片隅に八正道(はっしょうどう)を春の潮
春の雨佇む鳥の視線をや
風光る理解のひだがまたひとつ
哲学に真理はあらず山笑ふ
苦しみの輪廻転生余寒かな
■NHK短歌 題「助詞『さえ』」
選者 𠮷川宏志 ゲスト いしいしんじ 司会 尾崎世界観
年間テーマ「助詞が生み出す効果」
助詞に感情が表れる
▪さえ(助詞)
雪さえも埃を芯に生まるるをよろめくように不信に向かう
吉川宏志
▪入選九首「さえ(助詞)」
二席 親友にさえさん付けで呼ばれてた音楽室の真昼のひかり
鈴木そよか
明日さえも分からぬカザの人らいて書店に並ぶ十年日記
青木一夫
夫(つま)逝きて十年過ぎし今でさえ靴箱に靴ひっそりと在り
及川香代子
母はもう私の顔さえ忘れたのつぶやいた友の白きこめかみ
市川義子
袖まわり赤い点々滲(にじ)ませてパーカーさえも受験生だっ
今村きき
三席 受験さへ終はれば実家出でゆかむかつて想った君のゐる県
北里有李
こんな日は蒲団カバーのファスナーでさえ牙を剥(む)く夕ぐれの部屋
古橋紗弓
一席 私 猫の毛は掃除機かけるたびに減り死んだことさえ吸い込まれてゆく
古城(こじょう)えつ
私 果(は)つる日は知らず洗濯ばさみさへある日突然パチンと砕ける
小竹哲(私だったら助詞を「は」は「を」にする)
入選あと一歩
命さえ…続かぬ言葉聞き取りて黙して俯(うつむ)く珠洲(すず)のインタビュアー
川口知子
命さえ…続かぬ言葉聞き取りて俯(うつむ)く珠洲(すず)のインタビュアーは
(「黙して」がない方が無音を聞き取った感じが伝わってくる)
沈黙は実は雄弁
▪表現の最前線 岡井隆の歌
あたたかき雨は真冬と思われず彼女に雨を彼女は雨だ
(助詞だけの瞬間移動
助詞だけじゃないと速さが出ない 言葉が重くて)
助詞の速さ 尾崎世界観さんの歌でも
「本当なんてぶっ飛ばしてよ」の中でも効果的に使われています
言葉が重すぎると間に合わない
軽い言葉を使いたい
軽い言葉を使うことによって間に合う
その点助詞は相性がいい
助詞はリズムを作る
助詞は言葉を歌にする
リズムとメロディーのきっかけを与える
一番大事なのは助詞
▪いしいしんじの表現の最前線
▪ことばのバトン
勢(はずみ)車付きの玩具のあった頃
みなかみ町牧水会 会長 田村吉廣
⇩
仮面の男の返信を待つ
ナナロク社 村井光男
ちいさいことはいいことだ
ナナロクと仕事していると
そう思う。
谷川俊太郎
■NHK俳句 兼題「海苔」
選者 村上鞆彦 ゲスト テリー伊藤 レギュラー 家藤正人 中西アルノ
司会 柴田英嗣
年間テーマ「人生を詠う」今月のテーマ「老い」
「ままならないこと」って若さへの挑戦
蛍の夜老い放題に老いんとす 飯島晴子
(情景は切ないのに凛と生きている
「蛍の夜」静かな季語なので格調だでている)
衰(おとろい)や歯に喰(くい)あてし海苔の砂 松尾芭蕉
磯辺巻き母に内緒で海苔二枚 テリー伊藤
▪特選六句発表 兼題「海苔」春の季語
一駅を海苔棚の海見て歩く 赤間学
(早春の明るい日差しを想像すると広がりのある句)
海もまた痩せてゆくなりながれ海苔 佐藤強
(「流れ海苔」は採取する時にこぼれて波に漂っている海苔)
板海苔の黒曜石のひかりかな 菫久(きんきゅう)
岩海苔を千歳搔(千歳か)きをる丹後かな 高橋智子
透かし見る海苔のみどりや朝ご飯 一瀬正秋
海苔の端(は)をちりつと火の粉浮かびけり 深町明
▪特選三席発表
三席 海苔汁をふはりふはりと飲みにけり 源早苗
二席 海苔干すや海を嫌いになどなれぬ 勝本さとみ
一席 有明の海苔ぞ厚かぞ濃ゆかぞと 犬山裕之
▪夏井家伝授!家藤正人と中西アルノ
0から俳句
俳都・松山を吟行しよう!
愛媛県立松山東高等学校
文芸俳句部と俳句を詠み合う
副部長 山本恭児
初凪やAM07.05発
坂上昊翼(そら)
着ぶくれて大街道を駆けにけり
青山ネモフィラ
漱石を読む春愁や五限の数学
▪今日マチ子、今日の一句
老眼でたぬきに見える春も来る テリー伊藤
▪柴田の歩み
老い放題に老いる
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