2025年10月31日金曜日

ついやっちゃうことで一句

紅葉焚く寄り添うだけの暮らしかな

飲むごとに熟成進む新酒かな

秋鮭を狙うアザラシふっくらと

秋寒し「あなたのために」クソバイス

そぞろ寒マウント取ってクソバイス

 

■プレバト纏め 20251030

「ついやっちゃうこと」で一句

  

特別永世名人梅沢富美男の締めの一句

はららごを肴に〆のおむすびに

はららご:秋の季語 鮭の卵(筋子)のこと

添削(背徳感が出るような書き方ができるのではないか

   全部足したら17音という技を使う

   所望:ある物が欲しい またこうして欲しいと望むこと)

〆のおむすびにはららごを所望

 

傑作50選 永世名人 藤本敏史

しょうゆバタ染みて白飯食む終夜

(語順がいい 匂い・味を一気に追体験 染みてが映像になっている

 食べ物が出てきたときは説明する必要はない 秋夜にもう一度食べている

 テーマをダメ押し あえて使ったのではないか 

テーマを確実に誠実に俳句にした)

 

1位 Aまっそ加納

待宵(まちよい)の酸辣湯(スーラータン)や酢を二周

待宵:秋の季語 十五夜の前日の夜またはその夜の月のこと

(テーマを映像として書けている 「酢を二周」一番良いところ

 動画になっている 「の」と「や」が良かった

 スーラータンと酢 韻を踏ませようという意識を持って選んでいる)

 

2位 大友花恋

秋冷やまた買い戻すコーデュロイ

(中七でテーマバッチリOK 映像を持たない季語から始まって

 最後に物を映像として出す 布地の手触り・温かみが最後季語に戻る)

 

3位 バッテリィズ・エース

秋風がうまさ増し増し肉増し増し

添削(俳句というよりキャッチコピーもどき 

   ラーメンと書かなきゃわからない)

秋や今ラーメン旨し肉増し増し

 

4位 尾上右近

時あれど急がずにおれぬ走り蕎麦

添削(新蕎麦が出るまでには時間はあるけど急がずにはいられないほど

   走り蕎麦を待っている 時間はあるけど早食いが職業病になっている

   早食いの「は」と走り蕎麦の「は」韻を踏める)

早食いは職業病ぞ走り蕎麦

 

5位 ゆうちゃみ

秋風にカチカチ唱える爪の音

添削(日本語として再起不能 唱えるで意味が解らなくなる 諸悪の根源)

寒しギャルの自爪のカチカチ

 

番外編

秋暁やスリッパのままニュース席   清水麻椰 

2025年10月30日木曜日

あの人に会いたい 長嶋茂雄

そぞろ寒大統領に忠実であれ

秋寒し言っていいこと悪きこと

中国よりも今のアメリカ暮の秋

秋深し許容範囲の自己主張

冬隣る自分本位を通しては

 

■あの人に会いたい 長嶋茂雄

プロ野球選手・監督 長嶋茂雄 1936-2025(令和7)年 89歳没

 

最高の力 最高のレベルの戦いをし 

勝ち負け やるからには勝ちたいという

勝って喝采と評価を受けたい これは選手であれば当然 

 

ただバット見たいな物を持ってね 

球を遠くへ飛ばして打ったら走るというね

それがもう率直なところ 非常に何か 

軽快かつテンポのいい遊びだなとという

感じを非常に受けました

 

本当にもう僕もね うれしい気持ちでいっぱいですよ

何も言いようがないですよ

 

ちょっとどうなんでしょうね 背伸びをしたというか

もう学生野球の時から プロに行っても十分 俺はね

やれるという 何かこう自信みたいなね 信念みたいな

変なものを持ち始めてね 

 

見逃して三振するということは あまり良くないんですね

同じ三振でも振る バッターは振るために打席に立つんだから

振ってですね そして三振した場合は 一つの力というか

技術の差があって また次に勉強する ひとつの反省が

生まれるわけですね 

 

純粋と言いますかね 純なものが いつも心の中にあることが

ああいう大きな舞台であればあるほど 打席に立てば

必ず打つというね そういう気持ちはいつも 

持ち合わせていますからね

 

ファンの皆さんに見ていただく以上は ギブアップしたプレーは

さらけ出したくない 常に全力でやろう 

 

練習というものはね やっぱり1人でやるものだと思いますよ

人に見られてね やるべきことじゃないね やっぱり自分に対して

自分をどうやってやるかということをね いつもそういうことを

持っていないと これは駄目なんじゃないかな

 

私は きょう引退をいたしますが わが巨人軍は永久に不滅です

 

プレーヤー時代は 時には挫折の時期もあったにせよ 

トータル的に見ますとね 挫折には及ばないと そういう気持ちが

あったんですが 本当に野球人としての挫折は 

あの最下位の年でしたね 

 

やはり男として けじめをつけたいと 

 

2004年 脳梗塞で倒れる

 

その人のためにね 少しでも役に立てばいいということで

一般の人たちは分からないけれども 病気になった人は

分かってますから よし それじゃあ表へ出て そして

やろうということで それで出たわけ 

 

最高のいい場面で 最大の力を発揮することが

ひいてはファンの皆さんに還元できるという

いつも見ていただきながら 黄色い声援 あるいは

しった激励の 強いメッセージをいただきながら

プレーに集中できるという あの瞬間的な時間帯というものは

これはやっぱり やっている者の 喜びの中でね

最大の状態ですからね ですから そういう点では

非常に幸せな野球人生 だったんじゃないかと思うんです

  

2025年10月29日水曜日

俳句道場「新蕎麦」&「夜庭(よにわ)」

十三夜月影映える桂離宮

長野から奄美めがけて鷹渡る

サシバ落つ跳んだかえるを捕らえけり

緊縮財政のサッチャー白秋

積極財政の高市金秋

 

■ギュッと!四国 家藤正人の俳句道場

兼題「新蕎麦」(秋の季語)

傍題:走り蕎麦 秋蕎麦 初蕎麦

 

ざるそばと天ぷら食べて秋景色   すーちゃん

佳作 新蕎麦の板のメニューの新しき   桜

秀作 天ぷらの照りほの甘き走り蕎麦   珊瑚霧

畑径新蕎麦の丈揃いたる   スミ子

秀作 祖谷は新蕎麦初孫はお食い初め   竜退治の騎士

瞬足の新蕎麦五秒抜けし鼻   三郡椰乃

新蕎麦を初老の紳士舌鼓   如月ゆう

佳作 新蕎麦をつるりごくりと青二歳   徹人二人

新蕎麦や隣で香る一番茶   漣梨和

新蕎麦をすする病父の鼻毛かな   ルル瑠びぃ

秀作 新蕎麦いいな未熟でも褒められて   たかみたかみ

佳作 新蕎麦や八岐大蛇(やまたのおろち)酔ひし酒   藤白真語

 

・秀作への道 取り合わせ

佳作 新蕎麦や乗りかえ駅の旗ゆらぐ   紫炎

 

俳句作りの基本とも言える“取り合わせ”。

“季語”と“季語以外の情報”を取り合わせることで、表現の幅が広がる。

 

・特選

新蕎麦や春のやうなるそば湯まで   オキザリス

選句のポイント 香りの余韻を感じさせる

 

・次回の兼題「鴨(かも)」冬の季語

 

■夏井いつきのおウチde俳句

一分季語ウンチク「夜庭(よにわ)

 

夜の庭が季語って何ですか❓ってなりますよね

「夜庭」とは農家の土間のことだそうです。

そこで行われる農作業の一種ということなんです

その土間に筵(むしろ)を敷いて石臼なんかも用意して

獲ってきた米の籾摺りをするのがこの季語になってきます

農業関係の季語 しかも昔ながらの農作業とくると

中々現代ではもう見かけない季語と

なりつつあるのかもしれません

かなり農作業は機械の発達によって省略される工程

楽をできる工程なんかも増えてきました

この「夜庭」も絶滅寸前季語と言えるのかもしれません

実は以前 いつきさんがこういう本で

この「夜庭」についても書いていたことがありました

興味のある方は手に取ってみてください

 

2025年10月28日火曜日

心おどる 茶の湯 表千家 利休のこころと形③

吾のために使う時間や秋麗

ドイツから修業求めて天高し

秋の空悟り探して安泰寺

秋の山ネルケ無方の笑い声

人生の意味問い続く秋の寺

懸命に今を生きたし星月夜

 

■心おどる 茶の湯 表千家 利休のこころと形③竹の道具

京都 奥嵯峨

表千家家元教授 木村雅基

竹の道具 

京都 上京区

竹細工・柄杓師 十四代 黒田正玄(しょうげん)

柄杓(ひしゃく) 合(ごう)

茶杓(ちゃしゃく) 十二代 黒田正玄 作 

中節(ぶし) 利休形(がた) 櫂先(かいさき) 

竹笹香合(たけざさこうごう) 竹節水指(みずさし)

花入(はないれ) 竹一重切(いちじゅうきり)花入 銘園城寺 伝千利休作

石割れ 景色と呼ばれている 七代如心斎 好 稲塚切花入 見立て

十四代 而妙斎 好 竹蛇籠花入 

竹蛇籠:河川の治水などで使われる竹製のかご

 

表千家 十五代家元 千宗左 

利休所持 油竹菜籠炭斗(すみとり) 

花の生け方 

「花は野にあるように」 利休

一重切花入は花窓に入れる

天龍寺竹 一重切花入 銘 さが野 キキョウ・アケボノソウ・シモツケ

 

竹籠の花入

十一代碌々斎 好 手付置籠 キキョウ・シュウカイドウ・ナデシコ

リンドウ・ハギ・オミナエシ・ワレモコウ・ススキ

 

真竹 黒竹 ゴマ竹 亀甲竹 シボ竹(真竹からできた幻の竹) 

(ひょう)竹 シボ竹

 

八代啐啄斎 作 銘 暁霜

 

茶杓づくりに挑戦

幅を削る

小刀で薄く少しずつ削る

節裏の厚みを取る

小刀をいろいろな角度から入れる

櫂先を削る

仕上げにトクサで磨く

最後に銘をつける

 

目標は利休形

 

私感

茶の泡立てについての謎が解けました。

どうしてあんなに立て方に違いがあるのか…。

裏千家は細かく泡立てる。

表千家は泡立てないのだそうです。

これをお教えくださったのは

「スイッチインタビュー」に出演された

92歳の僧侶青山俊董女史でした。

あまりにさらっと言われたので驚きと

尊敬が入り混じった感動を覚えました。

ずっと、私にとっての謎だったので…。

それぞれの茶の湯

・茶の湯 裏千家 一陽来復 より

・美の壷スペシャル「民藝」より

 鷺珠江さん(河井寛次郎氏の孫)

・心おどる 茶の湯 表千家 利休のこころと形 より




 




2025年10月27日月曜日

兼題「会う」&テーマ「目覚めても忘れられない夢」

秋の声唯一無二の生と死と

流れ星最後の権利安楽死

交わることのない世界線夜長

物理学の世界線や秋を詠む

騙されませぬクリックベイト秋気

 

NHK俳句 兼題「会う」

年間テーマ「語ろう! 俳句」

選者:高野ムツオ ゲスト:小川軽舟 谷さやん  

モーリー・ロバートソン かわにしなつき 司会:柴田英嗣

 

短い言葉で周りのスペースも一緒に風景ですよと(描く)ことは日本語固有

英語で少ない言葉で何か言おうとすると伝わらなくなる 圧縮不能というか

モーリー

 

「会う」超難易度じゃないか 動詞なので普通は季語か季語でなくとも名詞

「会う」は会いとか会わないとか いろいろ変化もする

誰がどんな時にどのように会うのか想像するのは難しい 高野

 

   暑さ明け会う人と語る火星の水   モーリー・ロバートソン

中八を「会えば語ろう」とすると

呼びかけにもなるし流れもよくなったのでは?

「暑さ明け」は「涼新た」「暑さ終え」の方が良かったのでは?

天気予報と報道のニュースって切り離されていて 温暖化を誰も議論

しないから この星火星に向かっているぞと思ってパニックしていた

表現に盛り込めなかったけど背景には自分自身のパニックを詠んだ

   とんぼうがとんぼうと会う豊の秋   高野ムツオ

「と」頭韻がうまくいっている ゆったり感がある

季語が3つ並んでいる 「が」と「は」で悩まれたとか…。

   名月や心だけ里会いに行く   かわにしなつき

「心は里へ会いに行く」調べが流れだすと抒情的な句になりそう

三段切れになっている 行儀が良すぎる 忖度し過ぎ

「会いに行くのは心だけ」という手もある

   会へば行く店あるふたり秋の宵 小川軽舟

「秋の宵」パワーワードにひかれた 季語がピッタリすぎる

俳句は意外性がないといけない 想像をひっくり返す季語が良い

   黒葡萄洗えばこぼれ会いたいなあ   谷さやん

心理描写 俳句では主観は言ってはいけない

濁音 ばびぶべぼがいっぱいある 緩急感が音声として面白かった

 

五者五様の句が並びました 柴田

 

・特選三席発表 兼題「会う」

一席 久々に会ふ白息をぶつけ合ひ   渡辺みほ

二席 星座盤まはして母と会ふ夜長   押見げばげば

三席 会()うて先ずひつつき虫を摘()り合ひぬ   中川いづみ

 

・特選六句

地下で会い地下で別れる温め酒   鈴木研児

会へばまた会つたで揉めて芋煮会   丹下京子

レコードや十五の吾に会ふ夜長   小林飄

夢に会ふ夫は逞し霜の菊   うーみん

やまひ得て出会ひし友や鰯雲   伊藤柚良

亡き父に会ふマフラーの匂ひかな   萩尾節子

 

日本語の持つ深さとか優しさとか

いろんな力が出てくる表現方法だなと思いました

この美しい言語をあと少なくとも

五十年か百年は温存したいと思っている

一言一言美しく話さないと 

一千年前の人に顔向けできないと思っている。

モーリー・ロバートソン

 

NHK短歌 テーマ「目覚めても忘れられない夢」

年間テーマ「“伝える”短歌 “伝わる”短歌」

選者:木下達也 ゲスト:ラランドニシダ 司会:尾崎世界観

 

・入選九首 テーマ「目覚めても忘れられない夢」

泣きながら置き去りにしたボクサーが俺より先に家に着いていた

大橋奥文

三席 引き留めるつもりで目から出た鎖つむるとすぐにちぎれてしまった

佐藤研哉

エレベーターの閉まるボタンを押したとたん奥に倒れて火葬をされた

高橋泰源

グローブに手が入らないグローブがしっくりこないグローブがない

中村一郎

二席 向こうだけ時間がはやく流れてて電話の声がしわがれてくる

小鷹(こたか)

駅前で配られているそれぞれの好きな固さに合うゆでたまご

葉村直(なお)

一席 私 透明なエレベーターで上昇し空まで鳥を何羽撥()ねたか

常田瑛子

 病院のシーツたなびく屋上にもういない犬の足だけ見える

公木正(こうきせい)

ラーメンの中に小さな街があり麵(めん)を啜(すす)ると見上げる人々

野口み里

 

・“伝える”短歌 “伝わる”短歌 木下流短歌の育て方

じゃあ女性代表として母さんは喉が壊れるまで叫びます

注がれたのに無駄にしたいくつもの母性と懺悔室で向き合う

わだかまりそれは叫びの輪唱であなたを責める女性の名前

 

言葉になっていないものを31音にしてみるのは

自分で短歌を作るときにもその感覚がある 木下

 

お客さんの心や目を引き付けるような言葉を伝授して欲しい 木下

自己紹介ルーレットを教授するラランドニシダさん

 

・文芸って何がおもしろいと思いますか❓ ラランドニシダ

自分の中に無いものを入れてもらったとき

自分は崩れる感覚が気持ちよさにつながる 木下

短歌だと生まれてから短歌を書くまでの道はそれぞれ違う

だからその人が書く短歌も必ず違う

 

ギャグの副作用みたいなものがふわふわしています ラランドニシダ

ギャク酔い? 尾崎世界観

 

・ことばのバトン

喉焦がし明日の私へ應援歌 

宮崎県立宮崎北高校 石田千夏 岡田華音 海野漣

こぼれないよう握ったバトン

秋田県立秋田北高等学校 村田成実 佐々木乃愛 村上響

「再」の字の線対称じゃないところ馬鹿だ私だけ会いたがって 

佐々木乃愛

2025年10月26日日曜日

愛を生き切った人~瀬戸内寂聴の99年~

偏った知識とセンス秋麗

地虫鳴く交わりのない世界線

艶やかにお口ぱっかり栗拾い

栗林いがから顔を覗かせん

寝落ちから慌てふためく秋の宵

 

■愛を生き切った人~瀬戸内寂聴の99年~

寂庵 京都嵯峨野

2021119日逝去(享年99)

 

誰かを愛することは人間に許されたこと

愛していけない相手はないと思う

報いを求めなければね

19731114日 出家 得度 岩手 中尊寺

座右の銘 愛することは生きること

 

視点1 瀬戸内晴美から寂聴へ 愛の軌跡

19731114日 岩手県平泉町 中尊寺

当時51歳 超売れっ子の流行作家

虚無的になっては出家はできないの

非常に絶望して子どもが死んだりね 夫が女の所へ行っちゃったりね

形而下的な問題でした 出家は続きません

私の場合はもうちょっと違ってたんじゃないかな

 

当時は生真面目な忠君愛国のガリガリ少女だった私は、

勉強への熱意を失ってしまった。

「放浪について」瀬戸内晴美 講談社

 

20歳の時 見合い結婚

1945815日 終戦

ただ教えられた通りに素直に信じて生きて来ましたけどね

これからは教えられた通りのままじゃなく自分で考えてね

自分の心と肌で感じたものだけしか信じちゃいけないんだって

その時に私の人生で一大転換があったわけですね

1948(15)出奔(しゅっぽん)

小説家になりたいから、家を出させてください。

(りょう)太という名で小説に登場する最初の不倫相手

 

凉太への理不尽な情熱のため私は安隠(あんのん)な家庭を自ら破壊した。

「場所」瀬戸内寂聴 新潮社

最初の不倫相手の幼馴染 三井新造

 

1957年 文壇デビュー

その若者のからだの下でさえ、私の子宮はうめき声を押さえきれず、

私は快楽の極に待つあの甘美な失神に、夜明けまでに二度もおちいった。

「花芯」瀬戸内晴美 三笠書房

 

「田村敏子」「伊藤野枝」「岡本かの子」次々に描いていく。

晴美にとって恋愛は生きる糧であり生命力の源泉だった

本当の恋愛は落雷だ

恋愛は逃れられないね 理屈じゃないんだから 

雷のように落ちてくるもんだからね 打たれるしかないんですよ

それがとんでもない悪女だったりね 

とんでもない詐欺男だったりしますよ

それでも恋愛の雷に打たれないより打たれた方がいい

人間が一番成長するのは恋愛です 本ではない 学問でもない

本気で恋愛したら絶対成長します 

作家 小田仁二郎(19101979)と半同棲生活を送りながら

凉太と再会 複雑な三角関係になる

その愛憎劇を私小説として世に問いかけると高い評価を受ける

1963年第2回女流文学賞 「夏の終り」

慎吾=小田 凉太=最初の不倫相手

 

「あんたに何がわかるの、慎とあたしにはあんたのしらない、

きずいてきた生活があったのよ。

今のあたしはあの人につくられたあたしなのよ。」 

「それじゃ、ぼくのことは何だ、浮気か」

「憐憫(れんびん)よ」

「夏の終り」瀬戸内晴美 新潮社

 

本当に人間は自分の中のダメなね 煩悩の五欲煩悩の

どうしようもないものを吐き出したら何かそこに光が見えて来る

これかなって思ったの 私は だからもうそこにじゃあ腰据えて

自分のしたことを見つめてみましょうって感じになったの

 

4歳の娘を置いて家を出たこと

その1年後、会いに行っている

麦畑があって麦畑で潜んで待ってたの 出てこないかなと思って

そしたらね ちっちゃな女の子が遊んでたのが帰ってきたの

呼んだら素直にこっち向くんだけど 私は抱きしめて「ママは?」

って聞いたら「死んじゃった」って言ったんですよ

どきっとしましたね 

 

19731114日 瀬戸内晴美 得度

とにかく男とのことを繰り返したってね 同じだと思ったしね

50になった頃ね もういいよって気がしたの それを切るためには

どうしたらいいかって それは出家するしかないなって思った

もうこの世が嫌になってっていう出家じゃないの

私はもっと生きたいからもっと自分の人生を充実したいから

出家したんですよ

 

もう一人の不倫相手の存在

全身小説家 作家 井上光春(19261992)

 

視点2 作家 井上荒野 ❝鬼たち❞の生き方

長野県茅野市 寂聴の不倫相手の娘 井上荒野

「あちらにいる鬼」井上荒野著/朝日新聞出版

帯の言葉「作者の父 井上光晴と、私の不倫が始まった時、

作者は五歳だった。瀬戸内寂聴」

小説家の父、美しい母、そして瀬戸内寂聴をモデルに、

〈書くこと〉と純愛によって貫かれた三人の〈特別な関係〉を

長女である著者が描き切る、正真正銘の問題作 

作家生活30周年記念作品

 

お互いに4歳の時に(子どもを)捨てた女と 4歳の時に(親に)

捨てられた男が出会ったのは一個ひとつの大きい

つながりだったんじゃないかな 寂聴と井上は共に

515日生まれ 

 

光晴が開講した「文学伝習所」

井上郁子 光晴の妻であり 荒野の母親

瀬戸内晴美=長内みはる 郁子=笙子 光晴=白木篤郎

 

笙子

ただ、長内みはるが何を書いても、その小説の中に、

篤郎のことはきっとあらわれてしまうだろう。

私はそれを避けている。

長内みはるから滲み出る篤郎の姿を知りたくない。

知れば、あのふたりのことを許せなくなってしまうかもしれないから。

「あちらにいる鬼」井上荒野 朝日新聞出版

 

2014年 寂聴が倒れる

2015年 寂聴に作家仲間と会いに行く(江國香織と角田光代)

この日、光晴の思い出を口にした

祇園のお茶屋にも繰り出した

これは私が書いて残さないとダメだと思った 荒野

 

みはる

男と女の関係になってから、白木は再び私の前で、

出会った頃よりもずっと露骨に、

妻の自慢をことさらにしてみせるようになった。

そういう男を、わたしはすでにどうしようもなく愛していた。

笙子

あなたには吐き気がするわ。私はいっそう大きな声で叫んだ。

そうしなければ、シチューの鍋を篤郎めがけて

ぶちまけてしまいそうだったから。

笙子

私は篤郎と別れない。別れられないのではなく、別れないのだ。

「あちらにいる鬼」井上荒野 朝日新聞出版

 

愛とは?

 

テレビを見ている男の背に、「出家しようと思うのだけれど」

と、声をかけたのは、いつのことだったか。

聞こえなかったのかと思うほどの間をおいて男のことばが帰ってきた。

「そういう方法もあるね」

「比叡」瀬戸内晴美 新潮社

 

父が唯一ものすごく誠実になったセリフ

郁子は寂聴に戦友とでも呼べる感情を抱くようになっていく

同じ穴に落ちちゃった者同士

女同士というよりは人間対人間の共感 惹かれあうものがあった

憧憬があった 評価をしたのではないか

光晴が亡くなるまで友情関係を続けた

 

渡辺勝夫 元編集担当者

奥さんと一緒に病人の井上さんを2人で足をもんでるんですからね

こんなすごいことは頭をそったからできたわけですよ

結果としてはそったおかげで最後までちゃんと付き合えたと

 

寂聴からの頼み事

「かっちゃんね 井上さんの骨取ってちょうだい」

それで「わかった」って言って僕は焼き場行ったときに

奥さんと荒野ちゃんのいる前で光晴さんの骨をパッと取って

ハンカチに包んで瀬戸内さんにあげましたよ

あとどうしたか知りませんよ 瀬戸内さんが井上さんの

「骨ほしい」って言うんだもん 

 

岩手県 浄法寺町 天台寺墓地 

井上光晴と郁子と同じ墓地に寂聴は眠っている

「愛した 書いた 祈った 寂聴」

 

三人の関係 自由という言葉を思い浮かべる 

精神の自由でつながっていた3人じゃないかな 荒野

 

視点3 寂聴に救われた人たち

1987年から2005年まで 岩手県浄法寺町 天台寺の住職を務める

2011年 東日本大震災

 

物事はどん底に落ちると はずみで上に上がるんですよ

ボールをついてごらん 下に落ちたら上がってくるじゃないですか

だんだんね よくなっていくの 信じてください つらいとき

「寂聴さんはどん底の下はない」って言ったと思い出してほしい

希望を失わないで元気を出して生きて欲しいと思います

 

結局は人間は一人なんですよ ひとりで生まれて やがて

一人で死んでいくんです 一人はさみしいけれど

でも一緒に死ぬことはできない だから 必ず

いつか一人になるんです そのことを覚悟して そして

生まれてきたんだから 死ぬまで力いっぱい情熱を込めて

自分一人の人生を生き切りましょう

 

生きている間は一人ですけど 亡くなった人の魂は

この世で一番愛した人が心配で 必ずあなたのそばに来てくれます

今日 ここへあなたがいらしたのは ご主人が

連れてきてくださったんです 一人でさみしいけれど

やがてあなたも行くんだから 向こうで会いましょう

 

私はお見舞いっていうつもりでね いろいろ各地に行ってるんですけれど

本当にショックを受けたり 強い感動を受けたりして

私が鍛えられて新しいことを見せつけられて 人間に対する信頼を

盛り返して暗く考えていたら生きていられない

 

私感

私とはかなり人生観、価値観、世界線は違うけど…。

こんなに大勢の人を救ってあげるって素晴らしい人生でしたね…。

先輩…。

 

2025年10月25日土曜日

心おどる 茶の湯 表千家 利休のこころと形①

クレアチニン数値下がりて秋の虹

秋の畑巨大なキノコオニフスベ

秋晴る叩くと弾むオニフスベ

秋日和はんぺんに似たオニフスベ

それぞれに世界線あり秋越(あきおこ)

 

■心おどる 茶の湯 表千家 利休のこころと形①

塔頭(たっちゅう) 大寺院の敷地内にある寺院

大徳寺 聚光院(じゅらくいん) 千利休の菩提寺

利休忌月次法要 月命日の28日に営まれる

表千家家元教授 木村雅基

表千家 十五代家元 千宗左

重要文化財 閑隠席(かんいんせき)

 

表千家 不審菴(ふしんあん) 千小菴:千利休の養子で娘婿

露地(ろじ) つくばい(手や口を清める)利休の聚楽屋敷に立ったと伝わる

草庵の茶室 不審菴 千利休が考案 にじり口から入る(千利休の考案)

 

表千家 十五代家元 千宗左(7年前に襲名) 家本襲名茶事2018年~2025

不審花開今日春

 

わび茶の歴史

栄西(1141-1215) 九間(ここのま) 唐物

わび茶の祖 珠光(1423-1502) 千利休(1522-1591)

 

大徳寺 玉林院 桐浴(さこ)邦夫

表千家七代家元 如心斎(じょしんさい)(1705-1751)

茶室 牌堂 茶室 

重要文化財 簑庵(さあん) 土壁 下地窓 にじり口 

下地窓:土壁の一部を塗り残して作る窓 

下地が見えることから「下地窓」という

 

如心斎の創意工夫 その1 長いわらすさの土壁

天下一の土壁

如心斎の創意工夫 その2 複雑な構成の天井

(ひら)天井 落(おち)天井 化粧屋根裏天井

如心斎の創意工夫 その3 大きく曲がった中柱

 

重要文化財 霞床席(かすみどこのせき)

違い棚 富士ノ画:即中斎 筆 蹴()込み:竹 

 

天王山 京都 大山崎 

妙喜庵(みょうきあん) 秀吉が利休に命じて作らせたお茶室がある

最古の茶室 国宝 侍庵(たいあん) 天正10(1582)ごろ

極限2畳の狭いスペース

狭い中にも工夫がある 塗り廻(まわ)し 室床(むろどこ)

平天井と化粧屋根裏天井(変化にとんだ立体的な空間を演出している)

無駄なものを削り落としていくことが重要なポイントだった

 

わびの茶室とは?

心の中で自然を感じながらお茶を楽しむ

400年受け継がれてきた

 

6月下旬 妙喜庵で茶会が開かれた

妙喜庵住職 武田士功