違うジャンルの学問がある
これらを貫いて哲学が同じ問題を扱ってきた
というのは思い込みではないか と提起したのがローティ
ルネ・デカルト 近代哲学の祖
「我思う、故に我在り」という言葉を残した
心などの疑い得ない何かがまずあって
この確実なものの上に知識を積み上げていけば
確かな知識というものを考えることができる
「デカルトの心は真理に至っていない」と証明するため
「対蹠(たいせき)人」という思考実験を論じた
心にまつわる言葉?心という概念?がありません
変わりに脳の状態について語るのだと言います。
相容れない2つの主張が生まれるのだと言います
一方では「地球人は自分には感覚がある
と思っているが、実はないのだ」
という対蹠人(中略)であり、他方では
「対蹠人には感覚があるのに、その事に彼らは
気づいていない」という地球人の哲学者。(中略)
この袋小路を抜け出る道はあるのだろうか。
「哲学と自然の鏡」より
これは原理的に調停ができない
「心は何か❓」という問いを立てれば問題事が発生する
何も困っていないんじゃないですか❓
必要ないものをわざわざ
「ある」という証明をしようとしたり
「ある」という共有をしようとしているから
ややこしくなっているだけというのはかなり大胆な否定
デカルトが自分の問題に即して
心という言葉づかいや概念を発明したんじゃないか❓
誰もが元々あるものを発見したわけではない
伝統的哲学を解体したローティー新たに捧げた使命は
「人類の会話」を守ることでした
言葉は私たちを形作り力があります
「どちらの言葉がより正しいんだ」
というやり方をやめないと
私たちの日常の豊かな言葉づかいは守れない
並列的に言い換えを増やして理解のひだを増やす
異なる価値観や言葉が違う人もひだを経ながら
様々な言葉が一緒に共存している状況を守ろう
というのが新しい哲学だとローティは言っている
言葉は社会や人間を変える力を持つ
これがローティが一番こだわっているポイント
偶然性・アイロニー・連帯
第一部 偶然性
第二部 アイロニズムと理論
第三部 残酷さと連帯
テーマ
「異なった人たちと、
どうやって連帯し、会話を続けていくことができるか❓」
「私たちは偶然で今の社会のあり方も偶然」
という認識を持つべきだと
一番正しいものということはあり得ないし
これからも変わっていくことがあり得る
絶対に正しい原理を持ち出したり
「それがわかっている私」と線を引いていく
それは人の分断を作り出す
本質を探そうとする発想から
縁を切らなくてはいけないというのはローティの考えのポイント
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