ハルジオン追想の愛春を生く
蓮華草鉢に植えたり放したり
スズメノエンドウフェンスを伝い春を伸ぶ
ヒメウズやうつむきがちに春を咲く
ユウゲショウ人目に触れず艶っぽく
■黒田杏子女史を悼む
徳島新聞より
夏井いつき著「瓢箪から人生」の愛読者カードの中に
「こんなにほめて頂いて恐縮です。
150P~163Pに書かれているものです。
ありがとうございました。」を、見つけたそうです。
明らかに杏子先生の筆跡だと気づいたそうです。
師とは一本の鋼のごとき「錨(いかり)」であると
夏井いつき先生はこの本で記されています。
表現の大海に身を漂わせていると
さまざまな迷いも生じてくる。
やろうとしていることが、これで実現できているのか。
そもそも、やろうとしている方向性に間違いはないのか。
そんな時は、この「錨」が命綱なのだ。と塾長。
杏子先生 曰く
「季語は結球しているべきなの。」
求肥の奥のに透き通る桃色の餡を指差しつつ
「ね、こんな具合に、一句のどこから見ても
季語が結球して見えなくちゃいけない。」
身の奥の鈴鳴りいづるさくらかな 黒田杏子
「志を高く」「五感のアンテナを立て」「季語の現場に立つ」等、
杏子先生の言葉は塾長の胸に美しいさびのようにあるそうです。
師の言葉もその作品も、永遠にあり続ける
「一本の鋼のごとき『錨』」。
現世における死によって、
これらの存在や価値が変わるものではない。
妨げられるものは一切ない。
と、分かっているのだがひたすら寂しい。
ひたすら切ない。
悲しみが鈴のように鳴りやまない。
黒田杏子女史 2023年3月13日 享年84歳
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
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