2023年12月31日日曜日

モンローチェアー&石の教会

音楽は男の炎冬の潮
散楽から猿学へ冬日向
愛嬌や柔らかき武器冬を生く
冬陽射し周りの人を幸せに
山眠る美徳の源泉湧き出し

■新美の巨人たち【磯崎新モンローチェアー×シシド・カフカ】
建築家の設計した椅子
ヘリット・トーマス・リートフェルト「レッド&ブルーチェア」
ル・コルビュジェ/シャルロット・ぺリアン「シェーズ・ロング」
ミース・ファン・デル・ローエ「バルセリナチェア」
磯崎新「モンローチェア」

モンロー定規について 倉方俊輔氏
マリリン・モンローの体の曲線からとった定規を使う
ふざけているようですけれども
しかしその方が実は豊かな曲線になるんじゃないか
その辺りが磯崎さんの不真面目なのか真面目なのか
あるいはキッチュなのか高尚なのかわからない
磯崎さんのモンローカーブってものにはよくあらわれています

磯崎新氏「家具言語2」より
円弧とか楕円のように完全に作図できるカーブや
計算できる曲線以外は全部これを使うことに決めた
それを建築応用しようそれなら家具もつくろう
ということになって現在ある「モンローチェア」を
作ることになったのです

わたくしたちの世代というのは何はともあれ
アメリカという存在そのものが
直接的に強烈な影響を持っていた
マリリン・モンローもその一つだったんです

磯崎新(1931~2022)

「椅子という暗喩」こそがその物体の存在の
秘密を解く手掛かりになるというべきである

柳宗理「バタフライツール」
ブルーノ・マットソン「ハイバックチェア」
田辺麗子「ムライスツール」
剣持勇「柏戸イス」

モンローに光と影
大勢の人に私を見つめさせて
私の名前を呼ばせることを夢見て
自分を慰めていたの

モンローの愛の渇き 深い孤独 寂寥

■新美の巨人たち【軽井沢 石の教会×廣津留(ひろつる)すみれ】
石の教会 内村鑑三記念堂
設計者 ケンドリック・ケロッグ
内村鑑三 無教会という思想に辿り着いた

この世に於ける私共の教会とは
何であってどこにあるのでありましょうか…
神の創られた宇宙であります
天然であります
「無教会」より

大正10年の「芸術自由教育講習会」をきっかけに
毎年軽井沢を訪れるようになる
星野温泉旅館には内村が旅館に贈った
経営者の心構えが置いてあります。
大事に守り続けています。

教会のアーチは太陽の軌道に沿って配列されている
其の天井は蒼空であります
石は全て地元から採取された
命を育む水とその水がもたらす豊かな緑
其の床は青い野であります
最後のエレメントは木
椅子のデザインは全て異なる
木の部分はケロッグの依頼によりジョン・ヴグリンが手掛けた
「ケロッグの考えを尊重し建物と調和するようにデザインしました
彼がハッピーで答えるようにね」

ケンドリック・ケロッグの言葉
私たちの内面での旅であり内面の開拓です
この建物はスピリットを表現しているのです



2023年12月30日土曜日

文豪温泉Ⅱ 名作の陰に名湯あり

こだまする優しき言葉眠る山
冬北斗色褪せた時見える愛
寒潮や金を卑しむ事勿れ
金欠を生きる才能冬ぬくし
尊厳を放棄する人北颪

■文豪温泉Ⅱ 名作の陰に名湯あり
▪太宰治 走れメロス 
友のために命を懸けて走る主人公を描いた作品
愛の作家 愛させるのが上手な作家

「信じられているから走るのだ。
間に合う、間に合わぬのは
問題ではない。
人の命も問題ではないのだ。
私は、なんだか、もっと恐ろしく
大きいものの為に走っているのだ。」

湯村温泉
天下茶屋にて一か月滞在
作家人生を変える運命の出会い
井伏鱒二宅で昭和14年1月8日挙式
喜久乃湯温泉(甲府温泉)

「メロスの足は、はたと、とまった。
見よ、前方の川を。
昨日の豪雨でどうどうと響きをあげる激流が、
木端微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。
今はメロスも覚悟した。
泳ぎ切るより他に無い。
メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、
必死の闘争を開始した。
押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、
すがりつく事が出来たのである。」

「突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。
山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。
メロスはひょういと、からだを折り曲げ、
飛鳥の如く身近かの人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、
たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に
さっさと走って峠を下った。」

「全身萎えて、もはや芋虫ほどにも前進かなわぬ。
ふと耳に、潺々(せんせん)、水の流れる音が聞えた。
その泉に吸い込まれるようにメロスは身をかがめた。
水を両手で掬って、一くち飲んだ。
ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。
歩ける。行こう。
肉体の疲労恢復と共に、わずかながら希望が生まれた。」

山崎富江さんと玉川上水で入水自殺
遺書 津島修治
「美知子様 お前を誰よりも愛していました」

「富士には月見草がよく似合ふ   太宰治」
茶屋の近くで見た「富嶽百景」の名文句の 石碑

美知子さんは太宰治の小説家という才能に魅了された
太宰治を後世に残さなければという使命感
太宰の魅力を発信し続けた

■谷崎潤一郎 細雪
有馬温泉ゆかりの美しい光景
戦前の関西を舞台にした名家・蒔岡家四姉妹の物語

「こいさん、頼むわ。
鏡の中で、廊下からうしろへ這入って来た妙子を見ると、
自分で襟を塗りかけていた
刷毛(はけ)を渡して、其方は見ずに、
眼の前に映っている長襦袢姿の、抜き衣紋の顔を
他人の顔のように見据えながら、
「雪子ちゃん 下で何してる」と、幸子は聞いた。
悦ちゃんのピアノ見たげてるらしい」

「僕はあんな因循姑息なお嬢さんは嫌いです。
御都合はいかがですと云っても、はいあのう、はいあのう、
繰り返すばかりで、イエスだかノーだかさっぱり分らない、
問い詰めると聴き取れないような細い声で
ちょっと差支えがございますので…
と、やっとそれだけ云って、あとは一と言も云わない、
いったいあのお嬢さんは人を何と思ってるんです

「風呂の焚き口から風呂場へ通じるくぐり戸が
又五六尺開いていて、湯に浸かっている妙子の
肩から上の姿が、隙間からちらちら見える
「いかんいかん、占めたらいかん」と、
妙子が湯船から怒鳴った。
「おや、開けとくのでございますか」
「そうやねん。うち、ラジオ聴くのんでわざと開けとくねん」

「細雪」誕生のきっかけは一冊の髄筆
「陰影礼讃」っていうエッセイを書いて
影を褒め称える 日本の美学
古き良き日本の美について書いた髄筆
日本では影があるから美しいと語っています
「陰影礼讃」の最後に強い思い

「私はわれ〱が既に失いつゝある陰影の世界を、
せめて文学の領域へでも呼び返してみたい。
壁を暗くし、見え過ぎるものを闇に押し込め、
無用の室内装飾を剝ぎ取ってみたい。
一軒ぐらいそう云う家があってもよかろう。
まあどう云う工合になるか、試しに電燈を消してみることだ。」

日本の陰の美陰影礼讃

「赤ん坊は遂に泣き声を立てないのであった。
妙子はそれから一週間後に退院したが、
三好の許へ引き取られることになり、
兵庫の方に二階借りをして、その日から夫婦暮しを始めた。

「雪子は二十六日の夜行で上京することに極まってからは、
その日その日の過ぎて行くのが悲しまれた。
それにどうしたことなのか、数日前から腹具合が悪く、
下痢が止まらないうちに十六日が来てしまった。
下痢はとうとうその日も止まらず、
汽車に乗ってからもまだ続いていた。

日本の伝統美を残したい

■金色夜叉 尾崎紅葉 
裏切られた紅葉を包んだ温泉
明治時代を代表する小説で愛を金がテーマの愛憎劇
作品全体を通してある普遍性
金色夜叉は会話は口語体、その他は文語体になっている

「ああ寒い!」
「あら可厭(いや)ね、どうしたの」
「寒くて耐らんからその中へ一処に入れ給へ」
「この中へ」
「シォールのな中へ」
「可笑い、可厭だわ」
男は逸早く彼の押へしシォールの片端を奪ひて、その中に身を容れたり。
宮は歩み得ぬまでに笑ひて、
「あら貫一さん。これぢゃ切なくて歩けやしない。
ああ、前面から人が来てよ。」

半年後に結婚することが決まっていました。
しかし、貫一の知らぬ間に資産家の息子 
富山唯継の求婚を受け入れていたのでした。
それを知った貫一は宮を追いかけて熱海へ
海岸で貫一は宮を説得
宮の気持ちは変わりません

「吁(ああ)、宮さんかうして二人が一処に居るのも今夜ぎりだ。
一生を通して僕は今月今夜を忘れん、忘れるものか、
月が…月が…月が…曇ったならば、
宮さん、貫一は何処かでお前を恨んで、
今夜のやうに泣いてゐると思ってくれ。
この恨みの為に貫一は生きながら悪魔になって、
貴様のやうな畜生の肉を啖(くら)つて遣る覚悟だ。」

貫一は宮を蹴り飛ばしたのです。
紅葉も大きな裏切りを経験
山田美妙と日本初の文学結社「硯友社」を結成
同人誌「我落多文庫」を出版
そんな時新しい文学雑誌編集長をしてほしい…
結局、美妙は硯友社を脱退

貫一は冷徹な高利貸しへ 宮は後悔しつつ結婚生活を送っていた
別れてから6年後東京で再会
貫一は逃げるように仕事を兼ねて塩原へ

清琴楼の二階座敷に案内されたけど、
何気なく座敷に入りたる彼の眼を、又一個驚かす物こそあれ。
山百合の花のいと大きなるを唯一輪棒挿に活けたる

「今貴下方がかうして一処に死ぬまでも離れまい
と云ふまでに思合つた、実に謂ふに謂はれん程のものであらう、
と私は思ふ。
さうして、貴下方は二人とも末長く睦く暮して下さい。
私はそれが見たいのです!
今は死ぬところでない、死ぬには及びません。
三千円や四千円の事なら、私がどうでも為(し)てあげます」

貫一が金を肩代わりして命を救った
回顧(みかえり)の滝

看よ、看よ、木々の緑も、浮べる雲も、秀でる峰も、流るる渓も、
我はここに憂を忘れ、悲を忘れ、苦を忘れ、労を忘れて、
恋も有らず、怨も有らず、金銭も有らず、
我思を埋むるの里か、吾骨を埋るの里か。

塩原の大自然に感動し宮を赦す気持ちが芽生えた

宿に帰り一浴して後、宿の浴衣に着更へ
羽織を重ねて洗心瀑の探勝にと出立ちけり
案内記を手にして山と澗と名處と湯場とを巡回す(塩原紀行)

美妙と和解
二人で新雑誌を立ち上げる
直後、美妙が脳溢血で倒れ新雑誌は幻に…。

紅葉胃癌にて明治36年10月30日(35歳没)
金色夜叉は未完に終わる
しかし、弟子の小栗風葉が紅葉の残したメモを基に書きあげた。

2023年12月29日金曜日

ガウディの言葉&「朽野(くだらの)」&「暖鳥(ぬくめどり)」

つまらない他人本意の年の暮
日向ぼこ個性発展自己本位
冬ざるる雲ひとつなき蒼き空
諦めの美学さまよう冬銀河
寒き夜命削りて出す答え

■日曜美術館 永遠なるサグラダ・ファミリア
神の建築家 アントニ・ガウディ

ガウディの言葉
作業場から見える樹が私の師匠だ
すべては自然という偉大な書物から成り立っている
聖堂の柱を樹木にしてその頂部を葉っぱで飾ろう

人間は創造しない
人間は発見し
その発見から出発する

諸君 明日はもっといい仕事をしよう

サグラダ・ファミリア聖堂 主任建築家 ジョルディ・ファウリ
手にしている福音書は幸福を得るための書物です
その幸せが翼に乗ってすべての人に届きますように
ガウディがサグラダ・ファミリアの美しさを通じて
伝えようとしたことは「他者と平和に暮らすこと」
今こそ必要な永遠のメッセージです

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 朽野(くだらの)

意味としては枯れた冬の野原
「枯野」と同じ意味になってくるのですが
同じような意味の季語なのになんで
「枯野」と「朽野」2つの言い方があるのかというと
「朽野」の方が少し意味が限定的になると
歳時記には解説があります
「枯野」よりも更に寒々しく哀れな感じというのでしょうか
「朽野」の要素であるとされています
例えば同じ小林一茶の句で「枯野」の方だと
五六疋(ひき)干しておく枯野哉
と描かれているのに対し「朽野」の方だと
くだら野や人を喰ふと鳴く烏(からす)
と少しおぞましいような描かれ方がされています
「枯野」と「朽野」使い分けてみたいものですね

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 暖鳥(ぬくめどり)

鳥とついているからには具体的な何の鳥なのかと思いきや
特定の種類の鳥を指すのではなく
鳥の行動を扱った季語になります
どういう季語かというと大型の鳥が冬の寒さ
特に一夜の寒さを凌ぐために小鳥を捕まえて
獲って食ったりはせずその小鳥の体温で
自分の身を温めながら一夜を過ごすと
その行為のことを「暖鳥」というのだそうです
朝になったら暖に使っていた小鳥のことを放してやる
というような解説があるのですが
実際本当にあるのかどうか一度生で見てみたい
そんな季語ですね
食べずにいられるのでしょうか

2023年12月28日木曜日

ロッチと子羊(63)「劇団員編(1)」

冬の月水に流して舐められて
情熱と払う苦心や冬の雷
薬喰(くすりくい)吾で居続ける義務を持ち
冬の靄不幸受け入れ明日を生く
地蔵寺を風と撓むる枯銀杏

■ロッチと子羊(63)「劇団員編(1)」
▪大久保ノブオ 劇団ワハハ本舗
お悩み 
周囲とバランスを取り過ぎて自分の個性が出せない

幸福な生とは個性的な人生を送ること
そのために最も大切なのことは
バランサー能力なのです
セネカ哲学からの応用

生を構築するその他の事物に
関心を寄せながらも
そのどれ一つも礼讃することなく
(周囲に気を配りながらも特別視しないという意味
 冷静に見定めよ)

太鼓持ちと言われるとお調子者というイメージがありますが
冷静な目がないと真の太鼓持ちにはなれないと思う
人の心を打つような個性が出ていた

▪兵藤有紀 劇団ワハハ本舗
お悩み
自分の居場所が曖昧になりここにいてもいいのかなと思う
劇団を辞めるべきなのか踏みとどまるべきなのか
どうしていけばいいのかな

柴田理恵さんのアドバイス
自分はここにいたいかいたくないか ではないかと思う…。
自分の中でできることをやらなきゃいけない
兵藤解りましたか❓解らなかったら家にいらっしゃい。

世界を初めて見るかのような
そして最後に見るかのような気持ちで
生きることです
アド哲学

生き方としての哲学
生きることにこだわったのか
死を思うことで
よりよく生きるとはどういうことか?を探求
その中で心の窓際族を吹き飛ばす究極の哲学を発見
心の窓際族を生む原因
目的志向 線上を目標に向かって生きていく考え方
切ったのは未来と過去
線ではなく点で生きよ これがアドの言いたかった哲学
点にこそ今という瞬間(点)に無限の価値がある
体験思考 今この瞬間を大切に生きていく考え方
初めて見るかのように驚きを感じ サプライズ
最後に見るかのように感謝をする サンクス
目的志向から体験思考にマインドを変える

2023年12月27日水曜日

ロッチと子羊(62)「放送作家編(2)」&名言

ひょうたん島をサンタが船でやってきた
岸壁で待ってサンタのプレゼント 
周遊船夢を届けんクリスマス
船上で笑顔受け取るサンタかな
新町川サンタが投げるプレゼント
クリスマスごとに裏方頼もしき(中村英雄氏)

NPO法人 新町川を守る会
http://www.social-action-ring.org/detail/detail-1278/

ひょうたん島クルーズ
https://www.awanavi.jp/archives/spot/2542

■ロッチと子羊(62) 放送作家編(2)
▪放送作家 長崎周成氏のお悩み
友人たちと楽しく仕事をしたいが言うべきことが言えない

心の秩序を度外視してどのように
外面の秩序を整えたとしても空疎である
三木清哲学

組織を動かすには楽しいだけじゃなく
当然秩序が求められます
三木の考える秩序とは外面の秩序と心の秩序がある
心の秩序⇨外面の秩序=真の秩序となる
人格とは秩序である 自由というのも秩序である

優しさのポイント
①関係性に距離を置く
②相手に完璧を求めない
③リスペクトを表現する

▪放送作家 ヒナタユキさんのお悩み
長いものに巻かれて意見がなかなか言えない

長いものに巻かれるのは戦略だと思いましょう
戦わずして勝てばいいのです
孫武哲学の要約

詐を以って立ち(相手を欺く)
利を以って動き(利益)
分合を以って(分散と集合)
変と為す者なり(変幻自在)

最小限で効率よく動く
武田信玄が掲げた風林火山の元になった考え方です

長いものに巻かれてはいけない
長いものに巻かせる!

相手の意見を受け入れ、
核となる部分は譲らない、という兵法

■名言

山下清 曰く
「みんなが爆弾なんかつくらないで
 きれいな花火ばかりつくっていたら
 きっと戦争なんて起きなかったんだな。」

松下幸之助 曰く
「何としても二階に上がりたい、
 どうしても二階に上がろう。
 この熱意がハシゴを思いつかせ
 階段を作りあげる。
 上がっても上がらなくてもと考えている人の頭からは、
 ハシゴは生まれない。」

豆塚エリ 曰く
「没頭しているときこそ、
 その人がその人らしくあり、
 命を輝かせているのに違いない。
 そして、きっとその輝きに心惹かれる誰かも
 存在するのではないか。」

2023年12月26日火曜日

兼題「靴」&クリスマスとは

クリスマスミサよりダンス優先す
膝まづき手を合わせしはクリスマス
家事放棄ミサで歌わんクリスマス
繰り返し毎年懺悔クリスマス
縋(すが)りしは神の御心クリスマス

■クリスマス(英語: Christmas)はイエス・キリストの降誕を記念する祭で、
キリスト降誕祭、降誕日、聖誕祭、ノエルなどとも呼ばれる。
「クリスマス」という英語は
「キリスト(Christ)のミサ(mass)」という意味に由来する。

カトリック、聖公会、ルーテル教会、正教会などでは、
教会暦上の毎年12月25日に祝われる。

あくまでキリストの降誕を記念する日であり、
この祭事が行われる日自体がイエス・キリストの
正式な誕生日というわけではない
(イエス・キリストの誕生日自体が不詳である)。

参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%B9#%E9%96%A2%E9%80%A3%E6%96%87%E5%8C%96

■NHK俳句 兼題「靴」
年間テーマは語ろう!俳句
選者 高野ムツオ ゲスト 古坂大魔王 レギュラー 中西アルノ 
句会参加者 小野あらた 田中亜美 司会 柴田英嗣

① 向き合っている靴と靴虎落笛   高野ムツオ
② 凍土踏み焦土を踏みし靴遺る   田中亜美
の靴雪踏みしめる無音音   古坂大魔王
④ 陽だまりの冬菫や靴は新しき   中西アルノ
⑤ 靴下の丸まつてゐる炬燵かな   小野あらた

③ 冬は要らない
雪靴で良かったのでは…❓ 高野ムツオ先生

▪特選三席発表 兼題「靴」
三席 ストーブの前に家族の靴揃ふ   福原あさひ
二席 人形のよごれぬ靴よ雪催(もよい)   葉村直
一席 新しき雪靴まづは手を入るる   鈴木正芳

特選
長靴で急ぎし見合ひ深雪晴   虎川牧子
厚底靴履いて冬銀河の出勤   Q&A
冬晴や両手で履かす介護靴   小澤俊彦
靴の上に靴載つてをり忘年会   妙中正
長靴の泥ごと脱いで秋夕焼   木染湧水
介護靴の中に母の名クリスマス   坂口美恵子

特選 参照:https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL

2023年12月25日月曜日

アベニュークリスマスパーティー

2023年12月24日
アベニュークリスマスパーティーのお手伝いへ
昨年とは違い多くのお客様にお越しいただきました。
瀧倉茂&由美組、白井信次先生がご参加くださいました。
懐かしいお客様も…。
大いに盛り上がりました。
久し振りの盛況にマスターが物凄く嬉しそうでした。
来年もできると良いのですが…。






テーマ「着る/脱ぐ」

現実を受け止め生きる冬の潮
恐れるな道は拓ける冬の霧
冬ざるる涙と共に前進す
経験を超える知識や冴える星
音楽や女の涙冬銀河

■NHK短歌 テーマ「着る/脱ぐ」
選者 岡野大嗣 ゲスト 名久井直子 司会 尾崎世界観
年間テーマ グッとくる瞬間

似合わんねカート・コバーンのネルシャツはカート・コバーンあってのもので
岡野大嗣

カート・コバーン(1967-1994)
ロックバンド「ニルヴァーナ」のリードボーカル兼ギター

▪入選九首 テーマ「着る/脱ぐ」
七ヶ(か)月愛した彼が七ヶ月おんなじシャツを着ていた気がする
小鳥遊湖々
張り付いた水着を笑って脱いだ午後夏の終わりを一緒に歩く
有村鹿乃子
二席 裏庭で白いタイツで遊ぶ写真大事に育てられたねあなた
臼井慶子
一席 私 おばあさんにコートを着せるおじいさん待合室の無言の二人
仁藤和子
ゆるきゃらの着ぐるみ脱げば汗が私を湿らせており
竹内一二(かずじ)
珍しくはだかの犬を連れた人正しい角度で陽を受けながら
前川泰信
卵を買いに行くだけだからきっちりとボタンをとめて着るカーディガン
たろりずむ
三席 靴下を脱ぐとき人は無防備でその写真を何枚か持ってる
植垣颯希(そうき)
私 おばあさまケチャップの手を適切に私の着てる白シャツで拭く
一羽すずめ

▪表現者の原点 名久井直子
伝染るんです 吉田戦車

中学二年生のときに地元の本屋さんで
面白そうと思って買って読んだ
祖父江慎さんという大先輩のブックデザイナーがデザイン
白紙のページがあったり同じページが2回続いていたり
いろんなことが事故のようなことがいっぱいこの本に詰まっている
本の「そで」最初のページが短くて後ろのページが長い
気持ち悪いに近いようなおもしろいことがいっぱいあって
デザインというのはちょっと編集に足を踏み入れる
そういうやくわりがあるんだなというのをこれで強烈に思った
ただ表層を作るということだけではなく
中身にコミットして作るという仕事があると思った

名久井さんがブックデザインで心掛けていることは❓
仕事に自分らしさが出ないように仕事ができたらなと思っている

その本その本で違う顔をしていたいという気持ちがある
(名久井さんらしいね)言われるうちはまだまだだなと思っている

気配を消したいみたいなこと? 岡野大嗣
「分からなかった」と言われる方が「やった」と思う 名久井直子

一個しか最終的に選べなくてもその途中の人たちの意見があって
そこに行くみたいなのが楽しい
音楽は「らしい」方がいいと思うのでデザインとは違うかも

▪それぞれの「着る/脱ぐ」それぞれの表現
あたらしい服着た本を送り出す「いつかしらない服に着替えよ」
名久井直子

もし自分の手を離れて違う人が手を入れたとしても
その本にとっては幸せなことという凄く優しい歌 岡野大嗣

着替えを私がさせるときもあって緊張する 
だいたい皆さんなじんでいるものが良いと思うので
やりにくいなと思ったりする
着替えさせることで時間が延びていく
自分の職業に寄せて書いた方が
他の人が詠めない短歌になるのかな 名久井直子

ぼくのすきなシャツとおんなじ青をした外国の絵本を連れ帰る
岡野大嗣

▪ことばのバトン
あおられてよろめくはずみ第一歩
アイドル 寺嶋由芙

⑩分前にここに来てくれ
日本放送アナウンサー 吉田尚記

きれいにきっちり作り込んで何かなんて
人生起きないので6割くらいならいいって
いいんじゃないかって

2023年12月24日日曜日

乙川弘文&「❝植物支配者❞は周りを動かす」

冬の浪過去に捉われ縛られて
隙間風劣等感は戦争へ(プーチン露大統領)
膝抱え冬の縁側目を閉じて
サティー聞き Paul(Klee)眺めて冬陽射し
楠や大きくなれと冬の空

■ジョブズの師、乙川弘文は「利他」の現代的意義を再定義する:中島岳志 × 柳田由紀子 対談
https://wired.jp/2020/08/16/kobun-otogawa/?utm_source=facebook&utm_medium=social&fbclid=IwAR1r818F0wDvrB55T3zC4xRwoygHgNOLVLT5hIFGF97hokxjh_rC4HXrFyQ

■ヒューマニエンス「❝植物支配者❞は周りを動かす」
豊田正嗣氏
植物は身動きがとれないが
傷つけられたという情報を全身に伝えて
昆虫が食べると消化不良を起こす物質をつくる
苦味物質であるポリフェノールを作り出すと考えられている
だが、脳や神経を持たない植物がどうやって伝えるのか❓
傷つけられたところだけではなく
違うところへも情報を伝えている
植物は地球上で生き残るためにこの機能を生み出した
私たちが筋肉を収縮し腕を曲げるときも
カルシウムイオンのシグナルが使われている
神経伝達物質を放出するときも
カルシウムイオンのシグナルを使う
植物は神経も無ければ運動することもできないが
脳に使われているような仕組みを使って
いろんな情報を処理して環境に適応しながら生きている
植物は触れただけで成長に大きな変化がもたらされている
自然界で触れられる状況は恐らく近くに自分を食べる
動物がいたり昆虫が動いていたりする
植物が生存戦略として生き残っていくためには
防御反応を引き起こす。防御反応にエネルギーを使うので
結果として成長が遅れていく
成長と防御はトレードオフの関係
分子レベルで持っている素子は植物も動物も変わらない
オジギソウ、ハエトリソウも
カルシウムイオンの電気信号で動いている
師管とはカルシウムイオンによる電気信号が通ること

危機を伝え合う植物のコミュニケーション
離れた別種の植物に危機を伝えている
シロイヌナズナがトマトという別種の葉が
かじられたときに出る匂いを感じて
カルシウムの信号を発生させている瞬間
豊田説 葉っぱからの匂いは危機を伝える共通言語
植物は葉っぱで匂い物質を感じている
自分が食べられているときに虫の天敵を呼び寄せ
キャベツは匂い物質でコナガコマユバチを呼び寄せる
利己的な生き物 と 利他的な生き物
幼虫を完全に猛毒で殺してしまったときに
花粉を運んでくれる蝶はどこへ行くのか❓
進化の中で猛毒をつくる植物がいたかもしれないけれど
自分を最終的に助けてくれる生物も全部殺してしまうと
自分も死んでしまうかもしれない

植物は生態系をコントロールする
花は昆虫を繁殖に利用

浅間茂
われわれは紫外線は見えませんが虫は紫外線が見える
虫が見ている紫外線の世界を見たくてカメラを作った
花びらのある部分だけ紫外線を吸収して真っ黒に撮れる
道しるべです

杉山暁史氏
植物は動けない制約があるが根からさまざまな化合物を
分泌することで根の周りの微生物をコントロールしている
植物が地球上で繫栄してきた理由ではないか
注目しているのは根の周りの菌
トマチンという菌で様々な病原菌を退けている
一方ではスフィンゴビウム属細菌を集めている
根の周りでは40倍
恐らくスフィンゴビウム属細菌はトマトの成長を促進したり
さまざまなストレスから守っている
霊長類もその恩恵を受けている

西田治文氏
化石によると白亜紀(1億4500~6600万年前)の
果実は1センチを超えない
今の果実は何十センチもある
そういう変化は新生代になって急激に進んだ
果実は鳥や哺乳類を呼び寄せる
霊長類の色覚に変化
私たちが見ている色の三原色というのは
私たち独自のものとして進化してきた特徴
生き物の世界を見たときに生き物同士のせめぎ合いが
時間と空間を超えてずっと続いている
漬け物 植物が地層に埋まったときに
周りの鉱物が染み込むことがある
果実はサルになってから(手で)採るようになった
手でつかんで食べるというのは重要
植物が変われば動物も変わる
動物が変われば植物も変わる
根の進化
コケ植物 4.7~4.5億年前 シダ植物 4億年前 
裸子植物 2.9億年前 被子植物 1.4億年前
栄養を菌類からわけてもらう 菌類との共生
地衣類やコケが生えて土ができる

石川亮氏
ヒトはイネに利用されている?
世界総人口の半分は米が主食
種子が穂についたまま残る これは特殊な姿
種は遠くに運ばれ生育範囲が広がる

野性イネ 好き放題大きく広がり穂も開いている
実ったものは全部落ちてしまう
集めるのは効率的ではない 食用にするのは厳しい
脱粒性の野性イネから栽培イネに変わったか❓
突然変異によって起こるが種が
落ちにくくなるのをイネがヒトに提示した
ヒトに気づかせイネは生息域を世界各地に広げていった
3つの遺伝子の突然変異でした
それぞれの遺伝子では凄く効果が小さかった
3つ重なることで種が落ちにくくなる現象がヒトの目についた
これはすごい変化だとわかった
NO RICE NO LIFE キャッチコピー
芒(のげ)とは種子の先端にある針状の突起
芒に力が加わると脱粒しやすい
野性イネは東南アジア・インドなどで自生し日本には生えていない。
イネは植物界の成功者?
石川説
イネは変異することでヒトを操り生育範囲を拡大した

豊田説
野性化した栽培イネの中で突然変異が起きて生き残っていく

ポリフェノールはなぜ体にいい?
アントシアニン イソフラボン カカオポリフェノール カテキン
などがある約8000種類存在
紫外線を吸収 昆虫の消化を阻害 病原体から身を守るなどの
防御物質だ

立花宏文氏
ポリフェノールの大きな特徴はたんぱく質にくっつくこと
むやみに体に入ってくると非常に危ない
毒として働く可能性がある
注射や点滴で体内に大量に取り入れると機能障害もたらす危険性が高い
腸はポリフェノールを異物として認識して吸収しない
ポリフェノールは基本異物
私たちの体はよくできていてたくさん入ったら困るものは吸収しない
ただごく一部のポリフェノールが体に入ってくる
それがたまたま特定の作用を示す
抗肥満作用や抗アレルギー作用や抗ガン作用が出てくる
わずかなポリフェノールが抗がん作用をもたらすメカニズムを研究
EGCG 緑茶カテキンに含まれるポリフェノール
緑茶カテキンEGCGは微量しか吸収されない
その吸収されうる微量のがん細胞に振りかけた
EGCGがごく微量でも細胞の表面に結合することがわかった
その相手分子を調べるとカテキンの受容体が
がん細胞の表面にあることがわかった
アポトースス(細胞の自然死)することがわかった
鍵と鍵穴のような関係で強力に結合
ある種のホルモンのように微量でもポリフェノールが働く
緑茶カテキンEGCGはがん細胞に多く発現している
たんぱく質を好んで結合することがわかった
最終的にはがん細胞のDNAがずたずたに切れて自滅する
正常の細胞にもEGCGの受容体はある
正常の細胞にもポリフェノールは
くっつくががん細胞のようには死なない
マクロファージ 炎症に関わる免疫細胞に
カテキンが作用した場合は過剰な炎症は抑えてくれる
がん細胞がEGCGを受け取ると死んでしまう
正常な細胞が受け取ったときにはいい効果がでる
お茶を飲むだけではがんを殺すのは難しい
お茶のカテキンと柑橘類のポリフェノールを
一緒にとると抗肥満作用が3倍になる
カテキン以外のポリフェノールの
抗がん作用のメカニズムはまだ不明

植物の未来
豊田説
サステナブル(持続可能) テクノロジーによって
植物をポジティブに変えていってもよいのではないか❓

2023年12月23日土曜日

萩原朔太郎&倉俣史朗&今川氏真の言葉

願うことこそが大切寒昴(かんすばる)
小水の神はせっかち寒き朝
冬の夜批評をしたき鬼がいる
冬の虹織れなくなった夢を織る
息白し疑う意思の育まん

■萩原朔太郎「蛙よ」
蛙よ、
青いすすきやよしの生えている中で、
蛙は白くふくらんでゐるやうだ、
雨のいつぱいにふる夕景に、
ぎよ、ぎよ、ぎよ、ぎよ、と鳴く蛙。

「竹」
かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、
凍える節節りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え

■日曜美術館 倉俣史朗 デザインの魔法
倉俣美恵子さん(倉俣史朗氏の奥さま)
人間に対しての栄養になるものを自分は届けたい
これをデザインして発表するしかないんだ
今の僕はデザイナーとして
挑戦というか今までの家具とレベルが違う

今は亡き田中慎太郎さんの言葉
一本百円で売ってたんです
これをクラさんハルちゃんのお土産だよって
そしたら1週間ぐらいして倉俣さんの事務所に行ったら
スケッチ見せてくれて
「シンさんこれどう?」って
それがミス・ブランチの最初のきっかけになったんですね

「ブルータス」より
どうして薔薇なのか
自分でもよく分からない。(略)
ただ、今言えることは、
紅い薔薇でなくてはならず。
生花でなく造花でなくては
ならないという事です。

倉俣美恵子さん(倉俣史朗氏の奥さま)
ある日一人でベッドでお酒を飲みながら
ルーレットが止まって
これだと思いついたみたいな表現をしている
これしかないみたいなことで
この作品が生まれたのではないかな

倉俣史朗氏の言葉
作りたいと思う意思だけあることが大事な気がする
そこで諦めちゃうと
本当に見えているものも見えなくなっちゃう
そのほんのちょっとの差なんじゃないかな

安藤忠雄氏の言葉
作るということは永遠なものなんですよ
人の心に残る永遠性のあるものを作らねばならないと
彼は言葉ではなしにもので表現されていたんだろうと
思います

ミス・ブランチと命名したのは
当時、読んでいた本が関係していました。
「欲望という名の電車」主人公ブランチの悲劇の物語です。
椅子の名前の由来ともなっています
ご自身とブランチ、偽っている人生…。
そういうぎりぎりのところがあったのではないかと…。

■先人たちの底力 知恵泉
今川氏真の生き残り術 華麗なる転身 再び表舞台へ

法の師の聲うちそへてあつさ弓おなし雲井にすめる夜半哉
(仏の教えを伝える僧侶と弓を携えた私が
 同じ空の元にいるのは罪深いことだ)

2023年12月22日金曜日

号外で一句&名言

冬ざるるピュシスに生まれシフトせり 
冬銀河ロゴスはミュトス永遠に
春一番に乗っていくから□おやすみ
冬の月言語で変わる恋歌かな
懸命に今日を生ききる冬の鳥

■プレバト纏め 2023年12月21日
号外で一句

▪永世名人 ジュニアのお手本
千原ジュニア
極月の号外無傷のチャンピオン
(極月は冬の季語12月の事 お見事!)

▪特待生昇格試験
的場浩司
昭和逝く凍星(いてぼし)今日もそこにある
(凍星が冬の季語 無常観を投影した句 等身大の一句
 さりげなさの中に実感がこもっている
 凍星の光自体も何十光年何百光年の光 
 無常感・意志が表現されている)

1位 松田和佳
かじかむ手シワの号外握りしめ
添削(かじかむ冬の季語 漢字で表記 
   握りしめが入っているので手は要らない 詠嘆する)
悴むや皺の号外握りしめ

2位 長野智子
新元号重なるシュプール光さす
添削(冬の季語シュプール)
シュプールのひかり新元号発表

3位 枡田絵理奈
十の目を集めし鰤は丸一本
添削(冬の季語鰤 十の目が意味不明)
鰤一本家族五人の目を集め

4位 森香澄
号外も炬燵でスマホ此のごろは
添削(散文 最後に季語「炬燵」を残す)
号外スマホで眺めゐる炬燵

5位 青山祐子
冬の虹トラウマ乗り越えアレ掴む
添削(時間が経つと意味が解らなくなる句 情報を鏤めるべき)
優勝(アレ)掴む三十八年目の冬虹

次回は冬麗戦 年間優秀句16人が登場!

■名言
道元 曰く
「いたずらに 過ごす月日の多けれど
 道を求める時ぞ少なき 。」

鎌田洋 曰く
「あいさつは
 出会ったあなたのことを大切に思っています、という
 最初の意思表示です。」

夏目漱石 曰く
「吾人は自由を欲して自由を得た。
 自由を得た結果、不自由を感じて困っている。」

2023年12月21日木曜日

中江兆民「三粋人経綸問答」(2)

死に勝る勝利あり柊の花
霜柱思想化される記憶かな
記憶とは死への挑戦鎌鼬(かまいたち)
為替相場や新陳代謝神楽(かぐら)
冬の海過去の奴隷となりにけり

■100分de名著 中江兆民「三粋人経綸問答」(2) 洋学紳士と豪傑君
平田オリザ先生(劇作家・演出家)

洋学紳士(理想主義者)
「頭をあげてアジアの片隅に
すっくと立ちあがり
一躍、自由、友愛の境地に
飛び込むのです」

豪傑君(侵略主義者)
「争うことのできない者は
意気地なしです。
戦うことのできない国は弱い国です。」

友愛か侵略か
じっと南海先生(現実主義者)は聞いています。
不平等条約改正は見通しがつかない状態

洋学紳士
「十九世紀のこんにち
武力で威嚇することを国の栄誉とし
侵略を国の方針とし、他国の領土を奪い
他国の民を殺して
どうしても地球の所有者になろうと
考える国は、まさに狂気の国です。
もう一言申し上げると
地球上の大国は
多くはみなバカであります。
地球上の強国の多くはみな臆病で
たがいに恐れると同時に強がって
兵隊を集め、軍艦をつらねて
かえって身を危険にさらしている。
弱小の諸国は
なぜ自発的に兵隊を撤廃し
軍艦を手放して
安全をはからないのでしょうか」

豪傑
「紳士君の言うことは
いかにも学者らしい。
学者の言うことは本には著(あら)わせるが
とても実行はできません。
それならば、もし凶暴なくにがあって、
乗じて、軍隊を送って来襲してきたら
どうしますか」

洋学紳士
「ぼくはそのような凶暴な国は
けっしてないことを知っています。
願わくば、一ふりの剣も一発の弾丸も
たずさえず、われわれはしずかに
こう言いましょう。
あなた方がやって来て
われわれの国を乱すことは望まない。
一刻も早く立ち去って
国に帰りなさい、と」

豪傑
「まさか
これほどとは思いませんでした、
哲学が人の心をおおいつくして
ものを見えなくしてしまうことが。
紳士君が数時間にわたって
熱弁をふるい、世界の情勢を論じ
政治の歴史を語ったあげく
最後の一手とは結局
全国民が手をこまねいて
敵の弾丸に倒れて
有終の美を飾るというのですからね」

洋学紳士は最先端の平和主義を唱えていた

南海先生
「さすがに、紳士君のご高説
じっくりうかがいました。
今度は豪傑君
あなたの立派な説をうかがって
参考にさせていただきましょう」

豪傑君
「だいたい戦争というのものは
学者の説によれば
どれほど忌まわしいものだとしても
実際上どうしても
避けることのできない勢いなのです。
また勝つことを好み
負けることを嫌うのが動物の本性です。
争うは人の怒りです。
戦いは国の怒りです。
争うことのできない者は
意気地なしです。
争うことのできない国は弱い国です。」

「国権主義」「軍備増強」「対外強硬策を掲げ侵略もいとわない」
が豪傑君の主張

豪傑君
「アジアなのかアフリカなのか
忘れてしまったが、一大国がある。
名も忘れたが、その国は極めて広く
資源も豊かだが、脆(ぜい)弱だ。
聞くところによると、兵力は百余万だが
規律もなく統制も聞かず
いざというときまるで役に立たないという。
この国には制度などないも同然といわれる。
まるでよく肥えたいけにえの牛なのだ。
これは多くの小国のために
その腹を満たすにちょうどよい餌食として
与えられた天の配剤なのです。
なぜすぐに行って、その半分を
また三分の一でも
取ろうとしないのか。
その国の半分、または三分の一を
取ってわが国とすれば
われわれは大国となるだろう。」
(欄外にいわく。豪傑君は生まれてくるのが少し遅かった)

豪傑君というキャラクター
中江兆民が少し入っている

豪傑君
「紳士君、紳士君。
君は著述を楽しみとしたまえ。
ぼくは戦争を楽しみとしよう」

南海先生
「諸君は若い盛りで
気力もみなぎっている。
それぞれに自分の楽しみたいことを
楽しむのだね」

洋学紳士君
「豪傑君、きみとはまさに国家の政策を
論じているのであって
一個人の楽しみを論じているのでは
ありませんよ。きみもまた少し
本論をはずれたようですね」

豪傑君
「失礼しました。
すぐ本論に入りましょう」

古いもの好きと新しがりやという二種類の人間に分かれる

洋学紳士君
「二つの元素のどちらかを
取り除くとなれば
古いもの好きを除くべきか
新しがりやを除くべきでしょうか」

豪傑君
「古いもの好きでしょうね。
新しがりやを人体の肉にたとえるなら
古いもの好きは
癌ということになります」

豪傑君
「彼らを集めて、せんそうにかりだすのです。
彼ら古いもの好きは
政府につらなる者も民間に暮らす者も
誰もが平和に嫌気がさし
何ごとも起こらない時代に
自分をもてあまし、手足がうずうず
しているという状態なのです。
国家がもし宣戦布告をして
戦争に突入するとなれば
二、三十万の人々がたちどころに
集結すること受けあいです。
ぼくのような者も、また社会の癌です。
自分を切除して、末ながく祖国の害を
及ぼさないことを願うだけです」

軍人の楽しみは戦争
論破しない
シンパシー(同情)⇨エンパシー(共感する力)
同意はしないが理解する
一回立ち止まって見る
相手の立場も考えてみる

南海先生の登場が楽しみになってきました。

2023年12月20日水曜日

中江兆民「三粋人経綸問答」(3)

想い出と一筆添えん年賀状
あるがまま受け入れられて年賀状
しがみつく病葉(わくらば)強し年賀状
最後にするか?値の上がる年賀状
真夜中のインク注文年賀状

■100分de名著 中江兆民❝三粋人経綸問答❞(3)「現実主義」の可能性
劇作家・演出家 平田オリザ先生

南海先生
「紳士君の論は、濃密な酒のようなもの。
飲めば、目がくらみ、頭脳を酔わせる。
豪傑君の論は、劇薬です。
飲めば、胃が破れ、腸がただれる。」

紳士君
「われわれふたりはすでに真情を
あますところなく申し上げました。」

豪傑君
「先生の御批判をうかがい
お教えいただきたく存じます」

南海先生
「諸君の卓論は…いずれも
現在に役立てることはむずかしい。
紳士君の論は、全国民が
一致協力しなければ実現できず
豪傑君の論は、君主宰相が
独断専行するのでなければ実現できない。
いずれもおそらく
架空の構想であるとしか
言えないでしょう」

「政治の本質とは何か。
国民の意向にそい
国民の知識にみあった制度を採用し
国民が安らかに暮らし
幸福を得られるようにする、これです」

(欄外いわく。この一説は、いささか得意の文章です)

2つの民権 2種類の民主主義
回復した民権(恢復的の民権) 賜った民権(恩賜的の民権)

借り物の思想ではだめだ
風土や教育の度合いに会った制度を少しずつ作っていく

南海先生
「国と国とがうらみあうことになる原因は
たいてい事実にもとづくものではなく
風聞によるものです。
事実を洞察すれば
少しも疑う余地はないが
風聞にかかると、なにやら
恐るべきものが見えてくるのです。
ですから、各国が疑いを抱くのは
各国の神経症によるのです。
青色の眼鏡をかけて物を見るならば
見えるものはすべて青色になります。
このために、二国が開戦に至るのは
たがいに戦いを好むからではなく、まさに
戦いを恐れるためにそうなるのです」

想像力とは疑う力

さらに新聞が、それぞれの国の事実と風聞とを
区別なく並べて報道し、それに自己の神経症の
色彩を加えて一種異様な幻影で社会をおおいつくくす。
こうなれば(略)やられる前にやってやろうと、開戦に至る。
「三粋人経論問答」

風聞をあおるメディア批判

(欄外いわく。南海先生はごまかしました)

南海先生
「ともかく立憲制度を確立し
上は陛下の尊厳と栄光を
下は民の幸福を確かなものにする。
上院下院の二院を設置し
上院議員には貴族をあてて世襲とし
下院議員には選挙法を適用して選出する
以上です。
その詳細は
欧米諸国の現行の憲法について
そのふさわしいものを選んで採用する。
このことは
一時に語りつくせるものではありません。
外交政策については
努めて友好を重んじ、国の威信を
そこなうことがない限り、けっして
国威と武力を誇示することにせず
言論、出版、さまざまな規制は
次第にゆるやかにし、教育の実施
商工業の活動は、次第に充実を図る
などです」

南海先生
「国家百年の大計とあっては
いたずらに奇抜や新味を求めて
喜んでいるわけにもいきません。
ただ、わたしはどうも小まわりがきかず
時事問題にうといため
いうことに切実さを欠いて
両君の期待にそえなかったのでしょう」

南海先生の主張
立憲制の確率
上院下院の二院を設置
外交政策は友好を重んじて国威・武力を誇示しない
言論、出版の規制はゆるやかに
教育、商工業の充実を図る

二項対立からは何も生まれない
現実にもいろいろな現実がある
それをさまざまな角度から見るのが知性

総合知 
命の次に大切なものはそれぞれによって違う
十把一絡げに処理してはいけない

2023年12月19日火曜日

テーマ「冬の星」

ぢゅんぢゅんとアイマスクした寒の鵙
8の字に尾っぽふりふり冬の鳥
湧き出でる仕事にまみれ年の暮
冬の梅品なきものに看取られて
年惜しむ男を駄目にする女

■NHK短歌 題 実感的 表現力アップ「冬の星」
選者 吉川宏志 ゲスト いとうせいこう 司会 尾崎世界観
テーマ「上の句と下の句の組み合わせ」
上の句と下の句で別々のことを歌って
イメージを重ねることで立体的に想いが伝えられる
二物衝撃(モンタージュ)
一句の中に二つの事物を取り合わせて
新しい情趣を生み出す俳句の技法

はきはきと別れを告げむ八月の深夜に冬の星は冷えいつ
吉川宏志

▪入選九首 テーマ「冬の星」
三席 私 さよならの「ら」の小さな震えまで吸いとってゆく冬の凍て星
脇本千尋
おおいぬとこいぬの光を探し合い二人の指でなぞる冬空
石田恵子
耳の痛さの分だけ星は増えてきて東京だってこんなに星空
野田鮎子
できるだけ高く飾りをつけたがる子らをツリーの星は見守る
山田香ふみ
想像は勇気をくれるこいぬ座がたった二つの星であること
川原田明子
 才能という語の軽さ稽古場の帰りの空にカノープス探す
大野恭敬(やすたか)
マフラーが結ぶ僕らはカストルとポルックスだね、君が笑えば
白歩明明(しらふめあ)
一席 私 冬空にそっと書かれた小説の句点となって光るシリウス
雨坂(あめさか)円
二席 何をもてカインはアベルをあやめしや戦果はつづき星空寒し
柴田昭隆(てるたか)

自分なりの星を探すことが大事 吉川宏志先生

▪入選あと一歩
咳き込みて着替える父は配達へオリオン星座のへばりつく街
青木一夫
添削
オリオンのへばりつく街咳き込みて着替えし父は配達へ行く

▪表現の最前線
ヒアシンス薄紫に咲きにけりはじめて心顫(ふる)ひそめし日
北原白秋
水彩画っぽいタッチ いとうせいこう

▪いとうせいこう 表現の最前線
ヒップホップの初期衝動
詩を作詞するときは自分が思ってもみない単語が韻で出てくる
二物衝撃 別のテーマにいくのを抑えながら
同じテーマの中でいろんなアイデアを編集していく
ということがポップの作詞の中にあると思う

ラップは下に強いリズムがくる
短歌は頭に強いリズムがくる という短歌から最近
脚韻(語の終わりを同じ音でそろえる方法)に変わってきた 𠮷川宏志

今まで頭韻(語のはじめを同じ音でそろえる方法)は
踏んでいるが脚韻は踏んでいなかった いとうせいこう

脚韻は理屈みたいなところがある
詩の内容で訴えかけるより詩の形式で訴えるのでエモくなれない いとうせいこう

エモい内容で脚韻ぽくなるとエモさが中和される 𠮷川宏志

超平成の言葉遊び 面白いので聞いて欲しい
https://www.nicovideo.jp/watch/sm34076173
https://s.awa.fm/track/ff4850d1c9760c9ec994

二重のイメージ 「徴兵制」と「徴兵制」が重なっている
和歌ではよくやる手法 いとうせいこう

作っていて無力感を感じることが多い 𠮷川宏志

無力上等 いとうせいこう
みんな無力なんだ でも言うんだ

自分が無力だってことを忘れたらだめ 𠮷川宏志

▪「ことばのバトン」
車道爆走津軽のかっちゃ
自立生活支援センター事務局長

あおられてよろめくはずみ第一歩
寺嶋由芙(アイドル)

ふるさとで「息子」に戻ったヲタクから届くリプライみかんの香り
「アイドル歌会公式歌集1」(講談社)より

2023年12月18日月曜日

兼題「ストーブ」&名言

夢あればそれだけでいい冬銀河
寒晴(かんばれ)夢のかたまりミスブランチ
冬天へ時空を超えて伝播せん
冬の月創りたきもの育まん
朝食のいちご大福凍星と

■NHK俳句 兼題「ストーブ」
選者 村上鞆彦 ゲスト 柴田理恵 小坂大魔王 レギュラー 家藤正人 中西アルノ
年間テーマ「人生を詠う」今回のテーマ「病、介護」

当て所(ど)なく師走の街に座り込む   小山正見

▪特選六句発表 兼題「ストーブ」
寝ていればいいと保護師ストーブ付け   立谷(たちや)大祐
ストーブやショートケーキのあった皿   大野美波
ストーブと母に背を向けヘッドホン   うーみん
怒(いか)る火をストーブに押し込めておく   村田一広
ストーブにコッペパン雪ふってきた   若林明良(あきら)
ブランデーグラスの中の暖炉の火   萩原豊彦

▪特選三席発表 兼題「ストーブ」
三席 ストーブや我が顔広く平らなる   大井公夫
二席 私 吾も犬も猫も老いたり暖炉燃ゆ   桃園ユキチ
一席 雨に濡れし少女の匂ふ暖炉かな   山口誠

▪夏井家伝授!家藤正人&中西アルノ 0から俳句
文体と表記の組み合わせ
口語×歴史的仮名遣い
兼題「クリスマス」聖夜・聖樹

0から俳句POINT
曖昧な歴史的仮名遣いは辞書で調べよう!

ぢゃあ私クリスマスケーキ買つてくね   青山ネモフィラ

俺にすりやいーぢやん煙草火の聖夜   家藤正人

▪今日マチ子、今日の一句
デイケアの帰りはディナークリスマス   柴田理恵
ちょっといじった詠み方
デイケアの帰りのクリスマスディナー   村上鞆彦

▪柴田の歩み
俳句を感謝を伝えよう

■名言
豆塚エリ 曰く
「がんばらなきゃ、が自分を追い詰めた。
 がんばり続ける日々なんて、長く続くはずがなかったのだ。」

タイの諺 より
「にせものの幸福は、人を図に乗らせ、醜く、高慢にする
 ほんものの幸福は、人を歓喜させ、知恵と慈悲で満たす。」

映画『サンドイッチの年』 より
「人生は食パンのような普通の年が多いが、
 ハムや辛子の年もある。
 辛子も一緒に噛み締めなきゃならん。」

2023年12月17日日曜日

岡潔の言葉&岡潔の思い出&俳句で読書対決!

冬の鴬木は老いて美しく
帰り花眼の邪魔をする言葉あり
一碧楼忌(いっぺきろうき)遊びから育まれ
直観と情熱持ちて冬の朝
文字書きて進める思索冬の靄

■岡潔の名言 

苦心を払わせるものを私は情熱といっている。

現代は他人の短所はわかっても長所はなかなかわからない。
そんな風潮が支配している時代なのだから、
学問の良さ、芸術の良さもなかなかわからない。

情緒の中心の調和が損なわれると人の心は腐敗する。
社会も文化もあっという間にとめどもなく悪くなってしまう。

人の中心は「情」であって、情の根底は「人の心の悲しみを
自分のからだの痛みのごとく感じる心」すなわち観音大悲の心である。

本だって読むことより読みたいと思うことのほうが大切なのです。

人は動物だが,単なる動物ではなく渋柿の台木に甘柿の芽をついだようなもの、
つまり動物性の台木に人間性の芽をつぎ木したものといえる。

人と人との間にはよく情が通じ、人と自然の間にもよく情が通じます。
これが日本人です。

オリジナルは生命の燃焼によってしか作れない。

日本だけのことではなく西洋もそうだが学問にしろ教育にしろ
「人」を抜きにして考えているような気がする。

敬虔ということで気になるのは、最近、「人づくり」という言葉があることである。
人の子を育てるのは大自然なのであって、人はその手助けをするにすぎない。
「人づくり」などというのは思い上がりもはなはだしいと思う。

理想の高さが気品の高さになるのである。

時間は情緒に近い。

今、たくましさはわかっても、人の心のかなしみがわかる青年がどれだけあるだろうか。

数学は必ず発見の前に一度行き詰まるのです。行き詰まるから発見するのです。

科学が進歩するほど人類の存在が危うくなるという結果が出る。

(情緒とは?)野に咲く一輪のスミレを美しいと思う心。

心が納得するためには、情が承知しなければなりませんね。

言葉で言い表すことなしには、人は長く思索できない。

勘は知力ですからね。これが働かないと、一切がはじまらぬ。

足が大地をはなれて飛び上がっているようなもので、第二歩をだすことができない。
そういうのを抽象的といったのです。

数学上の発見に関して西洋人はインスピレーション型、日本人は情緒型。

しかしこんな美しい地球を滅ぼさせたくないですね。

個性的なものを出してくればくるほど、共感がもちやすいのです。

個性が出るようにするにはどうするかということを教えなければいけないのでしょうね。
個性がなくなりました。

どの人がしゃべったのかが大切なのであって、何をしゃべったかはそれほど大切ではない。

いまの人類文化というものは、一口に言えば、内容は生存競争だと思います。
生存競争がないようである間は、人類時代とはいえない、獣類時代である。

僕は論理も計算もない数学をやってみたい。

日本は個性を重んずることを忘れてしまった。

参照:https://live-the-way.com/great-man/scientist/oka-kiyoshi/#index_id1

■松原さおり インタビュー
父、岡潔の思い出『数学する人生』刊行記念
https://www.bookbang.jp/review/article/512310


岡潔のテレビドラマ「天才を育てた女房」「世界が認めた数学者と妻の愛」 岡潔の次女(松原さおり)から見た夫婦の姿―ドラマを見ての感想の「詩」「潔×みち=すみれ×2」
https://www.youtube.com/watch?v=Svazcy1PcWg

春一番に乗っていくから
世話になったね おやすみ 
父は目を閉じた
傍らで母が私、この人の所にお嫁に来て幸せやった
そうでなかったらもっと物欲の強い嫌な女になってたと思う
しみじみ言った
父への感謝の言葉は私は初めて聞いた気がする
気丈に振る舞っていると見えたみちだったが寂しかったのだろう
三か月を待たず後を慕った
無欲な二本の菫は
今頃 山路に寄り添って
春風に吹かれ
幸せに吹かれていることだろう

■夏井いつき俳句チャンネル
【俳句で推し本を紹介!】帰ってきた読書対決!

ローゼン千津
創元推理文庫「黒後家蜘蛛の会」アイザック・アシモフ
木の椅子や黒後家蜘蛛の忍び寄る
ウヰスキーそっと注ぎ足す夜長かな

家藤正人
ちくま文庫「誰も調べなかった日本文化史:土下座・先生・牛・全裸」パオロ・マッツァリーノ
あつぱつぱ宮益坂(みやますさか)を牛の糞(ま)る あつぱつぱ(季語)
春の朝露伴謝絶のご一報

夏井いつき先生の読みたいのは「黒後家蜘蛛の会」に決定!

2023年12月16日土曜日

加藤諦三の名言&ピカソが起こしたアート革命

呼び覚ます過去もなく冬の夕焼
銘仙に込めた思いや雪見月
鮮やかな銘仙の色冬日和
絶望できる才能としづり雪
日々変わる歴史を生きる冬の空

■加藤諦三氏の名言

その人が具体的に何の役に立たなくても、その人がいる事自体、意味があるという場合が多いです。

『自由に育てる』というのは聞こえがいいですが、実際には指導方法を知らない、ということが多いようです。

子どもが親の役割を背負ってしまうことがあります。子どもの心は破壊されます。

パーソナリティーは、段階的に成長します。一つ一つ満たされて、一つ一つ成長していくのです。

真面目で無口だから不満でないと思っては、人を見間違えます。

「自分の子供を誇りに思うこと」 子どもはこれで成長していきます。

頼られることを必要とする人がいますが、相手にとっては決して望ましい人ではありません。

ごく普通の生活をする事は、なんでもないように思えますが、実は、大変な努力と心の成長を必要とします。

しがみついているものからちょっと手を離すと、幸せになれます。

子育てで子供を比較してはいけません。

奇妙な事件が起きた時というのは、奇妙な人間背景が背後にあります。

一歩一歩順序に従って物事は解決していってください。

子供をからかう人々は、親として自信がない人です。

自分に失望している人ほど、基準が高いです。

自分の血を流さないで物事を解決しようとしないこと。

情緒的に成熟しないで母親になると、母親にとっても子供にとっても悲劇です。

脅しには強く出ること。脅しに弱く出ると、際限も無く取られます。

本当の原因は何か。そのことをハッキリ突き止めないと、物事の解決の解決は出来ません。

子供は正義では育ちません。自分の心を親が酌み取ってくれることで子供は成長します。

人は他人の言葉では傷つきません。自分で自分を傷つけているのです。

認める事ができない事を認める事。それで解決します。

子供には、いつでもどこでも”親に接することができる”という安心感が必要です。

他人の不誠実に寛容になりすぎないこと。軽く見られるだけです。

親の心の問題は、子供を通して現れて来ます。

人が良いというだけでは、この世間では自分の身を守れません。

参照:https://live-the-way.com/great-man/scientist/kato-taizo/

■新美の巨人たち ピカソが起こしたアート革命!
キュビズム×篠原ともえ

ジョルジュ・ブラック(Georges Braque)の言葉
我々は誰一人として考え付かないことについて
どう理解していいのか分からないことについて話し合いました
まるでザイルでお互いの体を結びつけられた登山者のように

パブロ・ルイス・ピカソ(Pablo Ruiz Picasso)の手紙
我が親愛なるブラックへ
私は君の最近の技法を使っています
我々の恐ろしい画布にね
今はギターを想像しているところです
ピカソ

国立西洋美術館 館長 田中正之氏
何が書いてあるかわからないっていうところにこそ
キュビズムの本質があると言える
もうほとんど抽象絵画になってしまった後に
いやこれじゃダメだって思った時に次のステップとして
ピカソやブラックが何をやったかというと
新聞紙であるとか紙切れであるとか壁紙であるとか
そういったものを台紙の上に貼っていって
組み立ててイメージを作るということを始めていったわけですね

2023年12月15日金曜日

小さい手で一句&兼題「鰤」&加藤諦三の言葉

数学の軸は心ぞ冬銀河
冬の月数学の根は情緒なり
冬の海記憶育む心かな
寒日和記憶の中の精神よ
霜降月精神力は過去を生く

■加藤諦三の言葉
https://www.katotaizo.com/more

【負の感情の秘密】落ち込む感情も不愉快も根拠がない。
自分と向き合って楽に生きる方法【社会心理学者 加藤諦三】(第1回/全2回)
https://www.youtube.com/watch?v=je1EAPsoaB8&t=7s

【悩みの本質】悩んでいる人が必ず言えないひと言とは?
「聖書以上に必要」と言わしめた伝説の心理学書のメッセージ【社会心理学者 加藤諦三】
(第2回/全2回)
https://www.youtube.com/watch?v=aCH0sjFE9Sg&t=0s

すっかり、加藤諦三(たいぞう)先生のファンになりました。
こんな優しい言葉で包み込まれたことはありませんでした。
馬鹿にされ、蔑まれた人生でした。
一生懸命崩れないよう必死で生きてきました。
加藤諦三氏との出会いを心より感謝します。

■ギュッと!四国
夏井いつきの俳句道場 兼題「鰤(ぶり)」
「鰤」は三冬(初冬・仲冬・晩冬)の季語。「寒鰤」は晩冬の季語。

ギュッと!特選
生簀に鰤なほ餌の足りぬ目をよこす   北欧小町
選句のポイント
生き物としての一瞬のリアリティ

ブリの子来今日は坊主を免れり   ふるさと小包
鰤ゲット漬け丼準備いそいそと   こりううばんばん
窓の外ブリ焼く煙猫二匹   高松金之助
鰤焼きに酒好きな父えびす顔   さつき
秀作 肉厚の鰤や醤油に浮く脂   郡中ようこ
秀作 上顎に鰤の弾力あゝ怒涛   穂積天玲
佳作 鰤の頭(ず)を味わい尽くす夫(つま)のいる   粒の杏子
佳作 醤油へと拡がる脂甘き鰤   さんざし
秀作 肉厚の鰤や醤油に浮く脂   郡中ようこ
秀作 上顎に鰤の弾力あゝ怒涛   穂積天玲
声響く鰤、一丁ヘイお待ち!   ポンかん太郎
初鰤や血合いはゆずる身はもらう   かま吉
初鰤は歌舞伎の見得を切りて死に   天王谷一
秀作 分け合うて半身の鰤のこの厚み   宮武美香

秀作への道
半額になりし鰤カマ晩酌に   よっちゃん
佳作 寒鰤に半額シール貼られけり   外町よしのり
秀作 役職定年日の半額の鰤   喜多柚月
添削
半額の鰤や役職定年日

次回の兼題「文旦(ぶんたん)」冬の季語

■プレバト纏め 2013年12月14日
第三弾 名人・特待生限定「凡人ワード」
小さい手で一句

特待生昇格試験
水野真紀
冬うらら小さな手に砂の地球
添削(今地球は平和で穏やかな世界でありますよ)
泥だんご光れ地球冬うらら

犬山紙子
冴ゆる夜やコントラバスに小さな手
添削(冴ゆる 肌を刺すような厳しい寒さ)
の指や冬のコントラバスぼぼん

特別永世名人 村上の締めの一句
村上健志
レノン忌や小さき手にまだ利き手なし
添削(レノン忌 ジョン・レノンの命日12月8日 
   12月8日は太平洋戦争の始まった日でもある
   世界の戦争と平和を考えるという背景がこの季語には含まれている
   語順を変えることで映像が残りこの手が未来を決めるという意味となる)
レノン忌やまだ利き手なき小さき手

次回のお題は号外

2023年12月14日木曜日

中江兆民「三粋人経綸問答」(1)

くだら野や情失ひて腐敗せり
北颪(きたおろし)命を燃やして創造す
品格は理想の高さ寒北斗
冬茜人の哀しみ解る人
天狼(てんろう)や発見前の行き詰まり

■100分de名著 中江兆民「三粋人経綸問答」(1)
何故問答式名なのか

指南役 平田オリザ (劇作家・演出家・芸術文化観光専門職大学学長)

わが日本古(いにしえ)より今に至る迄哲学無し
総ての病根此に在り

兆民は自由と民主主義を説きました
絶対矛盾の自己統一 by 西田幾多郎

日本の近代の歴史の中で最もわかりやすい政治思想書
https://www.aozora.gr.jp/cards/000182/files/1755_53374.html

現代語訳 鶴ヶ谷真一
南海先生は生まれついての大酒飲み。
そのうえ政治論議が大好きときている。
酒の一、二本も飲めば、もう心うきうき
はるか宇宙を遊泳している気分である。
見るもの聞くことただユカイ
世にいう鬱など、どこ吹く風。
さらに二本、三本となれば
気も心も高揚し
奇想こんこんとわき出るかのようだ。
客のひとりは、頭のてっぺんから爪先まで
すきのない洋装、鼻筋通って目元すずしく
すらりとして動作も無駄なく、言葉は明解。
この人物はきっと
思想という部屋に暮らし
道理という空気を呼吸し
倫理という直線に従ってまっすぐ歩み
現実の曲がりくねった道筋に
踏み入ることなど
考えもしない哲学者に違いない。
もうひとりの客は
背が高く、腕は太く
色あさぐろく、眼窩(がんか)は深い。
絣の羽織に短い袴をつけたその姿は
一目見て、雄大を好んで冒険を遊び
尊い生命を餌にして
功名という楽しみを釣り上げる
あの英雄豪傑の部類であろう。
(欄外いわく。
民主主義と侵略主義者が
南海先生を訪れる)

現実主義者・南海先生 理想主義者・洋学紳士(紳士君)  侵略主義者・豪傑君

紳士君
「先生の学識は東西にわたり
見識は古今をつらぬくということですが
ぼくもまた世界の情勢について
いささか考えるところがあり
ぜひ先生のご意見をお聞きしたい」

対話(ダイアローグ) 言文一致が始まった時代であった
兆民は多くの人に読んでもらいたくて対話形式を選んだ

問答形式の理由は
・戯曲の「三一致の法則」を取り入れた
(時間・場所・行為が同一という形式)
・西洋哲学における「問答」の伝統
・日本語の問題

中江篤介(中江兆民)(1847~1901)
下級武士の子として生まれる
ルソー「社会契約論」をルソー「民約論」として翻訳
民権運動が説かれていた
兆民も自由平等を訴えた

パリ・コミューン
1871年にパリで樹立された労働階級を主体とする自治政権
微妙な時代に留学していた

明治維新には参加できなかった

国会ではディベートではなくダイアローグをするところ
を、広く民衆に伝えたかった

洋学紳士
「こんにち第一に論ずるべきは
民主制であります。
ああ民主制。
君主宰相による専制政治は
愚かにも自身その欠陥に気づかない。
立憲制はその欠陥を悟り
半ば改めただけです。
民主制こそ度量の広い
一点の汚れもない体制なのです。
ヨーロッパ諸国はすでに
自由、平等、友愛の三大原理を
わきまえながら、なお民主制に
従わない国が多いのはなぜでしょうか。
なぜ、やたら道徳の道にはずれ
経済の原則にそむき
国の財政を食いつぶす
数十万、数百万の常備軍を置いて(略)
罪のない人民に殺し合いを
させるのでしょうか」

紳士
「われわれは文明の進歩に後れを
とった一小国でありながら、頭をあげて
アジアの片隅にすっくと立ちあがり
一躍、自由、平等の境地に跳びこむのです。
要塞をとりこわして平地にし
大砲を鋳つぶして戦艦を商船に変え
兵隊は市民となって、ひたすら道徳を
研鑽し、工業技術の開発に努め
純然たる哲学の申し子になったと
あっては、文明をもって自ら傲(おご)る
ヨーロッパ諸国の人々も
深く恥じ入るのではないでしょうか。
彼らが頑なになおも改めず
はじらいもなく、こちらの軍備の撤廃に
つけいり強引に攻め込んできたとき
われわれはみな、わずかな武器も
一発の弾も持たずに
礼儀正しく抑えたなら
いったい彼らに何ができるでしょうか」
紳士は徹底した理想主義者

洋学紳士の主張
・日本もいち早く民主制を実現すべし!
・国の政治体制は専制政治⇨立憲制⇨民主制と進化のステップを踏む
・平和のため、軍事的には非武装中立
⇨民主制を広めることで日本は世界から信頼される国になる

当時は国民国家としての戦争を経験していない
理解できていなかった
自分の頭で考えたこと同士をすり合わせるのが「対話」
おおらかさは大切
しかめっ面しないで政治や思想を語ることで民衆に伝わる
その中心にいたのが中江兆民!

平田オリザ先生の哲学の先生 武田京子 多分…。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E7%94%B0%E4%BA%AC%E5%AD%90_(%E8%A9%95%E8%AB%96%E5%AE%B6)

平田オリザ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E7%94%B0%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B6

2023年12月13日水曜日

背骨&伊東四朗&セルジオ越後&小林秀雄&岡潔

狐火(きつねび)や自我の濃き人死を恐る
川沿いを垂れる赤き実ピラカンサ
言葉から生まれくるもの冬日和
ノーサイドささめくやうに十二月
足止まる西日の道の帰り花

■【書評】人間の建設-天才同士の対話 小林秀雄と岡潔の名言集-
https://kayakura.me/ningen-no-kensetsu/

岡潔の「沁みる」名言集めました。
https://bookloid.com/kiyoshio-maxim/

小林秀雄
https://todays-list.com/i/?q=/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E7%A7%80%E9%9B%84/4/1/

名言大学 小林秀雄 より
https://meigen-univ.com/person/78787/ より

美術とは鑑賞するものではない。共に生き共に語らう人生の友である。

女は俺の成熟する場所だった。

精神の状態に関していかに精(くわ)しくても、それは思想とは言えぬ、思想とは一つの行為である。

世間を渡るとは、一種の自己隠蔽(いんぺい)術に他ならない。

自分自身と和する事の出来ぬ心が、どうして他人と和する事が出来ようか。

現在の行動にばかりかまけていては、生きるという意味が逃げてしまう。

芸術は、タブーを持ったら衰退する。

青年にとってはあらゆる思想が、単に己の行動の口実にすぎぬ。

患者の心を知るには、患者と直(じ)かに付き合う他に道はない。

絶望するにも才能がいる。

人間は何もしないで遊んでいる時に育つんだよ。

LIVE THE WAY 岡潔 より

苦心を払わせるものを私は情熱といっている。

情緒の中心の調和が損なわれると人の心は腐敗する。社会も文化もあっという間にとめどもなく悪くなってしまう。

人の中心は「情」であって、情の根底は「人の心の悲しみを自分のからだの痛みのごとく感じる心」すなわち観音大悲の心である。

本だって読むことより読みたいと思うことのほうが大切なのです。

オリジナルは生命の燃焼によってしか作れない。

理想の高さが気品の高さになるのである。

今、たくましさはわかっても、人の心のかなしみがわかる青年がどれだけあるだろうか。

数学は必ず発見の前に一度行き詰まるのです。行き詰まるから発見するのです。

(情緒とは?)野に咲く一輪のスミレを美しいと思う心。

心が納得するためには、情が承知しなければなりませんね。

勘は知力ですからね。これが働かないと、一切がはじまらぬ。

個性的なものを出してくればくるほど、共感がもちやすいのです。

僕は論理も計算もない数学をやってみたい。

日本は個性を重んずることを忘れてしまった。

■鶴瓶ちゃんとサワコちゃん~昭和の大先輩とおかしな2人~
伊東四郎氏の言葉
「笑いこそ人生だ!!」

セルジオ越後氏の言葉
「日本に来て51年 私は裕福になった
 なぜなら友達の数がブラジルにいる時より多くなったから」

■ヒューマニエンス選「❝背骨❞ 複雑精妙な進化の真髄」
東海大学 准教授 酒井大輔氏

背骨の曲がる原因は、
加齢、骨粗鬆症により
骨や椎間板が小さくなったり縮んだりすることで曲がる。
もう一つの原因は
背筋が弱くなり背骨が曲がる。
これで悩んでいる高齢者が多い。
(ぶら下がり健康法は良いらしい。)

背骨は英語でバックボーン
日本語では根幹
人生を左右する根幹になり得る
(背筋の前屈には背筋の衰えにある。)

2023年12月12日火曜日

題「パートナーのこと」&名言

痛み増す歪む根幹冬の朝
溶けるがごとく消えゆく時間霜夜
向かい風水面を生きる冬の草
霜の夜言った言わない繰り返し
残された神のギフトか冬の月

■NHK短歌 題「パートナーのこと」
選者 山崎聡子 ゲスト 吉住 司会 ヒコロヒー
年間テーマ「伝えられなかった思い」

ずっと味方でいてよ菜の花咲くなかを味方は愛の言葉ではない
大森静佳

「味方」は究極の愛の言葉のようでありながら
それを相手に求める心は自分のエゴ

▪つぶやきを短歌に
ぽろぽろと鱗を剝がすごと生きて街を行き交う人を眩しむ
山崎聡子

▪てれび歌会 テーマ「パートナーのこと」
三席 読まないといけない空気をお互いに作らずにいる日曜の午後
岩倉曰(いわく)
ヘレニズム文化の起こりもきっとそう気付けば赤い味噌に馴染(なじ)んだ
つちや
ウェディングケーキを食べさせあったこと遊ばせている記憶の汀
小林礼歩
 おのれにも解らぬ我を君だけはただ抱きしめてほしい寒月
寺澤由美子
二席 私 お前より長生きをしてお前へのとっても長い弔電を打つ
和田直樹(弔電は天国への最後の手紙)
一席 へんなゆめみたらおしえて夫婦より二匹の蝶になりたい午睡(ごすい)
高原すいか
恋人はいないと言った日の夜は綿が詰まった家族を撫でる
世田夏雪(なつゆき)
 重たいと言われてもこれが自分だと開き直って煮る筑前煮
桜庭紀子
 子育てはフィナーレとなり中年の姫と王子のグラン・パ・ド・ドゥ
門田祥子(かどたしょうこ)(突き抜けた表現)

▪吉住さんの「パートナーのこと」
頼みますなんとか神さま殿方を祈るついでに境内物色
吉住
(もう神様を通さず直で行った方がいいかもっていう歌です)

私感
吉住さん!最高!大好きになりました。
ブレークして欲しい。

▪言葉のバトン
貨物列車聴く僕たちのアナキズム
工藤ひすい(高校一年生)

車道爆走津軽のかっちゃ
自立生活センター事務局長 斉藤新吾
(かっちゃとはお母さまのこと)

■名言
ラリー・キング 曰く
「秘訣を持たないことが秘訣さ。
 自分らしくいることにコツなんかいらないだろ。」

E・E・カミングス 曰く
「成長して本当の自分になることは、
 勇気がいることだ。」

スタンダール 曰く
「急な山を登りつめて腰をおろすとき
 ほっと一息いれるのは限りない喜びであるが、
 もし、永久にそうやって休息していろと強いられたら、
 彼は幸福であるだろうか。」

2023年12月11日月曜日

兼題「薬喰(くすりくい)」

重んずる個性や何処霜夜かな
土手で咲く冬薔薇凍え小刻みに
甘き香の今年も届く冬林檎
田宮川いつまで潜る尾長鴨
鴨の群れ煌めく水面目を閉じて

■NHK俳句 兼題「薬喰」
選者 山田佳乃 ゲスト 岩下尚史 司会 柴田英嗣
レギュラー 家藤正人 中西アルノ
年間テーマ「俳句とエコロジー」
今回の兼題は「薬喰」鹿や猪など滋養になる肉を食べることを言います
冬の季語 猟をされるのが冬 脂がのって美味しい時期
精のつくものを食べることを「薬喰」と言った(岩下尚史)

岩下尚史
新橋演舞場という劇場に就職した
私が入った頃 明治生まれの名妓(名高い芸妓)がいた
俳句の稽古をしている芸者さんが多かった
日常的に座敷などで俳句を披露していた
勉強とか教養ではなく「遊び」だった
松尾芭蕉は「お前も寂しいか僕も寂しいよ」と
言っている句が多い
それがどれほど力強いか分からない
俳句は共感がある非常に糧になる

▪名句de穴埋めクイズ
裏山に行って戻って薬喰   星野高士

▪特選六句発表 兼題「薬喰(くい)」
山の子の仕掛けたる罠薬喰   木田多聞天(たもんてん)
胎(はら)の子の今日はよく蹴る薬喰   花見鳥
沢水を引きし厨(くりや)や薬喰   正水多嘉子(まさみずたかこ)
美しく肉たたまれて薬喰   日永田陽光(ひなだようこう)
杣人(そまびと)に秘伝ありけり薬喰   真鍋孝子
(杣人とは山間に住み林業に携わっている人)
丹田に熱ひろがりぬ薬喰   沙羅(さら)ささら
(「ぬ」は完了の助動詞 じんわり広がったという意味
短詩型文学は生かすも殺すも助動詞の使い方ひとつ 助動詞は大事)

▪特選三席発表
三席 もうゐない月の兎や薬喰   徳照代
二席 仕留めたる漢(おとこ)を上座薬喰   坂本祥子(さちこ)
一席 胃の中の猪(しし)吞みたがる薬喰   田尻武雄

▪夏井家伝来!家藤正人&中西アルノ
0から俳句
ブンタイト表記津の組み合わせ
文語×歴史的仮名遣い
文語×現代仮名遣い
口語×歴史的仮名遣い
口語×現代仮名遣い

髪洗うまでの優柔不断かな   宇多喜代子
文語×現代仮名遣い
ウミユリの化石洗ひぬ山清水   辻颯(そう)太郎
文語×歴史的仮名遣い
春は曙そろそろ帰てくれないか   櫂未知子
口語×歴史的仮名遣い
0からPOINT 歴史的仮名遣いは小さい「っ」は大きい「つ」で表記される
ピーマン切て中を明るくしてあげた   池田澄子
口語×現代仮名遣い

▪岩下尚史が兼題「薬喰」で一句披露
春待つや小町の果ての薬喰   岩下尚史
(還暦を過ぎてから美しくなるのを見ていた
 また来る春を待っている気もしていた
 再び恋を待っている気がしていた)
浮世の果ては皆小町なり   
(松尾芭蕉が詠んだ歌仙の一部「小町」は小野小町のこと)
 「春待つ」が立春前の季題 山田佳乃
添削 恋古(ふ)りて小町の果ての薬喰

▪柴田の歩み
助動詞を勉強しよう

2023年12月10日日曜日

アンリ・マティスとリディア・デレクトルスカヤ&稚児俳句

冬の空土徳なき人根無し草
玄冬や土徳に生きて生かされて
凍星や土徳育み伝播せり
北吹くや土徳と共に今日も行く
星冴ゆる土徳寄り添い変化せり

■ワルイコあつまれ(71)
稚児俳句
辻内京子 髙柳克弘 松尾葉翔

草(ネット用語で「笑える」という意味
季語 草萌(春) 草茂る(夏) 草紅葉(秋) 冬枯(冬)

着ぶくれて草とつぶやきつつ帰宅   辻内京子
読者が想像できる余白をつくった
着ぶくれ 冬の季語(革ジャン 毛皮 マフラー コートなどがある)
ポイント 説明的にならないように動詞は少なく 一句に対して一動詞
帰宅という動詞を使っている 着ぶくれてとつぶやきが動詞なので

月冴ゆる返信は草一字のみ   髙柳克弘
月冴ゆる 冬の季語 寒さで大気が澄み月が輝いて見えること
ポイント 季語で心情を表現する 月冴ゆるにさみしさを表現

北風くんあつすぎて草お宅の鍋   松尾葉翔
擬人化 人間以外のものを人間のように表現する
北風 冬の季語 季語を擬人化している
ポイント 17音で余白まで感じられるようにつくった方が良い

松尾葉翔の句 添削
鍋の部屋あつすぎて草虎落笛(もがりぶえ)   辻内京子
虎落笛 竹垣や柵に冬の激しい風が吹きつけて鳴る笛のような音

北風も舌焼くほどの鍋に草   髙柳克弘
ふたつの意味を持たせたことでやや深みが出た
擬人化すると句に躍動感が出る

草彅の「彅」はムズいよおぼえてね   松尾葉翔

■Facebook  Lenaemail Lenaemail  11月25日
「マダム・リディア」は、後に呼ばれたように、
1932年にスタジオアシスタントとして働き始めたとき、
アンリ・マティスのことを聞いたことがなかった。
1935年、リディアが初めてマティスのモデルになった。
「数ヶ月、多分数年たった後、
マティッサの暗くて洞察力のある視線が私に焦点を当てた」
- Delectorskayaは後で思い出した。
彼女はスタジオを管理し、モデルを整理し、ディーラー、販売者、ギャラリーと協力した...
すべてが時計のようにうまくいった" 彼女はクリエイティブなパートナーになった。
何十年もアメリアに属していた役割を引き継ぐ。
「私がマティスの妻だったかどうか知りたいでしょ。 "そしてノーとイエス。
物質的、言葉の身体的感覚 - いいえ、そしてスピリチュアルでは - イエス以上。
20年間、私は「彼の目の光」であり、彼は私の人生の唯一の意味だった」
とリディアはアーティストとの関係について書いた。
マティスは、彼女の最後の肖像画をボールペンで描いた翌日、1954年に84歳で亡くなった。
リディアは彼の家族が彼を葬儀に招待しないことを知っていたので、
彼女はすぐに立ち去り、スーツケースを荷造り、葬儀の準備に渡した。
彼女は残りの人生を一人で生きて、アーティストの遺産と仕事
彼の仕事のチーフスペシャリストとして、
彼女はマティスの展覧会や彼の祖国ル・カトー・カンブレーゼでの
博物館の開館を手伝った。
マティスによって彼女に伝授された約90の芸術作品が、
彼女はサンクトペテルブルクのエルミタージュと
プーシキンのモスクワ州立博物館に寄付された。
数十年後、彼女は自身の人生と仕事の経験についての2冊の本を書いた:
『Seeming Lightness』 (1998)と『Against the Winds and the Storms』
(1996年 リディアは84歳で自殺した。
彼女の最後の遺言は、「アンリ・マティスのシャツを私の隣に置いてください」
というメモでした。 ""

写真のアンリ・マティス(1869-1954)とリディア・デレクトルスカヤ(1910-1998)


2023年12月9日土曜日

古今和歌集(4) 100分de名著

冬の夜心を込めた十五分(ショートムービー)
冬銀河日々死を描き生き行かん
落葉焚(だき)色とりどりに爆ぜし音
駐車場陽射し溢れた冬の朝
水たまりまたぎて飛ばん冬の雲

■100分de名著 古今和歌集(4)
女の歌は「強くない」のか?

あわれてふ言(こと)こそうたて世の中をおもひはなれぬほだしなりけれ
小野小町

国文学者 渡部泰明

紀貫之が記した仮名序の中に小野小町についての批評がある
「強くない」という言葉が出てくるので異論を呈したい

紀貫之による小野小町批評
あはれなるやうにて、
つよからず。
いはば、よき女の
なやめるところあるに似たり。
強からぬは、
女の歌なればなるべし

この場合の「強くない」は心情表現に重点を置き過ぎて
がっちりとした構成をとっていない ひと括りにしている
弱々しようで実は強い歌もある

久方の中に生(お)ひたる里なれば光をのみぞたのむべらなる
伊勢(宇多天皇の中宮である温子の女房)
久方は月にかかる枕詞

女ともだちと物がたりして別れてのちにつかはしける
あかざりし袖の中にや入りけむわが魂のなき心地する
陸奥(みものく)
女同士の強い絆
官能的イメージもある
法華経を踏まえた言葉でもある
法華経の説法「衣の裏の珠の譬(たと)え」
悟りに導く仏と親友の思いやりを重ねた説法
宝珠(玉)と衣(袖)がキーワード

ゲスト 髙樹のぶ子 「小説 小野小町 百夜」

百夜通い
小野小町に恋した深草少将が小町のもとへ
100日通い続けたが望み叶わず失命したという伝説

小町のイメージが悪くなっちゃった

小町の晩年にまつわる伝説
老いて容色が衰え生活に困り巷をさまようなど
不遇なものが多い

これだけの歌を作った人がひどい生涯を送っているはずはない
という想いを記しました。と髙樹のぶ子女史。

和歌を詠み込むことで生まれる世界を大事にされている 渡部泰明先生

確実に小野小町が詠んだとされる和歌は「古今和歌集」に収められた18首。
(「後撰和歌集」の4首も本人作とされることも)

ただひたすら、
皆が哀れにございます。
哀れに変わる思いは、
小町に見つかりませぬ。
空が白む中に、筆をとりました。
髙樹のぶ子著「小説小野小町 百夜」より

あはれてふ言こそうたて世の中を
おもひはなれぬほだしなりけれ
言の葉にすれば、哀れという
ただのひと言でございますのに
このひと言ゆえ、もの思いのおい
この世を捨てることもならず、
牛馬をつなぎ留めるほだしのごとく
人をつなぎ留め、解き放つことも
許さぬのでございます。
哀れとはなんと深き強き
言の葉でありましょう。

小町が発見した「あはれ」の中に
許しという思いがここに入ってくる
根本的に強い人間でないとできない
人間の愚かな姿を哀れむ力 髙樹のぶ子

物事に感動・共感すると自分の殻が壊れる
自分を壊すことで人と繋がることができる 渡部泰明先生

あはれてふ言こそうたて世の中をおもひはなれぬほだしなりけれ
文屋康秀から送られた文への返歌
わびぬれば身をうき草の根を絶えてさそふ水あらばいなむとぞ思ふ
(三河に赴任することになった文屋康秀の同行を誘う文に対する小町の返歌)
戯れ・演技のやりとりができている
表現者として自分の思いから離れて作品を作る力が小町にあった

虚実皮膜
事実と虚構の微妙な境界に芸術の真実がある
という近松門左衛門が唱えた芸術論
「あわい」を表現する。相反するものが境界を超えて同居する。

藤原高子(二条后)清和天皇の后(きさき) 陽成天皇の母

二条后の春のはじめの御歌
雪の内に春はきにけり鶯のこほれる涙今やとくらむ
(初々しいうちは初々しさを表現できない 渡部泰明)

業平朝臣(在原業平ありわら)
ちはやぶる神代(かみよ)もきかず竜田河韓紅(からくれなゐ)に水くくるとは
(括り染めとは絞り染め)

別れを演出する女たち

常陸(ひたち)へまかりける時に藤原のきみとしによみてつかはしける 寵うつく(ちょう)
朝なけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり
物名(もののな)
「隠し題」とも呼ばれる読み方
与えられた題を歌の中に隠し詠む

源実(みなもとのさね)が筑紫(つくし)へ湯浴(ゆあ)みむとてまかりけるに、
山崎にて別れ惜しみける所にてよめる 白女
命だに心にかなふ物ならばなにか別れのかなしからまし

白女(しろね)は大阪・江口の遊女
遊女とは芸能人で芸達者な女
永遠の別れのように送り出し「お達者で」という気持ちを伝える

女の中に別れへの覚悟はできている
女の強さは諦めの強さ 髙樹のぶ子

「強からぬ女の歌」という言い方は勇み足
運命を甘受しながら心を育てていく強さがある

寺山修司(1950年代に前衛短歌の歌人として活躍)曰く
「定型という枷(かせ)があるから言葉の自由を得た」

短歌は改変しようがない。そのまま残っていく。
物語は時の為政者によって作り変えられるが可能。歌は強い。 髙樹のぶ子

2023年12月8日金曜日

お弁当で一句&名言

冬銀河ゆとりが生んだ異才をり
冬の海死にゆく人へレクイエム
冬の夜美術を共に語らわん
思想とは一つの行為からっ風
遊びから育まれん狐施行(きつねせぎょう)

■プレバト纏め 2023年12月7日
お弁当で一句

永世名人のお手本
千原ジュニア
セット裏鯛焼を選(よ)るホシとデカ 
(セット裏からテレビの撮影スタジオの裏
 語順の勝利 セット裏を上五に持ってきたことでリアリティーが増した
 動詞「選る」が良かった この句においては賑やかさが大事)

名人への試験
こがけん
白息や弁当運ぶ吊足場
(吊足場とは高い場所で作業するための足場
 どんな人の息か伝わっている
 口元のアップから出発して高所の作業現場というカメラワーク
 いらない言葉が一切ない 見事な一句)

1位 村山輝星(きらら)
席替えは窓側蜜柑お裾分け
(実体験が何よりという証明の一句 句またがり)

2位 鈴木梨央
弁当の輪ゴムで鉄砲冬の空
添削(「で」は入らない 冬うらら よく晴れた冬の穏やかな日和)
弁当の輪ゴム鉄砲冬の空
弁当の輪ゴム鉄砲冬うらら

3位 尾上右近
顔見せや贔屓(ひいき)出る前幕の内
添削(季語は顔見せ 冬に行われる歌舞伎の「顔見せ興行」)
顔見や贔屓待つ間の幕の内

4位 住田萌乃
パプリカを子ども包丁冬の朝
添削
冬の朝パプリカを切るおてつだい

5位 小林星蘭
浅漬と三歩先では米硬き
添削
浅漬や弁当の飯ひえびえと
浅漬や冷たきものに飯と妻

■名言
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 曰く
「喜んで行い、そして行ったことを喜べる人は幸福である。」

キングス・レイ・ウォード 曰く
「自分の目標を達成した人、
 あるいは今の自分に本当に満足している人には
 滅多に出会うものではない。
 それなのに人生を左右するような選択を
 大多数の意見に委ねるべきだろうか?」

チャールズ・スポルジョン 曰く
「人間の幸福においては
 どれだけ沢山のものを持っているかよりも
 持っている物をどんな風に楽しむかの方が
 はるかに重要な事である。」

2023年12月7日木曜日

石川数正&「花椰菜」&「鎌鼬(かまいたち)」&「大雪(たいせつ)」

鷹揚なサードプレース冬の庵
いろは紅葉を陽光と冬の風
魂は老いず輝き冬の月
悠久の静寂あらん冬の寺
目を凝らせ耳を澄ません霜柱

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 花椰菜(はなやさい)

この「椰菜」という字なかなか
目にしないような文字になってますね
この「花椰菜」何物かと言いますと
カリフラワーのことになります
この「花椰菜」カリフラワーは
元々アブラナ科の二年生の
葉野菜ということになります
原産地は中東、地中海沿岸地方といわれています
ブロッコリーは日頃食べるけどカリフラワーは
そんなに食べないという方も
いらっしゃるのではないでしょうか?
このカリフラワー日本における生産地としては
第1位が熊本県 第2位が茨木県 第3位が愛知県
となっているようです(2021年統計)
あんまり個人的には食べないんですけど
どんなレシピがあるのか気になりますね

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 鎌鼬(かまいたち)

「鎌鼬」と聞くと「妖怪ですか❓」
と聞いてくる方もいらっしゃいます
「鎌鼬」本来は「天文」の季語として
分類されています
冬 特に寒さの厳しい時期に
空気中に真空が生まれた結果
そこに殺傷力が生まれてというようなことが
歳時記には書いてあります
何故か何も無い所でいきなり皮膚が切れる
その現象を昔の人達は妖怪の仕業であると考え
「鎌鼬」という妖怪が生まれてきたと
いうようなお話もございます
江戸期の書物など紐解いてみると
妖怪「鎌鼬」の事も書かれていたりします
絵にもかなり残っています
そういった意味で単純な「天文」の
現象だけではなく俳人のロマン心をくすぐる
そんな季語でもございます

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 大雪(たいせつ)

大雪大雪と読んだ場合は冬の天文の季語「雪」の傍題
凄い大雪の事を指します
一方 大雪たいせつとと読んだ場合は
冬の時候の季語となります
陽暦でいうところの12月7日頃にあたります
二十四節気の一つです
寒さがいよいよ本格化してくる
そんな時期であります
句にする時はこれが時候の季語
大雪(たいせつ)であるという事を
明確にしながら使うそういう工夫が求められてきます

■先人たちの底力 知恵泉 その転職 スジはあるか?石川数正
江戸時代中期の政治家新井白石は
数正の悪評を広めた張本人ともされます
しかし著書「藩翰譜(はんかんふ)」の中で
数正の宿根を厳しく批判しながらも 
その能力については称賛の言葉を並べています。
勇気にあふれ武略にもたけ主君徳川殿のために
命を捨てようとしたことは数えきれないほどだ
裏切者とはいえ忠も功もなしと断ずることはとてもできない
家康を一人前の戦国大名になるまで支え天下人への道筋をつけた
忠臣石川数正、人生を賭けたたった一度の転職でした。

2023年12月6日水曜日

心の時代 選 かわいい民藝 救いの美&名言

死のソフトランディング冬の月
理想の死遂げる人をり冬北斗
息白しエンドルフィンが足りませぬ
日向ぼこ「息を引き取る」由来知る
鐘氷る言われた人は記憶せり

■こころの時代 選 かわいい民藝 救いの美
南砺で民藝運動が育まれた背景には
この地に根付いた仏教の思想があります
浄土真宗が説くのが仏の働きに
一切を委ねて生きる「他力」の教え
民藝運動を薦めていた柳宗悦はこの思想こそが
民藝の美を生み出しているものだと考えました。
南砺の寺で代表作「美の法門」を書き上げました。

とりわけ名もない工人達が
数多く作る民藝品が、
必然に救われるその原理が
つきとめられねばならない。
「美の法門」より

多くは無学な平凡な人達の
仕事であるから、若(も)し、
そこに美しさがあるとすると、
個人の力から湧き出たものではなく、
何かかかる人を超えた力が背后に
働いて作品を美しくさせていると
考えねばなるまい。
「仏教美学について」より

土徳とは
その土地の風土がもつ目に見えない力
柳宗悦らが説いた言葉
https://mizutotakumi.jp/stories/411/

宿業是本能 則是感応道交
宿業は人間の理知によって知られるものではない。
生まれながらにして与えられている本能である。
人間は、理知で宿業を知ろうとしても知られない。
人間ぜんたい、自己ぜんたいが宿業である。
宿業の主観である。だからして、宿業の中に自己がある。
それで人間は宿業を知らしてもらった時は、
すでに仏の本願中にある。大慈悲心のうちにある。
参照:曽我量深著「歎異抄聴記」

悲しみは消えなくてもありのままの姿で
自然のままに生きていけばいい
他力の教えは民藝の精神と深く結びつき
今も南砺の土地に息づいて居ます

私たちの身の回りに無限の救いがある訳です
だから救いに勝る美なんてないんですから
究極の美を見ている訳です
従って民藝にはどれよりどれが上とか
そういうものはない訳です

■名言
マイケル・ジャクソン 曰く
「世界で最高の教育とは、
 その道を極めた人の働く姿を見ることだ。」

ヘレン・ケラー 曰く
「あなたの顔を日光に向けていなさい。
 陰影を見なくてすむから。
 真理に目を向けていなさい。
 心から不安、心配は消えるから。」

リチャード・バック 曰く
「地上において、あなたの使命が終わったかどうかを知るテストをしてみよう。
 もしもあなたがまだ生きているのであれば、それは終わっていない。」

2023年12月5日火曜日

題「ケーキ」&名言

冬を笑む無頼派(ぶらいは)美学貫かん
軒先を揺れる干し柿ずっしりと
神山を満月銀杏色づかん
冬の靄創りたきもの売れるもの
冬の景生くる命の美しき

NHK短歌 題「ケーキ」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー

▪三十一音の物語
今回のテーマは「表現の足し算と引き算」
隕石堕つ天の川銀河太陽系第三惑星のアパートの庭
川野里子
銀河太陽系第三惑星は普通の場所を特別な場所のように言いかえてみた
典型的な足し算の表現
敢えて違和感を与える 読者を惹きつける効果がある

ほととぎす嵯峨へは一里京へ三里水の清瀧(きよたき)夜の明けやすき
与謝野晶子「みだれ髪」
込み上げてくるものがあってじっとしていられない感じ 
足し算の表現

かにかくに渋民村は恋しかりおもひでの山おもひでの川
石川啄木「一握の砂」
かにかくに(副) あれこれと いろいろと
引き算の表現を重ねている 読者を前のめりにさせる

▪入選六首 題「ケーキ」
思い出のケーキの店がある街を新幹線は速度ゆるめる
広木登一
食べ終えたショートケーキに銀色の更地が残る城跡のカフェ
秋野茜
百本の蠟燭を立て溶岩のやうに赤らむ祖母のケーキよ
藤雪陽(ゆきひ)
一席 タッパーにかわいいケーキ閉じこめる世界が私にそうしたように
水谷文音(あやね)
お互いの震えと震えが庇い合い催眠みたいにケーキ入刀
高橋裕樹
 躊躇せずケーキを七つに切り分ける君は素数に愛されている
西田浩之

▪秀一郎あむのココカラ短歌
ウエディングいつも通りの美しさまるでケーキのホイップのように
内藤秀一郎
結婚式を斜めに見ている 批評眼で詠っている
短歌はちょっと意地悪なくらいがおもしろい
添削 ウエディングはいつも通りの美しさまるでケーキのホイップのように

三段のパンケーキのよう震えてるショートヘアで初の登校
深尾あむ
添削 三段のパンケーキのよう震えてるショートカットにした日の登校
ショートカットとは近道の意 ここはあえて和製英語のカットが欲しい
詰め込んでまとめたように見せないのがコツ

▪ことばのバトン
ざわめきながらしんとしている
池松舞
⇩工藤ひすい(16)高校1年生
貨物列車聴く僕たちのアナキズム

なみだを遠い草原にヒスイをきみのてのひらに
寺山修司「ヒスイ」より抜粋
この歌を足に書いて登場 力を貰えるような歌なのだとか…。

■名言
アンリ・マティス 曰く
「見たいと願う人たちのために、いつも花はあります。」

N・V・ピール 曰く
「まずはこころを
 塀の向こうに投げたらいい
 ほかのものごとは
 あとからついてくる。」

デール・カーネギー 曰く
「過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。
 今日一日の枠の中で生きよう。」

2023年12月4日月曜日

兼題「おでん」

からっ風命創るも壊したり
北吹くや素顔のままを晒し生く
虎落笛(もがりぶえ)生きる力を漲らせ
冬の波日々淡々と写生せん
冬の過疎鷹黍(たかきび)入れた新メニュー

NHK俳句 兼題「おでん」
選者 夏井いつき レギュラー 家藤正人 中西アルノ 司会 柴田英嗣
年間テーマ「凡人からの脱出」

室町時代「田楽」が「おでん」の起源。

▪ボンの段 今週の凡人パーツ「コンビニ」
コンビニでおでんを選ぶ季節かな   石橋直道
コンビニのおでん書いたし恥ずかしや   安藤洋子
にほいたつコンビニでかぐおでん出汁   M.K.
おつかいはコンビニおでん汁多め   中村有久美
コンビニのつゆ増し増しのおでん買う   猪岡義弘
コンビニや入りて漂うおでんの香   早戸順子
コンビニの無言の誘ひおでん鍋   永野琢

半ボンの段
コンビニのレジ横匂うおでんかな   高橋斉
コンビニのおでん手招くレジの横   小田虎賢

脱ボンの段
いいとこに置くなあコンビニのおでん   兼松正直
リアリティーのあるつぶやきもとても有効な俳句の種

コンビニのまだ空っぽのおでん鍋   小花風美子

▪「コンビニのおでん」で脱ボンする方法を考える!
実験室煌煌(こうこう)コンビニのおでん   樫の木
取り合わせで光景が描ける
「実験室」に変わる言葉を考える
家藤正人
夜釣りの灯 予備校の 教室の 保卵器の 動物園 
退勤の 葬送や ロサンゼルス コンビナート

柴田英嗣
駅前の リビング 町工場 高架下 商店街 教室 子供部屋

場所が変わると人物が変わる
五感に入る情報が場所が変わるだけで動いてくる
言葉をパズルしただけで俳句として機能しはじめる

言葉のパズルでオリジナル俳句を作ろう
自分の作品として磨き上げるにはあと1段階踏めばいい

高架下くぐってコンビニのおでん   柴田英嗣

▪夏井家伝来!家藤正人&中西アルノ
0から俳句
文体と表記の組み合わせ
文語   口語   歴史的仮名遣い 現代仮名遣い
書き言葉 話し言葉
ごとし  ようだ  やうだ     ようだ

▪特選六句発表 兼題「おでん」
喪服の背囲む屋台のおでんかな   一石浩司(いちいしこうじ)
 蓋とればはんぺん襲ひくるおでん   伊予素数
(擬人化のコツは映像になっているかいないか)
くたくたの俺より草臥れ(くたびれ)たおでん   丁鼻トゥエルブ
そんなもんおでんに入れるお前が好き   滝澤凪太(なぎた)
 竹輪麩を対岸へ遣る関東煮(かんとだき)   七瀬ゆきこ
汚くて旨(うま)いよおでんは三種類   若林明良

▪柴田の歩み
高架下くぐってコンビニのおでん 
脱ボン!!

2023年12月3日日曜日

ロッチと子羊(61)「放送作家編(1)」

旧過ぎる道徳感や冬の雲
違い過ぎる道徳感冬の靄
日々変わる価値観持ちて冬を行く
柔らかきゆえ歪められ冬日向
丁寧に且大胆に冬の径

■ロッチと子羊(61) 放送作家編(1)
白武ときお

お悩み 今後何を面白がっていくのが良いか❓

哲学×相談 秋元康(作詞家・放送作家)
人生無駄なし
打ち切りになったバラエティーが
自分の足腰の筋肉になったり
ぜったい負けない悔しいという
思いになったりするから
今は無駄はないと思うからこの言葉を送ります
今時代に答えがない 答えがない時に
自分の哲学を言い合う番組はありじゃないかな

白武ときお
僕もテレビでレベルを上げ
キャリアUP難しいなというので
ネットとかYou-Tubeで
結果を出そうというのを採用させていただいた
命の恩人です
「人生無駄なし」とおっしゃってますが
それは秋元さんの勝者の考え方

秋元康
一番強いのは根拠のない自信
俺世界一才能庵じゃねえかなと思った方がいい
自信過剰にならないと
俺65だけど中学生の恋愛の詞かいているからね
白武ウォッチャーになったよね

白武ときお
一瞬でひねりつぶされる

秋元康
世代交代の波を感じる
テレビというメディアから配信・ネットになった時に
追いつけない部分は絶対ある
自分がだんだんオワコン化していく
次の新しい人は誰なんだろう?と見ていたい

白武ときお
ウソをついていらっしゃいます
「あなたの番です」とか次々面白いドラマ今も作って

秋元康
みんなが面白がるものを作らなきゃいけないとというものから
俺がおもしろいと思ってんだ!ということをやるべき
テレビが我々の反省としてネットに負けつつある部分は
視聴者が何を見たいか?考え過ぎちゃう
昔は違ったんです 「11PM」みたいな番組は
大橋巨泉さんという人が勝手に麻雀やったり
ボウリングやったり釣りやったり
俺がやりたいことをやるんだ!
テレビが発信メディアだった
コンプライアンスは昔からずっとある
それが顕著化して身に見える
具体的になってきただけで何でもフリーはありえないから
逆にそれを白武君やロッチの世代は「これは使えないんだって」
というのを逆手の面白くできる

白武ときお
個人的な熱狂を大事にすることを忘れていたので
今日はハッとさせられてマーケティングに
さらされていたかもしれない

秋元康
解決 全然してないと思う

白武ときお
この言葉を軸に生きていこう

小川仁志
プラトンは理想主義者 哲学の父
アリストテレスは現実主義者 倫理学の父

自分の中の正義

哲学と倫理学 二つを考えることが悩みの解決に!
哲学とエンターてイメントは似ている
哲学の最初のステップ
視点を変える 哲学の第2のステップ
予定調和が一番つまらない
アイドルは哲学用語から手の届かない理想とされていた
現実社会の変化に合わせて皆が納得できるルールを作ろう
今流にいえばコンプライアンス
哲学はアクセル 倫理学はブレーキ

倫理とはエートスです
私たちを押さえつけるものではありません
アリストテレス倫理学の要約

エートスとは習慣・習俗
倫理とは習慣・習俗である
自分たちで新しい倫理を作れば良い

幸福論的倫理学 アリストテレス
自分を含めみんなが幸せになれるか?

哲学プラクティス
エンターテイメントの倫理規定を作る

西洋社会にはプラトンに納得する人と
アリストテレスに納得する人の両方がいた

白武ときお
少しのクレームで多くの楽しみを
奪われない作り方を大事にします

2023年12月2日土曜日

あの本、読みました?島本理生

冬星座泣きたい時は泣きませう
冬景色一歩一景次世代へ
運動神経なき親子鴛鴦(おしどり)
城峯(じょうみね)公園桜開花と散紅葉
水面に揺れる桜と紅葉冬の月

■あの本、読みました?
ゲスト 島本理生

ファーストラブ 第159回直木賞受賞
父親を殺害し逮捕された女子大生・聖山環菜
彼女を凶行に駆り立てたものは何だったのか?
臨床心理士の主人公がその家族の秘密に迫る物語

恋愛も見方を変えるとミステリー

星のように離れて雨のように散った 文春文庫
幼い頃に失踪した父 書きかけの小説
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」
人生の岐路に立つ大学院生・春は
3つの未完の物語を紐解き何を見出すのか❓

作中に登場する様々な小説
印象的だった小説に出てくる小説
つぐみ 吉本ばなな
夜長姫と耳男 坂口安吾
飛騨の名工の耳男と無邪気だが残酷な夜長姫の物語

島本理生が衝撃を受けた芥川賞作家の小説とは?
デクリネゾン 金原ひとみ
二度の離婚を経て中学生の娘二人で暮らす
シングルマザーの小説家・志絵
恋愛をしたい母親の孤独と不安と欲望が
娘や周囲の人々を巻き込んでいく

言葉の解像度が高い
主人公は女流小説家に共感しきりだった島本理生さん
刺さった表現

「そういう人が小説を書きたかったって、不思議。
 もっと思い悩んだり、人生に疑問を抱く人が
 書くっていうイメージがあるから」
島本理生「星のように離れて雨のように散った」より

小説家と俳優の意外な共通点

小説家として衝撃を受けた表現
理解されにくい事を言葉で描くのが小説家
小説家として重要なのは「何を書かないか」

俳優として凄いと感じた俳優
自分以外は全て凄いと感じていて大先輩でも子役でも
参りましたって思って毎日帰っていました
仕事の9割はやられたなと思って帰っていました
佐久間由衣ちゃんとか安達祐実さんとか凄いと感じていました

島本理生からちょっと意外なオススメ小説
姑獲鳥の夏 京極夏彦

Red 島本理生
夫の両親と同居する塔子は、可愛い娘もいて、
恵まれた環境で暮らしていた。
しかし、かつての恋人と再会し、これまでおさえていた
不満が溢れ、不倫と言う快楽におちていく。

結婚・出産を経て執筆した「Red」
自分の中で変化・成長を実感した「Red」「ファーストラヴ」
自分の知らない新しい自分が出てくる時が楽しい
Redでシフトチェンジできた
手あかのついたものはもう書きたくない
常に変化を求めることで成長する小説家と俳優
どんどん捨てていく 捨てると新しいものが出てくる
取捨選択が大事

https://video.tv-tokyo.co.jp/anohon/episode/00103668.html
これは素晴らしい!
もう録画は不要なのですね。ありがとうテレ東さま。

2023年12月1日金曜日

棟方志功・応挙・芦雪の言葉&万国旗で一句

五感を刺激シズル効果や紅蜜柑(あかみかん)
既知との遭遇あらん冬の朝
星冴ゆる記憶の欠片煌めきり
永遠にした時間を生きん冬の雨
北颪(きたおろし)無限の救い無下にせり

■日曜美術館 
棟方志功 板の命を活かす より
驚イテモ、オドロキ限(き)レナイ、
歓コンデモ、ヨロコビ限レナイ、
哭(かな)シンデモ、カナシミ限レナイ。
ソレガ版画デス。
ソウイウ無限際ノモノニ、
亦、遊バセテ貰ツテヰル、
ワタクシハ、シアワセモノデス。
棟方志功

シン・芦雪伝 より
絵はどのような姿勢で学ぶべきかを語った
応挙の言葉が残されています
「萬誌」祐常筆
師の手本を写さず
自分勝手に何でも描くことは
正さなければならない
ただ手本を写すだけの
教え方はよろしくない
絵を学ぶ者は
法を捨てるべきではない
ただ同時に
法にとらわれすぎてはいけない

「呼鶴」というのは
絵には一羽しかいませんが
メスを呼ぶ図なので
(見えなくても)
二羽いるという絵なのです
しかしご依頼ということなので
書き加えました
毎回お世話になっております
お海苔をお送りいただき
加えて御礼申し上げます

■プレバト纏め 2023年11月30日
万国旗で一句

名人・特待生昇格試験
永世名人 俳句史に残る句集作り
村上健志
万国旗隠し持つ手の如き鵠(くぐい)
(鵠 冬の季語 白鳥の別名)
添削
万国旗抱くか白鳥の羽撃(はたたき)

名人
森口瑤子
冬虹のかけらとなった万国旗
(イメージは美しい 発想と感覚が素晴らしい
 冬虹と万国旗の取り合わせは詩としての要素がいっぱい
 冬虹は冬に雨のあとに出る虹 冬の季語
 かけらが勝ち感じがするので解り易い表現にするとよい)
添削
冬虹に溶けて万国旗の残像

特待生
森迫永依
万国旗小春の影を落としけり
(小春 冬の季語 本格的な冬の前の春のような陽気のこと
 平和の象徴のような万国旗が影を落とす光景に心惹かれた
 今の世界情勢の出来事が心をよぎったから下五が必要だった
 けりが正しく使われている 今ハッと気づいたその感動が「けり」)

次回のお題はお弁当