2024年2月16日金曜日

刑事ドラマで一句&兼題「牡蠣」&稚児「たんま」

(糸井重里氏へ)寒日和優しく強く面白く
隙間からじわり冷気が襟もとへ
青き空雪中四友咲き誇る
眉山町モラエス偲びキバナアマ
今見ごろ和田屋の庭をキバナアマ

■ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場
兼題「牡蠣」

「牡蠣」冬の季語。
傍題「牡蠣田・真牡蠣・牡蠣打・牡蠣割る・牡蠣むく・牡蠣飯・酢牡蠣」

▪ギュッと!特選
牡蠣の山大焼き網へ撒かれたり   春那ぬくみ
(選句ポイント 牡蠣小屋の臨場感 描写が巧い)

▪放送された俳句
生牡蠣もフライもホット酒の友   こま子
展望台キッチンカーの牡蠣5つ   里の秋
(意図がない限り漢数字で表記 五つ)
薄れゆく友の笑顔か牡蠣の香か   清水刺繍子
(薄れゆく友の笑顔か牡蠣の香 にすれば良かった)
牡蠣打や鳴り響く音リズム良く   しまおか実由季
(中七でもっと映像化できた)
秀作 AMのざらつく音よ牡蠣を剥く   しばのおはる
(ざらつくという表現が良い)
佳作 肉厚の殻付き牡蠣焼く小屋の卓   オムライス
(情報が全て詠み込まれている)
牡蠣小屋の争奪激し殻山盛り   森本モコチャン
(中七が説明になっている 映像化する)
焼き牡蠣の殻と格闘覚める酔い   バトラーM
(中七 何をやっているのか書かないと)
秀作 網焼きやバケツに放る牡蠣の殻   ルアン
(これこそが中七の映像)
牡蠣鍋や故郷の香よ母の顔   みーこ39
(「や」「よ」三段切れ 牡蠣鍋は故郷の香よ母の顔)
ゆうどきの志度湾岸は牡蠣焼きの香   佐々木のっこ
(ゆうどきの志度湾牡蠣焼きの香り とすることで調べが整う)
秀作 愛南の海のふくよか牡蠣の腹   マレット
(ふくよかの位置が良い ことばが上下に影響を及ぼしている)

▪比喩を成功させるコツ
(意外性があるけど真実味がある 
言われて見たら納得するのがポイント)

比喩を成功させた秀作の句 放送された句▪
ヴィーナスの厚き耳たぶめく真牡蠣   くま鶉
▪網上の牡蠣や阿弥陀の耳朶のごと   はなぶさあきら
(耳朶じだとは耳たぶのこと)
ベルーガのおでこのやうな牡蠣あまし   天雅
岩のかたち波のかたちに牡蠣の殻   宮武美香
▪ミステリの館のやうな牡蠣の殻   ギル
▪法悦に似て牡蠣の味丸呑みす   亀山酔田
(法悦とは仏の教えを聞き、それを信じることによって心にわく喜び
うっとりとするような喜び エクスタシーのこと)
▪たましひのやうにのまれてゆくかきは   卓鐘
たましいの濁りのような牡蠣の白   平良嘉列乙
参照:
https://www.nhk.jp/p/gyuttoshikoku/ts/7MXVZZ52K3/blog/bl/pKyjJXApJB/bp/pM6ovY2YPz/

次回の兼題 雛祭(ひなまつり) 春の季語

■ワルイコあつまれ(77)
稚語俳句 辻内京子 髙柳克弘 松尾葉翔
今回の稚語 たんま
「ちょっと待って」の意味 「タイム」が語源とされる*諸説あり

じゃんけんにたんま連発水温(ぬる)む   辻内京子
(水温む 春の季語 春に池や川の水が温かくなること
 水草が成長し生物も活発に動き始める様子)

雪解風(ゆきげかぜ)たんまたんまとバスを追う   髙柳克弘
(雪解風 春の季語 春先に吹く暖かい風)

花あっちたんまさすなよみつばっち   松尾葉翔
(俳句って意味ではなくリズムだと言われる
 それに適ったリズムを大切にした句を作られている
 中七の表現があいまいで意味が伝わらない)
添削
花そこと指さし蜜蜂のたんま   辻内京子
(句またがりによる違和感 リズムの悪さが恐怖感につながる)

うなりくる羽音にたんま花なずな   髙柳克弘
(みつばちをあえて言わずに表現 
 花なずな(はるのきご)春の七草のひとつ「ぺんぺん草」ともよばれる)

たんまとて待てないときもあるのだよ   松尾葉翔

■プレバト纏め 2024年2月15日
刑事ドラマで一句 

▪特別永世名人の〆の一句
梅沢富美男
張り込みのあんぱん香る桜漬け
添削(お手本には物足りない 語順が悪い 季語は桜漬け
   季語も生かしつつギャップも生きてくる)
桜漬けほんのり張り込みのあんぱん

▪名人10段を目指す試験
森口瑤子
ロケバスに積む犯人の春日傘
(犯人像が浮き上がってくる この語順大事
 このドラマの中の大事な要素 
 最も少ない言葉で最も大きな世界・効果を作る これが名人)

1位 内藤剛志
本職に黙礼される今年も春
添削(字余りが少し損 どっしりとかっこよくなる)
本職に黙礼さるる春やまた

2位 矢柴俊博
春の雲血のり右目に染みており
添削(血のり①地に見せた小道具②ねばねばする血
   血のりをさらにアップする 驚きの効果が少なくなる)
春の雲右目に染めてくる血のり
撮影のどか右目に染めてくる血のり

3位 紺野まひる
春夕焼台本ト書き「ここで泣く」
添削(テーマ性という上で損)
春夕焼ト書き犯人「ここで泣く」

4位 大友花恋
初刑事手錠震わす余寒かな
添削(季語を際立たせていない)
余寒な手錠をかけるシーン

5位 斎藤司
冴えかえる帰宅後妻の取り調べ
添削(季語は冴えかえる 寒さが戻ってくること 
   内容が貧しい 底が浅い句)
返る深夜の帰宅妻や待つ

次回のお題「カラオケ」

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