2023年4月11日火曜日

題「いとしい気持ち」

幻滅へ巻き込まれゆく花の宴(えん)
笑い者されて本望花見かな
独りぼち松葉へ落ちた椿かな
残る花愛と自由を迫られて
揺れ動く林檎の花の白さかな

■NHK短歌 題「いとしい気持ち」
選者 山崎聡子 ゲスト 大久保佳代子 司会 ヒコロヒー
レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ
年間テーマ「伝えられなかった思い」

▪つぶやきを短歌に
散る桜残る桜散る桜わしらもほとんどおんなじや 
ヒコロヒー 添削
いずれ散るわたしの体と思いつつ肩を寄せ合って咲く花を見る
山崎聡子

▪入選九首 テーマ「愛しい気持ち」 テレビ歌会
鳥籠を風吹きぬけて紺青(こんじょう)の見えない鳥を愛(いと)おしむ春
斎藤秀雄
図書室で君とあいつを結んでる直線上に「点俺」を置く
高橋泰源(たいげん)
弟もわたしも抜けて犬だけがふっくらとする母の隣で
吉村おもち
💮お揃いの食器を重ね合わしてく神社も寺もない埋め立て地
とみた律
梅を見に行く坂道で走り出すあなたは春生まれ春育ち
砂崎柊(しゅう)
あぢさゐと旧(ふる)き仮名にて記すときインクの文字に亡き母が顕(た)つ
前川泰信
歳なんて連れ添いながら重ねたがふっと小声で旧姓を呼ぶ
笹原秀計(ひでかず)
声枯れのあなたの喉のざらざらの星をわたしに一つください
甲斐直子
折り鶴のはねをひらいて口に寄せ最後にいきをふきこむ祖母よ
佐々木泰三(たいぞう)

▪大久保佳代子さんの「いとしい気持ち」
おにぎりを新幹線で食べながら小さくなった母の背おもう
大久保佳代子
(エモーショナルな食べ物と無機質でよそ行きの新幹線という
場所の対比が切なさをより浮かび立てている)

▪ことばのバトン
つなぐとき ばとんはしっぽ だったから
岩下尚史氏
(柔らかくなるバトンが見えてきました)
つかみそこねて仰ぐ青空
(取り落としましてももう一回拾って
なんとか次の方にお渡しできれば
その方が取り返してくださるかもわからないから)

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