2023年3月31日金曜日

五木寛之氏の人生100年時代の生き方と小男鹿

岐阜蝶の今年(2023年)の羽化の早まりて
ずっしりとシロツメクサの髪飾り
春の木沢やミツマタ見ごろ黄金色
(木沢)二千本のミツマタ群生今見ごろ
大谷さんのMVPや春喜色(きしょく)

■五木寛之氏の人生100年時代の生き方
Q.迷惑をかけずに生きられる?
努力を続けることが老年の目的である

Q.夢の叶え方は?
努力は必要ないと思いますね
気持ちがある限りは続けることができるし
幸運にも恵まれると思います

Q.友人のいない人生は?
1人でも人間は暮らしていけると思ます
1人で生きるのもいいと思います

Q.生きることの意味とは?
ただ生きているだけでも
値打ちがあると思います
生きているだけで意味がある
ロシアの作家 マクシム・ゴーリキーは言っています
人生は愚かで愚劣で悲惨なものだと言っています。
だからと言って自分で人生を放棄するほど
ひどいものではない
人生は意味があるから素晴らしいから
命を大事にしようというより
よっぽどそっちの方が励まされる気がした
両親が早く亡くなっている
本当はもっと生きるべき両親に代わって
「1年でも長く生きてあげよう」
それが供養だと思って生きている
生きることにも
すごい値打ちがあると思っています

インタビューアナウンサーの後日談
人生は苦しいことが多いですよね
生きていく努力というのは明るく
楽しくやるというのが大事かもしれない
もっと明るい話がしたかったと仰られていたそうです

■日曜美術館 より
笙 銘「小男鹿丸(さおしか)」鎌倉時代
阿波の銘菓「小男鹿」はこれから名付けたのでは…?
https://www.suntory.co.jp/sma/collection/tobira/09/




2023年3月30日木曜日

業の花びら~宮沢賢治 父と子の秘史~

プーチン(大統領)に誰が渡すや逮捕状(無季句)
トランプ(元大統領)の手錠は誰がかけようぞ(無季句)
春雨の直撃受けし墓掃除
お彼岸や墓に寄り添う仏の座
しがみつくスギナの力彼岸過

■業の花びら~宮沢賢治 父と子の秘史~
夜の湿気と風がさびしくいりまじり
松ややなぎの林はくろく
そらには暗い業のはなびらがいっぱいで
わたくしは神々の名を録したことから
はげしく寒くふるへてゐる

ありあけの
月はのこれど
松むらの
そよぎ爽かに
日は出でんとす

大正10年4月4日の月を再現
二十六夜月だったのです。

賢治は父政次郎に対し
異性を愛することができない
という自らの不幸を打ち明け受け入れて貰えたと
考えるのが自然ではないでしょうか?

賢治もまたこの父との旅で業を受け入れ
業と共に生きる力を得たのではないでしょうか?

ひたすらに おもひたむれど
このこひしさをいかにせん
あるべきことにあらざれば
よるのみぞれを行きて泣く

業に対する政次郎の言葉
たとえ百劫を経るも所作の業は滅せず
因縁会遇の時、果報還って自ら受くと
弟清六:その訳はなんであるか?
これが仏教の神髄だといえば
誠に恐ろしいことなもんだ
百劫を経るも
悪いことをしたことも良いことをしたことも
滅するものではないということはな
本当に恐ろしいことなんだよ
百年経っても千年経っても
夢にまで出てくるんだからな
本当に恐ろしいもんだ

政次郎の弟清六の孫 宮沢和樹氏の言葉
賢治さんは凧 お父さんは下でそれを持っている人
お父さんは何とか現実の世界に縛り付けようとしていた
放したら飛んで行ってしまうからいなくなっちゃうから

宮沢和樹氏
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E6%B2%A2%E5%92%8C%E6%A8%B9

https://www.tohknet.co.jp/joint/pickup/vol15/



2023年3月29日水曜日

ザ・プロファイラー 燃やせ限りある命を

春の怪米露の突如逮捕状
人知れずほころぶ花の夕まぐれ
三分咲き日々声掛けん若桜
咲いてよし散って見事な山桜
八重桜虫に好かれて居座られ

■ザ・プロファイラー 燃やせ限りある命を
俳句の革命家 正岡子規

柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺
草茂みベースボールの道白し

俳句をものにしたければ思うままに書くべし   「俳諧大要」

僕はモーダメになってしまった
生きているのが苦しいのだ   漱石への手紙

病床六尺
これが我世界である
しかも
この六尺の病床が
余には
広過ぎるのである   「病床六尺」

天下万民が争い
名をあげたいと望んでいる
私もまた
この一大競争場に加わり
天下万人と争いたい   叔父への手紙

升さんは年長者に負けない
気位と元気に満ちていた
口でも筆でも何でもおいでと言った
才気渙発(かんぱつ)なところもあった   「子規を語る」川東碧梧桐

正岡という男は
一向に学校へ出なかった男だ
そこで試験前に僕が行って
ノートの中身を話してやる
あいつのことだから
ええかげんに聞いて
ろくにわかっていない癖に
よしよし分かった
などと言って丸飲みしていた   「正岡子規」夏目漱石

愉快とよばしむる者
たゞ一ッあり
ベースボール也   「筆まかせ」正岡子規

その人はみずからこの一団の中心人物かのごとく
バッチングを始めた
そのうちボールは余の立っている前に
転がってきて
その人に投げた
その人は失敬と軽く言って
球を受け取った
その一言が
なんとなく人を惹きつけるものがあった   「子規居士と余」高浜虚子

偶然手に取った俳句の本
中には身にしみて感じる句があった
その瞬間その句やその本がおもしろいと思っただけでなく
俳句という者が面白いと思うまでになった   「俳句の初歩」正岡子規

1885(明治18)年17歳 初めての句
雪ふりや棟の白猫声ばかり

友人たちを巻き込む

子規はみずから作句もし
同宿生や友人にしきりに俳句をすすめるようになった
黙っていると句題を壁に張り出して
さぁこの題だ!などと押しつけてくる
我々はついに防ぎようなくて
いよいよ俳句の仲間に加わることとなった   
「友人子規」柳原極道

1889(明治22)年21歳
結核の発病
卯の花をめがけてきたかほととぎす
(結核が自分にめがけて飛んできた)
この時から「ほととぎす」と書いて子規と名乗りようになった
余命を意識するようになった子規

夏目漱石が子規につけたあだ名は柿 
(ウマミはたくさんだがまだ渋みもヌケキレズ)
子規が夏目漱石につけたあだ名は大将
(何でも大将にならなけりゃ承知しない男であった)
2人で道を歩いていてもきっと自分の思うとおりに
僕をひっぱり回したものだ   「正岡子規」夏目漱石

過去の俳句を調べる
生涯で集めた句 12万以上

1889(明治22)年22歳頃
俳句分類
室町時代から江戸時代の俳句 季節 言葉で分類
この仕事が完結することはない   
ただ私の身が
死することを持って
完結とする   「俳句分類」正岡子規

天保以後の句はおおむね卑俗陳腐にして
見るに堪えない
だいたいが月並み調である   「俳句分類」正岡子規
(天保以降の俳句はパターン化し
似たような句が多くてつまらない)

時代が過ぎるにつれて
平凡な歌人ばかり
多く現れるのは
ひとつには
俳句そのものが
扱う範囲が狭いことが
原因だ   「獺祭書屋俳話」正岡子規

我が国の日はのぼりけり 不二の山
大空をとりまはしけり不二の山
月並み句からの脱却

1892(明治25)年25歳 新聞「日本」に就職
文芸欄の記者になる

掛稲に螽(いなご)飛びつく夕日かな
写生的な趣はこの時
初めて分かったような気がした   
まだ平凡な句が多いけれど嫌味がなく
垢ぬけたような気がして
自分の句ながらうれしかった
「獺祭書屋俳話」正岡子規

1895(明治28)4月27歳 従軍記者として大陸へ渡る
1895(明治28)5月 帰国途中喀血 帰国後入院

近頃は俳門に入らんかと考えている
時間ができた際にはご教示を仰ぎたいものだ   夏目漱石

松山に英語教師として赴任
俳句をしようと誘った

1895(明治28)年8月 松山へ帰郷する
漱石が名付けた愚陀仏庵で同居
毎日のように句会を開く
批評する立場になると活気づく子規

世間話の時はそうでもないが
俳句の批評を請う場合になると
黙って原稿に目が注がれる
その目つきが非常に怖い
一語一語がひしひしとこたえる   「思い出づるまヽ」坂本四方太

1895(明治28)年10月
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
柿などというのは従来詩人にも歌よみにも
見放されているもので
ことに奈良に配合(組み合わせ)すると
いうような事は思いもよらなかったことである
余はこのあたらしい配合を
見つけ出して非常に嬉しかった
「くだもの」正岡子規

新しい俳句の形を探求していく   この時28歳
鐘つけば銀杏散るなり建長寺   夏目漱石
時鳥と月を分類すると⇩

俳句会を徹底批判
俳句は文学の一部なり文学は美術の一部なり
すなわち絵画も彫刻も音楽も演劇も詩歌も
小説もみな同一の標準を以て論評し得べし
宗匠は伝統に沿った句を教えている
学識無き佳句無き廉恥無き節操無き今の宗匠
に対して余はほとんど改良進歩の望みが絶たれた
宗匠といえば程度が低く早く地底に葬って
その墓場より生まれる
新たな芽の成長を待つことを欲する
「文学八つあたり」正岡子規

芭蕉の俳句は大半が悪句駄句で
埋められており
最上といえるのは
わずかその何十分の一にすぎない
「芭蕉雑談」正岡子規

新たな俳句 写生
俳人 与謝蕪村
五月雨をあつめて早し最上川   松尾芭蕉
五月雨や大河を前に家二軒   与謝蕪村
絵として明確鮮明なのが蕪村

蕪村の発見はさあ根底からと言ってもいい程
まず子規を動かし
その興奮が我々にも伝染して初めて俳句の
大鉄槌で脳天をなぐられた驚きを感じていた
古人の恐るるに足らずぐらいの気迫を挙げていた
我々も参ってしまった
「子規の回想」川東碧梧桐
風景を目の前で見ているよう感じられた

写生句
春風にこぼれて赤し歯磨粉

家の中で句を案ずるより家の外に出て実景を見た前
実景はおのずと句になり、しかも下等な句にはならぬ
実景を見てすぐに句ができないこともあるだろう
されど目にとめていた景色は他の日に
空想の中で再現されて名句になることもあるなり
俳句仲間への手紙

子規の句会の提案により
自由に表現個性が発揮できるようになった

1895(明治28)年28歳
脊椎カリエスであることを医師より告げられる

余は驚いた
医師に対して
言うべき言葉の
5秒間遅れたなり
(余命はあと数年であることを意味していた。)

余の木皆手持無沙汰や花盛り   八木芹舎
夏嵐机上の白紙飛び尽す   正岡子規
知識から感覚へ変化 私はどう見ているか?

いくたびも雪の深さを尋ねけり
世界とのつながりは庭の草花だけだった
一輪の牡丹かゝやく病間哉
枝豆ヤ三寸飛ンデ口ニ入ル

病床六尺、これが我世界である
しかもこの六尺の病床が
余には広過ぎるのである
「病牀六尺」正岡子規

書くことの小苦痛のために
病気の大苦痛は忘れられていることが多い
書く時の苦痛は如何に強くても
この苦痛の結果が
新聞雑誌などの上に現れる愉快は
書く時の苦痛を消すに足るのである
「命のあまり」正岡子規

苦痛を和らげたのは弟子や友達

詩人去れば歌人座にあり
歌人去れば俳人来たり
長き日暮れぬ

病気の境遇となっては病気を楽しむ
ということにならなければ
生きて居ても何の面白みもない
「病牀六尺」正岡子規

1901(明治34)年33歳
筆を執ることもできなくなる
そんな子規を献身的に支えたのは母八重と妹律
なのに律に癇癪を起すようになる

律は強情なり
人間に向かって冷淡なり
特に男に向かってshyなり
「仰臥漫録」正岡子規

僕はモーダメになってしまった
毎日訳もなく
号泣しているような次第だ
僕はとても君に
再会することは出来ぬと思う
実は僕は
生きているのが苦しいのだ
書きたいことは多いが
苦しいから許してくれたまえ
夏目漱石への手紙

翌年にはモルヒネを使わなければならないようになる
自ら容体を題材に新聞の連載を続けた

絶叫。号泣。
その苦しみその痛み
何とも形容することは出来ない。
誰かこの苦しみを助けて呉れるもの
はあるまいか。
この苦しみを助けて呉れるもの
はあるまいか。

新聞社が連載を休止

今朝新聞ヲ
見タ時ノ苦シサ
ドーモタマリマセン
少シでも載セテ戴イタラ
命ガ助カリマス

1902年9月19日 正岡子規 死去(34歳)

絶筆の句
糸瓜咲き痰のつまりし仏かな   正岡子規

糸瓜の水は痰を切る
効果があると言われていた
その糸瓜を見ながら
痰が詰まっている自分は
既に仏となってしまった

生涯で書き残した句はおよそ2万4000
神野紗季女史 曰く
子規はマイナスをプラスに変える力を持っていた

岡田准一氏 曰く
悟りとはいつでも死ねることだと思っていた。
『悟りといふ事は如何なる場合にも
平気で生きている事であった』「病牀六尺」正岡子規
俳句を通して多くの人生を知り
豊かな人生哲学を育んだ

2023年3月28日火曜日

題「黒」

4年ぶり号砲響く阿波の春
春のマラソンほら貝太鼓阿波の径
春陽射したっぷり浴びる桜かな
鯉のぼり大歩危峡をごゆるりと
ロックオン白鷺ゲット吉野川

■NHK短歌 題「黒」
選者 佐佐木定綱 ゲスト 武田双雲 
司会 星野真里 レギュラー カン・ハンナ

▪冒頭の短歌
まっしろな壁に一つの黒としてアダンソンハエトリ生きてゆけ
佐佐木定綱

▪入選九首 題 黒
二番目も高校受験浴室の隅の黒カビ擦(こす)る春の日
梅鶏(うめどり)
黒真珠の真偽を疑う囁きがふっと途切れて出棺の時
小夏
③カン 君の手の甲の黒子(ほくろ)に指を置き呼び鈴よりも真剣に押した
大津穂波
黒板が見逃していく西ローマ帝国に住むひとの気持ちとか
よだか
雪の野の二つに分けて蛇行する墨より黒し一本の川
磯部剛
💮星野 私 黒帯の少女の視線揺るがなくポニーテールの毛先が揺れる
青山正美
黒板に書けば生徒の二十人間違えしまま書き写したり
佐藤隆司(たかし)
② 純白の砂糖に群がる黒蟻を一匹一匹我はつぶせり
仲原佳
武田双雲 洗ってもらう側から洗う側になり母のかかとに見つける黒子(ほくろ)
芍薬

▪佐佐木先生の短歌というドラマ
わからなくなれば夜霧に垂れさがる黒きのれんを分けて出でゆく
山崎方代(ほうだい)「方代」

佐佐木定綱先生
街頭で靴の修理をしながら各地を旅したことから
「漂泊の歌人」と呼ばれた
日常のことを日常の言葉で詠うタイプ
独特の深みがある
それまでの人生が凝縮されて
はじめて押し出された一首になっている
不思議な魅力のある歌人

武田双雲氏
抽象アート

佐佐木定綱
ドラマな部分 わからなくなれば
場面はおそらく酒場 屋台
それ以外はよくわからない
決意が最後にある
方代自身は傷痍軍人
「白きのれん」と
絶対に言えない状態
この歌は歌集「方代」の
巻頭に置かれている
歌に対しての決意も
託されている

武田双雲
大人になれば答えがあると思っていた
なのにどんどんわからなくなっている
現代の問題と似ている
答えはない
希望の光は差していない
それでものれんを分けていく
今の人たちに響く歌
「白きのれん」だと全く違う
暗闇の中に光が差し込んで
答えを導いてくれる何か
「救いの神」を全く出さない
方代自身が人生の中で
救われた経験があまりない?
人ではないか?

星野真里
のれん=柔らかい
扉・窓=硬質
ちょっとの力で分けられる

カン・ハンナ
黒は重みを感じる
「わからない」「決意」「覚悟」
いろいろな意味を持った「黒」

今回の歌を深く味わうためのポイント
「色」から連想される多様なイメージ・意味が
歌の世界をより深めてくれる

▪書の姿形 言葉を具現化するのが書道家
文字は言葉を目に見える形で表したもの

文字からいただいたものを誰かにつなぐ?
Communicationのツール
いい書は「心が動く」+「語れる」
方代と飲みたい

いい歌とは❓
自己完結している歌はあまりおもしろくない
みんなの盛り上がりが出る歌はすごく良い

武田双雲さんによる揮毫(きごう)「黒」⇩























黒を入れていく覚悟
ただのきれい事だけじゃない覚悟
「方代ワールド」に寄っていった

佐佐木定綱
黒は柔らかさと力強さ両方持っている

佐佐木定綱さんからの宿題
題「黒」で歌を詠んでください
透明の水が硯(すずり)に落とされて墨をすりすりじわじわ黒へ
武田双雲

2023年3月27日月曜日

題「庭」

亀鳴くやナッツに非ずピーナッツ
余裕なき時間を生きる春の朝
前向きて沈思黙考春の風
春の雲速度早めて何処へと
うららけし見守る地蔵穏やかに

■NHK俳句 題「庭」
選者 堀本裕樹 ゲスト 紅ゆずる 司会 武井壮

▪冒頭の俳句
太陽が出る苗札(なえふだ)のうしろより   辻田克己

▪あなたのエピソード俳句にします テーマ 庭
春の庭少女ふわりとピルエット   つるつるつるるん
添削(うらら 春の季語 「麗か」の傍題)
春の庭少女ふたりのピルエット
うらら少女ふたりのピルエット

我が庭ではじまりそうな猫の恋   春山羊
添削(感じたことを生かそう 
   早春 春の季語 立春から2月いっぱいくらいまで
   猫の恋 春の季語 早春の発情期を迎えた猫の行動のこと)
早春のにて見合ひする

▪入選六句 テーマ「庭」
日曜の庭に夫と地虫出づ   木染湧水(こぞめゆうすい)
季語 地虫出づ 地虫穴を出づの傍題
堂々と庭をはしごの猫の恋   盛田実
季語 猫の恋
これもまた引越準備菊根分   丹羽口憲夫(にわぐちのりお)
季語 菊根分 根分の傍題
ミモザ咲きレッスンの子ら庭に待つ   津布久(つぶく)信雄
季語 ミモザ
 梅の庭父が最後に見た景色   高山俊郎
季語 梅

「霜雪に色よく花の魁(さきがけ)てちりても後ににおう梅が香」
新選組初代局長 芹沢鴨

💮一株のパンジーよりの庭造り   伏見昌子
季語 パンジー 菫の傍題

▪ゲストのエピソード俳句にします テーマ「庭」
のどかさや枯山水の川のおと   堀本裕樹
季語 のどか(長閑) 春の季語

2023年3月26日日曜日

大谷翔平選手の言葉

蓮華草風と戯れ一人敗け
味噌汁とはじめて炊いた嫁菜飯
砂あらしパキロビットに見た日本
低温火傷まさか己が春の泥
亀鳴くや下腿一面低温火傷

■大谷翔平選手の言葉
「本当にシンプルですけど、どういう成果を得たいかによって、
今日どれくらいのことやらなきゃいけないかということが決まってきます。」

「自分の才能、自分のやってきたこと、
自分のポテンシャルをもっと信じたほうがいい。」

「160km出すよりも日本一になって岩手の方々に喜んで欲しかった。」

「栗山監督は僕がたいしたことない、
まだ無名だった選手の時から僕の可能性を見てくれていました。
だから、すごく信頼はありましたね。
この人なら大丈夫。
一緒にやりたいなっていう気持ちがどんどん出てきたって感じ。」

「今日やったことだけが、明日になる。」

「目標を立てればいいのではなく、
いかに目標に向かって真剣に取り組めるかも大切です。」

「今年はうまくいかないことも血肉になる打席が多いと思います。」

「『二刀流』誰もやったことがないからやっている。
自分しかやっていないところに魅力がある。
そこに、自分にしか出来ない仕事があるんじゃないか。」

「ムダなく、ロスなく、なるべく余分な動きを省いて、
最少の動きで投げたいなと思っています。」

「調子が悪い時にどうするかというのが一番大事なので、
そこが課題ですね。」

「『負けて良かった。』なんて思ったことは1回もないですし、
悔しい気持ちが次に向けてのモチベーションにはなりました。」

「今年はうまくいかないことも血肉になる打席が多いと思います。」

「160km/hの目標を掲げた時には『無理じゃないか』と言う声もあったが、
そう言われると、絶対やってやるという気持ちになる。
刺激というか、やる気になる。」

「人生が夢を作るんじゃない。夢が人生をつくるんだ。」

「憧れるのを、やめましょう。
今日、超えるために、トップになるために来たんで。」

参照:大谷翔平(Ohtani Shohei).bot@OtaniShohey

阿波史跡公園と徳島市立考古資料館へお花見に行って来ました。
開花宣言翌日にもかかわらず満開でした。
ちょっと残念でした。










2023年3月25日土曜日

レトルトで一句

ゆらりゆら亡父の植えた雪柳
またひらり落ち行く時間雪柳
揺すられてしがみついたり雪柳
川風やしっかりたんぽ根付きをり
踏まれても即、立ち直る蒲公英よ

■プレバト纏め 2023年3月23日
レトルトで一句

永世名人 富美男のお手本
梅沢富美男
湯玉ふつふつ春の厨の砂時計 
(苦節2年10か月 50句の句集完成❣
おっちゃんらしい締め括り。季節がキラキラし始める。)

永世名人 ジュニアのお手本
千原ジュニア
コロナ7日目レトルト絞る遅日 
添削(遅日は春の日暮れが日に日に遅くなること。
  俳句では漢数字表記が基本。あと少しのリアルを!)
コロナ日目レトルト絞り切る遅日

特待生昇格試験
森口瑤子
白粥は三日目春の風邪飽きた
(映像から心情へ。口語の効果が分かっている。)

1位 河野純喜
レンジ置き場は空早春の一人暮らし
添削(韻律がガタついている。
   自分の体験をいい分量だけ掬い取る才能がある。)
早春の独立レンジ置き場は空

2位 菊池桃子
春の風邪レトルト粥に夫の気持ち
添削(俳句は動作を詠む。あまやかな艶のある感じ。
  夫は「つま」と読む。)
春の風邪夫の買いくるレトルト粥

3位 平野ノラ
春眠やあちちと落とし目が開く
添削
春眠の眼よ鍋に沸かす湯よ

4位 朝日奈央
大試験レトルトカレーが救助待ち
添削(季語「大試験」大事な試験のこと)
大試験近しレトルト湯に溺る
大試験前夜レトルト湯に溺る

次週は春の3時間スペシャル!
春光戦!

2023年3月24日金曜日

イチロー&大谷翔平&俵万智の言葉

風光る上虚下実(じょうきょかじつ)の今日を生く
繰り返し跳ね返されて涅槃雪
尾瀬沼を群なし自生一人静
吉野川流れゆったりつくしんぼ
春場所や贔屓の力士けがを負い

■イチロー選手と大谷翔平選手の言葉!
ロッカールームで栗山監督に指名された大谷翔平(28)は
仲間の輪の中心に立ち話しました。

「僕からは1個だけ。憧れるのをやめましょう。
ファーストにゴールドシュッミトがいたりとか、
センターを見たら、マイク・トラウトがいるし、
外野にムーキー・ベッツがいたりとか。
野球をやっていれば、誰しもが聞いたことの
あるような選手たちがいると思うんですけど、
今日一日だけは憧れてしまったら越えられないんで。
僕らは今日、越えるために、トップになるために来たので。
今日一日だけは、彼らへの憧れを捨てて、
勝つことだけを考えていきましょう。
さぁ、行こう!」

大谷翔平選手はヒーローインタビューで語りました。
「日本だけじゃなく、韓国も台湾も中国も、
その他の国ももっともっと野球が大好きになってもらえるように、
その一歩として優勝できてよかった。」

イチロー選手が年間通算安打で、
1920年ぶりに新記録を樹立した際のインタビューで
「野球少年たちに何かメッセージは?」と聞かれた時の言葉。
「まぁこれは日本の子供だけでなく、
アメリカの子供もそうですけど、
自分自身の可能性をつぶさないでほしい。
そういうことは強く思いますね。
日本にいた時よりもこちらにきて強く思いますね。
あまりにも大きさに対する憧れや、
強さに対する憧れが大き過ぎて、
自分の可能性をつぶしてる人もたくさんいると思うんですよね。
自分自身の持ってる能力を生かすこと、
それができればすごく可能性は広がると思います」

■プロフェッショナル歌会
選者:俵万智女史
「大賞」
知りたくてあなたの底に降りてゆくはしごのように重ねる言葉 
清水晴架

「優秀賞」
立ち寄ったコンビニでパンを共に見る朝まで一緒にいれる
Mai・F

「佳作」
泡で出る恋をしたのだ少しだけきれいになつてすぐにこはれて
岡本恵

眼鏡取ると格好いいねと覗かれて世界がぼんやりしたまま帰る
そんた

向かい合い大口で食むナポリタン タバスコだらけの運命でいい
小松百合華

講評⇩
https://nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/?cid=profhk-tw-20230227-09

俵万智女史の言葉
短歌は、ときめきを閉じ込めるカプセルですね。
番組の中で「まだ言葉になっていないものを言葉で捕まえる。」
と言いましたが、みなさんが、それぞれの思いを言葉で捕まえて
見せてくれたのが、今回の
「プロフェッショナル歌会」だったなあと思います。
これからも、歌を詠むという豊かな時間を、
ともに持つ続けてくれたら嬉しいです。

2023年3月23日木曜日

格助詞「で」を掘り下げる④&治聾酒

理詰めには通じぬ思い春愁う
(WBC)大谷のあざときバンド春をラン
春の星(青木)繁の孫は(石橋)エータロー
見果てぬ春の夢(青木)繁と(福田)たねの子
春の闇(坂本)繁二郎は(青木)繁のテオ

■夏井いつき俳句チャンネル より
格助詞「で」を掘り下げる④【動作・状態の主体】

⑥動作・状態の主体
こっちで決める
こっちで話す 場所
ほし組はこっちで話す小春です
冬日向こっちで話そうと手を引く
こっちで話す 主体
上等のショールこっちで話すとは
諍いの冬こっちで話すから黙れ
年の暮会社で決めたことだから

■一分季語ウンチク 治聾酒(じろうしゅ)
一体「治聾酒」とは何だろう
ということなのですが
歳時記の解説を読んでも今一
分かるような分からないような
春分に最も近い戌の日を
春の社日とよびます
また春社とよびます
中国ではこの時に
土地神を祭る風習があるそうです
その日にお酒を飲むと耳がよく聞こえる
という言い伝えがあります
そこで飲まれるのが「治聾酒」だそうです
まさに読んで字の通り
聾、聞こえ難いのが治るお酒
という訳なんですが
特別に何か特定の品種のお酒を
指している訳ではないようです
あるいはひょっとしたら
そうやって酒好きが酒を飲むための
口実として売られていた
そんな背景もあるのかな
なんて想像するのもちょっと楽しい
俳諧味のある季語ですね

2023年3月22日水曜日

ひとり より

のどかなり笑顔の二度見にゃんこばん
春の陽や野掛(のがけ)一服ごゆるりと
捨てられた閉所恐怖症の子猫
月朧返信のなきラブレター
花曇隣の人は寝て食べて

■「星野立子賞の十年」より

病む人の枕を正す遅日かな   津川絵里子「はじまりの樹」

生ぜしも死するもひとり柚子湯かな   瀬戸内寂聴「ひとり」



「ひとり」より

柚子湯して逝きたるひとのみなやさし

生ぜしも死するもひとり柚子湯かな

仮の世の修羅書きすすむ霜夜かな

ひとり居の尼のうなじや虫しぐれ

春逝きてさてもひとりとなりにけり

独りとはかくもすがしき雪こんこん

御山(おんやま)のひとりに深き花の闇



子を捨てしわれに母の日喪のごとく

もろ乳にほたる放たれし夜も杳く      

おもひ出せぬ夢もどかしく蕗の薹

生かされて今あふ幸(さち)や石蕗の花

ほたる抱くほたるぶくろのその薄さ

落飾ののち茫茫と雛飾る

はるさめかなみだかあてなにじみをり

釈迦の腑の極彩色に時雨けり

天地にいのちはひとつ灌仏会

仮の世の修羅書きすすむ霜夜かな

おもひ出せぬ夢もどかしく蕗の薹

落飾ののち茫茫と雛飾る

人に逢ひ人と別れて九十五歳

花おぼろ第二の性を遺し逝く

初恋も海ほほづきの音も幽か

ぼうたんのうたげはをんなばかりなり

むかしむかしみそかごとありさくらもち

たどりきて終の栖や嵯峨の春



小さき破戒ゆるされてゐる柚子湯かな

寂庵の男雛は黒き袍を召し

氷柱燦爛(さんらん)訪ふ人もなき草の庵

二河白道(にがびやくどう)駈け抜け往けば彼岸なり

秋時雨烏帽子に似たる墓幽か



ひと言に傷つけられしからすうり

雪清浄奥嵯峨の山眠りけり

小春なり廓は黄泉の町にして

雛の間に集ひし人のみな逝ける

独りとはかくもすがしき雪こんこん

骨片を盗みし夢やもがり笛

句集題名の「ひとり」は
一遍上人の好きな言葉からつけたそうです。
生ぜしもひとりなり
死するもひとりなり
されば人とともに住すれども
ひとりなり
添いはつべき人
なきゆえなり

エッセイには交遊のあった作家のその人となりを描き、
その作家の句も添えられています。

露の身とすずしき言葉身にはしむ   高岡智照尼

門下にも門下のありし日永かな   久保田万太郎

初暦知らぬ月日は美しく   吉屋信子

舞初や心にしかと念じつつ   武原はん

羅(うすもの)や人悲します恋をして   鈴木まさ女

参照
大井恒行の日日彼是 
http://ooikomon.blogspot.com/2018/02/blog-post_28.html
すえよしの俳句ブログ
https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12478849537.html

2023年3月21日火曜日

題「元カレ・元カノ」

春の川小さき命の囲まれん
(太宰府天満宮)宮司への挨拶の語尾伸ばしをり(無季句)
思考停止か守株待兎(しゅしゅたいと)嫁菜摘む
(モディリアーニ)長き首目のなき女春の霜
陽春や花粉光環煌めきて

■NHK短歌 題「元カレ・元カノ」
選者 江戸雪、ゲスト 山崎樹範 
レギュラー カン・ハンナ 司会 星野真里

▪冒頭の短歌
雨の日のあなたのシャツの空色を忘れずにいるまた出逢うため
江戸雪

▪恋のフレーズ短歌
元カレ・元カノのイメージを七音のフレーズに表すと?

カン・ハンナ ダークチョコレート
山崎樹範 僕の細胞
星野真里 恋に恋した

あのころの□さようなら□ □
あのころのダークチョコレートさようなら恋に恋した僕の細胞

▪入選九句 テーマ 元カレ・元カノ
元気でね手を振る絵文字をつけながらもう触れ合わない湿度を思った
溝口のぞみ
玄関に枯葉が来てたもう君と手をつながない冬がはじまる
守谷直紀
カン ひとひらの約束そっと手放せば春だよ僕は君を忘れる
大野恭敬(やすたか)
彼女とはもう会うことはないだろう夢ではくりかえし赦されて
虫追篤(むそうあつし)
春風がたまに揺らしに来てくれる君だけにしか見えない羽根を
谷川利音(りおん)
元カレの名前を検索してしまう窓に張りつくヤモリのように
久藤さえ
💮星野 「元気?」って「ああ」ってふたり立ち尽くし折りたたまれた夜空が開く
星野さいくる
元カノの夢に私が出るときは笑った方がいいのだろうか
澁戸なずむ
山崎 動物園のキリンに変えたい人がいる時々ひとりで会いに行くから
小西和子

▪恋バナ短歌
君の声薄れゆくけど失ったCDは今日もビートを刻む
カン・ハンナ 添削
君の声薄れゆくけど僕たちのCDは今日もビートを刻む

CDのラックにできた隙間には君ぽろぽろと夜がこぼれる
星野真里 添削
CDを抜き去りできた隙間には君ぽろぽろと夜がこぼれる

「おかえり」が消えた2月のリビングで音もないのに舞うホコリたち
山崎樹範

音楽が涙を燃やすしゅんかんを見たいからこれ、貰っていくね
江戸雪

これからも思いがけないフレーズを楽しんでいきたいと思いました。
私は湿ったNegativeな表現は苦手だということがはっきり解りました。

2023年3月20日月曜日

兼題「雛・雛祭」

斉藤由貴は天才好み彼岸かな
白梅の凛とした影香り聞く
春の光や一瞬を輝けり
春怨や幸せを生き不幸を描く
春の空健気に生きる人と花

■NHK俳句 兼題「雛・雛祭」
選者 星野高士 ゲスト 戸田菜穂 司会 武井壮

▪冒頭の俳句
雛飾りつゝふと命惜しきかな   星野立子

▪会いたい俳人 星野立子
高浜虚子の次女として明治36年誕生
22歳で結婚
昭和5年26歳 俳句雑誌「玉藻」創刊・主宰
(出産4カ月後)
立子と娘 俳人 星野椿
なぜ泣くやこの美しき花を見て   星野立子
いつの間にがらりと涼しチョコレート   星野立子
「俳句というものは発音とその雰囲気でございます
 そういうものをじっくりと味わいながら
 なんとなくその句というものを解釈すると
 申しますか味わっていく
 それが大切な見方だと思うんです。」

立子忌 春の季語 三月三日 立子の忌日

星野高士氏の人生を変えた俳句
行人にかゝはり薄き野菊かな   星野立子

▪入選九句 兼題「雛・雛祭」
夕まぐれほのと明るき雛の家   山田由美子
戸田 父虚子を招き立子の雛まつり   新実達夫
②武井 カステラを分厚く切りて雛祭   城内幸江
カウンターバー一隅(いちぐう)の張り子雛   神保と志ゆき
(張り子とは型に重ねて貼り乾いてから型を抜いて作ったもの)
💮部屋中に色のあふるる雛祭   小栗しづゑ
人間をじつと見てゐる雛(ひいな)かな   梅澤春雄
女官(にょかん)まで届く陽射しや雛(ひいな)の間   沼元美穂
ほろ酔ひの耳にユーミン雛の夜   北山てるみ
 雨音に耳澄ますなり古雛(ふるひいな)   大橋祐子

▪戸田菜穂さんのお好きな俳句
天気がよすぎる独りぼつち   種田山頭火

2023年3月19日日曜日

米銀行破綻&目に良い食べ物&ハンス・J・ウェグナーの言葉

靴のまま歩く室内つちぐもり
春半ば中身一緒のメタモルフォーズ
春吹雪内容のなきモーフィング
風光る日銀トリオの英語力
魂の一刀木偶(でく)や春あした

■アメリカ
SilverGateBank 自主精算 3月8日
SiliconValleyBank 経営破綻 3月10日
Signature Bank 経営破綻 3月12日

参照:キャッチ!世界のトップニュース

私の尊敬するMichaelMcAteer氏の見解は
暗号資産に手を出したからと言っておられました。

米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は
シグネチャー・バンクの閉鎖について、
暗号資産(仮想通貨)とは関係ないとした。
しかし、シグネチャーの取締役を務める
バーニー・フランク元下院議員はこれを受け、
暗号資産と関係ないという見解に驚きを示し
「私はそれが要因だったと思う。
なぜ、閉鎖されたのか不可解だ」と語った。

参照:https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business

■目に良い食べ物!
クコの実、薩摩芋(安納芋)、
青魚(鮭)、柑橘系の果物(キウイフルーツ)、
緑黄色野菜(ケール、ほうれん草、ブロッコリー)、
ナッツ(ピスタチオ、胡桃、アーモンド)、卵黄、
シナモン、バナナだそうです。
現在、青魚、ブロッコリー、シナモン、バナナを試食中!

■新美の巨人たち
「世界一有名な椅子と北欧ライフ」より

私の作品は芸術品ではありません
手で触ってください
座ってみてください
そしてよく見てください
曲線を手で追ってつなぎ目を見て
心の流れを感じ取ってください
私の心 伝えたかったことを
ご自身の体を通して
少しずつ感じ取ってください
私は最もシンプルに明確に
それが伝わるようデザインしました
ハンス・J・ウェグナー 2007年没(享年92)

2023年3月18日土曜日

2023春光戦 予選B&Cブロック

フェンス越しぺこり挨拶黄水仙
春の霜悩むための悩みとは
何度目のわざとの痛み春の雹(ひょう)
蜜蜂のワクチン接種春の浪
春義務化マスク外して入店す

■プレバト纏め 2023年3月16日
▪2023春光戦 予選Bブロック
引っ越しで一句

1位 皆藤愛子
春日向カーテンの到着は明日 
(カーテン越しの光・風を想像させている。
 季語もテーマもしっかり描けている。)

2位 千賀健永
木の芽冷え青いジャバラで家具包む
添削(語順。これは私でも解った。
   木の芽冷え⇔木の芽晴れの使い分け。)
木の芽冷え青いジャバラで包む家具

3位 本上まなみ
新しき庭あたらしき泥の春
添削(具体性のあるものが不足。
   作者の状況が入れる余地がある。)
新しき庭赴任地は泥の春
新しき庭脱サラの泥の春

4位 中田喜子
春泥を引越し女房おお跨ぎ
添削(語順)
引越し女房春泥をおお跨ぎ
引越し女房いま春泥をおお跨ぎ
引越し女房ほら春泥をおお跨ぎ

5位 的場浩司
校舎裏抱きし犬の目春の月
添削
抱く犬の目よ春月の校舎裏

▪2023春光戦 予選Cブロック
入学で一句

1位 勝村政信
亡き妻と入学前夜のハイボール
(奥行と幅がかけている。私は
 予選の中では最高の句だと思いました。)

2位 森迫永依
新歓を断る理由春眠し
(説明臭が消えている。さじ加減が分かっている。)

3位 立川志らく
弟子入りの日墨色の八重桜よ
添削(「よ」の位置。オリジナリティー、リアリティーがある。)
弟子入りの日墨色の八重桜

4位 馬場典子
一年生さいしょのともだちだん子虫
添削(類句がある。時間経過を明確にすると
   リアリティーがのっかってくる。)
入学の朝ともだちだん子虫
入学三日目ともだちだん子虫

5位 こがけん
入学や書いては消してわが名前
添削(細かいことを詰めるのを覚えると力はつく。)
一年生おなまえ書いて消して書く

敗者復活戦に選ばれたのは
森迫永依 横尾渉 立川志らく

2023年3月17日金曜日

春日遅遅&シリコンバレー銀行の破綻

宗教の既得権益水草生ふ(みくさおう)
啓蟄のみつばち河川敷を舞う
愛されてなお愛されて春を逝く
春の葬優しく悼み深く礼
忘れ雪蛇従えて立つアテナ

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 春日遅々(しゅんじつちち)
これメインの季語としては「遅日」と書いて「遅日」
こちらがメインの季語としてありまして
その傍題として「春日遅々」が記載されています
前回「日永」という季語についても扱いましたが
かなりこれ似て非なる季語
一つの事象を違う視点から眺めている
そんな関係にあります
「日永」の方が陽のあたっている時間が
長くなったわねとそういう部分に
焦点をおいているのに対し「遅日」の方は
陽が暮れるの遅くなったねぇと
こちらの方に意識があるわけです
普通に考えるとどうしても陽が長いわねという方に
意識がいきがちなんですがこの「春日遅々」
遅々として暮れていく時間の方に
目を向けるというのも違った視点で
詠めるようになるかもしれませんよ

■Emin Yurumazu (エミンユルマズ)@yurumazu より

シリコンバレー銀行の経営陣
CEO → サンフランシスコFEDの役員
CFO → リーマンで破綻したFreddie Mac出身
CAO → リーマンの元CFO
その他リスク部門の幹部もほとんどリーマンでやらかしたところの出身。
リーマンショックの責任を問わなかったから14年経っても何も変わらない。

私感
国家公務員でもないのにこのような就職あっせんをしていたなんて…。
こんな企業を助ける値打ちなどありません。
シリコンバレー銀行の経営陣、幹部の資産は没収すべきでは…❓
起こるべくして起こった破綻ではないでしょうか❓

2023年3月16日木曜日

格助詞「で」を掘り下げる③&日永

春の空そちは雀かジョウビタキ
エゴン・シーレの描く生と死風車
春月夜エゴン・シーレへ浮気中
弱者への共感抱き春疾風
春の啄木鳥己をも失わん

■夏井いつき俳句チャンネル より
格助詞「で」を掘り下げる③【方法・原因】

動作・作用が行われる①場所②時③事情状況
身ひとつで 身ひとつで出戻る姉や雪しぐれ
④手段・方法or道具・材料
バスで行く 鉛筆で書く 粘土で作る
⑤原因・理由・動機
戦争で死ぬ 離婚で 雪しぐれ離婚で姉の戻りくる 

役満で上がる麻雀片かげり は宿題

表情で察する も括りが難しい

■夏井いつきのおウチde俳句
一分季語ウンチク 日永
読んで字のごとくといいますか
日が永くなってくる
そのことを「日永」というのですが
これは春の季語になります
しかし科学的に考えると少しおかしな所もあると
いえるのではないかと思います。
地球において最も日照時間
昼の時間が長くなってくるのは夏至付近になります
そうすると夏が本当は「日永」なのではないか
という話になるのですが
なぜ春の季語なのかといいますと
冬から春になってきて
今迄ずっと暗い時間が長かったのが
段々日差しのある時間が長くなってきたわねと
人々が感じている春にそう感じていることが
この「日永」が春の季語であるという
大事なポイントになってきます
冷静に考えたらどうなんだという所もあるのですが
その感じ方こそ季語 
生ものということになるでしょうね

2023年3月15日水曜日

日蓮&エゴン・シーレの言葉

甲子園初出場の寄付集め
春一番と21世紀枠
黒北風(くろきた)や滑舌悪きアナリスト
炭鉱のカナリアなのか春の空
昼食に伏せる瞼や春陽射し

■偉人・素顔の履歴書 「闘う仏教者 日蓮」
日蓮の言葉
日本国でいささか取り扱いに
困っている身を
九年まで帰依された志は
言葉では言い尽くせないので
いずこで死んだとしても
墓は見延の沢に
してくださるべきです

■新美の巨人たち 
ぼくの粗野な教師たちは
ぼくにとって常に敵だった。
今 ぼくは自分の人生に
命を吹き込まねばならない!
世に出たいんです
自分の芸術で世界に問いかけたいんです。
伊藤直子訳・編『エゴン・シーレ「自作を語る画文集」永遠の子ども』八坂書房

結婚するつもりです。
幸いなことにワリーとではなく。
シーレにはエーディトという女性が現れていたのです。
「死と乙女」1915年は最後に描いたワリーです。

あらゆるものは、生きながら死んでいる。
黒井千次訳・編「エゴン・シーレ魂の裸像」二玄社

グスタフ・クリムトが1918年2月 55年の生涯を閉じました。

ぼくらはすべて、何よりも時代の子供なのだ。
少なくとも この時代へと分け入る道を見出した、
そういう人間なのである。
黒井千次訳・編「エゴン・シーレ魂の裸像」二玄社

クリムトの死後8か月 妻のエーディトが
スペイン風邪で亡くなりました。
その3日後スペイン風邪を患ったシーレも
28歳で永遠の眠りにつきました。

ほおづきの実のある自画像 永遠の少年のまなざし

2023年3月14日火曜日

題「食わず嫌い」

愛方を日々愛おしく百千鳥
春の空トップになる子なれない子
春月夜でっかき器もてあそび
福寿草ちょっと早めに咲きました
主亡き家に一輪福寿草

NHK短歌 題「食わず嫌い」
選者 笹公人 ゲスト シュウペイ 司会 星野真里

▪冒頭の短歌
十二人家族のつくる納豆の大ドンブリのねばりを思え
笹公人

▪短歌の穴埋め挑戦!~グルメで一首~

嫌いな食べ物「イナゴ」と書きし少年が弁当箱の□を隠せり
笹公人

カン・ハンナ 葉っぱ シュウペイ 地味 星野真里 夢
笹公人 闇

▪入選九首 テーマ 食わず嫌い
💮ミント味だけをばあばに呉れるのねアソートチョコより選ぶ小さき手
田中啓子
 昆虫食を「SDGs」と言われても持続不可能コオロギソフトは
金尾桂子
微塵切りにしても見つけて食べぬなりカレースプーンの先の椎茸
高原晴子
②シュウペイ 冷凍庫にはあの人が置いてった初霜を抱くゴルゴンゾーラ
小野小乃々(このの)
淀みたる池に連なる蟇蛙(ひきがえる)の卵のようでイクラはきらい
高橋久美枝(くみえ)
星野 お茶うけにイナゴの佃煮嫁ぎきて好き嫌いなどないとは言った
原田りえ子
③カン 夏休み孫の育てたトマト食う八十余年食わず来たのに
添削 八月の孫の育てたトマト食う八十余年食わず来たのに
細野隆
食卓に載せることさえ拒否されて父が一人で喰(は)みていた海鞘(ほや)
水野文緒
エスカルゴこれだけは無理敷地内でんでん虫が昼寝しており
塩川サチ子

▪選者の話 歌人のグルメ
からすみを食ひたるあとの木の箱は源泉徴収票を入るるに良けれ
永田和宏

▪短歌ボナペティ
キーワード 絶望的
草むらでかくれんぼした苦き日々絶望的に時は戻せぬ
カン・ハンナ
洒落飯に焦がれた僕の絶望的に香るパクチー
星野真里
先輩の奥さん振る舞う全メニューに絶望的な緑散らばる
笹公人

2023年3月13日月曜日

兼題「野遊」

ただ一人クロスフィットに萌える春
初恋を遂に結実水温む
木蓮の蕾煌めく春の空
生き急ぐ人に遭遇春の雪
鳥雲に入る無意識と不安定

■NHK俳句 兼題「野遊」家族を詠む
選者 井上弘美 ゲスト 笠井信輔 司会 武井壮

▪冒頭の俳句
野遊びの靴脱ぐかへらざるごとく   井上弘美

茣蓙(ござ)の上の○を標(しるべ)や野に遊ぶ
不破博
作者は○の中に母を入れました。

▪入選九句 兼題「野遊」
一本のフォークギターや野に遊ぶ   萩原豊彦
野遊びのこぞの一樹に挨拶す   吉次薫
(こぞとは去年)
笠井 野遊びや空に幽(かす)かに残る月   植村弘
野遊びやときをり馬柵(ませ)に馬を呼ぶ   石井雅之
野遊の子らカチューシャのうさぎ耳   橋本美重子
②武井 野遊びや松葉相撲の勝ちは母   湯浅さち
聞き做(な)しの小鳥間近く野に遊ぶ   椎木(しいき)茂子
舟形の石棺(せっかん)眠る野に遊ぶ   中田昇
💮子の結びくれし靴紐野に遊ぶ   大谷博光

▪俳句ナビ 添削コーナー
軽井沢野遊び愛しい三兄弟   笠井信輔
添削(中七にしたい。材料が大過ぎる。)
野遊びの三兄弟を愛しめり

子がすこし怖がる仔牛野に遊ぶ
添削(動詞を減らすと印象的な句になる。)
野遊びの子にはじめての仔牛かな

子を追ひぬ追ひつかぬやう春遊び
添削(三段切れを解消する。)
追ひつかぬやうに子を追ふ春遊び

眉のよく似て野遊の一族郎党
添削
野遊の一族眉のよく似たる

2023年3月12日日曜日

ギュッと!四国 夏井いつき俳句道場

歩み止め懐旧(かいきゅう)の念いぬふぐり
雪化粧の盆栽なお凛として
早々と蜂須賀桜ほころばん
フォローせんフォローされたり春二番
鼻甲介(びこうかい)いつまで腫れん鳥帰る

■ギュッと!四国 夏井いつきの俳句道場
兼題「鰆(春の季語)」
鰆は出世魚
関東では…ワカシ(ワカナゴ)→イナダ→ワラサ→ブリ
関西では… モジャコ→ワカナ→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ「ハマチ」

▪放送された句
鰆など夢また夢のわが家かな   むっちゃん
未だにサワラの全体像を見ず   のりのり
(季語を書く時は基本漢字で表記する。)
全貌は父の図鑑で知る鰆   佐竹紫円
佳作 目の青き鰆まな板はみ出せり   アリマノミコ
(描写と実感が表現されている。)
秀作 鰆の身の薄桃色や皮光り   おきいふ
鰆来る義母の見まねで苦労する   てるちゃん
佳作 味噌の香や形崩さず鰆焼く   モリゾー
秀作 ぶしゅぶしゅと味噌焼き上げて鰆来る   そまり
新人も経験重ね鰆成り   重じいじ
(季語を比喩として使うと鮮度が落ちる。)
暖かい陽気誘われ鰆焼く   まさやん
佳作 鰆焼く山並み舐める雲の影   碧椿
秀作 女木島(めぎじま)の風はやはらか椿船   土佐藩俳句百姓豊哲

▪秀作への道
またやった味噌漬け鰆焦げ多し   ミロミミ
やっちゃった鰆のみそ焼き少し焦げ   花の首飾り
類想類句が多かった。
連想(似たような発想) 類句(ほぼ同じ作りの句)

佳作 味噌すぐに焦げてしまひぬ鰆焼く   春海のたり
(結果を描くのではなく状況を描写する。)
秀作 やんわりとかまいすぎずに焼く鰆   佐川碧
(視点を変えて詠う。)

▪ギュッと特選
十分に鰆と呼べる一尾かな   渡辺香野
選句のポイント
鰆の特徴「出世魚」を表現
(最後の詠嘆(かな)も「皆さんはどう思いますか❓」と尋ねるのも良い。)

2023年3月11日土曜日

名言

春の雪心のままを呟かん
一割の喜びを詠む春あした
春疾風(はるはやて)失われゆく古来の美
若冲の墨絵を照らす春の月
春の陽や松煙墨の描き分け

■名言
シャーロックホームズ 曰く
「あなたの今度の事件の一番の難点は、
 証拠が有り過ぎるってことでした。
 そのため、最も肝心なことが、
 どうでもいいことの陰に隠れてしまったのです。」

タルムード 曰く
「運命に逆らえば運命に支配され、
 運命に適応すれば運命を支配できる。」

ジョン・レノン 曰く
「人生とは、
 いろいろと他の計画を立てている時に
 起こっているものである。」

中村天風 曰く
「持たなくてもいい重い荷物を、
 誰に頼まれもしないのに
 一生懸命ぶらさげていないか?」

本田望結さん 曰く
「逃げ道の先には、行き止まりしかない。」

武田双雲 曰く
「ワクワクは人を動かす楽しい感情ですが、
 結果がわかっていることに対して
 人はワクワクしません。
 つまり不安は、ワクワクの源でもあるのです。」

2023年3月10日金曜日

名言

自然への畏敬の念よ朧月
朧月軽妙洒脱(けいみょうしゃだつ)に生きにけり
石鹸玉(しゃぼんだま)光を受けたオダリスク(女奴隷)
春の朝川鵜群れなし忙しなく
あるがまま言葉紡がん春の星

■名言
五木寛之 曰く
「たとえば、足もとに目を落としたとき、
 そこにくっきりした濃い黒い影がのびていれば、
 自分が背後から強い光に
 照らされていることに気がつくでしょう。
 上を見ることだけが
 光を探す手段ではないのです。」

藤田嗣治 曰く
「モデルの瞳に感動したら瞳から描け。
 首筋に感動したら首筋から描くのだ。
 そのとき、手や髪や足が
 画面からはみ出したっていいではないか。
 左手が右手より長くなっても、
 ちっともかまわない。
 画面から感動が伝わってくるのは
 初心の感動があるかないかである。」

酒井哲也 曰く
「私は一つでも多くの疑問を知識に変えて、
 人生を進みたい。」

エルバート・ハバード 曰く
「良い記憶力はすばらしいが、
 忘れる能力はいっそう偉大である。」

ロザリオ・モラレス 曰く
「私は私。
 そのままを受け止めてくれるか、
 さもなければ放っといて。」

デール・カーネギー 曰く
「あなたが明日会う人々の3/4は、
 『自分と同じ意見の者はいないか』と
 必死になって探している。
 この望みをかなえてやるのが、
 人に好かれる秘訣である。」

2023年3月9日木曜日

お役立ち哲学と格助詞「で」

春の月動かし難し運命よ
霾(つちふる)やつべくそ抜かせ恥を知れ
砂あらし金に縁なき人生よ
余裕なき音を刻まん春あした
春景色あらゆるものを尊ばん

■ロッチと子羊 より
お役立ち哲学
▪バタイユ哲学の要約
「知」と「非-知」はくり返されます
「知」に対して違和感を感じることこそが
大切なのです

「知」=合理的なもの
「非-知」=異質なもの
知の意味の問い直しが非-知となり
それが定番化して知となる
知の意味を問い直すことが始まる

VMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)
視覚的効果を狙った演出で購買意欲を
持たせるマーケティング手法

▪ユクスキュルの要約
我々が住んでいる世界では
客観的な現実ではありません
「環世界」なのです

それぞれの生物が持つ知覚で
世界を捉えている

ユクスキュル哲学
世界は客観的に
存在しているのではなく
日々私たち自身が
働きかけて
つくり上げているのです

■夏井いつき俳句チャンネル
格助詞「で」を掘り下げる②【状況・事情】

動作の作用が行われる 時の
③事情・状況
 はらぺこで帰る
 ただでもらう

パチンコ屋で母を探せり年の暮れ
春どなり三十分で消える雲

身ひとつで出戻る姉に雪しぐれ   夏井いつき
役満で上がる麻雀片かげり   家藤正人(原因?)
文なしで乗れぬ電車のゆく時雨   家藤正人

2023年3月8日水曜日

蒲生氏郷辞世の句&北條民雄「いのちの初夜」

生き残りかけ鳥の競演春の空
朧月愛と絆の一体感
遂に成功空飛ぶクルマ浮上せり
二人静独占欲の殺戮
いちご大福三個食たいらげた春

■蒲生氏郷 辞世の歌(興徳寺 福島県会津若松市)
限りあれば
吹かねど花は
散るものを
心みじかき
春の山風

■100分de名著 北條民雄「いのちの初夜」
絶望の底にある希望

北條民雄の作った童話
体がどんなに小さくても、
あの広い広い青空も、
そこを流れて行く白い雲も、
それから毎晩砂金のように光る
美しいお星さまも、みんな見えます。(中略)
それから、
誰も見てくれる人がいなくても、
わたしは一生懸命に、
出来る限り美しく咲きたいの。
どんな山の中でも、谷間でも、
力一パイに咲き続けて、
それからわたし枯れたいの。
それだけが
わたしの生きている努めです。

北條民雄の友人の回顧
彼は血色のいい顔をして、
眼はきらきらと輝いていた。(中略)
いつもの彼とは容子が違う。
それが死ぬ前の最後の燃え上がった
生命の力であるとは
私は気がつかなかった。
おれは恢復する、おれは恢復する、
断じて恢復する。
それが最後の言葉であった。
東條耿一「臨終記」より

1937(昭和12)年12月5日早暁
北條民雄 死去

早朝なくなりましたが、その日の夕方には
川端康成が駆けつけています。
肉親でさえ遺骨を引き取りに来ませんでした。
川端康成は霊安室で北條の顔を確認しています。
北條の死の翌年(1938年)
川端の編纂した「北條民雄全集」が刊行
北條に対する川端康成の最大の賛辞

中江有里女史
北條民雄が生きた証としてこれを残した
生きるということを本当に真正面に向かて
書いた人なんだと胸を打たれた

伊集院光氏
自分がなにかに絶望して
世の中で独りぼっちになっときに
「さぁ何ならできるんだ」
と考えると生きていける
この本から一番与えてもらったこと

2023年3月7日火曜日

題「卒業」

「エラー失敗の法則」より
雪印7人からをもう一度
忘れたか健土健民この思い
風光る行動規範今一度
春望や意識改革なしてこそ
春の闇汚水一滴汚染せり
信じています待っております雪印
#雪印

■NHK短歌 題「卒業」
選者 栗木京子 レギュラー 本髙克樹 矢花黎 司会 小沢一敬

冒頭の短歌
卒業式終経て仲間と神戸までドライブをせり雨の日なりき
栗木京子

短歌侍への道
▪Lesson1
季節を表わす描写

蛇っぽい模様の筒に入れられた卒業証書は桜の匂い
穂村弘

▪Lesson2
視聴者のエピソードを短歌に
案の定今日の呼名はぎこちなく雪解け水が水尻を流る
矢花黎 添削
名前呼ぶ先生の声ぎこちなく雪解け水が水尻を流る

「あいざわ」と呼び涙する先生の「わたべ」まで待つ陽春の時
元髙克樹

三年間瞬間ごとの想い出を溢れ出させる恩師の涙
小沢一敬
三年間コマ送りして想い出を溢れ出させる恩師の涙

▪入選歌紹介 テーマ 卒業
学習田(でん)に育てしお米のばら寿司を食みて卒業六年二組
真鍋小竹
こんなにも広かったんだこの部屋はレンタル袴畳む手を止め
六浦果乃子
押入れの奥で5Kgのダンベルのプレスに耐える卒業アルバム
横浜J子
壇上に卒業証書を受けるとき袖口の綻び白く光りき
花水木浩
君がいた十一年の日々が過ぎ涙あふれる推しの卒業
湊正気(まさき)
💮避難所の「祝卒業」の看板と紅白幕があの日の記憶
遠藤立子

▪Lesson3
出演者のエピソードを短歌に

ポイント
ユーモアを季節の描写に託す


狭き町卒業式で泣いちゃうと入学式で合わす顔なし
小沢一敬 添削
狭き町卒業式で泣いちゃうと入学式合わす顔なし

卒業式女子の涙から目を逸らし桜を眺む十二歳の小沢
元髙克樹 添削
卒業式女子の涙から目を逸らし桜を仰ぐ十二歳の小沢

体育館別れを告げた学友と二十日後出会う桜の木陰
矢花黎 添削
体育館泣いて別れた学友と二十日後出会う桜の木陰

▪短歌対決
校庭の桜が鼻をくすぐれば十年会わぬ友思い出す
矢花黎 添削
校庭の桜が鼻をくすぐればもう十年か友に会いたい

果てしない桜並木で学位記をポツンと置いてシャッターを押す
元髙克樹

誰となく尾崎豊を歌い出すまだ白い息最後の下校
小沢一敬

競い合い褒め合い伸びてゆく木々よ短歌の森でまた会いましょう
栗木京子

私感
こんなに上達出来るものなのですね。
素晴らしいと思いました。
これからも短歌を詠み続けてくださいね。

2023年3月6日月曜日

内海倫太郎先生告別式にあたり…。

内海倫太郎先生告別式にあたり…。

令和5年3月2日 内海倫太郎先生がご逝去されました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

数知れず告別式に参列してきましたが
これだけ心を撃ち抜かれた告別式はありませんでした。
葬祭場に入るなり「for You」が流れていました。
次から次へと流れる曲は倫太郎先生の十八番だったみたいです。

田中英和先生の心のこもった弔辞に思わず涙が零れ落ちてきました。
故人とのおつきあいをメモなしで理路整然とお話しくださいました。
故人を倫太郎!倫ちゃん!と呼んで話しかける一言一言に愛を感じました。
最後の言葉を吐露された時には私は鼻水まで…。

紀代先生のお礼の言葉では涙腺崩壊状態でした。
気丈に話される紀代先生の横には倫太郎先生の気配が…。
倫太郎先生は亭主関白でいらっしゃったとか…。
きっとシャイでいらしたのではないでしょうか?
生前の倫太郎先生のカラオケの絶唱は全て紀代先生へのお気持ちだったのではと思いました。
カラオケでは紀代先生への気持ちを歌われていたのでは?と思いました。
昨日、倫太郎先生はずっと紀代先生と踊っておられたように感じました。
Rumba、Waltz、そして最後はTangoを…。

こんな幸せな人生を歩まれた倫太郎先生!
これからは紀代先生を守って差しあげてくださいね。

それから、霊柩車を見送るべく外に出てこられた
田中英和先生はADELE PRESTON先生の手をしっかりと握っておられました。
益々、ファンになってしまいました。

倫太郎先生のことはずっとずっと忘れません…。
温かいお心をおかけくださりありがとうございました。



兼題「凧(たこ)」&名言

風光る古事記は音を伝へをり
(村)上様のボールをキャッチ(WBC)強化合宿(無季句)
どどんぱの大輪の花春の空
春時雨傘より小さき男の子
春日和タイパ極めてテレワーク

■NHK俳句 兼題「凧(たこ)」
選者 髙柳克弘 ゲスト 鈴木砂羽 司会 武井壮

▪冒頭の俳句
立錐の余地なきバスや凧合戦   高柳克弘

▪俳句と映像 動画を観ながら俳句を楽しむ
春の季語 石鹸(しゃぼん)玉 風車 風船 そして 凧
(風を感じるから)

几巾(いかのぼり)きのふの空のありどころ   蕪村

空五月ヤイショのかけ声熱おびて   鈴木砂羽


▪入選九句 兼題「凧」
凧ひとつはや揚がりをり朝戸風   渡嘉敷五福
膝抱へ乾くを待てり凧の糊   犬山裕之
島一つ下げて揚がれる鬼楊子(おにようじ)   原隆治
尾の伸びて縮みて空を凧(いかのぼり)   丹下京子
 赤城山凧など軽く吹き飛ばし   西村晃
武井 子に渡すタイミングだが凧(いかのぼり)   滝田孝子
💮三陸の松まだ低し凧(いかのぼり)   村上脩
凧合戦首の痛みをあとまわし   泉屋昌平
②鈴木 炭酸の泡のいきほひ凧あがる   鶴小なみ

▪お題動画で一句
天地人繋ぎし凧の糸細く   武井壮

海の王さながらに舞ふいかのぼり   高柳克弘

■名言
高杉晋作 曰く
「困ったと言ったとたん、人間は
 知恵も分別も出ないようになってしまう。」

堤幸彦 曰く
「悪いことするなって言ってるんじゃない、
 ダサいことするなって言ってるんだ。」

松岡修造 曰く
「味のある人間って言われてますか?
 中身のある人間って言われてますか?
 イワナ見てみろよ!!
 イワナはなあ、余計な味付けいらねえんだよ。
 自分に中身がある。
 ダシが凄いついてるんだよ。
 イワナ見習って生きろ!!
 中身で勝負だ!!
 これから!!
 ダシのある人間になれ!!」

2023年3月5日日曜日

俵万智 プロフェッショナル仕事の流儀

永遠求め変化続けん竜天へ
阿波と記し過疎と読むらん花曇
春コート歳を忘れてバーバリー
春の泥詩と人生の比例なき美
春の風邪インフル?コロナ?花粉症?

■プロフェッショナル仕事の流儀 俵万智
「サラダ記念日」から36年歌人俵万智は「存命なう」

「この味がいいね」と君が言ったから7月6日はサラダ記念日

言葉に関してはしつこいよ 根に持つタイプ

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに
小野小町

思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ
寄せ返す波のしぐさの優しさにいつ言われてもいいさようなら
ノンフィクションカメラの朝のパトロール現行犯で今撮っている

我が部屋に銀杏降らねば小さめのゴミ箱探す東急ハンズ
添削
小さめのゴミ箱探す霜見月イチョウ降ることなきリビングに

言葉になっていない言葉を捕まえろ
皆が感じているけれど、まだ言葉になってない
感情とか思いとか風景とか出来事とかに
言葉で印を付けていくっていうか
それが詩のひとつのかたち
大きな仕事だと思うんですよね

おしゃべりな洗濯機今日は「こんにちは」のみにてなんだ、寂しいじゃないか

商品名よく見ればヤワラカクナールでなくてヤワラカナール
五十肩正式名称肩関節周囲炎也深夜激痛

街角ですごい久しぶりに直立不動型のポストを見つけたりとか
何かほんとに不意にやってくるよね
そういうときめきや思いがけないことっていうのは
日常って同じことの繰り返しのようで平凡で
どちらかというとつまらないものって
いう風に思われがちかもしれないけれど
平凡な日常は、油断ならない

もう一つのこだわりは悲しいだけの短歌は詠まない
肯定する なにか物事を否定的に見るんじゃなくて
できるだけいいところを見つけることに
自分自身がときめく そういう性格っていうか
そういうさががあるんだけれども

さよならに向かって朝がくることの涙の味でオムレツを焼く
(たとえ9割悲しくても残り1割の前へ進む気持ちを歌にする)

又吉直樹氏の好きな短歌
疑わずトラック駆けてくる一人すでにテープのないゴールまで

デートって約束っていうことだからね
約束した時からデートは始まっている
というのが私の説だし
今日は約束してるからデートって言ってもいいと思う

思いきり愛されたくて駆けてゆく六月、サンダル、あじさいの花

潮風に君のにおいがふいに舞う抱き寄せられて貝殻になる

恋をするということは
すごく心が柔らかく敏感になることだから
ほかの日常の歌もすごくたくさんできる

恋の歌するりと逃げて藪の中三人で見るイルミネーション

だからやっぱり現実を反映するんだね歌はね

渋いことあったら私も試そうか皮をむいたり茹でて干したり
(茹で時間は5秒)

模様から模様作らず言葉から言葉つむがずなんやろねって
20年くらい心に沈殿している言葉が
浮かんでくるということもあるんですよね

短歌っていうものに出会ったときにここは自分の居場所だし
ここは自分のやりたいように
やろうっていう気持ちもあったと思うし
自分が歌を作るんだったら
自分の表現として作ればいいっていうのは
割と最初から揺らいでなかったと思いますね

本当(短歌は)魔法のつえだなと思って
うれしくて楽しくて仕方がなかったんだけど
だんだんそのつえが手になじんできたら
いろいろそれで悪さもしたくなるっていうか
お皿に凝ったり器に凝ったり盛りつけに凝ったり
ソースを工夫したりっていう感じで
歌を出すっていうことの
チャレンジはいちばんした歌集ですね。(チョコレート革命)

水蜜桃(すいみつ)の汁吸うごとく愛されて前世も我は女と思う
焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き

生きるとは手を伸ばすこと幼子の指がプーさんの鼻をつかめり
眠り泣き飲み吐く吾子とマンションの五階に漂流するごとき日々
最後とは知らぬ最後が過ぎてゆくその連続と思う子育て

原点に戻してくれたなっていう感じはあった
初めて短歌に出会って作る喜びを知ったときの感じ
器とかいらんやんソースとか盛り付けとか関係ないっていうかさ
言葉から言葉をつむいでいくとどんどん心が置き去りにされる
だから言葉と心は一体だってことを忘れずに言葉は使うってことかな

言葉には心が張り付いている

欲しいものたくさんあるのに買えないの君の隣は高いんだから
月1回ホストクラブでホストが詠んだ短歌

自分ももう60になろうとしていて
自分自身もやっぱり老いていったり病気も結構したりして
そうするとますます気分としては否定的になる人が多いかもしれない
でもここまで来たらやっぱり老いとか病も
すごく意味のある肯定的なものとして捉えて
歌作っていけたらいいかなっていうようなことを
ちょっとぼんやり考えた

言葉そのものの歌って凄く難しいですよね
中々下の句が見つからなかったんだけど
これもやっぱりアボカドの水栽培が大好きで
しょっちゅうやっているんだけど
アボカドはなかなか芽が出ないし
根も生えてこないんだけれども
それぐらいの感じで待ってても
いいんじゃないかなと思って
「言葉から言葉つむがず」のあとに
「テーブルにアボカドの種芽吹くのを待つ」

言葉から言葉つむがずテーブルにアボカドの種芽吹くのを待つ

それが一大事であれる日常ってさなんか平和だよね
それに立ち止まらせてくれるのが短歌なんですよね
逆に短歌を作っているから
そういう自分でありつづけられるんですよね

デザートは蕎麦湯かためてところてんつるりと喉を落ちてゆく秋

父に出す食後の白湯をかき混ぜて味見してから持ってゆく母

タイトルは「アボカドの種」でいいかなあと思っているんです
タイトルにする歌っていうのは
自分の短歌観って言うと大げさだけど
歌集なんかは特にそうなんですよ
自分の短歌観を反映している歌
あるいは言葉を取るんですけど
このままどうなっていくのかなあっていう
先が見えない感じもあったんだけど
べつに何かデカい鉱脈なくても
やっぱり平凡に普通に生きている中で
歌はいくらでも詠めるんだっていうことを
この数か月しみじみ思えたんです

人生は油断ならない還暦の木箱に小さな恋のブローチ

いい年こいて恋の歌詠んでいることに対する
内省があるっていうのは大事よね
一応いっておいたほうがいいよね(ご子息)
誰かに何か言われる前に自分からひと言(ご子息)
言われなくても分かってるからね

プロフェッショナルとは
むっちゃ夢中とことん得意
どこまでも努力できれば
プロフェッショナル

私感
好き好き大好き!
俵万智女史のことが益々好きになってしまいました。
「言葉から言葉つむがず」俳句に精進いたします。

2023年3月4日土曜日

2023春光戦予選A 卒業で一句

満開や両国橋を寒桜
春の霜半値を狙う人の群れ
春の泥心得違い漢意(からごころ)
ふつふつと燃やす怒りの永き日よ
こわばった赦しを溶す春の闇

■プレバト纏め 2023年3月2日
2023春光戦予選A 卒業で一句

1位 春風亭昇吉
三月の空に託せるものがない
(誰もが希望に満ちた卒業ではない。
 人生の現実のひとつを詠んでいる。
 後半の口語の語りがリアリティーとして胸に迫った。
 今年の卒業生へ逆の意味でエールになった。)

2位 横尾渉
夕桜学ラン捲り1on1
(「1on1」でスラムダンクと解る。
 「卒業」がすぐに分からない巧い企み。
 桜が咲く夕方にわざわざ学ランを捲って対決する
 卒業の時期だと読みを誘導してある。
 季語を信じる実力がついた証拠の一句。

3位 犬山紙子
春光やルーズソックスすべて干す
(ルーズソックス流行期の元少女の句だと解る。
 テーマ「卒業」を匂わせるワードがない。
 作品としては完成している。)

4位 北山宏光
上履の文字も滲むや卒業式
(勿体ないことをしたケース。
 「も」で❝洗った後の滲み❞と❝涙❞を意図しすぎた。
 助詞は「の」にし「滲み」をクローズアップ。
 最後の「式」は「卒業す」にする。)
添削
上履の文字滲みや卒業

5位 松岡充
古巣あり教えの庭よいざさらば
(学校に多い「楠」で映像化する。
 「仰げば尊し」の歌詞を借りすぎ。
 「古巣」を見上げる視線で「雲」を入れ詠嘆するとよい。)
添削
楠の古巣よ雲よいざさらば

2023年3月3日金曜日

格助詞「で」&牧開&名言

夭逝(ようせい)の画家佐伯(祐三)春に逝く(4月28日)
春のパリ三十歳の謎の死よ(佐伯祐三)
衰弱死?殺害説?か佐伯の死(無季句)
六歳の娘を残しパリに死す(佐伯祐三 無季句)
祐三の兄の子弥智子春に死す

■夏井いつき俳句チャンネル
格助詞「で」を掘り下げる①【場所・時】

動作・作用が行われる
① 場所 本屋で買う 学校で学ぶ
病院で外す包帯冬の雨   家藤正人
パチンコ屋で母を探せり年の暮れ   夏井いつき
② 時 五分で解く 十分で帰る 一時間で書く
二時間で書けて天才‼冬木の芽   夏井いつき
春どなり三十分で消える雲   家藤正人

■一分季語ウンチク 牧開(まきびらき)
この「牧開」の「牧」は放牧地というんでしょうか
あの牧場の「牧」です
冬の間厩(きゅう)舎に入っていた
牛や馬たちを春の野に放ってあげる
放牧地に向けて萌え出た草を食べなさいと
出すというのが「牧開」になります
単純に厩舎から出ていく場面
放牧地に牛や馬が現れているその伸び伸びとした姿
そして春の光景というのがこの季語の本意に
なってこようかと思います
農耕に従事している人はより身近かもしれない
そういった環境にない方がたまたま出先で見ると
「わぁっ」と春らしさを目にする
そんな季語なのかもしれません

■名言
小林正観 曰く
「世の中が暗いじゃないか
 ひどいことがあるじゃないかと言って
 指摘ばかりしている人の周辺が
 いちばん暗い。」

大橋禅太郎 曰く
「不思議なことに、
 人は答えを見つけてしまうように
 出来ています。」

小出義雄 曰く
「牛乳を飲む人より
 牛乳を配る人のほうが
 よっぽど丈夫だ。」

2023年3月2日木曜日

ゴッホ&お役立ち哲学&名言

過疎の町髪をなびかせ春の陽と
過疎の春痛みこらえて存(ながら)えて
寒梅へ雪ひらひらと着地せり
いぬふぐり踏まれてもなお逞しく
いぬふぐり亡き母のごと凛と立ち

■名画と7人の巨匠たち より
ファン・ゴッホはその短い生涯を通じて
情熱の炎を絶やすことはなかった
最後の数年間 彼は自らのアートのために
持てる情熱のすべてを絵筆に注ぎ燃え尽きた
彼のように情熱を失わず
燃えるような絵筆で死ぬまで描きたい
ムンク・エドヴァルト

色彩はそれ自体が
何かを表現している
ヴィンセント・ファン・ゴッホ

戦争で灰になってしまった「ひまわり」
(ロイヤルブルーを背景に5本のひまわりが描かれた作品)
https://mmms.me/articles/bluesea/1027

■ロッチと子羊
お役立ち哲学

レヴィナス哲学の要約
他者は自分とは別の存在です
他者を自分の中に
取り込むことはできません
だからこそ託しましょう

西田幾多郎哲学の要約
考えることと
作ることは同じ
“行為的直観”なのです

作ることと考えることは
分けることができないもの
だと思えばバランスで
悩むことはなくなるでしょう

■名言
ラビンドラナート・タゴール 曰く
「間違いを怖れて戸を閉ざせば、
 真実も締め出されてしまう。」

エマースン 曰く
「それでは雑草とは何か。
 良さをまだ発見してもらっていない植物のこと。」

オッカムのウィリアム 曰く
「最善の解決策は常に最も単純である。」

2023年3月1日水曜日

本居宣長 日本人の心の原点を探る

春の空漏れた光の煌めきよ
たゆみない美的探究風光る
春の夕焼け艶やかな青磁釉(せいじゆう)
慈愛に満ちた雄のまなざし春の朝
春の鵙戦闘態勢緩めをり

■知恵泉 本居宣長 日本人の心の原点を探る
ゲスト 又吉直樹氏 先﨑彰容氏(日本大学教授 日本思想史)

「もののあわれ」とは「しみじみとした深い感情」
「もののあわれ」こそが日本人特有の美意識である
人間の行動の規範、価値観にまで高めていった

しき嶋のやまとごゝろを人とはゞ朝日にゝほふ山ざくら花
本居宣長

対象の側 物の側に
何か心を揺り動かすものがあって
それに心を揺さぶられる
というのが「もののあはれ」

何くれと京の物語して
夜ふけぬ
いとむつまして
丑の時の末まで物語し侍る
宝暦六年(一九五六)四月二十日の日記より

恋せずは人は心も無らまし
物のあはれも是よりぞしる
藤原俊成

宝暦13年(1763)「もののあはれ」の意味に気づく

恋をするときの思いはこのようなもの
逢えない辛さはこのようなもの
逢ううれしさはこのようなもの
「紫文要領」本居宣長 著
(自分の心と比べて推察し「なるほどこうであろう」という
意味を理解すれば、それが「もののあはれ」を知るということ)

源氏物語から道徳的意味を読み取ろうとして失敗
背徳の恋を描いた「源氏物語」に
そもそも道徳的意義などなく
そこに描かれた世界観がまさに
「もののあはれ」であり日本人独特の美意識である

「紫文要領」の中でも物語の極致と言うものは
「恋」なんだということをいっています
人間の心が一番激しく揺れ動くのが
「恋」であるとするならば
宣長が「もののあはれを知る」ということを提示する
一つの物を発見するきっかけとして
自分の痛切な恋愛体験があったというのは
共感をもって受け止めることができる

恋というものは
あながちに深く思ひかへしても
なほ忍びあへねばたぐひ世に多し
心の底をさぐりてみれば
この思ひはなきことかなはず
ことにあはれ深き歌も
さる時にこそは出で来べけれ
「石上私淑言」より

心揺さぶられて気づくのが「もののあはれ」
「あはれ」というのは感情の揺さぶり

相手を表現すのではなく相手を見たときに
自分の内面にどういうことが起こっているのか
考えることがすでに
相手と自分の往還(おうかん)にもなっている
月を見たときにの自分にどういう変化が起こるのか

心が動くことが起きてから
言葉にしたい衝動が出てきて言葉って出てくる

蓄積されると出したくなる

しどけなき 女性的なものこそ人間の本当
武士道は本当の姿ではない 本居宣長

幕府が奨励する朱子学は中国起源の思想
日本人の思考は忠義工夫になってしまうのではないか❓
「漢意(からごころ)」批判
中国文化を自分たちが発明した文化のように思ってしまっている。
取り違えてしまっている日本人を批判したのが
漢意批判である。

古事記(712年)
天武天皇が語った言葉を文字にしたもの
いにしえの日本人が話していた言葉
日本書紀(720年)
すでにあった漢文の書籍から編纂された歴史書
古事記が書かれた712年には平仮名は存在しなかった。
(全て当て字)
「読み方」解明

天地はアメツチのカラモジにして
天はアメなり
古書どもを見るに
凡てアメにこたへては
必ずクニとのみ云て
「阿毎兔知弁」より

国学者 賀茂真淵(1697~1769)
宝暦13年(1763)5月25日
弟子入りが許される
「古事記」は「意味」ではなく「読み」ですよねと
言ったのではないか❓
この一言で「この男だったら自分の果たせなかった夢を
実現してくれるのではないか」そういうふうに直感した。
逢うことはなかったがその後6年半師弟関係は続いた。
この一夜のことは「松坂の一夜」と言われている。
天地はアメクニではなくアメツチ
「クニ」は限りある土地のことで
「ツチ」は無限の土地という意味を持つ

夜麻登 やまと 大和
漢字の意味に引きずられて勝手に後世に
日本人が想像してつくり上げたもの
「古事記」が書かれた頃の日本人の実際の感情とは
全く違う勝手な日本人像を作ってしまっている。

日本人の生き生きとした道徳的なものに
縛られない世界が展開されていることを発見した

人を一つのイメージの中に閉じ込めようとする
画一化しようとするそれを「からごころ」と言う

人を断定的に決めつけたり硬直してものを
考えたりすると攻撃性につながる

人の考えも取り込んで良いのですが
どこかで疑うみたいな気持ちも
両方持っておいた方が良い

揺れ動く心も含めて人間なんだって思えば
ゆったり自分を見ることができる

失敗もするし愚かさもある
そう言う幅は自分にも相手にも認めていきたい

いろんな角度からアプローチしたほうが
「もののあはれ」に近づいている気がする