2023年5月31日水曜日

兼題「夏の風」&おしゃべり俳句&名言

湯摘天目(ゆてきてんもく)遊ぶ滴や夏の夜
黒釉(こくゆう)を有する茶碗夏に会う
ヒトツバタゴや鳥に運ばれ夏に咲く
ヒトツバタゴやふわりと白き花つけて
ナンジャモンジャノキ白き花と夏の風

■NHK俳句 高野ムツオ選
特選九句 兼題「夏の風」
一席 夏風や知覧に残る兵の文  埼玉県川越市 小寺佳光
二席 グローブも帽子も投げて夏の風  山口県周南市 松岡哲彦
三席 タヒチから手紙窓から夏の風  群馬県伊勢崎市 広木登一

特選
ファルダ蹴り上げる踵や夏の風  宮城県仙台市 滝井ルカ子
陸見えて夏風強くなつてきし  東京都大田区 阿部千保子
夏の風自分を変へるのは自分  神奈川県横浜市 髙木統
日本丸の総帆展帆夏の風  神奈川県横浜市 山本秀雄
夏の風配る夕刊三百部  静岡県沼津市 芹沢由紀夫
夏風やゴーシュのやうに水を飲む  滋賀県守山市 主藤充子

参照:NHK俳句
https://www.nhk.jp/p/ts/6Q6J1ZGX37/blog/bl/pLvva3ZRZL/bp/p7ywbmkdxZ/

■夏井いつき俳句チャンネル
【第10回おしゃべり俳句】組長も共感した子どもたちの俳句!【後編】
きょうは大人一人で座る寺は秋   法事に来た男の子(5歳)
新米がぜんぶのゆびに入ってく   わか(8歳)
私はもう変身できないけどね浅き春   みじゅ(7歳)
くつしたじゃ力がでないんだ冬のあさ   ルイ(3歳)
私😍流星や明日たぶん泣くとおもう   みずくらげの息子

■名言
デール・カーネギー 曰く
「およそ人を扱う場合には、
 相手を論理の動物だと思ってはならない。
 相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、
 自尊心と虚栄心によって行動するということを、
 よく心得ておかねばならない。」

シェリル・サンドバーグ 曰く
「人生が困難な時こそ、あなたの真価が問われるのです。」

M・ジョーダン 曰く
「僕は物事を
 中途半端な気持ちではやらない
 なぜならもしそうしたら
 中途半端な結果しか期待できないと
 わかっているからね。」

2023年5月30日火曜日

題「あくび」

優しさに満ちた無視あり夏木陰
決心の臍(ほぞ)を堅めん夏の月
取り出すべきか記憶の小骨夏の星
星涼し消した記憶の蘇る
走馬灯見るたび気付き出会いあり

■NHK短歌 題「あくび」
選者 岡野大嗣(だいし) ゲスト 岡本知高 司会 尾崎世界観

年間テーマ グッとくる瞬間

▪岡野大嗣の「グッときた九首」テーマ あくび
君のその大きな口に吸い込まれお腹に住宅街を作りたい
ムフ
「んなぁ」って子猫があくびしたことを病床の母にメールしてみる
かぐやうさぎ
もう一度あくびをしたら別れると決めてしまえば後は待つだけ
今井遼
あくびのあと必ずああつて声の出るわたしのなかのわからないわたし
いずみ野
なんだかんだ春はあけぼの海と朱(しゅ)ときみのあくびときれいな銀歯
草波(くさなみ)ことり
せかい以外こわいものなどないきみの空気を食べるみたいなあくび
葉村直(なお)
力こめ両手広げてあくびなせば八十路のわれにぴかぴかの朝
鍵山奈美江
💮あくびしただけでみんなにほめられるほんとよかったうまれかわつて
そんなぢゅんこ
真夜中に発作にあえぐぼくの背を撫でるあなたのひそかな欠伸(あくび)
長尾桃子

▪表現者の原点 岡本知高

短歌は31音という型があるから
そこに言葉を当てはめていけば
パズルみたいに出来上がってしまう
工場的に作る作業になってしまう
自分のうちにあるものが乗ってこないと
ただの言葉で歌にならない
岡野大嗣

▪それぞれの「あくび」それぞれの表現
発声フォームは授業中の口腔鼻腔に広がる宇宙
岡本知高

短歌のたねが大事
歌を詠む動機となった心の動き

神様のこらえあくびにふくらんでわたしの声を待つ冬銀河
岡野大嗣

▪岡野大嗣の「あくび」
めむたく鳴ったらおしえてよおやすみは人間のままできるさえずり
岡野大嗣
自分のなかのわからない自分に声をかけている感じ
ふと寝落ちしてその時にたてる寝息は
鳥で言うと「さえずり」みたいなものじゃないかと思った

▪ことばのバトン
あの歌も羽根といっしょに埋めました 
梅﨑実奈

(食べてから帰れと置き手紙横に、炒飯、黄金色の炒飯)
「希望」と名付けた木の根元へと
小坂井大輔

2023年5月29日月曜日

兼題「夏の風」&名言

白桜忌多くの学び与えらる(五月二十九日)
鮎遡上十分間を三千尾
花柚子の五弁の花が放つ香
夏柳揺るる姿を月に魅せ
川蜻蛉新町川へ羽根広ぐ

■NHK俳句 兼題「夏の風」
選者 高野ムツオ ゲスト 副島淳 司会 中川緑
レギュラー 中西アルノ 黒岩徳将 斉藤志歩

年間テーマ「語ろう!俳句」

テスト中塩素かおるや夏の風   青山ネモフィラ

サウナ出て南柏の夏の風   副島淳

夏の風ターダーサナの二十人   黒岩徳将
(ターダーサナとはヨガのポーズのことを指します
Tadaが「山」Asanaが「ポーズ」という意味)

閉ぢしまま貝は化石に夏の風   斉藤志歩

▪特選三席発表 兼題「夏の風」
三席 タヒチから手紙窓から夏の風   広木登一(とういち)
二席 グローブも帽子も投げて夏の風   松岡哲彦
一席 夏風や知覧に残る兵の文   小寺佳光

■名言
ピーター・ファーディナンド・ドラッガー 曰く
「知識は本の中にはない。
 本の中にあるものは情報である。
 知識とはそれらの情報を
 仕事や成果に結びつける能力である。」

ナーマン・ド・ブラスラウ 曰く
「目に手をかざすと
 高い山が隠れるように
 毎日の生活が
 世界のいたるところにある
 美しい光と秘密を
 隠してしまう
 目の前の邪魔ものを打ち払えば
 心の中の光が見える。」

ヤコプス 曰く
「死ぬほどの怒りは
 狂気よりもずっとひどい病で、
 胸の奥の奥にある一番の秘密を
 しばしばさらけだす。」

2023年5月28日日曜日

ロッチと子羊 カント&ビラン

生きる為我が子を流す夏の海
蓼(たで)摘むや素足に草履の女の子
トビカズラ白き花咲け上板で
右左(みぎひだり)論破横行あけやすし
心なき言葉レンジで温めん(無季句)

■ロッチと子羊

友情は相手を引きつける愛と
相手を引き離す尊敬によって
深く結ばれるのです
カント哲学の要約

適度な距離を保つこと それは尊敬
尊敬は相手を引き離す力「斥力(せきりょく)」がある
尊敬は自分より秀でていて上に思うこと
遠慮を重んじるので距離感が保たれる
相手への尊敬は大事+自分への尊敬
相手を必要としてとらえなくなる

哲学プラクティス
尊敬 respect  再びと見る 二度見するからきた
尊敬によって自他を認め合うことで
1+1=2の関係
必要と思っていたことを尊敬の置き換える


努力が報われていないのは
努力している証拠
努力には必ず抵抗が伴います
ならばその抵抗を楽しみましょう
ビラン哲学からの応用

努力とは
目標実現のため心身を弄労して
努めること   広辞苑より

努力とは行為をすることで自身が受ける抵抗(反発)
報われていない=抵抗がある=努力している

努力とは作用と反作用
努力したことが大きければ
自分が受ける抵抗も強くなる
大きな結果を得るには大きな抵抗が必要
その抵抗には望まない結果も含まれる
大きいプラスを得るためには
大きいマイナスを引き受けることが大事
大きい抵抗を楽しんだ方がいい

哲学プラクティス
抵抗を「反響」に置き換えれば
抵抗をPositiveにとらえられる

努力することは生きることだ   ビラン

2023年5月27日土曜日

鯖の弁当で一句

夏の風邪薄き口びる固く閉じ
ハンモック虐められた子虐めた子
夏の雲ひらがな遊び柔らかき
一村のアダンの海辺夏の空
強き風佇む岩場夏の鳥

■プレバト纏め 2023年5月25日
鯖の弁当で一句

特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句
朝まだき半夏生鯖匂ふ市   梅沢富美男
(「朝まだき」は夜の明けきらない頃のこと。
 「半夏生鯖」は福井県に伝わる夏至から数えて11日目の「半夏生」に食べる丸焼きの鯖のこと。
 福井県では「はげっしょさば」と発音する。)
朝まだき半夏生鯖(はげっしょさば)匂ふ市

永世名人 村上のお手本
薄暑のシンク鯖缶の蓋の反り   村上健志
(薄暑は夏の季語。少し汗ばむくらいの初夏の頃の暑さのこと。
 温度・空気の匂い・手触りが見えてくる。
 七五五のリズムは鬱屈な寂し気な調べがある。
 薄暑には憂鬱な憂いが含まれている。
 けだるさ、節約が表現されている。読者は余白を埋めたくなる。)

特待生昇格試験
肴手土産に来る父の日の父   森口瑤子
添削(語順が悪い。「来」を「く」と読ませることで
   手土産を持つ父の手元や表情が余韻となる。)
父の日の父肴を手土産に

1位 武井壮
鯖喰ふや係船柱の錆硬し
(係船柱とは船をワイヤーなので止める為桟橋や埠頭に設けた杭。
 「硬き錆」では物に軸足がある。「硬し」で終わると手触りに軸足がいく。)

2位 小籔千豊
汗水漬く(あせみずく)大工かきこむ鯖弁当
添削(季重なりだが「汗」が主役で「鯖」が脇役と分けられている。
   季語は汗、汗水漬くとは体中が汗でびっしょりになること。)
みずく大工掻っ込む鯖弁当

3位 YOU
焼き鯖の香り漂う夕涼み
添削(「焼き鯖」は脇役、「夕涼み」が主役の季語になっている。
   香りなら「漂う」は不要。)
焼き鯖の香や休日の夕涼み

4位 新内眞衣
鯖食いて青葉感じる箱の中
添削(季重なり。季語に強弱がつけられていない。同じ比重の季語に添削。)
弁当の青葉よふるさとよ
弁当の青葉よ失恋よ

次回のお題は「雨の日のカフェ」

2023年5月26日金曜日

言葉にできない、そんな夜。

人生の計画立てん青嵐
カラフルな夜に抱かれ踊る夏
ピカソの周り致死率高し星涼し
雷声ぞ殴り合って決めるがよい
雷火より過度な修羅場へ誘へり

■言葉にできない、そんな夜。
ゲスト アヴちゃん 桐山照史 髙橋ひかる 松居大悟
司会 小沢一敬

▪テーマ 好きだけど素直になれないときの気持ち
かぐやは確かに白銀を避けている…
だがそれは決して悪意のある行動ではない…!
むしろその逆‼
これは照れや緊張によって引き起こされたアクション‼
俗にいう「好き避け」である‼
赤坂アカ「かぐや様は告らせたい」

小沢メモ 
「好き避け」 
好意の裏返しとしてよそよそしく距離を置くようにすること
「好きバレ」
秘めていた恋心が予期せぬ形で相手に伝わってしまうこと

当初、乗り継ぎだけの予定だった往路も
パリに数日滞在することにした。
ただし、洋子には、
あなたのためと言わず、
たまたま用事が出来たからと説明した。
どんな恋愛にも、その過程には、
こうした装われた偶然が、
一つや二つはあるものである。
そして、しばしばその罪のない嘘は、
相手にも薄々勘づかれている
淡い秘密である。
平野敬一郎「マチネの終わりに」

無理。
「わたし自身のことより、あなたのことが好き」
これを受け入れちゃったらきっと、いまよりは楽なのか?
楽になんてなりたくないくせにさ!
些細に仕草にすら理由を見つけて、大切にしてく、わたし。
確実などこかがムカついてくわ。
無理!
アヴちゃん
「好き」って書くの悔しいから
「無理」って書いた

▪テーマ 避けたら相手も同じ方向に避けてきた
髙橋ひかる バトル中
桐山照史 情緒確認
アヴちゃん 運命感じました!では、さようなら! 
松居大悟 ああ!同じ人間なんだ!
小沢一敬 善意のPK戦

▪テーマ 朝帰りのときのあの感じ
改札はよそよそしい顔で
朝帰りを責められた気がした
私はゆうべの服のままで
浮かれたワンピースが眩しい
風邪をひきそうな空
一夜にして街は季節を超えたらしい
まだあなたが残ってる
吉澤嘉代子「残ってる」

走りだしたタクシーの中でふり返ると、
朝の薄青い空気の中で、
黒ずくめのハセオが軽く手を上げた。
千早茜「男ともだち」

眠い空気の中の 少し眩しいような
でも静かで渋谷じゃないみたいな
1日の始まりのような
これから眠りにつくような 青い世界
山口つばさ「ブルーピリオド」

紺色を淡く手放す空 女王蜂「始発」

朝は下、夜は上 髙橋ひかる

通り過ぎるゴミ収集車の脇で
カラスがキャベツを啄んでいて、
遠くで若者たちの騒ぐ声が聞こえる。
ベタベタの前髪から覗く、
この生産性のない灰色の景色が、今はすごく眩しい。
あと何回この景色を見るんだろう。
次にこの景色を見るのは何年後だろう。
松居大悟

2023年5月25日木曜日

名言&おしゃべり俳句前編&「苺」

はまぐり探し沖へ沖へと進みをり
夏休み簡易トイレの準備して
過疎の山レトロなバスと夏の風
渋滞のニュース聞きつつ雲の峰
小さき夢追われ追いかけ走り梅雨

■名言
アインシュタイン 曰く
「この世に存在する数々の問題は、
 その問題が発生したときと同じ考え方では解決できない。」

ジョン・ドライデン 曰く
「決意は遅くとも、実行は迅速なれ。」

ウィリアム・ジェームズ 曰く
「運命が一つの扉を閉じたならば、
 信念が別の扉を開く。
 空いている扉を見つけよ。」

■夏井いつき俳句チャンネル
【第10回おしゃべり俳句】今回も子どもたちの気づきがいっぱい!【前編】
秋空やブランコ乗って小鳥みたい   よつ葉の娘(2歳)
飛行場「くものうえにかみなりさまいた?」   なつみ(5歳)
え!弟って後から生まれたの?山笑う   やすくん(約4歳)
秋の日のはんにんさんが笑つたよ   すれ違った幼稚園児
咳したら体が宙に浮くよなぜ   三つ葉のクローバー(小学5年生)
蝶々とねここでバイバイしたんだよ   みなと(3歳)
サイダーってプールのにおいだね添い寝   きーちゃん(2歳)
秋祭いちばんおおきなわたしのかげだ   大史華家(5歳)おおふみはないえ
ここに太陽落ちるかな春   あかり(3歳2か月)

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 苺
「苺」はいつの季語でしょうか?
とクイズを投げかけたら
迷う人は多いのではないでしょうかと思います
実は「苺」は初夏が本来なる季節で
夏の季語になっています
何となくクリスマスシーズンに
よく見かけるとかそんな理由から
冬のものと感じる人もいるかもしれません
実は冬の「苺」は冬の「苺」で
「冬の苺」という1項目としてたっています
そしてまた「冬の苺」とは別の種類の存在として
「冬苺」という植物も存在するようです
紛らわしいですねぇ
「苺」を巡るいろんなご事情があるんですね

2023年5月24日水曜日

ロッチと子羊&吉阪隆正の言葉

夏山へ鳥のメロディー響きけり
風薫る歓声戻るかずら橋
渦潮へ身を乗り出さん夏の空
菖蒲湯や園児の笑みと甘き香
(大麻比古神社)神木の楠茂り五月かな

■ロッチと子羊
子ども・若者の幸せを考える プロジェクト
君の声が聴きたい コラボ企画

お金は価値への橋渡しにすぎません
人は橋の上には住めないのですから
ジンメル哲学の要約

目的の価値に目を向ける
グローバル思考を養う

全ての争いは同じ仕組みで起こります
平和のために必要なことは
目的を超越することです
(平和学の父)ガルトゥング哲学の要約

ガルトゥングは暴力には3つあると言います
直接的暴力
構造的暴力(戦争)
文化的暴力(戦争・暴力を容認 無関心)

トランセンド法 超越法

哲学プラクティス
分けることだけを考えるのではなく超越することを考える
調停役を考える

■新美の巨人たち より
吉阪隆正「大学セミナーハウス」より

吉阪隆正の言葉
あまり建築にこだわることなく
勉強されたほうがいいと私は思います
少なくとも学部4年間
その間に何か一つだけでもせめて日本一になると
これは麻雀でもいいし囲碁でもいいし
建築は幅広いですからどの道からでもアプローチできる

1917(大正6)年東京市小石川に生まれる
内務省の官僚だった父吉阪俊蔵の仕事の都合で
スイス・ジュネーブで少年時代を過ごす
1941(昭和16)年早稲田大学理工学部建築学科を卒業
1950(昭和25)年フランス政府給付留学生として渡仏
出会ったのがル・コルビュジェ
コルビュジェのアトリエで2年間建築を学ぶ

最初の仕事は
南仏の連れ込み宿の設計だった
「乾燥なめくじー生ひ立ちの記」より

いけると思った
ああいう劇的な瞬間というのは
一生の間
そうはないもんだ
「DISCONT不連続統一体 吉阪隆正+U研究室」より

触れることで人は多くを認識する
手足体などが触れる部分は
全体像を
人に伝える「物」として
格好の手掛かりであると
いえよう
「ディテール」1973年より

長期館(1969年)に泊まることができる
15名以上貸し切りのみ
1泊1名税込み4,400円~(社会人)

一度やったことは
やりたくない
一生につくる数は
知れている
同じことなんか
やってられない

2023年5月23日火曜日

題「青」

汗の香もリライブシャツに抱かれて
迎へ梅雨沸点低き天使かな
花いばら善悪なしの天使かな
夏の空G線上に天使をり
蜘蛛の囲(い)や暗さの中の震え描く

■NHK短歌 題「青」
選者 吉川宏志 ゲスト ヨシダナギ 司会 尾崎世界観

「実感的 表現力アップ」をめざす第3週、今月は「色で印象を鮮やかに」。

おなじ絵を時をたがえて見ていたりあなたが言った絵の隅の青
吉川宏志

▪入選九句 題「青」
戦争の遺構(いこう)に残る茶碗から青に焼かれた桜こぼれる
佐藤和裕
便箋に青のインクが滲んでる君の名前の最後の一字
弓吉えり
蔵内(くらうち)に灯(あか)りを透かせ青冴(あおざ)えの酒のおもてをしばし確かむ
中野功一
森林の学習終えて子は帰る青き湿りを頬に残して
海瀬(かいせ)安紀子
乾ききらない青色に手を染めて稽古場へ運ぶ背景パネル
前川泰信
💮信号に母の柩車(きゅうしゃ)はさえぎられ青となるまで留(とど)め置かれぬ
前川宙輝(ちゅうき)
青空の青昨日より薄く見え集中力が持たないテスト
伊藤亮太
テキストの2行に青のマーカーで滑走路敷く受験生達
髙原希美
授業では目立たなかった青チョークが大空を描く卒業の朝
毛糸

▪入選あと一歩
この町に留まることのなき風がさみしき凧を青へ押し上ぐ
二重格子(じじゅうこうし) 添削
この町に留まることのなき風が尖(とが)れる凧を青へ押し上ぐ

▪表現の最前線
我が妻よわがさびしさは青のいろ君がもてるは黄朽葉(きくちば)ならむ
若山牧水

ヨシダナギ 表現の最前線
世界一おしゃれな少数民族スリ族
アフリカの人は原色使いが上手
都市部の人は薄い色実を使うのが上手
自分の中の「記憶色」にこだわっている
私に見えている色を再現できたらなと思っています

短歌は短いので1色か2色かを選ぶ必要がある
文脈や言葉を使って色を感じさせることが大事

言葉で色を伝えていきたいと、ヨシダナギ女史。
海外を歌うことも大事と、吉川宏志先生。

▪言葉のバトン
春夏秋冬咲け山桜   池野弘葉
あの歌も羽根もいっしょに埋めました   梅﨑実奈
(原歌 桜の樹の下には屍(し)が埋まっている 
 梶井基次郎「桜の樹の下には」より)

2023年5月22日月曜日

題「若葉」&名言

店じまいこの地を夏に飛び発たん
松落葉我立ち止まり時流る
生くる日や楽あり苦あり夏木立
万緑や消えた想いの多かりき
何一つやり遂げられずハンモック

■NHK俳句 題「若葉」
選者 村上鞆彦 ゲスト 加藤登紀子 司会 中川緑

年間テーマ 人生を詠う
今回は「幼少期」
おとしだまうちゅうりょこうへためておく   北川大翔
少女みな紺の水着を絞りけり   佐藤文香

俳諧は三尺(さんせき)の童にさせよ   松尾芭蕉

▪特選六句発表 兼題「若葉」
笑ってゐるか若葉ささやく東京で   滝田孝子
保育器へ母乳届ける若葉風   飯嶋政江
杖置いて若葉の老樹(ろうじゅ)確(しか)と抱く   石山貞(ていし)
鳥たちと分かつ若葉やカレーライス   杏乃(きょうの)みずな
廃線トンネル出口の若葉めざしゆく   池内順子
ただいまの声すみ切って夕若葉   佐藤雅之

夏井家伝来!家藤正人&中西アルノ
0から俳句
茶室で「尻から俳句」に挑戦!
言葉を補うことで五音にする
手汗でずれる竹柄杓
次回は上五の季語を選ぶ!

▪今日マチ子、今日の一句
遠き日々夏草駆けて母の空   加藤登紀子
青空へ声がボールを追ふ五月   村上鞆彦

▪特選三席発表 兼題「若葉」
三席 けふ返事書かうと思ふ若葉かな   ばんかおり
二席 若葉風ギターの弦を張り替へぬ   渡邊博史
一席 給食が大好きな子よ若葉風   萩尾節子

■名言
クリスティーヌ・ルウイッキー 曰く
「いつもの毎日こそが本当の人生。
 雑事に追われて過ぎていくありふれた日常、
 その『普通』の時間を楽しめないまま日々を過ごし
 それどころか楽しみを我慢する。
 なんともったいない。
 毎日は素敵な贈り物です。」

マイケル・ジョーダン 曰く
「本当に悪い状況かどうかなんて、
 その時点で判断できないこともある。」

ゲーテ 曰く
「われわれの持っている天性で、
 徳となりえない欠点はない代わりに、
 欠点となりえない徳もない。」

2023年5月21日日曜日

言葉にできない、そんな夜。

上勝の渓谷泳ぐ鯉のぼり
雨上がり滴孕んだ夏柳
傷癒えて夏空ゆるりこうのとり
湿原の不動明王夏の風
湿原を真っ赤に染めた山躑躅

■言葉にできない、そんな夜。
ゲスト アヴちゃん 桐山照史 髙橋ひかる 松居大悟
司会 小沢一敬

▪テーマ 推しを見つけてしまった瞬間

ひと目見た瞬間に雷に打たれたとか、
体中に電流が走る系のそれではなかった。
平熱のまま、
世界が切り替わってしまったのだ。
ぶつかる前まで、
自分がどんな世界で生きていたのか、
もう全然わからない。
ジェーン・スー「ひとまず上出来」

推しに出会ってしまった自分を作り出す   アヴちゃん

小沢メモ 
❝推しに落ちる❞を意味する「沼落ち」「沼る」
同じような言葉が存在していた 「泥む(なずむ)」
「泥む」とは好きすぎて執着する
ものに足を取られて動きにくくなる⇨ハマる

真っ先に感じたのは痛みだった。
めり込むような一瞬の鋭い痛みと
それから突き飛ばされたときに感じる
衝撃にも似た痛み。
その目を見るとき、あたしは、
何かを睨みつけることを思い出す。
自分自身の奥先から正とも負ともつかない
莫(ばく)大なエネルギーが噴き上がるのを感じ、
生きるということを思い出す。
宇佐美りん「推し、燃ゆ」

喜びは痛み   アヴちゃん

▪気まずい沈黙が流れたとき
髙橋ひかる
頭の引き出し全開け

桐山照史
ピンチはチャンス!

松居大悟
相手も気まずいと思っているはず…。
もう言おう。「気まずいっすね」

アヴちゃん   
「仲良くなり方」ってものが…。
あると思うのです…。

小沢一敬
沈黙の歓待

▪なんとも言えない懐かしさ

ノスタルジーって感情の形を変えていく   松居大悟

白い炭焼の煙が低く
山腹を這っていたのは
更に私を床(ゆか)しい
思に耽らせた。
芥川龍之介「日光小品」

「床しい」はいろいろ思い出されて、懐かしい。
行かし⇨ゆかしい
「そのころに行きたい!」という気持ちが含まれた言葉

子供の頃は憎んだ父の気短かも、
死なれてみると懐かしい。
そのせいかライスカレーの匂いには
必ず怒った父の姿が、
薬味の福神漬けのようにくっついている。
向田邦子「父の詫び状」

思い出というのはねずみ花火のようなもので、
いったん火をつけると、
不意に足許で小さく火を吹き上げ、
思いもかけないところへ飛んで行って爆(は)ぜ、
人をびっくりさせる。
向田邦子「父の詫び状」

思い出は制御不能   アヴちゃん
思い出って厄介   アヴちゃん

髙橋ひかる 思い出は共存していくもの
桐山照史 思い出は道のようなもの
アヴちゃん 思い出はジョーカーのようなもの 
松居大悟 思い出は絨毯のようなもの
小沢一敬 未来はレッドカーペット

2023年5月20日土曜日

お子様ランチで一句

アメゴ釣り真剣な子ら夏の川(鮎喰川)
山開き願いを込めて引く弓矢
時間とは手渡すものぞ夏夕べ
夏の水全ての基礎は写生なり
神山を色とりどりの躑躅かな

■プレバト纏め 2023年5月18日
お子様ランチで一句

特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句
梅沢富美男
日の丸とグリンピースの残る皿

永世名人 千原ジュニアのお手本
千原ジュニア
矯正箸はちりめんじゃこを摘まみけり
添削(「摘まみ」と書かずに表現、季語を「笑う」で擬人化)
矯正箸の先にちりめんじゃこ笑う

特待生昇格試験
森迫永依
溽暑のファミレス机上の通知表
(溽暑 夏の季語 蒸し暑さを現す 蒸し蒸しした皮膚感
 内容を破調のリズムで表現した 内容が調べを決める)

1位 きん
旗楊枝忍ばす半ズボンのポッケ
添削(半ズボン 夏の季語)
旗楊枝こっそり半ズボンのポッケ

2位 山本千尋
武術一位薫風のお子様ランチ
添削(薫風 夏の季語 青葉の香りを吹き送るような初夏の風)
(武術大会一位)演武服のまま薫風のエビフライ

3位 筧利夫
惜春のメニューに憶(おも)う母の影
添削(惜春という季語には映像がない。)
惜春のお子様ランチ

4位 西山茉希
添えられる家族の笑顔とさくらんぼ
添削
お子様ランチ笑顔とさくらんぼ添え

次回のお題は「鯖の弁当」

2023年5月19日金曜日

名言&持統天皇

オオルリという名の鳥を知った夏
シデムシの食ぶキヌガサダケの短命よ
緑陰や百年守るツブラジイ
法然院江戸時代より風の香
夏の鴨住み着いたのね地蔵院

■知恵泉「持統天皇 日本誕生!三代でつなぐ国づくり」より

諡(おくりな) 死後におくられる名⇨持統天皇
諱(いみな) 生前の名⇨鸕野讃良(うののさらら)

持統天皇は即位前の名を鸕野讃良皇女(うののさららのひめみこ)。
父は大化の改新を実行した中大兄皇子。
13歳の時に大海人皇子(中大兄皇子の弟)の妃となる
壬申の乱(672年)を経て大海人皇子が即位すると(天武天皇)、
その皇后に立てられた。
皇室史上3人目の女性天皇。

里中満智子女史の知恵
皆で助け合うことが自分たち全員のためになる
過去ほどありがたい肥料はない

■名言
サミュエル・スマイルズ 曰く
「諸悪の根源は金そのものではなく、
 金に対する愛である。」

レフ・トルストイ 曰く
「敵は常にあるであろう。
 敵をつくらないようにして
 生きていくことはできない。
 反対に、より良き生き方をすればするほど、
 ますます敵は増加する。
 敵はいるであろう。
 しかし、彼らのために
 苦しまないようにしなければならない。
 敵がいることが『苦痛でない』だけでなく、
 むしろ『喜びである』ように
 行動しなければならない。」

ウィリアム・シェイクスピア 曰く
「根性の曲がった者には
 賢いことも善いことも曲がって見える。
 汚い者には汚いものしか口に合わない。」

2023年5月18日木曜日

名言&ギュッと!四国

オンツツジ山菜従え今盛り
(黒沢湿原)オンツツジ「お越しなして」と俯かん
ギャルマインドが変える会議や風の香
食中毒を今朝も気にせず夏の鳥
クレマチス美味き酒でも飲んだがき❓

■ギュッと!四国
兼題「燕(つばめ) 仲春の季語」
「燕」の傍題
つばくろ・つばくらめ・燕来る・初燕・朝燕・夕燕など
四国では、徳島県阿南市が市の鳥に制定している。

ギュッと!特選
田の神の旗とし燕翻(ひるがえ)る   夏椿咲く
(選句のポイント 季語の鮮度を落とさない比喩)

秀作
廃線の星越駅舎燕来る   竜退治の騎士
上京の車窓は雨かつばくらめ   ルアン

佳作
コンビニのカメラの隣燕来る   瀬戸内海月
つばめ切る中天青さ増しにけり   春告草

▪秀作への道 
「脱!凡人ワード」俳句で使われがちな言葉

燕舞う施設の玄関通いし日   たかこ姫
添削 燕来る施設の玄関通いし日

青空に燕の飛行高く舞う
添削 青空や燕の飛行たかく高く

秀作 つばくらめ青空研磨する如く   三隅涙
(比喩を上手に使うと良い)

次回の兼題は「トマト(夏の季語)」

秀作佳作は⇩
https://www.nhk.jp/p/gyuttoshikoku/ts/7MXVZZ52K3/blog/bl/pKyjJXApJB/bp/pzkWxoBkDz/

■名言
柳井正 曰く
「私はいつも
 『10回やったら9回失敗する。』
 と言っていますが、
 誰もが新しいことをやって、
 最初からうまくいくわけがないと思っています。
 世の中には失敗して、
 そこから考える人と考えない人がいるだけなんです。」

仏陀 曰く
「眠られない人に夜は長く、
 疲れた者に道は遠い。
 正しい教えを知らない人に、
 その迷いは長い。」
(知らない人は迷いもないのでは…❓)

佐藤愛子 曰く
「力一杯生きて
 『あぁ、面白かった』と言って死ねば、
 それが一番じゃありませんか。」

2023年5月17日水曜日

ロッチと子羊

地蔵院静けさ破る夏の鴨
大胆に且繊細に夏の音
口開けてみんな太りて燕の子
語らわん郷愁誘う五十雀(ごじゅうから)
美に向き合わん自然と「ながら」夏の山

■ロッチと子羊
子どもや若者の幸せを考える「君の声が聴きたい」
コラボ企画

▪心と体の性
フーコーはゲイだった
実存の美学
フーコー哲学のキーワード
実存とはありのままを生きる
「芸術家の絵画は、芸術作品というのに、
 なぜ私たちは芸術作品と言えないのか。」
「自分を世界で唯一の芸術作品にする。
 そんな生き方こそが、実存の美学ではないか。」

❝性の歴史❞からの要約
世界に2人といない個性を持った存在
人は誰でも芸術作品なのだ
同性愛も個性
ありのままの自分を生きていない
実存の美学ではない

コリンズ
インターセクショナリティ
コリンズ思想の要約
交差性
体の性 心の性
隠れている悩みや問題を
可視化することで本質をあぶり出す概念
悩みの構造 仕組みは同じ
周囲の状況で作られる悩み
個人の状況で作られる悩み
複合的に重なって悩みが生まれている
差別そのものを解決しないといけない
完璧な解決方法は出たとは言えない

一人ひとりを個別に扱う個室化を考えれば
全ての差別が無い世界に繋がるでしょう
小川哲学の要約

差別の根本的原因
冷たい社会ではない
お互い助けあおう
きづかいあおう
新しい時代の優しさ
一番変えやすいのは自分

▪コロナ以前に戻りたい
九鬼周造
いやなこともよいことも 
全ては偶然性で成り立っています
それを知ることで生じる運命愛を意識すれば
心は軽くなるでしょう
九鬼哲学の要約

結果には必ず原因があるという
西洋の合理主義を学ぶため

辿り着いたのは合理主義の限界
世の中は必然ではなく偶然ではないか
偶然性の哲学に着目した
たまたま無数の可能性から存在した事態

世の中の出来事は
無数の偶然が積み重なって起きている
一つでも違えば
全く違う現実があり得たはず

無限の可能性の中から
偶然生まれてきた自分
そしてこの複雑な生い立ちは
❝かけがいのないもの❞なのではないか?

よいも悪いもすべての偶然は
自分自身が生きるために
あるのではないか?
複雑な生い立ちを徐々に受け入れていった

悪い偶然だけを否定するのは
自分の存在を否定するのと同じ

自分の存在とは何か?
条件や環境など偶然が整ったから
自分の概念は体を超えて全ての出来事と切り離せない
悪い出来事だけ切り離せるのか
抗うと運命にほんろうされる
起きたことは受け入れないといけない

小川仁志先生の纏め
運命愛を意識すれば
前向きに生きていけるのではないか❓

2023年5月16日火曜日

題「親に、子に思うこと」&「松魚(かつお)」

僥倖(ぎょうこう)を得た人のいる夏の夜
通し鴨視線変えれば果報者
薫風や愛とユーモア持ちてこそ
蚊の唸り(うなり)そっと夫に忍び来る
夏の夜突如力の湧きいでし

■NHK短歌 題「親に、子に思うこと」
選者 山崎聡子 ゲスト 浜島直子 司会 ヒコロヒー

短歌は一言では言えない思いを込めることに向いている

そんなにいい子でなくていいからそのままでいいからおまえのままがいいから
小島ゆかり

▪つぶやきを短歌に
浜島直子さんの呟きを短歌にしたら…。
お風呂場に声は歪んで届くからおかあさんってもう一度呼ぶ
山崎聡子
(自分の心にフォーカスする)

▪テレビ歌会
入選九首 テーマ 「親に、子に思うこと」
②献立を訊(き)きあいましょうそれぞれに暮らしをそっと鳴らし続けて
鳥原さみ
汗をかく水差しの肌ゆるしてもゆるさなくてもわれらは母娘
芍薬
わけもなく駆けだす子らの遠ざかりわたしだってと舌だけが追う
小鷹佳
③寂しさの雨雲と住む母さんのおしゃべりにただ相槌を打つ
山田香ふみ
しかし子は吾(わ)が遺伝子を消せはしない森の柏(かしわ)がうるさい夜だ
弾正佼一(だんじょうこういち)
こうなりたい、なりたくないの天秤がわずか傾く吾(あ)も子も生みて
瀧口美和
💮母にもう聴こえていない笹鳴きへ耳を傾けスープを煮込む
こやまはつみ
(笹鳴きとは冬うぐいすが舌鼓を打つように鳴く声)
星座版確かめながら父と見たリゲルはいまも青くかがやく
中谷眞理
(リゲルとはオリオン座の1等星)
風に舞うビニール袋のような子を追いかけていた日のスニーカー
門田祥子(しょうこ)

▪浜島直子さんの「親に、子に思うこと」
静と動流れる時は違えどもそれぞれの目に鮮やかな虹
浜島直子

▪ことばのバトン
ひび割れたメガネで明日をのぞいてる 
藤井渚央

春夏秋冬咲け山桜
池野弘葉

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「松魚(かつお)」

実は「松魚」は「初鰹」を季語として
使う方が多いと思いますが
「松魚」単独でも季語としてたっています
いろいろな傍題もあります
「堅魚」と書いて「かつお」と読んだり
「えぼし魚」「鰹売」「夜鰹」「鰹時」
なんかが「松魚」の傍題として
歳時記には収録されている場合があります
初夏の頃になって日本近海に泳いでくることから
初夏の季語とされています
特に初めてとれる「松魚」「初鰹」の印象が強いために
そちらの印象が強く残っているのかもしれません

2023年5月15日月曜日

兼題「筍」

空見上ぐ我が家でしばしジュウビタキ
清流を彩る躑躅吉野川
大歩危小歩危岩場に咲かんきしつつじ
夏鳥の声聞きたくて窓開けて
西方浄土あるやなしやと夏の空

■NHK俳句 兼題「筍」
選者 山田佳乃 ゲスト 徳永ゆうき 司会 柴田英嗣
レギュラー 家藤正人 中西アルノ

年間テーマ 俳句とエコロジー

兼題「筍」
「古事記」や「源氏物語」などの古典文学にも名前が出てくる
竹皮 筍を包んでいた皮 竹に成長する過程で剥がれ落ちる
防腐性・通気性に優れているので食べ物を包むのに最適

▪名句で穴埋めクイズ
飽きしたけのこ堀や一人掘る   森田峠

筍の放ってむかれたり   渡辺水巴

特選六句発表 兼題「筍」
筍の根元の音を探りたる   藤原史郎
筍や地獄の如く糠の沸き   種田信之
筍を貰ひ予定の変はりけり   中島正則
朝掘りの筍籠で育ちをり   小林英樹(えいき)
筍を掘るたけだけに呼ばれけり   石田裕美(ゆうみ)
(諧謔 こっけいみがあって気が利いた言葉 
しゃれやユーモアの意味)
月上げて雨後の筍山疼(うず)く   栗田修次

▪夏井家伝授!
0から俳句 家藤正人&中西アルノ
尻から俳句
①5音の普通名詞を考える
②「下五」を描写する七音の言葉
③五音の季語

尻から俳句のメリット
なぞなぞの解き明かし要素が含まれる句となる。
上五に名詞を持ってくると説明臭くなってしまう。
説明から描写になる

▪ゲストが作ってきた俳句
炊き込みにかかせないよね筍は   徳永ゆうき

▪特選三席発表 兼題「筍」
三席 筍を掘れば竹林ごと揺るる   かなゆか
二席 筍を掘る老僧の別の顔   柏原才子(かしはらさいこ)
一席 たかんなを一節伸ばす今朝の雨   松島孝幸

▪柴田の歩み
ユーモアもおりまぜて

2023年5月14日日曜日

ツイ廃の句&俵万智女史の短歌

さようなら昨日の私夏の風
麻の服今日の私を抱きをり
夏の朝花を摘むよに石拾う
夏の雲我慢する人しない人
迎へ梅雨やっと上がりて陽のまぶし

■俵万智女史の短歌
オムライスをまこと器用に食べおれば「ケチャップ味が好き」とメモする

砂浜のランチついに手つかずの卵サンドが気になっている

してもらうことの嬉しさ 君が作る4分半のボイルドエッグ

さよならに向かって朝が来ることの涙の味でオムレツを焼く

ストローがざくざく落ちてくるようだ島を濡らしてゆく通り雨

あの赤い花がつつじでこの白い花もつつじと呼べる不思議さ

泡だちのよいシャンプーのような波五月の足摺岬を洗う

みどりごと散歩をすれば人が木が光が話しかけてくるなり

連休に来る遊園地 子を持てば典型を生きることの増えゆく

何もかも考えこんでいるような五月、裾濃(すそご)のオレンジジュース

ランドセル投げておまえは走り出す渦巻くような緑のなかへ

星の本を子と読みおれば「月までは歩いて十年」歩いてみたし

天文台は「星のクイズのあるところ」すいきんちかもくどんどん学べ

危ないことしていないかと子を見れば危ないことしかしておらぬなり

七色の紫陽花の咲くこの国の大切な人、きみと君とキミ   

■辞世の句 素晴らしい!
ツイにゆく 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを
〈ちらいむ〉

タイムラインのオタの声 諸行無常の響きあり 
キャラ、動物、食にエロ 盛者必衰の理(ことわり)をあらはす
バズれる人も久しからず 唯(ただ)春の夜の夢のごとし
クソリプ者も遂(つい)にはほろびぬ
偏(ひとえ)に風の前の塵(ちり)に同じ
〈ま!ゆみ〉

呟(つぶや)いても独り
〈弓川〉

ああ、ツイ廃よ 君を泣く 垢(アカ)死にたまうことなかれ
〈真琴〉

太郎を凍結させ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を凍結させ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
〈ゆきやなぎ〉

訳言っても訳言ってもロックのまま(実話)
〈Ram Origami〉

凍結(永訣〈えいけつ〉)の朝
けふのうちに とほくへいってしまふわたくしのツイアカよ
〈フジハラ ユキ〉

青色のちひさき鳥のかたちして言葉ちるなり凍結の岡
(元歌 金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に
 与謝野晶子)

俵万智女史に⇩教えて貰いました。感謝です。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15632383.html?ptoken=01H01FATH03ATWNA47RP7G3PGV

2023年5月13日土曜日

浜田雅功で一句

セロファンを重ね重ねて富貴草
のほほんと帳(とばり)携え夏の山
恍惚へ日々近づかん月涼し
本能を喜ばせけり夏の匂
夏の宵美味し美味しと目じり下ぐ

■プレバト纏め 2023年5月11日
浜田雅功で一句

1位 夏シャツのコロッケ百個下げて来る   梅沢富美男

2位 扇風機衣装脱ぎつつ出前表   村上健志

3位 夏期講座の帰路「WOW WAR TONIGHT」聴く   皆藤愛子
添削
夏期講座の帰路や「WOW WAR TONAGHT」聴く
夏期講座の帰路よ「WOW WAR TONAGHT」聴く

4位 嗚呼幾度目のピンマイク還暦の初夏   千賀健永
添削
幾度目のピンマイク還暦の初夏

5位 猛る友抱くや白雨のアスファルト   的場浩司

6位 ほんたうは優しいくせに青山椒   森口瑤子

7位 青梅雨やビンタを愛に昇格す   勝村政信
添削
青梅雨は豊かビンタは愛である

8位 (浜田雅功さん還暦)66穿くレジェンド薫風の温泉へ   横尾渉
添削
(浜田雅功さん還暦)温泉へ行こう薫風のリーバイス

9位 タイトルコール飛び立つ初夏の鳩よ   千原ジュニア

10位 短夜や秒でやり取りするLINE   藤本敏史

11位 浜ちゃんの笑い声慈雨の風鈴   立川志らく
添削
浜ちゃんの呵々慈雨に鳴る風鈴よ

12位 還暦の朝大幟投げ上げよ   中田喜子
添削
還暦の朝を掲げん大幟

13位 辞表書きダウンタウンを見る五月   犬山紙子
添削
ダウンタウンに笑う五月の辞表書く

14位 МCのちゃん付け憎しアイスティー   馬場典子
添削
(MC浜田さんへ)ちゃん付けで初めて呼ばれアイスティー

15位 お前しかおらん改札若葉風   春風亭昇吉
添削
お前しかおらん若葉風の改札

▪16位以下は字幕スーパーのみの発表

16位 摘まるるな棘あればこそ野薔薇ぞ   武田鉄矢

17位 伝説がどかんどかんと夏に入る   こがけん

18位 不屈の漫才師客知らぬ背汗   森迫永依

19位 汗光る結果発表の声の鞭   北山宏光

20位 風死す初ライブツッコミただ痛し   パックン

▪浜田雅功さんへのお祝い五七五
良かったね芸人じゃなきゃおわってた   濱家隆一
家ロケで土足であがる優しさよ   千鳥ノブ
またいつか聴かせてくださいエピソード   博多大吉
ムロドラマけっこう観てる浜田さん   ムロツヨシ
これからもひゃっひゃっひゃ笑ってて   ムロツヨシ
蹴り入れるそんな浜田がムルは好き   ムロツヨシ
とら兄ちゃんまだ人前で放屁する?   ムロツヨシ
えェんやでフレンチクルラ買わんでも   GACKT
お遣いを間違えた夜に頬桜   今田耕司
俺の服川に投げたら肉離れ   東野幸治
叩くより讃えましょう同じ年   ホンコン
ハリセンに画びょうを仕込むどSです   板尾創路
雅功を師とし人とし慕いたし   木村祐一
豪邸のどこに蔵いし日本刀   木村祐一

2023年5月12日金曜日

言葉にできない、こんな夜。

(御影堂) 供華園白き瓊花(けいか)やひっそりと
午前二時ストーカーせり赤家蚊
大輪のナニワイバラの高き香
椎宮(しいのみや)染まる躑躅や二千本
草茂る追われ追われて逃げ惑い

■言葉にできない、そんな夜。
ゲスト 小野花梨 桐山照史 吉澤嘉代子 永井紗耶子
司会 小沢一敬

▪テーマ 圧倒的片思いの気持ち
しのぶれど色に出でにけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで
一平兼盛

叶わない恋だと知っているから
気持ちはもっと熱く強くなり哀しくなり
あなたの前じゃ笑うことしか出来ず
沢山の涙はあなたを思う切ない恋心
「好き」というたったそれだけの気持ちで動いた
大きな片思い
HY「NAO」

他人から見たらどんなに情なくても
みっともなくても
彼を思うこの気持ち
たったひとつが
冷たくて明るい私の宝物だった
羽海野チカ「ハチミツとクローバー」

この気持ちを
なんて言うんだろうね。
俗世の恋とか、
そういうもんじゃないんだよ。
ただただ手を合わせ
崇(あが)めたくなるような心持ちさ。
永井紗耶子「木挽町のあだ討ち」

ねえ どう わたしの彼 素敵でしょう
恋人風情で歩くわたしをあなたは見てない
名前を呼んで見つめあうけれど
わたしが映らない瞳は美しかった
吉澤嘉代子
(究極の恋は自分不在の恋 恋はすべて片思い)

▪何もせずに大型連休が終わったときの気持ち
重電60% 桐山照史

あーつかれた。忙しかった。
頭の中では完ぺきにこなしていた。
本当の私はこっちのはずだ。
おかしい、なにかがおかしい。 小野花梨

どうしよう
何もしていないのに
つかれている 吉澤嘉代子

時間貴族だったな 永井紗耶子

飛び意思連休 小沢一敬

▪テーマ 夜 眠れないときの気持ち
だからさぁ 夜は嫌い
キレイなモノ滅茶苦茶にするから
キミとのキスの先も 来春の誕生日も
ネガティブの極地へ 想像力は驚異的に天才だ!
きっとα波のせいかしら? 
広瀬香美「眠れぬ夜の小夜曲」

天を、星が動いてゆく音が
耳の奥に聞こえてきそうなくらいに、
しんとしている孤独な夜中だ。
吉本ばなな「キッチン」

母親も寝てしまって
あとはただ自分一人が
荒涼とした夜の時間のなかへ
取残される
梶井基次郎「のんきな患者」

「凡」なら「凡」という字について
ずっと考え続ける。
考えるというよりは脳裡に見るのだ。
そのうちに凡の字に関連のあるような
ないような、非現実的なイメージが
一瞬浮かんでくる。
「夢のしっぽ」呼んでいるこいつを
つかまえるのだ。
中島らも「今夜、すべてのバーで」

(誰よりも近くにいられるのが言葉 吉澤嘉代子)

2023年5月11日木曜日

言葉にできない、そんな夜。

荷風忌や交錯し合う死生観
松蝉や希望に満ちた夜明け前
夏の夕元気に声をうら返し
工夫して心くだかん初夏の宴
風薫る停止は退歩歩くのみ

■言葉にできない、そんな夜。
ゲスト 小野花梨 桐山照史 吉澤嘉代子 永井紗耶子
司会 小沢一敬

▪テーマ 感動した!だけでは表し切れない気持ち
ナサリエルも、他の審査員も
いや、ホールのすべての者が
ブルドーザーのように押し寄せる
音の波に圧倒され、飲み込まれ、
引きずり回されるがままになっていた。
根こそぎ持っていかれる。
遭難するぞ。
ナサニエルは頭の中でそう叫んだ。
が、もう曲は終わっていた。
恩田陸「蜜蜂と遠雷」

ちいさな棘は抜けぬまま肉にめりこみ、
今も胸の奥に刺さったままです。
きっとどこまでも深く深く、
いつか私の一部となるでしょう。
雪舟えま 歌集「たんぽるぽる」の中で
吉澤嘉代子の書いた解説文

それにしても金閣の美しさは
絶える時がなかった!
その美はつねにどこかしらで
鳴り響いていた。
耳鳴りの痼疾(こしつ)を持った人のように、
いたるところで私は
金閣の美が鳴りひびくのを聴き、
それに馴れた。
三島由紀夫「金閣寺」
(痼疾とは長く治らない病気)

目の前に立った時、
しんとして音が、時が止まった。
怖いくらいの真っ白い静けさの中に
取り残された。
私だけが、揺れて動いて息をしている。
同化するように息を繰り返すうちに、
それでも暴れる私の心に気付く。
法隆寺の百済観音像を見た時の感動 永井紗耶子
感動=心の在りかを探す作業
感動を表す昔の言葉 いとおかし(深く感じ入る)≒エモい

▪テーマ ここまで来てるけど思い出せないとき
頭の中が途端に宇宙くらいに大きくなって
その宇宙から小石を見つけるくらい途方も無い
小野花梨

洗濯機よこのくつした
桐山照史

記憶の淵に散らばるカード
爪を立てても息を吹きかけても
めくれない神経衰弱
吉澤嘉代子

記憶のかくれんぼ
永井紗耶子

記憶の小骨
小沢一敬

▪テーマ 腹をくくって立ち向かうときの気持ち
あるいは僕は負けるかもしれない。
僕は失われてしまうかも知れない。
どこにもたどり着けない
かもしれない。
どれだけ死力を尽くしたところで、
既にすべては
取り返しがつかないまでに
損なわれてしまったあと
かもしれない。
(中略)
「かまわない」と僕は小さな、
きっぱりとした声で
そこにいる誰かに向かって言った。
「これだけは言える。
少なくとも僕には
待つべきものがあり、
探し求めるべきものがある」
村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」

私は今度こそは
全く独りで歩かねばならぬと
決心の臍(ほぞ)を堅めた。
有島武郎「生まれ出づる悩み」

「ピアノで食べていこうなんて思ってない」
和音は言った。
「ピアノを食べていくんだよ」
部屋にいる全員が息を飲んで和音を見た。
和音の、静かに微笑んでいるような顔。
でも、黒い瞳が輝いていた。
宮下奈都「羊と鋼の森」

今回の纏めの言葉は「ええじゃないか」でした。

2023年5月10日水曜日

名言&夏井いつき俳句チャンネル

夏燕質素なまでの佇まい
けもの道口に広がる夏の香
夏の風五感を刺激はたはたと
夏の酒花鳥風月みな料理
痛みとの戦い続く夏の朝

■夏井いつき俳句チャンネル
【投句募集】第2回 想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト

辿り着き難病と知る夏の果て   コミマル
ウートフの足音ひびく夏近し   asagi
(ウートフとはウートフ兆候。体温の上昇のために
一時的に症状が悪化したり別の症状が出てきてしまうこと。)
歩行車のブレーキ固し雲の峰   丹波らる

■名言
アンソニー・ロビンズ 曰く
「自分が怖いと思っているところに焦点をあててはいけない。
 自分が行きたいところに焦点を当てるんだ。」

ヘンリー・ミラー 曰く
「安全な道を求める人は、
 痛みを与えることのない義手義足に取り替えるために
 自分の手足を切り離す人みたいなものである。」

シラー 曰く
「お前が刹那から追い出したものを
 永遠は返してはくれない。」

色川武大 曰く
「何もかもが上手くいくはずはないのだから、
 何もかも、上手くいかせようとするのは、
 間違った方法論だ。」

戸田充広 曰く
「大切なのは、その方法論ではなく、
 その目的を達するためにどの道を通るのがいいか、です。
 どのルートでその目的にたどり着くのが一番自分に向いているか?と考えて、
 『こうしなきゃ』や『こうすべき』を
 『これでいいじゃん』『これもありでしょ』に置き換えることです。」

西堀栄三郎 曰く
「同じ性格の人たちが一致団結しても、
 その力は和の形でしか増やせない。
 異なる性格の人たちが団結すれば
 積の形で大きくなる。」

2023年5月9日火曜日

題「歩く・歩む」

夏めくや夜明けをともに鳥と待つ
焦らずに夢に向かいて夏を生く
暑き日の皿に盛られたアートかな
夏の月絵心乗せた料理かな
五十雀声聞こえども姿なく

■NHK短歌 題「歩く・歩む」
選者 川野里子さん レギュラーゲストの内藤秀一郎 深尾あむ
司会 ヒコロヒー

▪三十一文字の物語 題「歩く・歩む」
にんげんの歩みかくまで拙(つたな)きかぺたりぺたりとスリッパ並ぶ
川野里子
短歌で使う「口語」と「文語」とは
口語 現代の言葉
文語 古典の言葉
短歌には必要 いまだになくなっていない
ここに集いし勇者たち いざ行かん
かまえて普段とは違うレベルに上がるのだ
違うステージに登るのだ このような時に文語は便利!

原作
きみとの恋終わりプールに泳ぎおり十メートル地点で悲しみがくる
小島なお
口語に変換⇩悲しみがつーんと心に残る
きみとの恋終わりプールで泳いでる十メートル地点で悲しみがくる

文語は心にキュッと集めて凝縮する働きがある

原作
人間のふり難儀なり帰りきて睫毛(まつげ)一本一本はづす
石川美南
口語に変換⇩舞台にのぼった感じ 演技している感じ
人間のふり難儀だなつてきて睫毛(まつげ)一本一本はづす

効果的に意識して使うことが大事

▪入選六首 題「歩く・歩む」
乳母車双(ふた)り児(ご)を乗せ風道(かざみち)を歩いて歩いて母となりしよ
池田礼子
マンモスがのっしのっしと百万年歩いた大地に湧くビルの森
芋田智恵子
問いかけるようにほどける靴のひも無理して歩き続けてないか
広木登一(とういち)
ローファーで雪の降る夜国道をロボットみたいに歩いた私
峯松璃湖
まだ慣れないヒールの音で緊張をかき消しながら御社へと行く
神守彩枝(かみもりさえ)
(イタズラのような言葉の持ち込み方は短歌を活気つかせる)
💮去年見た百万本の菜の花は変わらずにあり妻と歩めば
黒木直行

▪秀一郎あむココカラ短歌
初めて作った短歌を見よう!

春が来た桜見つけたもう散ったいつかはゆっくり桜とビール
内藤秀一郎 添削⇩(少しあらたまった覚悟が感じられる)
春が来た桜見つけたもう散ったいつかはゆっくり桜と咲きたし

真っ白なお気に入りのシャツ着た時に限って食べたくなるトマトスパ
深尾あむ 添削⇩(自分の日常を俯瞰する 言葉を連想し転がす
自分の心の中に普段はしまってあることを繰り出すきっかけになる)
真っ白なシャツ着た時にトマトスパ食べたくなって危険だ恋は

▪ことばのバトン
会議室との通信を切る   桜井あらん

ひび割れたメガネで明日をのぞいてる
神奈川県立光陵高校 藤井渚央(なお)
この前はショートが好きと言ったのに五センチ分の勇気返して

2023年5月8日月曜日

兼題「こどもの日」&名言

夏浅し愛で失う自由在り
花榊独り生まれて死にゆかん
白牡丹如何(いか)なる時も切に生く
夏の鳥愛の季節となりにけり
夏の鴨池でまったり夜明け前

NHK俳句 兼題「こどもの日」(初夏の季語)
選者 夏井いつき レギュラー 家藤正人 司会 柴田英嗣

年間テーマ「凡人からの脱出」
「こどもの日」の類想 凡と半凡との違い
「動物園」を入れた句が凡 入れていないのが半凡
動物の名前を入れると描写の幅が広がる
肩車で見せる 肩車されて=類想
寝てばかり=類想
脱ボン(小さな気付きがある)
こどもの日パンダの白は白ぢゃない   佐藤ひろみ
濡れてゐるパンダの眸(ひとみ)こどもの日   岩本健一郎
(動物は動きや表情があるから近づいてしげしげ見ると
リアリティを見つけられる)

脱ボンの句 応用編 「こどもの日」+「動物」
河馬(かば)の糞ここまで飛んでこどもの日   中田かおり
象の尿(しと)豪快にしてこどもの日   Aさん
(「こどもの日」の中で糞や尿を句材にする)
こどもの日ほっきょくぐまの大(おお)しぶき   勢一朋子
こどもの日両肩にワオキツネザル   川越羽流
(長い名前の動物を詠む オリジナリティーに繋がる)

▪夏井家伝授!0から俳句 家藤正人&中西アルノ
有季定型
五・七・五のリズムに区切れ 季語が入っている俳句の基本型

▪特選六句 兼題「こどもの日」
砂場とふ明るき器子どもの日   可笑式(おかしき)
(とふ=~と言うの意味)
子どもの日インド映画は空いている   野口暁(さとる)
日本の最後のこどもこどもの日   北清水麻衣子
揺れやすき岩飛び越えて子どもの日   辻基倫子(きりこ)
ビー玉の中は王国こどもの日   青田奈央
カンガルーの筋肉きれいこどもの日   世良日守(ひまもり)

▪柴田の歩み
個性のあるなぞなぞ

■名言
ブルース・ジェナー 曰く
「人はなぜ競うのか。
 金メダルのため?お金?名誉?
 そうじゃない。
 達成感のためさ。」

ロマン・ロラン 曰く
「真の偉大さは
 喜びの中でも苦難の中でも
 楽しむ力があることで
 見分けがつく。」

ニーチェ 曰く
「脱皮できない蛇は滅びる。
 意見を変えられない精神も同様だ。
 それは精神ではなくなる。」

2023年5月7日日曜日

渡辺崋山の言葉&ロッチと子羊

鏡持つNVDA VERITAS(ヌーダヴェリタス)春暑し
春月夜墨に十色と彩と
愛の持つ賞味期限や春疾風
言い訳を重ねし女春の霜
幾重にも重なる稜線笑ふ山

■ロッチと子羊
▪キーツ哲学の要約
人生がうまくいかない時は
あせらず
留保する力が道を開きます

キーツの保留する力とは
困難・わからないことに
遭遇した時
辛い・わからない状態で
持ちこたえる

おおメランコリーよ、
しばしここにとどまれ!
おおムシカ、音楽の精よ、
失意の調べを奏でよ!中村健二 訳

余韻 わからない部分を考える行為=留保する力
キーツ哲学はシェークスピアのハムレットが読まれた

▪ホネット哲学の応用
人気とは他人からチヤホヤされるための
ものではありません
人気とは自立のためのものなのです

自己信頼や自己尊重が独立した形で
満たされれば、おのずと
自己評価への過剰な期待がなくなって
不安や苦しみも軽減されていく

■知恵泉 渡辺崋山~人を愛するまなざし~
朝四時に起き
夜中二時に寝るほど
打ち込んで絵を学び
これを売ることで
生計を助ける
ひとえに
父母を養えるように
願っている「縮図」

一人でも飢え死にするものが出たら
それは殿さまの罪です
農民は国のもとです
飢饉の時に
農民が死んだりしたら
田畑を耕す者はなくなり
年貢の米も
入ってきません「凶荒心得書」

天保の飢饉に
見舞われた時に
窮民をよく救い
手当てしたことを
将軍が
褒めていたので
申し聞かせる

日本が国を閉ざし続ければ
かえって侵略の口実を
与えることになる

2023年5月6日土曜日

言葉にできない、そんな夜。&無人駅で一句

とれとれの春人参の高き香
観音寺牡丹の香と蜜蜂と
花筏鳥は悠々横切らん
最後の姿水面に映す山桜
陽に向かい背を比べをりチューリップ

■言葉にできない、そんな夜。
ゲスト 小野花梨 桐山照史 吉澤嘉代子 永井紗耶子
司会 小沢一敬

▪おいしいものを食べた時の高まる気持ち

それが口腔で一丸となって爆発する。
アイスが、パイが、クリームが、
ただでさえ豊かな個性のきらめきが、
潰しあうどころか
手を取り合って大爆発、
おいしさの頂点を突き抜ける。
平野紗季子「生まれた時からアルデンテ」

「美味しいバターを食べると、
 私、なにかこう、落ちる感じがするの」
「落ちる?」
「そう。ふわりと、
舞いあがるのではなく、落ちる。
エレベーターですっと
一階下に落ちる感じ。
舌先から身体が深く沈んでいくの」
柚木麻子「BUTTER」

からすみを舐めるように食べて、
飲み込むビールの美味しさは、
何故か誰かに「馬鹿野郎!」
怒鳴りつけたくなるような
美味しさである。
西加奈子「ごはんぐるり」

ガツンと満腹になるような
劇薬的なインパクトに、
頭がビリビリと痺れた。
突如現れたこの世の全背徳感を
凝縮したようなその料理は、
変なホルモンがビュービュー
分泌されたのかと思うほど
おいしかった。
朝井リョウ「そして誰もゆとらなくなった」

💮聞き管理能力が足りなかった…。   小沢一敬

▪夕焼けを見たとき
オレンジジュースを流したような
きれいな夕あかねの空だった。
三浦綾子「石の森」

中庭は夕闇と西日が入り混じって
薄紫色のセロファンに
包まれたようだった。
小川洋子「博士の愛した数式」

ただ単調に澄んでいたものの中(うち)に、
色が幾通りにも出来てきた。
(中略)
「空の色が濁りました」
と美禰子がいった。
夏目漱石「三四郎」

美しい夕焼けほど、
見覚えがある気がする。
何も知らなかった頃、
言葉も覚えていなかった頃、
赤ん坊だった頃、
誰かに抱かれたまま見た景色が
こんな美しさだった気がする。
燃えるあの色の向こうに、
過去も未来も待っている気がした。
最果タヒ

「その時、どうだったね。
やっぱり、こんなに大きかったかね。
こんな工合に、ぶるぶる煮えたぎって、
血のようなかんじがあったかね。」
「いいえ」(中略)
「朝日は、やっぱり偉いんだね。新鮮なんだね。
夕日は、どうも、少しなまぐさいね。
疲れた魚みたいな匂いがあるね。」
太宰治「みみずく通信」

■プレバト纏め 2023年5月4日
無人駅で一句

永世名人 村上のお手本
村上健志
青き踏む影の少なき無人駅 
添削(青き踏む 晩春の季語 
   春に芽生えた青草を踏みながら楽しむこと。
   無人駅はこの単語だけで詩になっている。
   しかも五音なので詠まれることが多い。)
青き踏み影のみ増ゆる無人駅

「青き踏めマスクを鳩として放て 夏井いつき」
青き踏めと言えばこの句が浮かんできます。
夏井いつき先生の代表作品です。
村上さん、この句では弱すぎたと思います。短慮!

特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句
梅沢富美男
まくなぎのただ中にあり無人駅 
(二音で勝負した。「あり」と言い切ったことで
 不快さや恐ろしさのようなものが一挙に増した。)

2023年5月5日金曜日

森田童子「たとえば ぼくが死んだら」「G線上にひとり」

空高く咲く菜の花と泣きました
マッチ擦っても消えぬ悲しみ星朧
ひっそりと春柔らかく逝くなんて
春を逝く幼さ残し凛として
永遠の少女を残し風光る
童子忌を季語晩春といたしけり(4月24日)

■心にびんびん響いてきました。

☆たとえば ぼくが死んだら
歌手:森田童子
作詞:森田童子
作曲:森田童子
編曲:千代正行

たとえば
ぼくが死んだら
そっと忘れて欲しい
淋しい時は
ぼくの好きな
菜の花畑で泣いてくれ

たとえば
眠れぬ夜は
暗い海辺の窓から
ぼくの名前を
風にのせて
そっと呼んでくれ

たとえば
雨にうたれて
杏子の花が散っている
故郷をすてた
ぼくが上着の
衿を立てて歩いてる

たとえば
マッチをすっては
悲しみをもやす
この ぼくの
涙もろい
想いは 何だろう

たとえば
ぼくが死んだら
そっと忘れて欲しい
淋しい時は
ぼくの好きな
菜の花畑で泣いてくれ

☆G線上にひとり
歌手:森田童子
作詞:森田童子
作曲:森田童子
編曲:若草恵

夏草の上に
ねそべって
まぶしい孤独な
夢がひろがる

ひとり目ざめて
あくびして 涙ふいた
夏の空は
ヒコーキ雲

何もいわない
六月の空は
ぼくの好きな
みずいろです

暗闇よ ぼくを呼べ
遠い記憶へ
あなたの ところへ
ぼくをつれてって

やさしい風は
ぼくをなでて
ひとりは とても
いい気持

夏草の上に
ねそべって
いま ぼくは
死にたいと思う

2023年5月4日木曜日

新約聖書 福音書 より

東風(こち)受けん茂る緑の通天橋
七百株の牡丹艶やか光厳寺(みつごんじ)
座して禅食べる妄想日永かな
春を食ぶ五感を刺激禅の膳
強き雨柔くしっとり花水木

■100分de名著 新約聖書 福音書 より
1 悲しむ人は幸いである
洗礼者ヨハネの言葉
「わたしは水であなた方に洗礼を授けるが、
 わたしよりも力のある方が来られる。
 (略)その方は精霊と火で、あなた方に洗礼を
 お授けになる。」(ルカ3:16)

自分の貧しさを知る者は幸いである。
天の国はその人たちのものである。
悲しむ人は幸いである。
その人たちは慰められる。
柔和な人は幸いである。
その人たちは地を受け継ぐ。
義に飢え渇く人は幸いである。
その人たちは満たされる。
憐み深い人は幸いである。
その人たちは憐みを受ける。

「医者を必要とするのは健康な人ではなく、病人である。」
 『私が望むのは犠牲(いけにえ)ではなく、憐みである。』
 ということが何を意味するか、学んできなさい。
 わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、
 罪びとを招くためである。」(マタイ9:12-13)

2 魂の糧としてのコトバ
福音書は文字によって読まれてはならないのです。
あの夥(おびただ)しい経巻(きょうかん)は、文字を超えようとする文字なのです。
言葉なき境にその言葉を読まないなら、
真理の扉を開くことは出来ないのです。
(柳宗悦「柳宗悦宗教選集 第二巻 神について」)

「『人はパンだけで生きるのではない。
  神の口から出るすべての言葉によって生きる。』
 と書き記されている」。(マタイ4:4)

 イエスは、
 「わたしにはあなた方の知らない食べものがある」
と仰せになった。(ヨハネ4:32)

初めにみ言葉があった。
み言葉は神とともにあった。
み言葉は神であった。
み言葉は初めに神とともにあった。(ヨハネ1:1-2)

この世はみ言葉によってできたが、
この世はみ言葉を認めなかった。
み言葉は自分の民の所に来たが、
民を受け入れなかった。(ヨハネ1:10-11)

おまへがたべる このふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが兎率(とそつ)の天の食(じき)に変わって
やがておまえとみんなとに聖(きよ)い資糧をもたらすことを
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ 宮沢賢治「永訣の朝」

3 祈りという営み、ゆるしという営み
「これらの物はここから運び出せ。
 わたしの父の家を商売の家にしてはならない」(ヨハネ2:16)

あなたの祈る時は、奥の部屋に入って戸を閉め、
隠れた所におられるあなたの父に祈りなさい。
そうすれば、隠れた行いをご覧になるあなたの父が報いてくださる。
あなた方は祈る時、異邦人のようにくどくどと言ってはならない。
(略)
あなた方の父は、あなた方が願い前に、
必要とするものを知っておられるからである。(マタイ6:6-8)

「アッバ、父よ
 あなたにはおできにならないことはありません。
 わたしからこの杯を取り除いてください。
 しかし、わたしの思いではなく、み旨のままになさってください」。(マルコ14:36)

人の過ちを赦すなら、
あなた方の天の父もあなた方を赦してくださる。
しかし、あなた方が人を赦さないなら、
あなた方の父も、あなた方の過ちを赦してくださらない。(マタイ6:14-15)

4 弱き者たちとともに
「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ」
(わたしの神、わたしの神、
 どうしてわたしをお見捨てになったのですか)(マルコ15:34)

わたしがあなたがたを愛したように、
あなた方が互いに愛し合うこと、
これがわたしの掟である。(ヨハネ15:12)

2023年5月3日水曜日

法然院貫首 梶田真章の言葉&「馬鮫魚(さわら)」&「団扇を作る」

吾の句では初夏の季語とす西加奈子
西加奈子どこをとっても男前
髪切りて満面の笑み西加奈子
人として痛みの解る西加奈子
喜びは奪わんといて西加奈子
夏の雲祈りと決意込めました
西加奈子元気な振りの痛すぎる
西加奈子いっぱい好きになりにけり
西加奈子吾を大切に生くるらん
知らんけどシャイなあなたは西加奈子

■こころの時代 より
法然院貫主 梶田真章氏の言葉
仏教でいう所の縁起。
根幹にある教え。
縁の違いで結果が出たり出なかったりする。
縁起とは因縁。
原因と条件。
因縁が重なり合って成り立っている。
単純では収まらないのが現実。
様々な縁が関わって来るから結果も変わってくる。
因果には縁が関係している。
原因と結果の間には縁がある。
因縁果である。
因と縁が重なり合って結果が生じる。
これがお釈迦様のおっしゃられるこの世。

私感
どんなに努力しても結果の出ない時がある。
どんなに注意をしていても失敗することもある。
それが人生。様々な縁で結果は違ってくる。
失望することはない。
なるようにしかならないのが人生。

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「馬鮫魚(さわら)」

結構大衆魚というかよく売られている魚でもあります。
「さわらの味噌漬け」あるいは「さわらの西京漬け」
なんていう形で食べたことある方も
いらっしゃるかもしれません
体調は1m程になり北海道南部から
本州沿岸にかけて生息しているそうです。
「鰆」と書いても「さわら」と読みます
そっちの方が馴染みやすいかな

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク「団扇(うちわ)作る」

夏の季語としての「団扇」が勿論ある訳ですが
その「団扇」は誰かの手によって
作られている訳です
その「団扇」を作っている春の季語
これが「団扇作る」になってきます
夏に需要があるものだから
その直前に生産のピークを迎えるということです
勿論秋から作り始めている訳ですが
その最後の追い込みな訳です
そう考えると製作に携わっている方の苦労
この季語の奥に見えてくる思いがいたします
日本全国でも各地に団扇の産地がありますが
歳時記によると昔から香川県丸亀市、
島根県、千葉県館山市、京都府などが
それぞれの特色を生かした団扇作りをしているようです
各地の団扇を比較してみるのも
おもしろいかもしれませんねぇ

2023年5月2日火曜日

第24回NHK全国短歌大会 題詠「千」

低き自己肯定感や鳥曇
蜃気楼深く高くへ誘われ
夏近し全ての個性受け止めて
行く春や愛することに疲れ果て
春の空日々筋肉が落ちにけり

■第24回NHK全国短歌大会 題詠「千」
司会 小澤康喬 
出演 永田和宏 東直子 笹公人

▪題詠「千」
俵万智選
千年を超えて私をかき乱す期末テストの光源氏よ 
赤松みなみ
友達は透明人間顔さえも分からないまま半年経って
オンライン授業子を呼ぶ声がしてふっと実家に帰りたくなる

千葉聡選
千冊はこの指でページ繰っただろう私はひとりぼっちじゃなかった
簾田淳美

笹公人選
千冊の哲学書よりなほわれを大人にしたり君との別れ
福島隆史

三枝昂之選
しゅっしゅっとかぶら鉋(かんな)にかけられて千枚漬けは冬を重ねる
藤井里美

江戸雪選
千回を超えて通いし老人ホームひなたぼっこの思い出ばかり
楠みや子

佐佐木定綱選 東直子選
夕光(ゆふかげ)を使ひ切るまで影を連れ一人刈り行く千枚田かな
小泉浪士

高野公彦選
千年後夢のかけらの宇宙ゴミが土星のように輪になる地球
桂仁徳

小島なお選
千年も万年も生くこの亀に優しい人と記憶されたい
佐藤大介

永田和宏選
千羽鶴、千人針も役立たぬそんな事皆わかっていたのだ
小笹岐美子

▪近藤芳美賞
「息をする文字」
あの頃の上司の歳になってみて思い出すのは手帳の厚さ
声高にDXが語られた経済雑誌を棚へと戻す
書架にある古い文書を開くたび手書きの文字が息をしている
リスキリング予算一兆円というななめ読みして研ぐ米二合
涼やかな青空出社の足元は白のオニツカタイガーにする
長野恵梨香

▪自由題
江戸雪選
まんじゆしやげだしぬけに咲く赤赤とひとは突然きゆることあり
遠藤千惠子

佐佐木定綱選
再婚の意味を知る子と知らぬ子が砂のトンネル開通させる
神谷小百合

東直子選
隣室のラジオが聞こえてくる夕べこれから眠る町が膨らむ
薄暑なつ

永田和宏選
最期まで一人称は「ママ」なりき「ママは幸せだった」とわたしに
村田知子

高野公彦選
嫁ぐ朝父にもらいし花鋏(ばさみ)五十年たち今朝萩を切る
後藤初子

三枝昂之選
あきまへん、大型店に囲まれて店を閉じます、親父よ御免
加藤文男
厨辺(くりやべ)の母の気配に起きる朝昭和の火には匂いがあった
店裏の野良猫たちに罪はない苛めも詐欺も万引きもしない
店閉めるん、さびしい困る手押し車の客と一緒に泣きそうだった

永田和宏先生の言葉
歌は生活を助けることにはならないけれど
精神的な余裕を生む力がある 

小島なお選
海へ行くみたいに自転車こいでゆくドラッグストアにもちょっとある海
小川洋子

俵万智選
真空のパックに鋏を入れし時切り身は大きく深呼吸なす
近藤則子

笹公人選
玄関を閉めた閉めない閉めたはず動詞活用みたいな朝(あした)
佐藤一央

千葉聡選
「用務員さんに挨拶を」新任校へ向かはむわれに父はひとこと
鈴木和子

▪大会大賞の発表
千年を超えて私をかき乱す期末テストの光源氏よ 
赤松みなみ

夕光(ゆふかげ)を使ひ切るまで影を連れ一人刈り行く千枚田かな
小泉浪士

再婚の意味を知る子と知らぬ子が砂のトンネル開通させる
神谷小百合

三作品が選ばれた理由 永田和宏先生
作者の押しつけがましさがない
読者の側が踏み込んで想像しよう
という気にさせるのが良い。

どのような大会でしたか❓ 東直子先生の言葉
希望を見出したいと言う思いが
生まれてきたんじゃないかと思う所があった

次回の題「平(へい)」

2023年5月1日月曜日

第24回NHK全国俳句大会 題詠「千」

鉄柵にしがみつくよにのぼり藤
神光寺(しんこうじ)甘き香りを百五十年
気力失せ闘い破れ春の暁(あけ)
ITに取り残されて鳥曇
行く春や見たいものしか見ない人

■第24回NHK全国俳句大会 題詠「千」
司会 小西政親 
出演 西村和子 夏井いつき 岸本尚毅 宇多喜代子(ZOOM)

西村和子選
千木(ちぎ)高し神在月(かみありつき)の大社(おおやしろ)
笠原義子

小澤實選
太箸(ふとばし)や祖母の名みどり母千秋
加野庸子(ようこ)

宇多喜代子選
黒塗りの碗の千鳥やお元日


阪西敦子選
秋雲(しゅううん)は千々(ちぢ)と錆びゆく観覧車
さがたさとこ

井上弘美選
千枚田みな力抜き冬に入る
石川定子

堀本祐樹選
夏の夜や千の皿鳴る地下の街
ありあり

岸本尚毅選
貝寄風(かいよせ)や帆柱(ほばしら)に貼る千社札
日野久子
(貝寄風 かいよせ 3月下旬ごろ吹く西風)

髙柳克弘選
千代紙を折って秋思を小鳥とす
平本魚水
(秋思 秋となって心に何かを感じたり思ったりすること)

星野高士選
千万の露ふんで露こはしゆく
古賀紀子
(最後の五音の勝負 岸本尚毅先生)

夏井いつき選
舌頭千転(ぜっとうせんてん)さて鬼灯(ほおずき)の鳴らしごろ
佐々木一朱実(いずみ)
(松尾芭蕉の言葉 舌頭千転 俳句を作る際何度も音読すること)

▪てこずる兼題 克服心得
西村和子
俳句は言葉遊び 自分の直接経験や間接体験を使って作り上げる
袋回し 制限時間を設けて題に対して句をつくる喜び
ちょっとてこずった題 籠
蛍籠吊す踵を見られけり  西村和子
尻込みしないでとにかく作ってみる

夏井いつき
① 辞書などでその字の単語を探す
② 歳時記でその字の季語を探す
てこずるのが楽しい
てこずった題 米大統領不倫
米大統領不倫りんりんりんごむく
困った時のリフレイン

岸本尚毅
てこずった題 進(しん)
前へススメ前へ進み手還ラザル 池田澄子
進撃の巨人の如く春に笑む 岸本尚毅
進撃の巨人 別冊少年マガジンで連載アニメ化もされた漫画

▪龍太賞
「大鳥居」雑賀絹代
神鶏の声まつすぐに梧桐(あおぎり)へ
沈金の色なり神の錦鯉
赤子来てゐる本殿の朝涼し
原爆忌ぽつんと社家(しゃけ)の日向水(ひなたみず)
はじめから逃げる溝(かま)への縞蜥蜴(しまとかげ)
檜皮葺(ひわたぶき)しとどに秋の黴雨(ついり)かな
ここも参道ひぐらしの切通し(きちどおし)
おもむろに男のひらく秋日傘
月明にぬれて揺るがぬ、位樫(いちいがし)
今年米ふはりと握る三角形
良夜かな嬰に喃語(なんご)といへるもの
鯉の口こぽりこぽりと秋の昼
曼殊沙華蕊(しべ)ほんぱうに奔放に
落日を吸ひて全(まった)き熟柿かな
小鳥来る木の神様の大鳥居

▪自由題
髙柳克弘選
次の風青田(あおた)を渡り始めけり
中村誠之(のぶゆき)

西村和子選
白鳥の声の暮色(ぼしょく)となりにけり
永田芳子

星野高士 井上弘美選
ほんたうの白になるまで雪しんしん
吉田貴蘭(きらん)

阪西敦子選
噴水の祈りの面(おもて)隠しけり
矢代秋

小澤實選
浴衣ひるがへし太鼓を打ちに打つ
友田しげを

夏井いつき選
孤独死にあたたかな死後二日かな
佐藤直哉
(あたたか 春の季語)

岸本尚毅選
屋久島の有線を聞く甘藷畑(いもばたけ)
志々美(ししみ)久美

宇多喜代子選
今日の月赤坂で見て家で見て
穂積輝子

堀本祐樹選
ロシア語を学び続けて春を待つ
小峯千枝子

地名はすり込まれ効果が可能 夏井いつき
夏の月御油より出でて赤坂や 松尾芭蕉

▪大会大賞
ほんたうの白になるまで雪しんしん
吉田貴蘭(きらん)

貝寄風(かいよせ)や帆柱(ほばしら)に貼る千社札
日野久子

夏の夜や千の皿鳴る地下の街
ありあり
たいやきや巨人のしもんのような雲
いといと六歳

次回の題「平(へい)」