2023年4月20日木曜日

偉人の年収 樋口一葉

春の鳥潜って浮かびまた潜り
春空へ自由自在にぷっかぷか
名も知らぬ鳥を追いかけ春の土手
川風に頬を撫でられ春の草
春の鵙愛を求めて小さき声

■偉人の年収 How much
坂本龍馬
幕末期の物価        現在価格
長屋の家賃(1か月) 600文 3200円
白米(5㎏)     504文 2700円
蕎麦(1杯)      16文  85円
木炭(15㎏)     423文 2300円
銭湯代       12文  65円

樋口一葉
三人家族の生活費(1か月) 現在価格
家賃   1円50銭   1万1000円
米代   5円10銭   3万8000円
薪・炭代   60銭     4000円
油代      1銭      70円
その他   3円10銭  2万3000円

明治時代中期の小説家の原稿料    現在価格
森鴎外「文づかひ」      30円  22万円
尾崎紅葉「二人比丘尼色懺悔」 20円  14万8000円
幸田露伴「一口剣」      20円  14万8000円
夏目漱石「吾輩は猫である」第10話38円50銭 28万4900円

大つごもり
お峰は貧しい叔父一家のために奉公先から2円を盗む
労働の過酷さを数字を使って表現
「竈の前に火なぶりの
 一分は一時にのびて(中略)
 風呂は据(すえ)風呂にて大きからねど、
 二つの手桶に溢(あふ)るるほど汲みて、
 十三は入れねば成らず」
お金に振り回される人間の苦しみをリアルに表現

1895年1月 文学界「たけくらべ」連載開始
「歳は十五、並背(なみぜい)にて、
 いが栗の頭髪(つむり)も思ひなしか俗とは変わりて、」
主人公は吉原に生きる子どもたち
大人への階段を昇る子どもたち 青春群像劇
遊女になる美登利と寺の跡継ぎ信如の淡い恋へと発展
「或る霜の朝、
 水仙の作り花を格子門の外より
 さし入れ置きし者
 誰の仕業と知るよしなけれど、
 美登利は何ゆゑとなく懐かしき思ひにて、(中略)
 淋しく清き姿をめでけるが、
 その明けの日は
 真如が何がしの学林に
 袖の色かへねべき当日なりしとぞ。」
(たけくらべ第十六章)

身分や階級が生み出す社会の残酷さを
この小説に込めたのかもしれません。

幸田露伴
明治の婦人文学者では先ず第一であろう
森鴎外
真の小説家という称号を贈る
出典:近代日本人の肖像

毎日新聞「軒(のき)もる月」1895年
文芸クラブ「にごりえ」1895年
大つごもり たけくらべ 軒もる月 ゆく雲 うつせみ 
そゞろごと にごりえ 十三夜 この子 わかれ道 
うすむらさき(1894年12月~1896年2月)11作品
後に奇跡の14か月と呼ばれる金字塔を打ち立てた

樋口一葉 明治29年(1896年)結核にて没 享年24

樋口一葉 24歳の年収 99万3000円
           現在価格
うつせみ 6円60銭 3万6000円
十三夜  9円90銭 5万4000円
わかれ道 3円90銭 2万1000円
大つごもり 7円50銭 4万1000円
われから 43円40銭 23万9000円
そぞろごと 1円5銭 6000円
にごりえ  16円50銭 9万1000円
この子  6円 3万3000円
裏紫   2円10銭 1万2000円
たけくらべ 52円50銭 28万9000円
あきあはせ 1円5銭 6000円
通俗書簡文 30円 16万5000円
合計 180円50銭(99万3000円)

樋口一葉が日本文学界に遺した功績とは❓多田蔵人准教授
一葉がなくなる直前から評価は高まった
明治・大正・昭和と一葉の表現を参考にした作家は数多くいる
例えば、永井荷風、泉鏡花…。
今でも川上美映子さんが現代語訳した
「たけくらべ」が刊行されたり
そこでも現代の作家読者に一葉の表現は影響を与えている

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