2023年4月30日日曜日

名言&森田童子&夏井いつきのよみ旅!In熊本 後編

荷風忌やロートレックと見比べり(4月30日)
廃材の市松模様さつき咲く
(吉山明朝)二百年先のデザイン春の光(こう)
永遠のモダンアートや春の色(阿波の青石)
(堂本印象)暗雲を飛ぶ鳴き龍や夏近し

■森田童子の言MESSAGE
いまわたしはわたしたちの過ぎていった青春たちに
静かにとても静かに愛を込めて唄いたい。
http://www.tapthepop.net/extra/79190?fb

ぼくたちの失敗

春のこもれ陽の中で 君のやさしさに
うもれていたぼくは 弱虫だったんだヨネ

君と話し疲れて いつか 黙りこんだ
ストーブ代わりの電熱器 赤く燃えていた

地下のジャズ喫茶 変れないぼくたちがいた
悪い夢のように 時がなぜてゆく

ぼくがひとりになった 部屋にきみの好きな
チャーリー・パーカー 見つけたヨ
ぼくを忘れたカナ

だめになったぼくを見て
君もびっくりしただろう
あのこはまだ元気かい 昔の話だネ

春のこもれ陽の中で 君のやさしさに
うもれていたぼくは 弱虫だったんだヨネ

https://lyricjp.com/ats/a001d58/l005b76h

動画
https://www.youtube.com/watch?v=-6kZPPepgwI

■夏井いつきのよみ旅!In熊本 後編
春先の海の彼方に祈る父   宮下剛

お祭りや﨑津の町を初めぐり   小谷蒼空(そら)
(御幣とは神道のお祭りで用いられる)
 御花も踊る祭りの太鼓持ち   岩下みさき

お土産にまたけえなあと杉ようかん   宰川壽之
(またけえなあとはまたお越しください 﨑津弁
 杉ようかん 救助したお礼に作り方が伝授された)

春光や飛ぶ水しぶきはしゃぐ子ら   上田賢信

イルカ跳ぬ春の飛沫のはしゃぎやう   夏井いつき

空ながむ骨壺ふたつ初桜   風人 末石昌士
(天草陶石 強度が強く陶磁器の原料として広く利用されている)
名を呼べばそこにいるよな春の風   風人 末石昌士 連句

パールライン仮装させ歩くベビーカー   夏佳代子
物資オムツで育った娘のランドセル   夏佳代子

小春日に古楽(こがく)の音聴く北の子ら   松村文美代
(小春日とは春のように暖かい冬の日 
 古楽とは五感を楽しませてくれる音楽)

■名言
一休宗純 曰く
「むさぼりと怒り、
 恨みの煩悩の根本は、
 言ってもしょうがないことを言って
 嘆くことにある。」

長野慶太 曰く
「腹が立ったときの大原則がある。
 それはDo Nothing(何もしないことを選択せよ)
 ということだ。」

山本周五郎 曰く
「この人生には、
 無数の教訓がちりばめられている。
 しかし、どの1つをとってみても、
 万人にあてはまるものはない。」

2023年4月29日土曜日

高野長英&遊園地で一句

春の陽や楠の芽を育まん
雨の夜終わりを告げん花の散る
春の街オム・プリッセに抱かれて
朧月闇在りてこそ光在り
春月夜逢えない人へ思い馳せ

■プレバト纏め 2023年4月27日
遊園地で一句

特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句
梅沢富美男
ポップコーンまじり遊園地の落花 
(「落花」は散り落ちた桜の花 質感の対比がうまい。)

永世名人 村上のお手本
村上健志
春愁や廻る木馬の目の潤み
添削(季語と「木馬」の取り合わせは村上さんらしい味わい。
   春愁を表現する時廻る木馬だけでもできる。
   春愁とは廻る木馬のように心に押し寄せる
   潤むだけでも春愁の心の鬱屈は表現できる。
   安全を考えて入れている。三音の使い方が村上のやれる技。
   あなたが表現すべきところ。)
春愁木馬よ青く
春愁木馬よ雨に

永世名人 ジュニアのお手本
千原ジュニア
春嵐継父と見上ぐ観覧車
添削(「見上ぐる」でないと下五に続かない。
上五字余りとして置くと良い。世界観に奥行きがある。)
継父と見上ぐ春の嵐の観覧車

1位 安藤和津
色褪せし無人の木馬春しぐれ
(過不足のない表現)

2位 宮田俊哉
ジャズ流し桜湯啜るラジオブース
添削(桜湯とは塩漬けの桜の花が入った飲み物。
   動詞2つではざわざわして落ち着かない。)
桜湯ラジオブースジャズ

3位 斉藤慎二
銀の風船の中にも遊園地
添削(「中にも」は散文的。)
風船のメタル映る遊園地
風船のメタル映り込む木馬
風船のメタル映り込むパレード

4位 寺田心
カメラごし君の横顔さくらんぼ
添削
ファインダに君の横顔風光る

■知恵泉 高野長英~自分の殻を壊すには?~
人は学ぶためには
食わねばならない
しかし食うために
学んではならない
(利他の心)

晴れても曇っても
戸を閉ざしており
昼でも薄暗い
霜露で衣を濡らし
夜は惨めで悲しい

罪を犯してはいないので
世の中に恥じる
気持ちはない
多分この夏になれば
自由になると思う
弘化元年(1844)1月12日付
茂木恭一郎への手紙
その年の6月30日午前2時牢屋敷に火をつけさせ脱獄

宇和島藩主 伊達宗城とWIN-WINの関係に…。
薬品で人相を変えるも
逃亡から6年 47歳の時 遂に借家を突き止められる
そして役人たちに命を堕とされた

2023年4月28日金曜日

ロッチと子羊&ローランド杯結果発表

それぞれの表情ありて夏近し
最新かつモダン有した龍安寺(無季句)
春光や (重森)三玲創りし石庭へ
風光る古典とモダンの融合(龍安寺)
(東福寺)厳かな美の宝庫春の夕焼け

■ロッチと子羊 より
「迷える子羊に哲学を」に変わるキャッチコピー
下記は奥山光子コピーライターが考えたコピー
ツラい悩みに効く 哲学処方番組
心に飼っちゃえ、ソクラテス
悩みに哲学ひとつまみ
欲望不安、哲学

▪三木清哲学の要約
そもそも失敗は
否定すべきことではありません
だから学ぶ必要などないのです
失敗とは人生という冒険の
一過程にすぎません

人生の目標=成功
上記は近代以降の進歩史観の産物
古代人の目標=幸福
失敗⇨学習⇨成功
人生の目標が成功の人はくよくよします
人生の目標が幸福な人は何事にも自分を責めません

▪ガダマー(解釈学)哲学の応用
人はそれぞれの地平で
生きています
今の時代に新人を育てるには
地平の融合が必要です

上手に地平の融合するためのコツ
① 完全性の先行把握
お互いの目的意識(完全性)を確認しておくこと
② 歴史性
その認識に至った過程を理解すること

■夏井いつき俳句チャンネル
【俺か、俺以外か】ローランド杯結果発表!【後編】

夏井いつき賞
俺は飛べる菫俺以外は飛べない菫   伊藤辰弥

家藤正人賞
第六天魔王の城の螽蟖   長谷機械児

ローランド杯 
三席
冬の朝家族はごはんでぼくはラーメン   織田航平

二席
自分らしく生きていますか冬ひなた   直

一席
きみとあってからわたしは春の季語   背番号7

2023年4月27日木曜日

言葉にできない、そんな夜。

立ったまま意識遠のく子猫かな
花の鈴個々の価値観ぶつけ合い
それぞれの人生観や春更けて
花筏痛みこらえて今日も生く
花の冷え背中丸めてうずくまり

■言葉にできない、そんな夜。
満島真之介 桐島照史 金原ひとみ 橋口洋平 小沢一敬

▪テーマ 旅行から帰るときの気持ち
契約結婚をしている
みくりと平匡の
不器用な恋の展開が話題
温泉旅行の帰り道

この旅が終われば、
雇用主と従業員
週に一度、
ハグをするだけの関係
今までどおり
今まで通りでいい
もうやめる。もう疲れた
何もしない。何も求めない
この度が終われば、
平穏な日常に戻る
あと一駅
あと一駅
あと、一駅
永遠に、着かなければいいのに
脚本 野木亜紀子

旅はアジアを離れヨーロッパへ

船の上で
アジアの旅の終わりを
見つめた気持ち

この船のうえで僕が感じていたものは、
安らかさではなく、
不思議なことに深い喪失感だったのです。
体が空っぽになってしまったような
虚しさが僕をとらえていました。
単純と言えばこれほど
単純な連想もないのですが、
空っぽになってしまった自分を、
東京のアパートに転がっているだろう
ウィスキーの空瓶のようなものと
感じていました。
沢木耕太郎「深夜特急5―トルコ・ギリシャ・地中海―」

仕事が忙しいときほど
旅に行きたくなる作者
旅から帰るときの気持ち

帰り道は旅のお釣りである。
残り少なくなった小銭を
ポケットの底で
未練がましく鳴らすように、
「ああ、終ってしまったなあ」
軽い疲れとむなしさ、
わずらわしい日常へ
もどってゆくうっとうしさ。
それでいて、
住み馴れたぬるま湯へ
また浸かってゆく
ほっとした感じがある。
向田邦子「小さな旅」

小沢メモ
旅心=旅に出たいという気持ち
旅情=旅に出て感じるいつもと違う気持ち
旅懐=旅に出て感じる気持ち
旅愁=旅先で感じるわびしい思い

旅脱 旅案 旅整 旅青 旅舘

▪テーマ デートで好きな人を待つときの気持ち
主人公「わたし」 同性相手「サトウ」
感情はすでに倦怠感へと変化
「サトウ」と大学時代
待ち合わせしていたときの
ことを思い出すシーン

よく待ち合わせをした
R駅南口のクレープ屋の前は、
私にとって特別な場所だった。
待ち合わせの時間が近づくと、
一刻一刻がずきんずきんと音を立てて
胸に刺さってくるようだった。
(中略)
わたしたちはいつも、
甘いクリームとバニラエッセンスの
匂いの中で会った。
小川洋子「冷めない紅茶」

大学時代で上京した世之介
一目ぼれした
年上の千春との初デートで
待っている時の気持ち

アマンド前に到着したのは
待ち合わせの十分前。
これも予定通り。
(中略)
待ち人が来て早々に
夜の六本木に消えていく人もいるが、
そのたびに世之介は
心の中でニヤけてくる。
やって来るどの女性も千春に比べれば
見劣りがするからである。
吉田修一「横道世之介」

渋谷はちょっと苦手 初めての待ち合わせ
人波をかきわけながら すべり込んだ5分前
ずっと前から彼のこと 好きだった誰よりも
やっと私に来たチャンス 逃せないの
❝ゴメン!❞と笑いかけて 走り寄るまなざしに
MajiでKoiしちゃいそうな 約束の5秒前
作詞・竹内まりや「MajiでKoiする5秒前」

どうして時間があるかというと恋愛には賞味期限があるから
小沢一敬

最終確認を五回経た髪の毛と
メイクをもう一回確認したくて
うずうずするけど鏡を見てる姿を
見られたら最悪だから
絶対見ないけどガラスとか鉄とか
ツルツルしたものがあったら
目を凝らすけど待ったって
聞く彼の目は三秒以上見れなくて。
金原ひとみ

2023年4月26日水曜日

京都吉兆&土恋し&雀隠れ

花の雨最後の力足らずして
春霖や花びらひとつ残さずに
古草やわが身重ねて見たものの
地蔵院気持ちよさげに残る鴨
春蚊出づ耳元目先弱っちく

■新美の巨人たち 京都吉兆 嵐山本店
湯木貞一が残した料亭の神髄
「日本料理は、日本の座敷で、
 日本の庭を眺め、
 しつらいを鑑賞し、
 季節を味わうことだ」

「器は料理の衣装だと思いながら、
 まず料理にあう器を考えます」

「料理にも絵心が大切です」

小倉山峰のもみぢ葉心あらば
今ひとたびのみゆき待たなむ 貞信公(藤原忠平)

「工夫して心くだくる思いには花鳥風月みな料理なり」

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク  土恋し

この「土恋し」というのは傍題です
主たる季語としては「春の土」という項目になっています
「春の土」というと「夏の土」「秋の土」「冬の土」は
どうなんだという発想にもなりますが
この季語について言及がありまして
山本健吉さんが調査した中で昭和6年刊行の季題集に
「土恋し」という季語がたてられていると
言及されているそうです
寒い北国では冬の間は土が凍りついている
春になってその土が緩んでくる
そういう土を恋い焦がれる気持ちとして
「土恋し」という言葉が生まれていったということです

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 雀隠(がく)れ

文字通り雀、鳥が隠れている
それが季語?と疑問を抱くのですが
実はこれは植物の季語になります
どういう意味かというと春になって萌え出てきた草が
雀が隠れられるほどの丈に伸びた様子のことを言うそうです
この言葉には平安時代の女流日記「蜻蛉(かげろう)日記」にも
言及があり作者は藤原道綱母なのですが
3月になりぬ、木の芽、雀かくれになりて
とあるように草だけではなく
木の芽の伸び具合についても言うそうです
草の伸びた様子を語る季語
いざ俳句作ってみようとすると難しそうな季語ですね

2023年4月25日火曜日

題「待ち合わせ」

(東福寺)苔むして石と共演春の雨
(東福寺)苔と石市松モダン風光る
龍安寺石庭に座し春の風
南禅寺方丈庭園夏近し
一切の無駄をなくしてのんどりと

■NHK短歌 題「待ち合わせ」
選者 岡野大嗣(だいじ) ゲスト TAKAHIRO 司会 尾崎世界観

年間テーマ「グッとくる瞬間」
TAKARIRO 曰く
無限の可能性が小さな言葉のつづりの中に入っている
踊りは秘めていることをもう一つのパートとして見せる道具
言葉が伝えたいこと以上に前に出て感じてもらう
言葉と踊りは相性がいい
岡野大嗣
短歌にして初めて気づく心の動き 
玉手箱という表現がぴったりだと思った。

▪岡野大嗣の❝グッときた九首❞
今月のテーマ「待ち合わせ」
ガチャガチャの店をカフェから眺めてた途中から来た君も一緒に
酒部朔(さく)
待ってなどいない深夜の空港でここには本を読みに来たんだ
だいだい
先頭に並ぼう開場してすぐの空気をふたりでたくさん吸おう
早坂つぐみ
あまりおしゃれはしないであげる出張で東京へ来た父と会うとき
久藤さえ
💮のぞきこむ顔があなたで驚いたわたしあなたと会えるだなんて
半島
英単語拾い集めて会いに行く未来の私、そこで待っとけ
美好ゆか
何口か確認したらまぶしくておっきい方の改札だって
薄暑なつ
めづらしく気をつけてなと「な」を付けて見送る夫(つま)とあとで落ちあふ
松浦冨美子
ブランコは揺れやむ時が待ち合わせいつか一緒に暮らして欲しい
枇杷陶子(びわとうこ)

▪表現者の原点
TAKAHIROさんのダンスの原点
「静」「柔」「動」の3段階で徐々にたねが芽吹いていった
静:オーストラリアの青いパフォーマー
柔:パントマイムAさんBさん
動:風見しんごさん
身体だけそこに無限をつくれることに衝撃
言葉なき表現で世界中の人と対話できる

岡野大嗣
身体が言葉のひとつになっている

▪それぞれの待ち合わせ それぞれの表現

雨に立ち雪にも立ちて日は流れされど立つ日の待ち人よ
TAKAHIRO
時間の流れだけが印象深く残る短歌   岡野大嗣
とがろうとがろうと毎日を切磋琢磨   
この方はとがりも何もなくただその場所にいる   TAKAHIRO

TAKAHIROさんの短歌の種
アメリカに住んでいた時
人通りの少ない交差点で立っている人がいた
毎日立っているお爺さん横切っても何も言ってこない
夏の日も雪の日もずっと立っている
「この人はあの日の約束を信じてずっと待っているんだ」
そう思った記憶が今も鮮明に残っている
待ち人はその待つ人自体であり
想像する待たれる人でもある

この種で一句
十字路に約束を待つ老人のバックパックに振りつもる四季
大野大嗣

▪尾崎さんと岡野さんの「待ち合わせ」
「昔昔あるところに」って曖昧過ぎてわからなくて
おじいさんとおばあさんじゃなんだか物足りなくなって
流れてきた桃を無視してそのまま見送った
~中略~
今今ここに君とあたし どうでもいい2人だけの話
いつもニコニコ君とあたし なんの確信もないけどね
いつだって今がおもしろい
「今今ここに君とあたし」より 尾崎世界観

ここを旅先にあなたがやってくる見せたい光を考えて待つ
岡野大嗣

▪ことばのバトン
神様の胚にぬる燗注ぎ足して   金井真紀

会議室との通信を切る   桜井あらん

2023年4月24日月曜日

兼題「蝶」&名言

(明朝)風光る時代先取る点と線
春陽射し星座(北斗七星)に模した石柱へ
花避けて紅葉植えるも人の波(東福寺)
(重森三玲)春流る八相の庭青海波(せいがいは)
永遠のモダンを希求東福寺(無季句) 

■NHK俳句 兼題「蝶」
選者 高野ムツオ ゲスト 古坂大魔王 司会 柴田英嗣
西チーム 中西アルノ 黒岩徳将 
東チーム 古坂大魔王 斉藤志歩

年間テーマ「語ろう!俳句」

▪句合わせとは
お互いの俳句を鑑賞し討論する
チーム対抗のディベート合戦

蝶の羽ぼんやり透けるハルジオン   青山ネモフィラ
ひらふらり黄色い蝶へ娘駆け   古坂大魔王

▪特選三席発表 兼題「蝶」
三席 初蝶や夫(つま)亡きあとの野良仕事   吉原雪
二席 初蝶を蘂総立ちで迎えをり   大井公夫
一席 初蝶や白寿の母の耳元に   藤田晋一

▪句合わせ
あやふしや花に取りつく蝶の足   斉藤志歩
(「あやふし」とは危ないという意味。)
蝶々やジェラートに舌くるくると   黒岩徳将
(蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな   芥川龍之介
 この句とイメージが近い 革命を起こして欲しかった。)

芸術とはあるものを作りながら壊していく   古坂大魔王

■名言
マハトマ・ガンジー 曰く
「束縛があるからこそ、私は飛べるのだ
 悲しみがあるからこそ、高く舞い上がれるのだ
 逆境があるからこそ、私は走れるのだ
 涙があるからこそ、私は前に進めるのだ。」

ジョー・ヴィターレ 曰く
「広告、話、手紙であれ、会議であれ
 簡潔であること、そして絞ることだ。
 簡潔さこそが、頭の良さの証。」

マハトマ・ガンジー 曰く
「善きことは、カタツムリの速度で動く。」  

2023年4月23日日曜日

新約聖書福音書&ミラボー橋

ガマズミの目を引く白さ夏近し
石楠花(しゃくなげ)や山肌燃やすつるぎ町
春尽くやルソーの好きなお子様ランチ
行く春や運の良き人悪き人
(ダンヴェール嬢)蜃気楼運を味方に生きる女(ひと)

■100分de名著 新約聖書 福音書 
人の過ちを赦すなら
あなた方の天の父もあなた方を赦してくださる。
しかし、あなた方が人を赦さないなら、
あなた方の父も、あなた方の過ちを赦してくださらない。
(マタイ6:14-15)

■「ミラボー橋」(フランス語: Le pont Mirabeau)は、
ギヨーム・アポリネールの詩である。
この詩はパリのミラボー橋の下のセーヌ川の流れを比喩的に表現して、
時間の経過に伴う愛の喪失を扱っている。
画家マリー・ローランサンとの恋とその終焉を綴ったといわれている。
その背景にはアンリ・ルソーの描いた二人の姿だったとか…。

ミラボー橋

ミラボー橋下をセーヌが流れる
そして我らの愛も
私も思い出すべきだろうか
痛みの後にいつも楽しみが来ることを

夜が来て、時の鐘が鳴る
日々は去るが、私は残る

手と手は近くにあるのに
橋の 
下を我らの腕は
ゆっくり流れる水のよう

夜が来て、時の鐘が鳴る
日々は去るが、私は残る

愛は去りゆく、この流れる水のように
愛は去りゆく
命はゆっくりしているように
希望は激しいように

夜が来て、時の鐘が鳴る
日々は去るが、私は残る

日々も過ぎ、週も過ぎるが
時は過ぎず
様々な恋は帰ってこない
ミラボー橋下をセーヌが流れる

夜が来て、時の鐘が鳴る
日々は去るが、私は残る

2023年4月22日土曜日

水筒で一句

(松瀬青々本歌取り) 菜の花の化したる蝶や太龍寺
母子草絶った命の産声が
雀の子親の後追いよちよちと
(ルーベンス)セルライト好きにもほどが霜の果
春の風受けて土産と急ぐらん

■プレバト纏め 2023年4月20日
水筒で一句

特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句
梅沢富美男
水筒の囀り満たし一息に 
添削
水筒はさへづる囀りの真下

永世名人への道
横尾渉
花冷の砂かぶり席売り子駆く
添削(砂かぶり席とは球場にあるグラウンドに最も近い観客席。
   もしくは、大相撲での土俵近くの席。
   花冷とは桜の咲く頃の急な寒さ。
   砂被り席というと多くの人は大相撲を連想する。
   野球場を連想して貰うための語順の工夫が必要。)
売り子駆く花冷の砂かぶり席

特待生昇格試験
森口瑤子
水筒の底にゐる春愁の澱(おり)
(春愁が意思を持って底にいる不穏さを表現したのは素晴らしい。
 澱とは液体の中に沈んだカスのこと。)

1位 西村真二
駆ける子と背で鳴る氷夏囃す
添削(「水筒」と書かずに状況を表現。
   「囃す」の音の印象と「氷」の音で相殺してしまっている。
   単純に「夏の空」で光景を広げたほうが良い。)
駆ける子と背で鳴る氷夏の空

2位 村上弘明
わかめ狩り水筒ころがす親父の船
添削(リズムを整えるべき。季語を「若布船」として定型にすべき。)
水筒ころが父の若布

3位 春香クリスティーン
春暁や陣痛室で握る水
添削(春暁とは春の薄暗い明け方。
   下五の「や」は不安定「春の暁(あけ)」にするとよい。)
水筒を握る陣痛春の暁

4位 篠原ゆき子
背後より歳時記覗く椿あり
添削(「椿」以外でも良い。所謂季語が動くという選択。
   状況設定の上五より季語を描写すべき。
   「目のような」で季語を擬人化する。)
歳時記覗くか目のような椿

次回のお題は遊園地

2023年4月21日金曜日

稚児俳句&ローランド杯結果前編

夜明け前点てる一服花の冷え
鈴懸草(すずかけそう)貞光町でひっそりと
春深む個と向き合ひて内面へ
穀雨受け我が身肥ゆるも種は枯れ
春の果マウント取りて後ろ指

■夏井いつき俳句チャンネル
【俺か、俺以外か】ローランド杯結果発表!【前編】

いふたかてああはなれんで草の花   北村崇雄(たかお)
俺以外開けてはならぬ冷蔵庫   露草うづら
着膨れの鈴木とジャケツの鈴木も来   小森六月(むつき)
テストの日ぼくだけのこる春の土   魚﨑叶皐(うおさきかなう)
冬の山みんながいないいえかえる   中尾壮汰
秋思より逃げよ毛先を切り落とし   北藤詩旦(しいたん)
シクラメン聞かないための美(は)しき耳   村瀬っち
(辞書では美しは「いし」と読みますが俳句では「はし」と読む)

■ワルイコあつまれ
稚児俳句
さよおなら
野遊びや照れくさくってさよおなら   高柳克弘
野遊び 春の季語
ポイント
俳句では感情を直積的に表現しない

さよおならロングヘアーよ風光る   辻内京子
風光る 春の季語
春の日差しが強まり風が光るように感じられること

静けさやさよおならして桜まう   松尾葉 翔
(閑さや岩にしみいる蝉の声 本歌取り)
やは詠嘆 感動を表現する方法

松尾葉 翔の句 添削
さよおなら笑顔を見せて落花かな   辻内京子
落花 春の季語 桜の花びらが散ること
ポイント 「桜まう」は季語ではない

しんしんと桜舞いちるさよおなら   高柳克弘
「静かさ」を表す言葉
しんしんと しずしずと しめやかに
桜舞いちる 春の季語
ポイント
和歌や短歌にふさわしいより伝統的な表現

おならしたプププププププ誰がした   松尾葉 翔

2023年4月20日木曜日

偉人の年収 樋口一葉

春の鳥潜って浮かびまた潜り
春空へ自由自在にぷっかぷか
名も知らぬ鳥を追いかけ春の土手
川風に頬を撫でられ春の草
春の鵙愛を求めて小さき声

■偉人の年収 How much
坂本龍馬
幕末期の物価        現在価格
長屋の家賃(1か月) 600文 3200円
白米(5㎏)     504文 2700円
蕎麦(1杯)      16文  85円
木炭(15㎏)     423文 2300円
銭湯代       12文  65円

樋口一葉
三人家族の生活費(1か月) 現在価格
家賃   1円50銭   1万1000円
米代   5円10銭   3万8000円
薪・炭代   60銭     4000円
油代      1銭      70円
その他   3円10銭  2万3000円

明治時代中期の小説家の原稿料    現在価格
森鴎外「文づかひ」      30円  22万円
尾崎紅葉「二人比丘尼色懺悔」 20円  14万8000円
幸田露伴「一口剣」      20円  14万8000円
夏目漱石「吾輩は猫である」第10話38円50銭 28万4900円

大つごもり
お峰は貧しい叔父一家のために奉公先から2円を盗む
労働の過酷さを数字を使って表現
「竈の前に火なぶりの
 一分は一時にのびて(中略)
 風呂は据(すえ)風呂にて大きからねど、
 二つの手桶に溢(あふ)るるほど汲みて、
 十三は入れねば成らず」
お金に振り回される人間の苦しみをリアルに表現

1895年1月 文学界「たけくらべ」連載開始
「歳は十五、並背(なみぜい)にて、
 いが栗の頭髪(つむり)も思ひなしか俗とは変わりて、」
主人公は吉原に生きる子どもたち
大人への階段を昇る子どもたち 青春群像劇
遊女になる美登利と寺の跡継ぎ信如の淡い恋へと発展
「或る霜の朝、
 水仙の作り花を格子門の外より
 さし入れ置きし者
 誰の仕業と知るよしなけれど、
 美登利は何ゆゑとなく懐かしき思ひにて、(中略)
 淋しく清き姿をめでけるが、
 その明けの日は
 真如が何がしの学林に
 袖の色かへねべき当日なりしとぞ。」
(たけくらべ第十六章)

身分や階級が生み出す社会の残酷さを
この小説に込めたのかもしれません。

幸田露伴
明治の婦人文学者では先ず第一であろう
森鴎外
真の小説家という称号を贈る
出典:近代日本人の肖像

毎日新聞「軒(のき)もる月」1895年
文芸クラブ「にごりえ」1895年
大つごもり たけくらべ 軒もる月 ゆく雲 うつせみ 
そゞろごと にごりえ 十三夜 この子 わかれ道 
うすむらさき(1894年12月~1896年2月)11作品
後に奇跡の14か月と呼ばれる金字塔を打ち立てた

樋口一葉 明治29年(1896年)結核にて没 享年24

樋口一葉 24歳の年収 99万3000円
           現在価格
うつせみ 6円60銭 3万6000円
十三夜  9円90銭 5万4000円
わかれ道 3円90銭 2万1000円
大つごもり 7円50銭 4万1000円
われから 43円40銭 23万9000円
そぞろごと 1円5銭 6000円
にごりえ  16円50銭 9万1000円
この子  6円 3万3000円
裏紫   2円10銭 1万2000円
たけくらべ 52円50銭 28万9000円
あきあはせ 1円5銭 6000円
通俗書簡文 30円 16万5000円
合計 180円50銭(99万3000円)

樋口一葉が日本文学界に遺した功績とは❓多田蔵人准教授
一葉がなくなる直前から評価は高まった
明治・大正・昭和と一葉の表現を参考にした作家は数多くいる
例えば、永井荷風、泉鏡花…。
今でも川上美映子さんが現代語訳した
「たけくらべ」が刊行されたり
そこでも現代の作家読者に一葉の表現は影響を与えている

2023年4月19日水曜日

武田信玄の言葉&「土恋し」&哲学プラクティス

春の暮暗さの中に気配あり
エシャロット畑に酢味噌持ち込んで
芽を摘まれ踏みにじられて芝桜
八重桜色鮮やかに華やかに
行く春と共に忘れてしまいたき

■知恵泉 より
武田信玄 曰く
「凡そ軍勝五分を以て
 上となし、
 七分を以て中となし、
 十分を以て下と為す」

甲陽軍艦 武田信玄
勝頼は謙信と和睦を結ぶように
謙信は男らしく頼りになる武将だ
私は大人気なく
ついに頼ることができなかった

日本外史 上杉謙信 
自分は好敵手を失った
世の中に信玄ほどの英雄はいない

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 土恋し

この「土恋し」というのは傍題になり
主たる季語としては「春の土」という項目になっています
「春の土」というと「夏の土」「秋の土」「冬の土」は
どうなんだという発想にもなりますが
この季語について言及がありまして
山本健吉さんが調査した中で昭和6年刊行の季題集に
「土恋し」と季語がたてられていると
言及されているそうです
寒い北国では冬の間は土が凍り付いている
春になってその土が緩んでくるそういう土を
恋い焦がれる気持ちとして「土恋し」という言葉が
生まれていったということです

■ロッチと子羊 より
サルトル哲学の要約
「人間はまず先に実存して
 世の中で不意に姿を現し
 その後で定義されるものです」
(自分でつかみ取った本質は本物)
哲学プラクティス
目標があると本物の例を持ってしまう
違いを意識すると人と違えばよいと考えがち
本物とは自分でつかんだ本質の積み重ね
走り続けている人だけが本物

ベンス・ナナイ哲学の要約
「熱狂できないものなどありません
 分散的な注意を払えば
 何事も興味へと変わります」
(分散的な注意 マジ最強!)
その事で自分だけの価値が生まれる
そうすれば世界が別用に見える
哲学プラクティス
無駄なことから社会的な意義を見つける

2023年4月18日火曜日

題「春の草」

花の冷えSpammailに打つ手なし
スマホにも心があるよな霜の果
暮の春日に日に好きになっていく
蜃気楼見返りのない奉仕かな
脱マスク黄砂届きて先送り

NHKK短歌 題「春の草」
選者 吉川宏志 ゲスト 椰(や)月美智子 司会 尾崎世界観

毎月第3週は短歌経験者のための「実感的 表現力アップ」講座。
今月のテーマ 何を歌えばいいのだろう
「春の草」
溝を見て歩くのが好き溝のなか溜まりし土に白すみれ咲く
吉川宏志

▪入選九首 テーマ「春の草」
カルデラの黒砂持ち上げ虎杖(いたどり)の赤き芽の起(た)つ御神火(ごじんか)の島
大村森美(もりよし)
花にまで息を吹いては飛ばないと怒るあなたと三度目の春
綴(つづり)
在宅の仕事を終へてそとへ出(い)づ靴よりひくく生(お)ふる春草
土屋ひろ菜
外は春ひとり観ている配信のブルース・リーは菜の花の色
三月とあ
幾たびも蓬(よもぎ)の斜面転がって子犬も春のボールになった
三浦直子
輪郭(りんかく)をくきやかにして祖母は立つ蓬匂(にお)へる湯気の厨(くりや)に
佐藤ゆうこ
ヒメウズの名を教えくれし先生の逝きてのち春の歌に詠みつぐ
前田かほり
💮消えないで、すりこぎ棒に染みついた蓬の色も祖母がいた日も
葉村直(なお)
手のうちに囲い持ち来るすみれ色ベッドの夫(つま)の手に移しやる
市川登美栄(とみえ)

▪入選あと一歩
耳元で鳴らす薺(なずな)が髪の毛に絡みつくまだ母となっても
山田香那 薺=ぺんぺん草 添削
耳元で鳴らす薺(なずな)が髪の毛に絡んでしまうなっても

▪表現の最前線 何を歌えばいいんだろう
ガレージへトラックひとつ入らむとす少しためらひ入りて行きたり
斎藤茂吉

母親が掃除をするシーン   椰(や)月美智子
洗濯物を干し終わったあと、
留美子は丁寧に掃除機をかけた。
4LDKのうち、5.5畳の二部屋は
子どもの部屋にしてあるが、
実際は今のところ、
片方の部屋しか使っていない。
そこに、二段ベッドと二人の
学校用品を置くシェルフを置いている。
もう一方の部屋は、五月人形や
扇風機、スノーボードや
スキューバーダイビング用品など、
季節ものや普段使わないものが
自然にたまっていってしまい、
いつの間にか物置部屋と化している。

ただ駄々をこねるハンバーグ疑いの素そのソースはどこ
冷めたらまずいからってバレたらまずいの間違いじゃない
おぞましい塊だ
じっくりコトコト問い詰めてざっくり切り裂いて
刺身でいけるくらいに新鮮なのを盛りつけたら
やっぱり横にはツマでしょう
「料理」より 尾崎世界観

▪ことばのバトン
つなぐときばとんはしっぽだったから   岡野大嗣

つかみそこねて仰ぐ青空   岩下尚史

神様の盃(はい)にぬる燗(かん)注(つ)ぎ足して   金井真紀
(ザ・ブルーハーツ♪「青空」
神様に賄賂を贈り天国へのパスポートをねだるなんて本気なのか?)

2023年4月17日月曜日

兼題「蝌蚪(かと)」

馬の仔や南の島を好き勝手
今朝も海女雲丹(うに)の成長待ち続け
花の鈴激しい風に鳴らされて
畔青む風に揺らるる黄色かな
徳島を春竜胆(りんどう)の集まりて

■NHK俳句 兼題「蝌蚪(かと)」
選者 村上鞆(とも)彦 ゲスト山口もえ 司会 柴田英嗣

年間テーマは「人生を詠う」
人生とは自分そのもの
自分自身を見つめて「自分自身を詠む」ことが
一番素朴で基本的な詠み方

今回は「誕生」の名句を取り上げる。
ようこそと呼び掛け抱けば暖かし   杉原祐之
「暖かし」が春の季語
桜の実紅経(べにへ)てむらさき吾子生(うま)る   中村草田男
(人間探求派)(桜の実が初夏の季語)
上記の句を比べると父親像が違う
現代の句はフランクとか気楽な感じ 
草田男の句は不器用というかストレートに詠んでいない。

▪兼題「蝌蚪(かと おたまじゃくし)」
特選六句発表
浮かびきて確かに笑ふ蝌蚪の口   板井すみ江
さわれるしかえるしおたまじゃくしなら   山崎晃
蝌蚪探す泥ごと畔にぶちまけて   村田一広
なまぐさき蝌蚪の水槽参観日   山田康治(やすはる)
蝌蚪ずつと見てゐる蝌蚪でなくなるまで   山海和紀(さんかいわき)
艦砲(かんぽう)で出来たる池に蝌蚪生まれる   百名温(ひゃくなおん)

▪夏井家伝授!
家藤正人&中西アルノ
0からの俳句
「五音探し」

▪今日マチ子、今日の一句
夏休み渋滞はまり父落ちる   山口もえ

蜃気楼靴下脱いで靴の中   村上鞆(とも)彦

▪兼題「蝌蚪」特選三席発表
三席 同期五人喪服で覗く蝌蚪の群れ   大岩真理
二席 蝌蚪の紐(ひも)手操(たぐ)りて妣(はは)に会いに行く   石井恵子
一席 一匹の離るる蝌蚪はそらを見る   岡﨑みのる

▪柴田の歩み
後は聞き手におまかせ

俳句は聞き手読み手の鑑賞があってこそ
成立する文芸ですので鑑賞も大事になってくる

2023年4月16日日曜日

名言&夏井いつきのよみ旅!in長崎 後編

大谷の投打の違反春の夜
春の怪ピッチクロック不満顔
散る桜義母の居た場所埋め尽くす
啄木忌生涯金に縁がなく
康成忌命堕として何とする

■名言
カール・ヒルティ 曰く
「人間のすべての性質のなかで、
 嫉妬は一番みにくいもの、
 虚栄心は一番危険なものである。
 心の中のこの二匹の蛇からのがれることは、
 素晴らしくこころよいものである。」

ジークムント・フロイト 曰く
「対象そのものからは
 喜びをほとんど見いだせず、
 対比してやっと
 本当に喜びが見いだせる。
 私たちはそういうふうに出来ている。」

ポール・シーラー 曰く
「幸せを増やす唯一の方法は、
 分け与えることだ。」

■夏井いつきのよみ旅!in長崎 後編

西海岸桜の映える戦艦(ふね)の街   篠崎隆一

潜水時手を振り返し春模様   今村七海(なつみ)

散る桜父は最期にそいぎんた   田中伸生
(「そいぎんた」は佐世保弁で「じゃあね」という意味)

あきないを50すうねんまだあきね   丸田伸代

顎外れそうなバーガー山笑う   夏井いつき

艦(ふね)かくす基地の懐春霞   髙永久子
(俳人 富安風生に学ぶ 
 大正・昭和に加地薬師太俳人 自然を愛し優雅な句風
 竈猫(かまどねこ冬の季語)風生が作った造語 
 火が消えた竈で温まる猫の様子)

もやい窯増える空き缶山笑う   今村房之輔
(もやい窯とは職人たちが共同で使う窯
 薪を使い昔ながらの方法で焼く)

2023年4月15日土曜日

日本財団投稿句&新約聖書福音書

花樒(はなしきみ)勤めを持って生まれけり
観音寺牡丹の香りに身をまかせ
葎若葉(むぐらわかば)でたらめにも歴史あり
深き森頭もたげたギンリョウソウ
木漏れ日浴びてバイカオウレン匍匐(ほふく)せり

■日本財団へ
2022年10月31日に投稿した俳句

遺言書待ち侘びさせることなかれ
遺言書あなたに全て託します
遺言状書くたび好きがふくらみて
想い出がまた駆け巡る遺言書
ありがとう後の世もまた遺言状
来世でも共に歩んで生きたくて
後生(ごしょう)をも艱難辛苦ともにせり
好きなのよ鈍感力に満ちた人
法に邪魔されて思いはうやむやに
後世へ熱量込めて仕上げきる
遺言書これが最後のプレゼント
終焉はなにはともあれラブレター
遺言状婦唱夫随の陽が沈む
終幕は共同作業遺言状

■100分de名著 新約聖書 福音書
「『人はパンだけで生きるのではない。
 神の口から出るすべての言葉によって生きる』
と記されている」。(マタイ4:4)

「福音書は文字によって読まれてはならないのです。
 あの夥(おびただ)しい経巻(きょうかん)は、文字を超えようとする文字なのです。
 言葉なき境にその言葉を読まないなら、
 心理の扉を開くことは出来ないのです。」
柳宗悦「柳宗悦宗教選集 第二巻 神について」

イエスは
「わたしにはあなた方の知らない食べものがある」
と仰せになった。(ヨハネ4:32)

イエスがいう「食べ物」=コトバ?

初めにみ言葉があった。
み言葉は神とともにあった。
み言葉は神であった。
み言葉は初めに神とともにあった。(ヨハネ1:1-2)
(万物をあらしめるはたらき み言葉=ロゴス(理法))

この世はも言葉によってできたが、
この世はみ言葉を認めなかった。
み言葉は自分の民の所に来たが、
民は受け入れなかった。ヨハネ1:10-11)

わたしは天から降ってきた、
生けるパンである。
このパンを食べる人は
永遠に生きる。「ヨハネによる福音書」6・51

おまえがたべる このふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが兎率(とそつ)の天の食(じき)に変わって
やがておまえとみんなとに聖(きよ)い資糧(しりょう)をもたらすことを
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ
宮沢賢治「永訣の朝」

2023年4月14日金曜日

俵万智女史の短歌 ②

大谷の確信歩きうららけし
責任感のあるやなしや花の冷え
15年ぶりこい煩いのこい退治(無季句)
疎(おろ)抜きの起源や如何に春暮るる
花の雨最後の力振り絞り

■俵万智女史の短歌
今なにを考えている
菜の花のからし和えにも気づかないほど

花びらのような足あと追いかけて
ゆけば春へと続くこの道

たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやる
いつかおまえも飛んでゆくから

制服は未来のサイズ
入学のどの子もどの子も未来着ている

■秋月さん長山短歌賞佳作作品(俵万智女史の妄想)
胸もとのルーペで世界を見るように優しさの種うたにする人
あの人が好きなんですね臆病な仔猫のような瞳揺らして
灯し火になりたいなんて言ったけどあなたが私の灯し火でした
黒髪の乱れも知らずうち伏せば鉛筆を持つその手恋しき
君よ行け愛する人の手を取って天の火にさえ焼けぬその道
短歌とは心に続く道だからいつでも会えるあなたに会える

第二歌集収録短歌(俵万智女史妄想)
子どもらと短歌つくって笑(わろ)てますお元気ですか八木のおっちゃん
おそろいの弁当のフタ開けるとき君と僕とは家族と思う
平和でも歌はできると信じたいリュー北條のケーキのように
(現実)非公式応援歌人と呼ばれてる妄想短歌とまらぬ我は

歌集『デラシネの日々』所収短歌(俵万智女史妄想)
一枚の葉書きを君に書くための旅かもしれぬ旅を続ける
古本と亀と子どもと君と僕それだけでいいデラシネの日々

2023年4月13日木曜日

俵万智女史の短歌 ①

死後十二年崋山を描いた椿山(ちんざん)(無季句)
ブレイクの蚤の幽霊春の怪
テリビリタ!ミケランジェロの仕事量(無季句)
(ミケランジェロ)養花天疲れ現る天井画
春の野や猪の群れ猛進す

■俵万智女史の短歌

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

「頃あいがいいね」とぼくが言ったから5月8日はコロナ記念日 佐藤正明

肉声を知らない人のつぶやきを目で読んでいる冬の片隅

これからの二ヶ月のこと何もかも思い出として始まる二月

居酒屋の一つハンガーにかけられた我のコートと君のオーバー

如月(きさらぎ)の雨から雪に変わる午後「オレがなんとかする」って何を

チューリップの花咲くような明るさであなた私を拉致せよ二月

青色のちひさき鳥のかたちして言葉ちるなり凍結の岡

テンプレで片づけてきた質問に向き合う秋のドキュメンタリー

梅津貴司君へ捧ぐ

七夕の夜に言葉を交わせども織姫よりも遠いよ君は

(七夕の夜に言葉を交わせども織姫よりも君は遠くて)

(それ以上近づけないけど傷つかない「ありがとう」とは便利な言葉)

千億の星の一つになりたくて心が空を舞いあがる夜

一瞬の君の微笑み永遠にするため僕は歌い続ける

舞ちゃんに捧ぐ

デラシネでうめづで夜の公園で好きって君に伝えたかった

舞ちゃんに捧ぐ

君にだけ見える昼間の星のように一生かけてそばにおりたい

くるみちゃんに捧ぐ

大切な友と友とが結ばれて嬉しくて泣く、寂しくて泣く

つかうほど増えてゆくものかけるほど子が育つもの答えは言葉

心配をさせてくれない人だから救急箱のように見守る

色づいてはじめて気づく木のようにいつも静かにそこにいる人

心配をさせてくれない人だから救急箱のように見守る

四時間の単位でものを考えるミルク時計となりたる我は

初めての春の空気に子をひたすアワユキエリカけぶり咲く道

とりかえしつかないことの第一歩名付ければその名になるおまえ

初めての春の空気に子をひたす飛行機高くゆく空の下

天気予報はずれて晴れの公園に桜と人とふくらんで見ゆ

開花宣言聞いて桜が咲くものかシングルマザーらしくだなんて

散るという飛翔のかたち花びらはふと微笑んで枝を離れる

さくらさくらさくら咲き初め咲き終わりなにもなかったような公園

2023年4月12日水曜日

梅津貴司君の短歌

ヘッケルの見た防散虫や春の謎
春の夜ヘッケルの見た自然の美
ロップスを模写したムンク忘れ霜
ロップスや批判されるも春の色
月朧悪魔のような女達

■「舞いあがれ!」梅津貴司君の短歌

星たちの光あつめて見えてきたこの道をいく明日の僕は

トビウオが飛ぶとき他の魚は知る水の外にも世界があると

屋上をめぐり続ける伝書鳩飛べるよ高く浮き雲よりも

君が行く新たな道を照らすよう千億の星に頼んでおいた

(君が行く道の長手を繰り畳ね焼き滅ぼさむ天の火もがも 

狭野茅上娘子さののちがみのおとめ 本歌取りオマージュ)

陽だまりの方へ寝返り打つように昆布は水にひらいていった

幾たびか咳に目覚めて対岸の灯を恋うように朝を待っている

暗闇のどこで鳴いている三毛猫よ白い部分手掛かり探す

落ち込んで立ち直るまでの僕の歌パラパラマンガのように眺める

麻酔から覚める心地で見分けゆく雨に濡れる葉、風に揺れる

携帯電話が震えれば朝

舞い落ちる桜の花弁乗せたときオダマキの葉の揺れが止まった

銀の糸通しのように足重ね羽虫はやがて沈んでいった

水底に影を預けて釣られゆきし川魚らの形群れおり

僕ひとり残ったバスに「ここ?」「ここ?」と行先表示切り替わってく

今朝産みし子を釣れ水槽巡りたるイルカは何処に海を教へむ

目を凝らす見えない星を見るように一生かけて君を知りたい

この小舟守ってほしい月七日ときどき本の売り買いもして

深海の星を知らない魚(うお)のためカササギがこぼした流れ星

私感
番組で紹介された短歌はこれで全てだったと思います。
全て書き取りました。
素晴らしい短歌をありがとうございました!
こんなに楽しみに待ったことはありませんでした。
脚本家 桑原亮子女史に拍手喝采です。

2023年4月11日火曜日

題「いとしい気持ち」

幻滅へ巻き込まれゆく花の宴(えん)
笑い者されて本望花見かな
独りぼち松葉へ落ちた椿かな
残る花愛と自由を迫られて
揺れ動く林檎の花の白さかな

■NHK短歌 題「いとしい気持ち」
選者 山崎聡子 ゲスト 大久保佳代子 司会 ヒコロヒー
レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ
年間テーマ「伝えられなかった思い」

▪つぶやきを短歌に
散る桜残る桜散る桜わしらもほとんどおんなじや 
ヒコロヒー 添削
いずれ散るわたしの体と思いつつ肩を寄せ合って咲く花を見る
山崎聡子

▪入選九首 テーマ「愛しい気持ち」 テレビ歌会
鳥籠を風吹きぬけて紺青(こんじょう)の見えない鳥を愛(いと)おしむ春
斎藤秀雄
図書室で君とあいつを結んでる直線上に「点俺」を置く
高橋泰源(たいげん)
弟もわたしも抜けて犬だけがふっくらとする母の隣で
吉村おもち
💮お揃いの食器を重ね合わしてく神社も寺もない埋め立て地
とみた律
梅を見に行く坂道で走り出すあなたは春生まれ春育ち
砂崎柊(しゅう)
あぢさゐと旧(ふる)き仮名にて記すときインクの文字に亡き母が顕(た)つ
前川泰信
歳なんて連れ添いながら重ねたがふっと小声で旧姓を呼ぶ
笹原秀計(ひでかず)
声枯れのあなたの喉のざらざらの星をわたしに一つください
甲斐直子
折り鶴のはねをひらいて口に寄せ最後にいきをふきこむ祖母よ
佐々木泰三(たいぞう)

▪大久保佳代子さんの「いとしい気持ち」
おにぎりを新幹線で食べながら小さくなった母の背おもう
大久保佳代子
(エモーショナルな食べ物と無機質でよそ行きの新幹線という
場所の対比が切なさをより浮かび立てている)

▪ことばのバトン
つなぐとき ばとんはしっぽ だったから
岩下尚史氏
(柔らかくなるバトンが見えてきました)
つかみそこねて仰ぐ青空
(取り落としましてももう一回拾って
なんとか次の方にお渡しできれば
その方が取り返してくださるかもわからないから)

2023年4月10日月曜日

兼題「磯遊(いそあそび)」

印象派誕生させたる(ジャン・フレデリック・)バジール(無季句)
(塩塚)二時間かけて山肌走る野焼きかな
(塩塚)五年ぶり野焼きの炎宙を舞う
春の空馬路を見守る大銀杏
春驟雨今はとことん沈みゆく

■NHK俳句 兼題「磯遊(いそあそび)」
選者 山田佳乃 ゲスト 加藤諒 司会は柴田英嗣

今まで見過ごしていたことが目に入って
毎日が楽しく過ごせる

年間テーマ「俳句とエコロジー」
俳句の季題や季語には
昔ながらの生活の知恵が多く載っている
そうした季題を取り上げて無理のないエコロジーな
暮らしや楽しみを再発見していきたい

今週の兼題「磯遊(いそあそび)」
春の季語 旧暦3月3日前後 大潮のころに
潮の引いた浜辺で1日を過ごす年中行事
身を清め 厄をはらう 中国の風習
はまぐりのお吸い物 貝合わせ

▪名句de穴埋めクイズ
つまらなきものをも拾ふ磯遊   森田峠

豊かな自然があるということを
改めて実感できる季語

▪特選六句発表 兼題「磯遊」
童心の欠片(かけら)に気づく磯遊   君村類(るい)
手作りの竈(かまど)の煮炊き磯遊び   迎原夫(むかいはらお)
指笛で呼び合う子らの磯遊   未補
磯遊び家族でつくる貝合わせ   駒田博之
磯遊うすき光の二枚貝   鈴木マリ子(徳島市)
夕日もうセロハン色に磯遊び   内野悠(ゆう)

▪夏井家伝授!
家藤正人&中西アルノ 0からの俳句

楽器屋で0から俳句を体験!
俳句をやるときにも三種の神器 必要なアイテムがある
0から俳句POINT
紙・ペン・歳時記(季語集)
俳句を詠む時に使う「俳号」を決める
夏目漱石は愚陀仏 芥川龍之介は我鬼(がき) 
正岡子規はたくさんの俳号を使い分けていた
俳号にルールは特になし

中西アルノさんの俳号は青山ネモフィラに決定!

▪ゲストの俳句
知らぬ間に尻濡れたるや磯遊   加藤諒
「推敲」についての質問

▪特選三席発表 兼題「磯遊」
 磯遊びローソク岩の灯るまで   松本健(たけし)
 海側に何時(いつ)も父居(お)り磯遊   三好泥子(でいし)
💮 一歩二歩風につかまり磯遊び   鋤柄(すきがら)郁夫

柴田の歩み
4月 推敲で遊んでみる

2023年4月9日日曜日

鎮静剤&ギュッと!四国 兼題「若布」

頬に風馬場を見守る花吹雪
万物や生々流転桜散る
春行くや節約疲れずっしりと
啄木忌無駄な才能与えられ
水面の花に集まる魚ぷっかぷか

■ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場
兼題「若布」春の季語
季語のジャンル 
時候・地理・天文・動物・植物・人事(生活や行事など)

▪ギュッと!特選
ぬらぬらと鎌や水ごと刈る若布   藤雪陽
(質感を表現した描写 若布を刈る現場の臨場感) 

佳作 阿波の旅路やふんだんに若布汁   ひだまり
秀作 宿坊の鳴門若布の噛(か)み応え   井上さち
佳作 あれこれと思い悩まず若布汁   雪美
佳作 潮ぬるみ和布の林にむれる稚魚   頑固もん
秀作 和布採り舟の上下に合わす鎌   良馬
秀作 荒波にちぎれた若布拾う磯   いの鉄橋

▪秀作への道
①早替り緑滴る若布かな    さぬきの風
(擬人化 描写とは言い切れない。)
②熱湯にめざめる緑若布かな  大西けん坊
(擬人化 上五の熱湯で映像を確保)
佳作 ③沸騰し徳島若布緑濃き   黒田桜華
(動きと地名と「濃き」が描写されている)
秀作 ④鍋の湯に放てば碧(あお)く咲く若布   津島野イリス
(手の動きの詩的な表現)
秀作 ⑤みずからの碧(あお)に目覚めて若布の香   七瀬ゆきこ
(下五「若布の香」と嗅覚で押さえた点が良い)

■鎮静剤   マリー・ローランサン
堀口大學 訳

退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です。
悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。
不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です。
病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。
捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です。
よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です。
追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。
死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。

2023年4月8日土曜日

句集完成 特別永世名人 梅沢富美男ヒストリー

三百本の花の出迎え頂上へ
眩しいな春の陽だまり猫の恋
ディテールと質感を見る残る鴨
アングルのマニエリスムや忘れ霜
勝持寺(しょうじじ)の門をくぐらん飛花落花

■プレバト纏め 2023年4月6日
放送400回記念 特別企画!
句集完成 特別永世名人 梅沢富美男ヒストリー

頬紅き少女の髪に六つの花   2013年12月5日
(六つの花が季語 雪の異名)

ライン引き残してつるべ落としかな   2016年10月13日

旱星(ひだりぼし)ラジオは余震しらせおり   2018年8月9日

廃村のポストに小鳥来て夜明け   2018年9月27日

縫い初めの楽屋朝日は母にさす   2022年1月6日

白髪の薄色に染め春立ちぬ   2020年2月6日

添削(白髪のうすむらさきに春たちぬ)

真珠婚妻の手の染み冬紅葉   2020年11月26日

添削(手の染みも愛し紅葉の真珠婚)

読み終へて痣の醒めゆくごと朝焼   2020年8月13日

桜蘂降るハシビロコウ瞬く   2022年5月5日

名人が選ぶ最も印象に残っている句
森口瑤子選
左見右見(とみこうみ)風を抱くや鬱金香(うこんこう)   2016年4月21日  

花びらも乗車するなり春隣   2017年3月16日
(花びらは春の季語  春隣は冬の終わりの季語)

村上健志選
えり足に冬の風ありLINE消す   2017年11月30日
添削(首筋に冬の風ありLINE消す 冬の恋終りぬ消すLINE)

帰国の日アガシの白いハイヒール 2021年5月13日
添削(帰国の日アガシの白い靴の悲し)

榾(ほた)の宿主十八番の夢芝居   2022年12月1日

札止めの墨色の濃さ初芝居   2019年1月10日

おひねりや子役の見得に夏芝居   2020年5月28日

空のあお富士の蒼へと飛花落花   2018年4月12日

火恋し形見の竜頭巻く深夜   2020年11月12日

鷹鳩と化すカフェオレの白き髭   2019年4月4日

桐の花いつかは来ない紙袋   2020年6月4日

髭あたる泡の甘やか目借り時   2022年4月21日

湯玉ふつふつ春の厨の砂時計   2023年3月23日

特別永世名人梅沢富美男 締めの一句
兼題 シュレッダー
剪定や鋏の音の霏々(ひひ)として   梅沢富美男
添削(霏々とは雪や雨などがしきりと降る様子)
言葉摘むに似て剪定鋏の音

2023年4月7日金曜日

名言&夏井いつきのよみ旅!In長崎 前編

亀鳴くや与えられたり与えたり
春の暮信じて任せ感謝せり
春の夕焼けお独りさまを生き行かん
春かなし減点法の人生よ
落ち行かん花の中心赤く染め

■夏井いつきのよみ旅!In長崎 前編
のぼせもん街を動かす風車   川村隆男
(のぼせもんとは「かぶき者」活力のある人間
 清涼飲料水は夏の季語 ミルクセーキ サイダー レモン水)

春の海恐竜さるくヒーローと   武重胡桃(プシッタケサウルス)
(さるくとは長崎弁でぶらぶら歩くという意味。)

冴返る溶けたガラスに新世界   武田礼人
(冴返るは春の季語 春先に急に寒さがぶり返す様子)

ブローパイプ硝子に春の雪ふぶかせ   夏井いつき

思春期の「だけん何ね」と春の書庫   峰邦子

春の朝鎖り目編む手ロザリオよ   荒木智佳子

春祭り涙に濡れたパンダ面   小林奈々
(変面とは中国の伝統芸能 面を変える仕掛けは門外不出
 俳句にすることで自分の気持ちの整理がついた)

■名言
岩田聡 曰く
「安心して『バカもん!』と言える人と、
 腫れ物に触るように叱らないといけない人がいるんですよね。
 で、これはねぇ、ものすごい差なんです。
 こちらから与えられる量も、その人が吸収できる量も、
 ものすごく変わってくるんですよ。」

ビートたけし 曰く
「鳥のように自由に
 空を飛びたいなんていうのは勝手だけど、
 鳥が飛ぶためには何万回翼を動かしているか、
 よく見てごらん。」

榎本博明 曰く
「してあげたことより
 してもらったことに
 目を向けよう。」

新庄剛志 曰く
「苦労を楽しいと思う所までやっていくことが楽しい。」

林竹二 曰く
「『学ぶ』ということは、『変わる』ということです。」

赤塚不二夫 曰く
「バカっていうのは
 自分がハダカになることなんだよ。
 世の中のいろんな常識を無視して、
 純粋な自分だけのものの見方や生き方を
 押し通すことなんだよ。
 だから、バカだからこそ語れる真実って
 いっぱいあるんだ。」

2023年4月6日木曜日

言葉にできない、そんな夜。

明治より元勲(げんくん)の庭椿山荘(無季句)
(山形)有朋の息遣い聞く椿山荘(無季句)
山笑う(伊藤)若冲の羅漢石
石峰寺眠る若冲春陽射し
千体の賽の河原の五百羅漢(無季句)

参照:【伊藤若冲の最後の傑作が眠る】石峰寺(京都伏見)境内
https://伏見稲荷-御朱印.jinja-tera-gosyuin-meguri.com/京都・石峰寺/伊藤若冲の最後の傑作が眠る!!京都・伏見「石/京都-伏見-石峰寺せきほうじアクセス行き方/.html

■言葉にできない、そんな夜。
ゲスト 満島真之介 桐山照史 金原ひとみ 橋口洋平
司会 小沢一敬

▪テーマ 大切な人がつらい思いをしているとき
どんな言葉をかけたらいいんだろう

満島真之介 空、見に行く?

ドラマ「silent」脚本 生方美久
(セリフっぽくないリアリティーのある言葉)
無理なことってあるんだよ
無理してやったことって
無理なことなんだよ
無理すると、ほんとに全部
無理になっちゃうんだよ
やればできるって、
やらせるための呪文だよ
期待と圧力は違うよ

小説家 吉本ばなな 書き下ろし
何も言いたくなかったらいつも通り遊ぼう
もし話したかったら、黙って話を聞くから。
途中でトイレに行きたくなったら、
中断して、また聞く。
お腹が減ったら、
一緒になにか温かいものを食べよう。
食べながら聞くよ。

金原ひとみ 優しさが凶暴なまでに強い
心に分け入ってくる優しさ 私は苦手なんですけど
優しさの柔軟性が集約されていると思う
橋口洋平
相手主導でそこにいる優しさ
能動的受け身

ジャニーズWEST「涙腺」作詞 橋口洋平
なんか照れくさい言葉ほどまっすぐにこの想い
伝えてくれるから厄介だな
いつか言えなくなる前に受け取ってくれるか
ありがとう君がいて良かった

ストレートな言葉って刺しすぎちゃうから
届けづらい

金原ひとみ「ミーツ・ザ・ワールド」集英社
「私の店の近くに濃厚煮干しラーメンの
お店があるから行きましょ。
すごい煮干しラーメンっていう
店の名前だから覚悟しなさい」
「芋煮よ芋煮、
都会もんは芋煮知らないの?
最近皆寒そうだから芋煮作ったんだけど
作りすぎたから夕飯に食べなさい」
「悲しい時にお腹が空いたら
余計悲しくなるって知ってるから、
そんな悲しんでいる人に
食べ物を与えたがるんだよ。
ありがたくデブ活しな」
どんなに悲しくても腹は減る

▪こんな気持ちどう表現する?三日坊主の瀬戸際
満島真之介 
本当は今の自分ダイキライ でも、ダイスキ。
桐山照史
神様がくれた逃げ道
橋口洋平
「やらない理由」の逆襲
金原ひとみ 
運動するかしないかはもはや魂の取捨選択である。
小沢一敬
根気を逃す

▪テーマ 春の訪れを感じたとき言葉にならないあの瞬間
春の空気感
小説家 三浦しをん「神去なあなあ日常」
なんいしろ、春が一番だ。
春のわくわくするような気持ちと、
花や土や水の香りがまじりあった
空気の甘さに、かなうものはない。

耳人(みみんちゅ)降臨

橋口洋平 動詞で比喩を使う
Wacci「夏休み」
蛍が舞い まるで夜空
ここまで降りてきたみたいだ
浴衣の模様が咲き乱れてく

作家 池井戸潤「空飛ぶタイヤ」
三月の陽射しはすがすがしく、
まぶしかった。
冷えた空気にも春の到来を感じさせ、
なんとも言えないまろみがある。
(まろみとはかどのない、おだやかな状態。形・味などに使う言葉)

三島由紀夫「仮面の告白」
菜の花の黄も、若草のみどりも、
桜の幹のみずみずしい黒さも、
その梢にのしかかる鬱陶しい花の天蓋も、
何か私の目には悪意を帯びた
色彩のあざやかさと映った。
それはいわば色彩の火事だった。

三島の逆張り

2023年4月5日水曜日

人丸忌(ひとまるき)と十二単

花開く点灯された山の道
春の雨提灯揺れて花揺れて
桜咲く湿った空気ずっしりと
吉野川Swayきかせて春の鷺
妻の弾くピアノの音色春陽射し

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 人丸忌(ひとまるき)

誰かが亡くなった日を季語として扱うというのが
忌日というジャンルの季語になってきます
人丸忌というのは陰暦3月18日
誰の忌日かと申しますと
「万葉集」にも登場する柿本人麻呂の忌日です
実は同じ忌日として小野小町や和泉式部も
同じ忌日と扱われています
しかし柿本人麻呂は生没年不詳とされており
何故この日が近世初期の歳時記以来
人丸忌として成立しているのかは
ちょっとこの歳時記の記述だと
正確なところまでは分かり兼ねる側面があります。
兵庫県明石市柿本神社では
4月18日を中心として例祭が行われているようです
お近くの方は是非吟行に行ってみてはいかがでしょうか

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 十二単

「十二単」と聞いて皆さん思い浮かべるのは
平安時代 宮廷に仕えている女官たちが着ている
あの衣装を思い浮かべるのではないかと思いますが
実はこの季語はその「十二単」
着物を指すのではございません
植物の名前なんです
しそ科の多年草で丘陵地帯本州や四国の丘陵地帯で
よく見かけるということだそうです
高さは20~30センチ程度
スーッと縦に伸びた茎の周りに
四方八方に青紫蘇色の花をつける
そういう花なのだそうです
その花弁がうち重なりあっている様から
「十二単」という名前がついたよ言う説があります
一体どれだけ「十二単」っぽいのか
生のお花を眺めてみたいものです

2023年4月4日火曜日

題「公園」

(光の教会)十字架の放つ光よ春の景
(安藤忠雄氏)春光や内臓五つ取って生く
春北斗人生は覚悟あるのみ
青いまま人生を生く春の暮
いぬふぐり体弱るも強き意思

■NHK短歌 題「公園」
選者 川野里子 レギュラー 内藤秀一郎 深尾あむ 司会 ヒコロヒー

▪年間のテーマ「〈私〉に出会おう」
言葉に導かれて私に出会う
言葉をオブジェのように楽しんで欲しい
短歌という器に入れることによって
言葉に出会い直す

▪三十一音の物語
短歌にはたったひとつの決まりがある
五・七・五・七・七
初句 二句 三句 四句 結句
上の句      下の句

音楽が生まれたりルズムが生まれたり
それぞれの句によって役割があったり
仕掛けがあります

▪今月の題「公園」
公園に飼うはれゐし猫消えてをり置手紙せず餌皿のこして
河野里子
まず映像を思い浮かべる

▪入選六首 題「公園」
すべってもすべってもなお駆け上るタコ公園に影は伸びゆく
絹真結子(まゆこ)
シーソーがゆっくり上下にゆれている君と楽しむ春の月面
桑野豊
子のために名付けた「おばけ公園」がネットに広まりわたしも怖い
雨雨雨汰(あまざめうた)
「あさひ湯」の白いタオルが高枝に突き刺さりゐて風の公園
草波(くさなみ)ことり
💮そこはだめうちの金魚が眠ってる鬼から逃げる公園の隅
高垣満枝(みつえ)
ちきゅうって呼んでた遊具ぐるぐるに縛られ明後日の撤去待つ
牧野冴(さえ)

▪秀一郎 あむ ココカラ短歌
初句を作ってみましょう
初句 深尾 二句 内藤 三句 深尾 四句 内藤 結句 深尾

知らない子ニヤニヤしながら見る彼女ベンチにおとなりあたたかい春
お花見で君と食べるいちごさん赤い口びる冷めちゃったよ

もうひとりの自分を自分の中に用意する
新しい自分の発見になる

▪言葉のバトン
ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし傘もこんなにたくさんあるし
岡本真帆

ほんとうにあたしでいいの?に続く言葉
家のドアにクリスマスの飾りまだついてるし
キャベツが花を咲かせているし
チャーハンの素舐めてビール飲むし
パスタと一緒にソース茹でるし

五・七・五⇨七・七⇨五・七・五⇨七・七⇨五・七・五⇨七・七
歌人 岡野大嗣 ゆだねた先で行き先を眺める
つなぐとき ばとんはしっぽ だったから
バトンって自分が持って走っている時は
一体化しているような感覚
渡した瞬間から
ひとつの生き物のように自分から離れていく
この続きを繋ぐのは岩下尚史氏!
きゃぁ~!楽しみでなりませぬ。
嬉しい!嬉しい!嬉し過ぎます!

2023年4月3日月曜日

兼題「蒲公英(たんぽぽ)」

まるみおびコブシモドキや那賀で香
鳥雲に入る(とりくもにいる)憧れることなかれ
まろやかな香り届けりミツマタの
緊迫と威厳交錯春の潮
凛とした静けさの朝風光る

■NHK俳句 題「蒲公英(たんぽぽ)」
選者 夏井いつき アシスタント 家藤正人 司会 柴田英嗣
レギュラー 中西アリノ 

夏井さんが揚げる年間のテーマ「凡人からの脱出」
類想類句(一つのテーマや題に対して似たような
発想のもとに同じような表現で詠まれた句のこと)脱出

凡人からの脱出
凡人脱出ピラミッド
ボン 反ボン 脱ボン

今週の兼題「蒲公英(たんぽぽ)」
▪蒲公英の類想 「風を待つ」ボンの段
たんぽぽの絮飛ぶ風を待ちにけり   塩野谷慎吾
絮飛ぶ風を待つ⇨凡人基本ワード

蒲公英の絮ふうわりと風を待つ   松本逸郎
蒲公英の絮悠然と風を待つ   Aさん
蒲公英や絮群がりて風を待つ   秋山弘之
たんぽぽの絮旅立ちの風を待つ   駒田倭子

▪蒲公英の類想 「風を待つ」半ボンの段
たんぽぽにやつと待ちたる風が今   久保康輔
蒲公英の絮乗り切る風を待つ日かな   石原美枝子

▪蒲公英の類想 「風を待つ」脱ボンの段
蒲公英の絮風を待つ鳥を待つ   忍

連想類句は共感の土台

▪蒲公英の類想「吹く」アレンジパターン

風を待つ蒲公英の絮吹いてやる   逸見彬有
たんぽぽの絮吹き余しひと呼吸   梅田光憲
たんぽぽのわた吹けば吹くかたちへと   渡辺一成
描写=映像をつくる

アレンジパターン①
息を描写する

鬱憤を蒲公英の絮人吹きに   河豚ふく子
たんぽぽの絮吹く夢一つ失せし   遠藤恵子
取り合わせ 季語と関係のない単語を句の中に取り入れること
抽象名詞を取り合わせることで自分の思いをあずける

アレンジパターン②
関係のない単語との取り合わせ

駐在や蒲公英の絮吹き飛ばす   藤田晋一
たんぽぽの絮へ子の息父の息   髙木峯子
人物を置くことで周りの様子を読者が生き生きと想像できる

アレンジパターン③
人物を置く

▪夏井家伝授
家藤正人&中西アルノ 0からの俳句
俳句を体感

俳句の基本ルールとは?
0から俳句POINT
① 季語がある
② 五七五の十七音

正しい俳句の書き方テスト
縦書きで一行で書く 文字と文字の間は空けない

▪特選六句 兼題「蒲公英」
それが今ならば蒲公英を柩(ひつぎ)に   高矢実來(たかやみく)
清々(せいせい)と突っ立つ蒲公英の裸   高橋寅次(とらじ)
たんぽぽへひかりゆきわたれば風来(く)   古瀬まさあき
たんぽぽのぽぽと母校を明るうす   押見げばげば
(たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ   坪内稔典 原句)
撮り鉄は今たんぽぽに気がついた   中山月波
新任の教師に蒲公英の洗礼   長谷機械児(きかいじ)

▪柴田の歩み
4月 蒲公英からは100メートル離れてみよう

2023年4月2日日曜日

黒田杏子女史を悼む

ハルジオン追想の愛春を生く
蓮華草鉢に植えたり放したり
スズメノエンドウフェンスを伝い春を伸ぶ
ヒメウズやうつむきがちに春を咲く
ユウゲショウ人目に触れず艶っぽく

■黒田杏子女史を悼む 
徳島新聞より
夏井いつき著「瓢箪から人生」の愛読者カードの中に
「こんなにほめて頂いて恐縮です。
 150P~163Pに書かれているものです。
 ありがとうございました。」を、見つけたそうです。
明らかに杏子先生の筆跡だと気づいたそうです。

師とは一本の鋼のごとき「錨(いかり)」であると
夏井いつき先生はこの本で記されています。
表現の大海に身を漂わせていると
さまざまな迷いも生じてくる。
やろうとしていることが、これで実現できているのか。
そもそも、やろうとしている方向性に間違いはないのか。
そんな時は、この「錨」が命綱なのだ。と塾長。

杏子先生 曰く
「季語は結球しているべきなの。」
求肥の奥のに透き通る桃色の餡を指差しつつ
「ね、こんな具合に、一句のどこから見ても
 季語が結球して見えなくちゃいけない。」
身の奥の鈴鳴りいづるさくらかな   黒田杏子

「志を高く」「五感のアンテナを立て」「季語の現場に立つ」等、
杏子先生の言葉は塾長の胸に美しいさびのようにあるそうです。
師の言葉もその作品も、永遠にあり続ける
「一本の鋼のごとき『錨』」。
現世における死によって、
これらの存在や価値が変わるものではない。
妨げられるものは一切ない。
と、分かっているのだがひたすら寂しい。
ひたすら切ない。
悲しみが鈴のように鳴りやまない。
黒田杏子女史 2023年3月13日 享年84歳

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

2023年4月1日土曜日

給与明細で一句

朝八時春の草木と戯れん
春の雨開店前を並ぶ人
春愉し値引きシールの奪い合い
(角野隼斗氏)かてぃんの奏でるショパン風光る
(角野隼斗氏)春の星裸足でペダル踏みしめん

■プレバト纏め 2023年3月31日
春光戦決勝戦 給与明細で一句

1位 藤本敏史
給与手渡し春宵の喫煙所
(季語が主役に立てている。ほのぼのとした談笑とタバコの匂い。
 直に受け取る充実感と懐の温かさが思い浮かぶ。
 「宵」でお酒一杯飲みに行く会話も聞こえてくる。)

2位 皆藤愛子
ギャラ明細は二行療養の春
添削(「二行」の数詞にリアリティがある。
   季語を押し上げるため語順にした方が良い。)
療養の春ギャラ明細二行

3位 梅沢富美男
鞦韆に退職の日の花束と
添削(ブランコとの取り合わせは良い。
最後の「と」で自分がぽつねんといる。
要注意は助詞「に」が散文・説明的味わいになりかねない。
語順を変えて「に」に余韻を出すと良い。)
退職の日の花束と鞦韆に

4位 村上健志
保護シール剥がす手応え啄木忌
添削(保護シールへの着眼が良い。
   悩ましいのは「手応え」
   金銭に苦労した啄木への皮肉だと意図が離れる。
   「強(こわ)し」なら詩の純度を上げられる。)
保護シール剥がす啄木忌の明細
保護シール強し啄木忌の明細

5位 千原ジュニア
口座開設朱肉拭き取る夏近し
添削(季語の溌剌とした感じ。語順。
   季語に関しては本人の意思を尊重する。)
口座開設拭き取る朱肉夏近し

6位 森迫永依
本採用朧夜の缶チューハイ
添削(季語を含んだ11音の意図は良い。
   朧夜だと本採用の嬉しさを読みとれない。
   「通知」が来たことを入れると良い。
   季語「春夜」で嬉しさを示すと良い。)
本採用通知春夜の缶チューハイ

7位 横尾渉
春光の起業ゲーミングチェア届く
添削(「起業」に対して「届く」は違和感がある。
   自分のためのものが届くというニュアンスになる。
   起業らしさを表現するには「導入」を入れると良い。)
春光の起業ゲーミングチェア導入

8位 立川志らく
桜蘂降る陸自の戦車しづか
添削(桃色の地面と硬く冷たい戦車と対比が良い。
   「陸自」より「駐屯地」でリアリティを出せる。
   語順は「戦車」から始めると良い。私はお気に入りです!)
戦車しづか桜蘂降る駐屯地

9位 春風亭昇吉
職を辞したる尾崎放哉鳥曇
添削(知識をねじ込もうとした。この観点、私は大好きです。
   放哉は自由律俳句「咳をしても一人」を詠んだ人。
   何度か辞めたことを匂わせる表現にした方が良い。
   放哉らしさと季語への収斂が足りない。この添削良いですか❓)
またも職辞せる放哉鳥曇

10位 勝村政信
我が給与マックのバイトに負けた春
添削(連想類句によくある。詩がない。)
マックのバイトに追いつきたし春の我が給与

次週は永世名人梅沢富美男のこれまでの
歩みを紹介し名句を皆で味わう特別企画。