2023年4月12日水曜日

梅津貴司君の短歌

ヘッケルの見た防散虫や春の謎
春の夜ヘッケルの見た自然の美
ロップスを模写したムンク忘れ霜
ロップスや批判されるも春の色
月朧悪魔のような女達

■「舞いあがれ!」梅津貴司君の短歌

星たちの光あつめて見えてきたこの道をいく明日の僕は

トビウオが飛ぶとき他の魚は知る水の外にも世界があると

屋上をめぐり続ける伝書鳩飛べるよ高く浮き雲よりも

君が行く新たな道を照らすよう千億の星に頼んでおいた

(君が行く道の長手を繰り畳ね焼き滅ぼさむ天の火もがも 

狭野茅上娘子さののちがみのおとめ 本歌取りオマージュ)

陽だまりの方へ寝返り打つように昆布は水にひらいていった

幾たびか咳に目覚めて対岸の灯を恋うように朝を待っている

暗闇のどこで鳴いている三毛猫よ白い部分手掛かり探す

落ち込んで立ち直るまでの僕の歌パラパラマンガのように眺める

麻酔から覚める心地で見分けゆく雨に濡れる葉、風に揺れる

携帯電話が震えれば朝

舞い落ちる桜の花弁乗せたときオダマキの葉の揺れが止まった

銀の糸通しのように足重ね羽虫はやがて沈んでいった

水底に影を預けて釣られゆきし川魚らの形群れおり

僕ひとり残ったバスに「ここ?」「ここ?」と行先表示切り替わってく

今朝産みし子を釣れ水槽巡りたるイルカは何処に海を教へむ

目を凝らす見えない星を見るように一生かけて君を知りたい

この小舟守ってほしい月七日ときどき本の売り買いもして

深海の星を知らない魚(うお)のためカササギがこぼした流れ星

私感
番組で紹介された短歌はこれで全てだったと思います。
全て書き取りました。
素晴らしい短歌をありがとうございました!
こんなに楽しみに待ったことはありませんでした。
脚本家 桑原亮子女史に拍手喝采です。

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