鳴門から海陽町へ鸛(こうのとり)
鸛(こうのとり)海陽町へ餌探し
(鸛)海陽町へ仲良く三羽飛来せり
菖蒲湯に歓声あげる園児かな
笑む園児菖蒲を巻いて香り聞く
■NHK俳句 兼題「空」
年間テーマ「描写の工夫」
選者:岸本尚毅 レギュラー:内田紅甘(ぐあま) 司会:柴田英嗣
広がり、奥行きをどのように表現するか❓
・俳句のタネ育てましょう!
夕陽が空を焼いて香ばしい ぐあま
夕焼け 夏の季語
添削
空を焼く夏の夕日の匂いかな
(切字「かな」句末に使われることが多い 余韻や余情を表現する)
とろけゆくバターのような西日かな
描写のポイント
空を空間にとらえて太陽や月などの天体や
空の広がりや奥行きを表現する
大空に富士澄む罌粟(けし)の真夏かな 飯田蛇笏
罌粟:季語 真夏:中心の季語
真夏を表現する手段として大空を中心に遠近のものを描写している
一枚の絵にした時のパワーを感じる空 柴田
エネルギーや密度を感じる空 岸本
・今週の特選句 兼題「空」
天体とか山や木などいろいろなものは空が背景になって見える
空の手前に何があるのかを考えると自由度の高い俳句の作り方ができる
寛解(かんかい)の夏空高くティーショット 鈴木正也
夕空を怖いと泣く子罌粟の花 小川さゆみ
掛軸の空縦長の涼しさよ 銀紙(ぎんがみ)
夏空にかわらけ投げて願かけて 三雲寿子
(かわらけ投げ:厄除けなどの願いをかけて
素焼きの皿などを投げる願掛けの一種)
投げて・かけてが対句になっている
て 脚韻:句末や行末など言葉の終わりに韻をふむこと
夏空や輪郭のなきちひろの絵 朗夢草(ろうむそう)
夏空や歩荷(ぽっか)が歌う「靴が鳴る」 川本正
今回の特選三席
一席 手を掛くる厳(いわ)に遥かや夏の空 堀内照美
(「に」厳をつかんだ手ごたえが伝わる「を」でもなりたつが…。巧い!)
二席 やがて海渡る列車や夏の空 近藤ひろこ
三席 空海や入道雲の向うから 徳照代
・はみだせ!教室俳句
東京都府中市立府中第三中学校 西村絵真先生
学校生活での推し場面
触れられるもの 五感
<触れる物>がどんなものなのかを詳しく説明する
12音になるようにつくっていただけるといいな
触れられる物 トロンボーン ゴールネット チョコレート 赤シート
錆ついたトロンボーンは
ゴールネットはさっと揺れ
型からこぼれたチョコレート
指紋だらけの赤シート
五感で捉えられる描写でリアリティーが増す
夏の果ゴールネットはさっと揺れ
五感の中の何で表現するかっていうところに
実はオリジナリティーがあって実感していることを
しっかり味わって表現する 記憶に残すことがすごく大切
私自身が何か教えたっていうよりも子供たちの体験が
感覚として17音になった
五感で伝わる俳句
・「見どころあり!」の一句
虹軽く風をともなひ空に消ゆ 鈴木健一
推こう
虹のあり風の中なる空に消ゆ
・紅甘のつぶやき
ホットケーキが食べたいな
■NHK短歌 テーマ「散歩」
年間「短歌は時代の波に乗って」
選者:荻原裕幸 ゲスト:入交(いりまじり)佐妃 司会:ヒコロヒー
今回は「写真に言葉を添えるように短歌を詠む」
写真歌集「ヘヴンリー・ブルー」短歌 早坂類 写真入交紗妃 より
こなごなの夏の終りのはじまりの、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり
避けられてこんなしずかな片陰(かたかげ)を生み出してゐる防犯カメラ
荻原裕幸
(片陰:特に夏の時期の午後の日陰)現代だからこそできてしまう空間
・入選九首 テーマ「散歩」
お散歩は一人に限る手を広げ飛行機まねたりたまに吠えたり
木暮由利子
今朝会ったのはシシマル(とおじいさん)テツ(とおにいさん)リキ(とカップル)
武智しのぶ
「わんわん」とまぶしい笑顔で呼ぶ君といつまでも手繋ぎ歩けるだろう
藤澤ころも
二席 店先のキャベツの値札見比べて四キロ先の八百屋に着くも
加納もえ子
ありがたい夫(つま)が散歩に出かけゆく互いのための自由な時間
山野たみ
三席 うんこして犬オブ犬の凛々しさで広い宇宙の真ん中をいく
トミト・モチメリ
一駅を歩いてわたしを取り戻すあかるくなった仕事帰りに
岡田奈紀佐(なぎさ)
カレー匂はす住宅に入りたくなる夕虹の方へと帰る
筒居桃子
一席 花びらを踏まないようにゆく人の背中にキスと書きたくなった
南野やぎざ
私感
荻原裕幸先生の選ばれる短歌が大好きです。
この一年が楽しみでなりません。
・荻原流 詠み方指南
写真にことばを添えるように詠む
写真では撮れないものを言葉にすることはできる
それが面白さにつながる
短歌が作りにくそうな写真を入交佐妃女史が撮影
異世界Aの端にも見えて近づけばどうしようもなく日本の五月
荻原裕之
作りにくいと写している側が感じる写真の方が書く方は書きやすい
絵解きにならないように 写真では音は撮れないし匂いは撮れない
フレームの外側にあるものを入れてみるとか
レンズの手前側にいる人のことを書いてみる
写真と勝負するつもりで どういうところが短歌の強みなのかが
見えるような感じで書ければよい
短歌づくりのコツ
写真では写らない部分に想像を膨らませ
短歌で市は表現できないものを詠んでみる
・入交さんが選んだ短歌「散歩」
春のない世界はなくてひとびとにしろがねのハモニカの午後の陽
正岡豊
(ずっと幸せな世界が続いていくような感じ
写真で表現できない事とは❓
海を知らぬ少女の前に麦藁帽の我は両手を広げたり
寺山修司
写真だと少女は写るんですけど「海を知らぬ」は写らない
収めようとして収まりきらないもの
・ことばのバトン
だいじょうぶ。あたりもはずれもない迷路
吉田重治(しげじ)(甲羅文庫)
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里中薫(洋食屋「丘公園」マスター)
出口は一つバンジージャンプ!
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