2023年12月19日火曜日

テーマ「冬の星」

ぢゅんぢゅんとアイマスクした寒の鵙
8の字に尾っぽふりふり冬の鳥
湧き出でる仕事にまみれ年の暮
冬の梅品なきものに看取られて
年惜しむ男を駄目にする女

■NHK短歌 題 実感的 表現力アップ「冬の星」
選者 吉川宏志 ゲスト いとうせいこう 司会 尾崎世界観
テーマ「上の句と下の句の組み合わせ」
上の句と下の句で別々のことを歌って
イメージを重ねることで立体的に想いが伝えられる
二物衝撃(モンタージュ)
一句の中に二つの事物を取り合わせて
新しい情趣を生み出す俳句の技法

はきはきと別れを告げむ八月の深夜に冬の星は冷えいつ
吉川宏志

▪入選九首 テーマ「冬の星」
三席 私 さよならの「ら」の小さな震えまで吸いとってゆく冬の凍て星
脇本千尋
おおいぬとこいぬの光を探し合い二人の指でなぞる冬空
石田恵子
耳の痛さの分だけ星は増えてきて東京だってこんなに星空
野田鮎子
できるだけ高く飾りをつけたがる子らをツリーの星は見守る
山田香ふみ
想像は勇気をくれるこいぬ座がたった二つの星であること
川原田明子
 才能という語の軽さ稽古場の帰りの空にカノープス探す
大野恭敬(やすたか)
マフラーが結ぶ僕らはカストルとポルックスだね、君が笑えば
白歩明明(しらふめあ)
一席 私 冬空にそっと書かれた小説の句点となって光るシリウス
雨坂(あめさか)円
二席 何をもてカインはアベルをあやめしや戦果はつづき星空寒し
柴田昭隆(てるたか)

自分なりの星を探すことが大事 吉川宏志先生

▪入選あと一歩
咳き込みて着替える父は配達へオリオン星座のへばりつく街
青木一夫
添削
オリオンのへばりつく街咳き込みて着替えし父は配達へ行く

▪表現の最前線
ヒアシンス薄紫に咲きにけりはじめて心顫(ふる)ひそめし日
北原白秋
水彩画っぽいタッチ いとうせいこう

▪いとうせいこう 表現の最前線
ヒップホップの初期衝動
詩を作詞するときは自分が思ってもみない単語が韻で出てくる
二物衝撃 別のテーマにいくのを抑えながら
同じテーマの中でいろんなアイデアを編集していく
ということがポップの作詞の中にあると思う

ラップは下に強いリズムがくる
短歌は頭に強いリズムがくる という短歌から最近
脚韻(語の終わりを同じ音でそろえる方法)に変わってきた 𠮷川宏志

今まで頭韻(語のはじめを同じ音でそろえる方法)は
踏んでいるが脚韻は踏んでいなかった いとうせいこう

脚韻は理屈みたいなところがある
詩の内容で訴えかけるより詩の形式で訴えるのでエモくなれない いとうせいこう

エモい内容で脚韻ぽくなるとエモさが中和される 𠮷川宏志

超平成の言葉遊び 面白いので聞いて欲しい
https://www.nicovideo.jp/watch/sm34076173
https://s.awa.fm/track/ff4850d1c9760c9ec994

二重のイメージ 「徴兵制」と「徴兵制」が重なっている
和歌ではよくやる手法 いとうせいこう

作っていて無力感を感じることが多い 𠮷川宏志

無力上等 いとうせいこう
みんな無力なんだ でも言うんだ

自分が無力だってことを忘れたらだめ 𠮷川宏志

▪「ことばのバトン」
車道爆走津軽のかっちゃ
自立生活支援センター事務局長

あおられてよろめくはずみ第一歩
寺嶋由芙(アイドル)

ふるさとで「息子」に戻ったヲタクから届くリプライみかんの香り
「アイドル歌会公式歌集1」(講談社)より

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