冬を笑む無頼派(ぶらいは)美学貫かん
軒先を揺れる干し柿ずっしりと
神山を満月銀杏色づかん
冬の靄創りたきもの売れるもの
冬の景生くる命の美しき
NHK短歌 題「ケーキ」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー
▪三十一音の物語
今回のテーマは「表現の足し算と引き算」
隕石堕つ天の川銀河太陽系第三惑星のアパートの庭
川野里子
銀河太陽系第三惑星は普通の場所を特別な場所のように言いかえてみた
典型的な足し算の表現
敢えて違和感を与える 読者を惹きつける効果がある
ほととぎす嵯峨へは一里京へ三里水の清瀧(きよたき)夜の明けやすき
与謝野晶子「みだれ髪」
込み上げてくるものがあってじっとしていられない感じ
足し算の表現
かにかくに渋民村は恋しかりおもひでの山おもひでの川
石川啄木「一握の砂」
かにかくに(副) あれこれと いろいろと
引き算の表現を重ねている 読者を前のめりにさせる
▪入選六首 題「ケーキ」
思い出のケーキの店がある街を新幹線は速度ゆるめる
広木登一
食べ終えたショートケーキに銀色の更地が残る城跡のカフェ
秋野茜
百本の蠟燭を立て溶岩のやうに赤らむ祖母のケーキよ
藤雪陽(ゆきひ)
一席 タッパーにかわいいケーキ閉じこめる世界が私にそうしたように
水谷文音(あやね)
お互いの震えと震えが庇い合い催眠みたいにケーキ入刀
高橋裕樹
私 躊躇せずケーキを七つに切り分ける君は素数に愛されている
西田浩之
▪秀一郎あむのココカラ短歌
ウエディングいつも通りの美しさまるでケーキのホイップのように
内藤秀一郎
結婚式を斜めに見ている 批評眼で詠っている
短歌はちょっと意地悪なくらいがおもしろい
添削 ウエディングはいつも通りの美しさまるでケーキのホイップのように
三段のパンケーキのよう震えてるショートヘアで初の登校
深尾あむ
添削 三段のパンケーキのよう震えてるショートカットにした日の登校
ショートカットとは近道の意 ここはあえて和製英語のカットが欲しい
詰め込んでまとめたように見せないのがコツ
▪ことばのバトン
ざわめきながらしんとしている
池松舞
⇩工藤ひすい(16)高校1年生
貨物列車聴く僕たちのアナキズム
なみだを遠い草原にヒスイをきみのてのひらに
寺山修司「ヒスイ」より抜粋
この歌を足に書いて登場 力を貰えるような歌なのだとか…。
■名言
アンリ・マティス 曰く
「見たいと願う人たちのために、いつも花はあります。」
N・V・ピール 曰く
「まずはこころを
塀の向こうに投げたらいい
ほかのものごとは
あとからついてくる。」
デール・カーネギー 曰く
「過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。
今日一日の枠の中で生きよう。」
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