2023年12月20日水曜日

中江兆民「三粋人経綸問答」(3)

想い出と一筆添えん年賀状
あるがまま受け入れられて年賀状
しがみつく病葉(わくらば)強し年賀状
最後にするか?値の上がる年賀状
真夜中のインク注文年賀状

■100分de名著 中江兆民❝三粋人経綸問答❞(3)「現実主義」の可能性
劇作家・演出家 平田オリザ先生

南海先生
「紳士君の論は、濃密な酒のようなもの。
飲めば、目がくらみ、頭脳を酔わせる。
豪傑君の論は、劇薬です。
飲めば、胃が破れ、腸がただれる。」

紳士君
「われわれふたりはすでに真情を
あますところなく申し上げました。」

豪傑君
「先生の御批判をうかがい
お教えいただきたく存じます」

南海先生
「諸君の卓論は…いずれも
現在に役立てることはむずかしい。
紳士君の論は、全国民が
一致協力しなければ実現できず
豪傑君の論は、君主宰相が
独断専行するのでなければ実現できない。
いずれもおそらく
架空の構想であるとしか
言えないでしょう」

「政治の本質とは何か。
国民の意向にそい
国民の知識にみあった制度を採用し
国民が安らかに暮らし
幸福を得られるようにする、これです」

(欄外いわく。この一説は、いささか得意の文章です)

2つの民権 2種類の民主主義
回復した民権(恢復的の民権) 賜った民権(恩賜的の民権)

借り物の思想ではだめだ
風土や教育の度合いに会った制度を少しずつ作っていく

南海先生
「国と国とがうらみあうことになる原因は
たいてい事実にもとづくものではなく
風聞によるものです。
事実を洞察すれば
少しも疑う余地はないが
風聞にかかると、なにやら
恐るべきものが見えてくるのです。
ですから、各国が疑いを抱くのは
各国の神経症によるのです。
青色の眼鏡をかけて物を見るならば
見えるものはすべて青色になります。
このために、二国が開戦に至るのは
たがいに戦いを好むからではなく、まさに
戦いを恐れるためにそうなるのです」

想像力とは疑う力

さらに新聞が、それぞれの国の事実と風聞とを
区別なく並べて報道し、それに自己の神経症の
色彩を加えて一種異様な幻影で社会をおおいつくくす。
こうなれば(略)やられる前にやってやろうと、開戦に至る。
「三粋人経論問答」

風聞をあおるメディア批判

(欄外いわく。南海先生はごまかしました)

南海先生
「ともかく立憲制度を確立し
上は陛下の尊厳と栄光を
下は民の幸福を確かなものにする。
上院下院の二院を設置し
上院議員には貴族をあてて世襲とし
下院議員には選挙法を適用して選出する
以上です。
その詳細は
欧米諸国の現行の憲法について
そのふさわしいものを選んで採用する。
このことは
一時に語りつくせるものではありません。
外交政策については
努めて友好を重んじ、国の威信を
そこなうことがない限り、けっして
国威と武力を誇示することにせず
言論、出版、さまざまな規制は
次第にゆるやかにし、教育の実施
商工業の活動は、次第に充実を図る
などです」

南海先生
「国家百年の大計とあっては
いたずらに奇抜や新味を求めて
喜んでいるわけにもいきません。
ただ、わたしはどうも小まわりがきかず
時事問題にうといため
いうことに切実さを欠いて
両君の期待にそえなかったのでしょう」

南海先生の主張
立憲制の確率
上院下院の二院を設置
外交政策は友好を重んじて国威・武力を誇示しない
言論、出版の規制はゆるやかに
教育、商工業の充実を図る

二項対立からは何も生まれない
現実にもいろいろな現実がある
それをさまざまな角度から見るのが知性

総合知 
命の次に大切なものはそれぞれによって違う
十把一絡げに処理してはいけない

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