重んずる個性や何処霜夜かな
土手で咲く冬薔薇凍え小刻みに
甘き香の今年も届く冬林檎
田宮川いつまで潜る尾長鴨
鴨の群れ煌めく水面目を閉じて
■NHK俳句 兼題「薬喰」
選者 山田佳乃 ゲスト 岩下尚史 司会 柴田英嗣
レギュラー 家藤正人 中西アルノ
年間テーマ「俳句とエコロジー」
今回の兼題は「薬喰」鹿や猪など滋養になる肉を食べることを言います
冬の季語 猟をされるのが冬 脂がのって美味しい時期
精のつくものを食べることを「薬喰」と言った(岩下尚史)
岩下尚史
新橋演舞場という劇場に就職した
私が入った頃 明治生まれの名妓(名高い芸妓)がいた
俳句の稽古をしている芸者さんが多かった
日常的に座敷などで俳句を披露していた
勉強とか教養ではなく「遊び」だった
松尾芭蕉は「お前も寂しいか僕も寂しいよ」と
言っている句が多い
それがどれほど力強いか分からない
俳句は共感がある非常に糧になる
▪名句de穴埋めクイズ
裏山に行って戻って薬喰 星野高士
▪特選六句発表 兼題「薬喰(くい)」
山の子の仕掛けたる罠薬喰 木田多聞天(たもんてん)
胎(はら)の子の今日はよく蹴る薬喰 花見鳥
沢水を引きし厨(くりや)や薬喰 正水多嘉子(まさみずたかこ)
美しく肉たたまれて薬喰 日永田陽光(ひなだようこう)
杣人(そまびと)に秘伝ありけり薬喰 真鍋孝子
(杣人とは山間に住み林業に携わっている人)
丹田に熱ひろがりぬ薬喰 沙羅(さら)ささら
(「ぬ」は完了の助動詞 じんわり広がったという意味
短詩型文学は生かすも殺すも助動詞の使い方ひとつ 助動詞は大事)
▪特選三席発表
三席 もうゐない月の兎や薬喰 徳照代
二席 仕留めたる漢(おとこ)を上座薬喰 坂本祥子(さちこ)
一席 胃の中の猪(しし)吞みたがる薬喰 田尻武雄
▪夏井家伝来!家藤正人&中西アルノ
0から俳句
ブンタイト表記津の組み合わせ
文語×歴史的仮名遣い
文語×現代仮名遣い
口語×歴史的仮名遣い
口語×現代仮名遣い
髪洗うまでの優柔不断かな 宇多喜代子
文語×現代仮名遣い
ウミユリの化石洗ひぬ山清水 辻颯(そう)太郎
文語×歴史的仮名遣い
春は曙そろそろ帰つてくれないか 櫂未知子
口語×歴史的仮名遣い
0からPOINT 歴史的仮名遣いは小さい「っ」は大きい「つ」で表記される
ピーマン切って中を明るくしてあげた 池田澄子
口語×現代仮名遣い
▪岩下尚史が兼題「薬喰」で一句披露
春待つや小町の果ての薬喰 岩下尚史
(還暦を過ぎてから美しくなるのを見ていた
また来る春を待っている気もしていた
再び恋を待っている気がしていた)
浮世の果ては皆小町なり
(松尾芭蕉が詠んだ歌仙の一部「小町」は小野小町のこと)
「春待つ」が立春前の季題 山田佳乃
添削 恋古(ふ)りて小町の果ての薬喰
▪柴田の歩み
助動詞を勉強しよう
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