2023年5月23日火曜日

題「青」

汗の香もリライブシャツに抱かれて
迎へ梅雨沸点低き天使かな
花いばら善悪なしの天使かな
夏の空G線上に天使をり
蜘蛛の囲(い)や暗さの中の震え描く

■NHK短歌 題「青」
選者 吉川宏志 ゲスト ヨシダナギ 司会 尾崎世界観

「実感的 表現力アップ」をめざす第3週、今月は「色で印象を鮮やかに」。

おなじ絵を時をたがえて見ていたりあなたが言った絵の隅の青
吉川宏志

▪入選九句 題「青」
戦争の遺構(いこう)に残る茶碗から青に焼かれた桜こぼれる
佐藤和裕
便箋に青のインクが滲んでる君の名前の最後の一字
弓吉えり
蔵内(くらうち)に灯(あか)りを透かせ青冴(あおざ)えの酒のおもてをしばし確かむ
中野功一
森林の学習終えて子は帰る青き湿りを頬に残して
海瀬(かいせ)安紀子
乾ききらない青色に手を染めて稽古場へ運ぶ背景パネル
前川泰信
💮信号に母の柩車(きゅうしゃ)はさえぎられ青となるまで留(とど)め置かれぬ
前川宙輝(ちゅうき)
青空の青昨日より薄く見え集中力が持たないテスト
伊藤亮太
テキストの2行に青のマーカーで滑走路敷く受験生達
髙原希美
授業では目立たなかった青チョークが大空を描く卒業の朝
毛糸

▪入選あと一歩
この町に留まることのなき風がさみしき凧を青へ押し上ぐ
二重格子(じじゅうこうし) 添削
この町に留まることのなき風が尖(とが)れる凧を青へ押し上ぐ

▪表現の最前線
我が妻よわがさびしさは青のいろ君がもてるは黄朽葉(きくちば)ならむ
若山牧水

ヨシダナギ 表現の最前線
世界一おしゃれな少数民族スリ族
アフリカの人は原色使いが上手
都市部の人は薄い色実を使うのが上手
自分の中の「記憶色」にこだわっている
私に見えている色を再現できたらなと思っています

短歌は短いので1色か2色かを選ぶ必要がある
文脈や言葉を使って色を感じさせることが大事

言葉で色を伝えていきたいと、ヨシダナギ女史。
海外を歌うことも大事と、吉川宏志先生。

▪言葉のバトン
春夏秋冬咲け山桜   池野弘葉
あの歌も羽根もいっしょに埋めました   梅﨑実奈
(原歌 桜の樹の下には屍(し)が埋まっている 
 梶井基次郎「桜の樹の下には」より)

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