マスターを思い出させてくれた夏
遠き夏ネルドリップのジャズ喫茶
アロハシャツレコード盤の針の音
欠けた歯で客に悪態夏夕べ
夏の夜の忘れられない武勇伝
■NHK俳句 兼題「麦の秋」
年間テーマ「俳句のコリをほぐします」
選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣
・今週のテーマ 字足らず・字余り
童貞聖マリア無原罪の御孕(やど)り祝日(いわいび)日和とはなれり
夏井いつき
短歌が31音 短歌より長い
「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts. Club Band」LPジャケット紙魚舐むる
小澤實
字足らず
ツボポイント
① 小買物とは言ひ難く日短 後藤夜半
日短(冬の季語)冬の日の暮が早く 気ぜわしさがあること
句全体が欠落している 音で欠落し句全体の意味も欠落しているため
字足らずが有効
② 火恋し雨の宿りも宇蛇(うだ)の奥 上田五千石
火恋し(秋の季語 秋が深まり寒さを覚え火の気が恋しくなること)
火が欠乏している
字余り
③ 瑠璃深きブルーベリーをどんぶり食ひ 小澤實
必然性があるので良い
④ 翁に問ふプルトニウムは花なるやと 小澤實
この句の翁とは芭蕉のこと
見る処花にあらずといふ事なし「笈(おい)の小分」
中七はなるべく中八にしない方が良い 真ん中が緩むと全体が緩む
字足らずは字余りより危険・気持ちが悪い
引き締まっている字余りはOK
「童貞聖マリア無原罪の御孕(やど)り」は季語
ポイント
① 中七は字余りが難しい
② 下五は字余りする場合は一、二音までにとどめる
③ 上五は字余りを許容できる
④ 大量の字余りが上五・中七にある場合は下五は五音にする
A玻璃の窓にはなくづ着くよ吹かれ来て 小澤實
A玻璃窓にはなくづ着くよ吹かれ来て
Bニュータウンの小さき葬式月静か 小川軽舟
C深海六千五百メートル潜りし男と鱒を食ふ 小澤實
Dクリックまたクリック涼し本を漁る 小川軽舟
Dクリックまたクリック涼し本漁る
・特選句発表 今週の兼題「麦の秋」(初夏の季語)
献立のぴしりと貼られ麦の秋 橋前有乃
頬を打つセリヌンティウス麦の秋 押見げばげば
こぼしたる種がはじまり麦の秋 佐竹ビーよん
私 鳥だけに見えるかざすぢ麦の秋 杉浦萌子
私 麦秋や人はときどき鳥になる あみま
麦の秋フランス装の句集買ふ はぐれ杤餅(とちもち)
・柴田 庄司の歩み
ニューギニアヒメテングフルーツコウモリはいける
柴田英嗣
庄司浩平という人間の必然性をより深められるように頑張ります‼
庄司浩平
■NHK短歌 テーマ「たからもの」
年間テーマ「三十一音で扉が開く」
選者:横山未来子 レギュラー:菊池銀河・横田真子 司会:ヒコロヒー
・テーマ「題材をみつける」
エレベーターに団栗三つ零れゐてちひさなる手をわれはおもひぬ
横山未来子「とく来りませ」
普段は聞き流したり 見逃したりしてしまうことも
スマートファンにメモする
君の声思い出してるリスニングテストの問いと問いのあいだに
近江瞬「飛び散れ、水たち」
カップ麺の蓋押さへつつ思ひをりわが部屋に火と水のあること
栗木京子「水仙の章」
2011年の東日本大震災のあとに詠まれた歌
・入選六首 テーマ「たからもの」
コードはもう弾けるけれども残しとく君が余白に書いた指版図(しばんず)
高野裕紀
いちばんに私が瞳に映るよう目覚めるまでの君を見ている
田原宣仁(のぶひと)
転ばぬよう足に力を入れながら十年ぶりの赤字抱きぬ
横山美保子
ひらくたび星の匂いのほこり散る祖父の宮沢賢治全集
葉村直(なお)
腕時計をふたつしているまだここで亡父(ちち)とおんなじ時間を歩む
佐竹紫円(しえん)
一席 満月に尾行され道曲がる時小さき赤子をコートに隠す
貴田雄介
・歌人への道
お日様に負けてはならぬと祖父が言ういつか見ていて私の名前
菊池銀河 添削⇩
お日様に負けてはならぬと言う祖父にいつか見せたい私の「銀河」
棚の上あの日の友が箱の中ひらけば君が元気をくれる
横田真子 添削⇩
棚の上の手紙の箱をひらくたびあの日の君が元気をくれる
気持ちを歌おうとすると漠然としてしまうことがよくある
歌人へのポイント
① 具体的な言葉を入れる
② 客観的に読んでみる
次回の宿題「道」 写真も提出
・ことばのバトン
あみだで辿る言の葉の脈
保科潤(出版社 営業)
⇩
だいじょうぶ。あたりもはずれもない迷路
吉田重治(しげじ)(甲羅文庫)
休める場所を作りたかったので畳敷きのところが良いかなって
コンセプトは亀 亀が寒さ 敵の攻撃から甲羅の中で
やり過ごすみたいな場所にできれば…。
■書に聞く禅語
禅語「非思量」
自分の考えを入れずに、世界そのまま、ありのままに向き合っていること。
たえず頭の中で物事を判断し、取捨選択する日常。
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