立ったまま意識遠のく子猫かな
花の鈴個々の価値観ぶつけ合い
それぞれの人生観や春更けて
花筏痛みこらえて今日も生く
花の冷え背中丸めてうずくまり
■言葉にできない、そんな夜。
満島真之介 桐島照史 金原ひとみ 橋口洋平 小沢一敬
▪テーマ 旅行から帰るときの気持ち
契約結婚をしている
みくりと平匡の
不器用な恋の展開が話題
温泉旅行の帰り道
この旅が終われば、
雇用主と従業員
週に一度、
ハグをするだけの関係
今までどおり
今まで通りでいい
もうやめる。もう疲れた
何もしない。何も求めない
この度が終われば、
平穏な日常に戻る
あと一駅
あと一駅
あと、一駅
永遠に、着かなければいいのに
脚本 野木亜紀子
旅はアジアを離れヨーロッパへ
船の上で
アジアの旅の終わりを
見つめた気持ち
この船のうえで僕が感じていたものは、
安らかさではなく、
不思議なことに深い喪失感だったのです。
体が空っぽになってしまったような
虚しさが僕をとらえていました。
単純と言えばこれほど
単純な連想もないのですが、
空っぽになってしまった自分を、
東京のアパートに転がっているだろう
ウィスキーの空瓶のようなものと
感じていました。
沢木耕太郎「深夜特急5―トルコ・ギリシャ・地中海―」
仕事が忙しいときほど
旅に行きたくなる作者
旅から帰るときの気持ち
帰り道は旅のお釣りである。
残り少なくなった小銭を
ポケットの底で
未練がましく鳴らすように、
「ああ、終ってしまったなあ」
軽い疲れとむなしさ、
わずらわしい日常へ
もどってゆくうっとうしさ。
それでいて、
住み馴れたぬるま湯へ
また浸かってゆく
ほっとした感じがある。
向田邦子「小さな旅」
小沢メモ
旅心=旅に出たいという気持ち
旅情=旅に出て感じるいつもと違う気持ち
旅懐=旅に出て感じる気持ち
旅愁=旅先で感じるわびしい思い
旅脱 旅案 旅整 旅青 旅舘
▪テーマ デートで好きな人を待つときの気持ち
主人公「わたし」 同性相手「サトウ」
感情はすでに倦怠感へと変化
「サトウ」と大学時代
待ち合わせしていたときの
ことを思い出すシーン
よく待ち合わせをした
R駅南口のクレープ屋の前は、
私にとって特別な場所だった。
待ち合わせの時間が近づくと、
一刻一刻がずきんずきんと音を立てて
胸に刺さってくるようだった。
(中略)
わたしたちはいつも、
甘いクリームとバニラエッセンスの
匂いの中で会った。
小川洋子「冷めない紅茶」
大学時代で上京した世之介
一目ぼれした
年上の千春との初デートで
待っている時の気持ち
アマンド前に到着したのは
待ち合わせの十分前。
これも予定通り。
(中略)
待ち人が来て早々に
夜の六本木に消えていく人もいるが、
そのたびに世之介は
心の中でニヤけてくる。
やって来るどの女性も千春に比べれば
見劣りがするからである。
吉田修一「横道世之介」
渋谷はちょっと苦手 初めての待ち合わせ
人波をかきわけながら すべり込んだ5分前
ずっと前から彼のこと 好きだった誰よりも
やっと私に来たチャンス 逃せないの
❝ゴメン!❞と笑いかけて 走り寄るまなざしに
MajiでKoiしちゃいそうな 約束の5秒前
作詞・竹内まりや「MajiでKoiする5秒前」
どうして時間があるかというと恋愛には賞味期限があるから
小沢一敬
最終確認を五回経た髪の毛と
メイクをもう一回確認したくて
うずうずするけど鏡を見てる姿を
見られたら最悪だから
絶対見ないけどガラスとか鉄とか
ツルツルしたものがあったら
目を凝らすけど待ったって
聞く彼の目は三秒以上見れなくて。
金原ひとみ
0 件のコメント:
コメントを投稿