2023年12月14日木曜日

中江兆民「三粋人経綸問答」(1)

くだら野や情失ひて腐敗せり
北颪(きたおろし)命を燃やして創造す
品格は理想の高さ寒北斗
冬茜人の哀しみ解る人
天狼(てんろう)や発見前の行き詰まり

■100分de名著 中江兆民「三粋人経綸問答」(1)
何故問答式名なのか

指南役 平田オリザ (劇作家・演出家・芸術文化観光専門職大学学長)

わが日本古(いにしえ)より今に至る迄哲学無し
総ての病根此に在り

兆民は自由と民主主義を説きました
絶対矛盾の自己統一 by 西田幾多郎

日本の近代の歴史の中で最もわかりやすい政治思想書
https://www.aozora.gr.jp/cards/000182/files/1755_53374.html

現代語訳 鶴ヶ谷真一
南海先生は生まれついての大酒飲み。
そのうえ政治論議が大好きときている。
酒の一、二本も飲めば、もう心うきうき
はるか宇宙を遊泳している気分である。
見るもの聞くことただユカイ
世にいう鬱など、どこ吹く風。
さらに二本、三本となれば
気も心も高揚し
奇想こんこんとわき出るかのようだ。
客のひとりは、頭のてっぺんから爪先まで
すきのない洋装、鼻筋通って目元すずしく
すらりとして動作も無駄なく、言葉は明解。
この人物はきっと
思想という部屋に暮らし
道理という空気を呼吸し
倫理という直線に従ってまっすぐ歩み
現実の曲がりくねった道筋に
踏み入ることなど
考えもしない哲学者に違いない。
もうひとりの客は
背が高く、腕は太く
色あさぐろく、眼窩(がんか)は深い。
絣の羽織に短い袴をつけたその姿は
一目見て、雄大を好んで冒険を遊び
尊い生命を餌にして
功名という楽しみを釣り上げる
あの英雄豪傑の部類であろう。
(欄外いわく。
民主主義と侵略主義者が
南海先生を訪れる)

現実主義者・南海先生 理想主義者・洋学紳士(紳士君)  侵略主義者・豪傑君

紳士君
「先生の学識は東西にわたり
見識は古今をつらぬくということですが
ぼくもまた世界の情勢について
いささか考えるところがあり
ぜひ先生のご意見をお聞きしたい」

対話(ダイアローグ) 言文一致が始まった時代であった
兆民は多くの人に読んでもらいたくて対話形式を選んだ

問答形式の理由は
・戯曲の「三一致の法則」を取り入れた
(時間・場所・行為が同一という形式)
・西洋哲学における「問答」の伝統
・日本語の問題

中江篤介(中江兆民)(1847~1901)
下級武士の子として生まれる
ルソー「社会契約論」をルソー「民約論」として翻訳
民権運動が説かれていた
兆民も自由平等を訴えた

パリ・コミューン
1871年にパリで樹立された労働階級を主体とする自治政権
微妙な時代に留学していた

明治維新には参加できなかった

国会ではディベートではなくダイアローグをするところ
を、広く民衆に伝えたかった

洋学紳士
「こんにち第一に論ずるべきは
民主制であります。
ああ民主制。
君主宰相による専制政治は
愚かにも自身その欠陥に気づかない。
立憲制はその欠陥を悟り
半ば改めただけです。
民主制こそ度量の広い
一点の汚れもない体制なのです。
ヨーロッパ諸国はすでに
自由、平等、友愛の三大原理を
わきまえながら、なお民主制に
従わない国が多いのはなぜでしょうか。
なぜ、やたら道徳の道にはずれ
経済の原則にそむき
国の財政を食いつぶす
数十万、数百万の常備軍を置いて(略)
罪のない人民に殺し合いを
させるのでしょうか」

紳士
「われわれは文明の進歩に後れを
とった一小国でありながら、頭をあげて
アジアの片隅にすっくと立ちあがり
一躍、自由、平等の境地に跳びこむのです。
要塞をとりこわして平地にし
大砲を鋳つぶして戦艦を商船に変え
兵隊は市民となって、ひたすら道徳を
研鑽し、工業技術の開発に努め
純然たる哲学の申し子になったと
あっては、文明をもって自ら傲(おご)る
ヨーロッパ諸国の人々も
深く恥じ入るのではないでしょうか。
彼らが頑なになおも改めず
はじらいもなく、こちらの軍備の撤廃に
つけいり強引に攻め込んできたとき
われわれはみな、わずかな武器も
一発の弾も持たずに
礼儀正しく抑えたなら
いったい彼らに何ができるでしょうか」
紳士は徹底した理想主義者

洋学紳士の主張
・日本もいち早く民主制を実現すべし!
・国の政治体制は専制政治⇨立憲制⇨民主制と進化のステップを踏む
・平和のため、軍事的には非武装中立
⇨民主制を広めることで日本は世界から信頼される国になる

当時は国民国家としての戦争を経験していない
理解できていなかった
自分の頭で考えたこと同士をすり合わせるのが「対話」
おおらかさは大切
しかめっ面しないで政治や思想を語ることで民衆に伝わる
その中心にいたのが中江兆民!

平田オリザ先生の哲学の先生 武田京子 多分…。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E7%94%B0%E4%BA%AC%E5%AD%90_(%E8%A9%95%E8%AB%96%E5%AE%B6)

平田オリザ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E7%94%B0%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B6

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