2025年10月14日火曜日

兼題「風」&テーマ「家事」

猿飼(さるかい)集落転げ落ちそな傾きの

傾度四十度天空の郷の秋

世界農業遺産を生きる二人の秋

秋空やサラエですくい土あげん

秋畑へコエグロ敷いて砂防せり

 

NHK俳句 兼題「風」

選者:岸本尚毅 レギュラー:内田紅甘(ぐあま) 司会:柴田英嗣

年間テーマ「描写の工夫」

 

・俳句のタネを育てましょう!

風吹いて蝉の翅(はね)だけ飛び去って   紅甘

蝉:夏の季語 

添削

秋の風蝉の翅だけ飛び去って

秋風にころがる翅は蝉の翅

秋風ころがる翅は蝉の翅

 

描写のポイント

目に見えない風を「蝉の翅」を使い表現

季語「秋の風」と取り合わせ句全体に秋の趣を出す

 

秋風(たもと)の玉ナフタリン   川端茅舎

ナフタリン:防虫剤の原料 独特の匂いがある

「た」リズムが面白い 風を嗅覚で表現した名句

 

降る雪明治遠くなりにけり   中村草田男

第一主役 第二主役

 

・今週の特選句 兼題「風」

日の丸に風を見てゐる原爆忌   寺田秋悦

(作者の存在感がよく出ている)

蘭鋳(らんちゅう)の鰭(ひれ)が風ある如く揺れ   中田昇

(一物仕立て 「ある」の使い方が巧い)

秋風に閉めし障子のふるへかな   宮本幸子

崩るるは雲の鞍部(あんぶ)や秋の風   東沖和季(ひがしおきわき)

秋風に「御飯炊いて」と母の声   湯浅さち

(解釈の幅が広い句 無限の自由度を与えている)

人形として人をみて風の盆   曽根新五郎

(風の盆:富山県八尾町で毎年行われる盆踊り)

 

「見どころあり!」の一句

海の家ありしところに秋の風   野分のわ

推敲(動きを出すには「を」にした方が良い)

海の家ありしところ秋の風

春の月ありしところに梅雨の月   高野素十

 

野分のわさま!おめでとうございます!

NHK俳句と短歌に選ばれるだなんて

素晴らしい!拍手喝采!

 

特選三席発表!

一席 よもすがら秋風を聞く妻の留守   山河重弥

(秋夜(よもすがら)秋風聞くや裏の山 曾良 

元禄時代の俳句 奥の細道を途中まで歩いた人 河合曾良 松尾芭蕉の弟子

弟子と師匠の関係を夫と妻の関係に置き換えた句)

二席 トンネルの打音検査や秋の風   天野ひろ子

三席 水始めて氷る痛風をさまらず   秋元哲(さとし)

(水始めて氷る:七十二侯 172の期間に分け季節の移ろいを表す方式)

 

・はみだせ!教室俳句

和歌山県智辯学園和歌山高校 浅野剛史先生

ポイント

季語として捉え直すことでイメージが広がる

 

下敷きの真ん中折れる若緑   橋本尚子

理科も俳句も好きになる!

 

・紅甘のつぶやき

一文字でまったく違う句になる!

 

NHK短歌 テーマ「家事」

選者:荻原裕幸 ゲスト:コジヤジコ 司会:ヒコロヒー

年間のテーマ「短歌は時代の波に乗って」

今月のテーマ「ことば遊びをしてみよう」

 

「やる気ない」言われ閉じいる短歌の書あんたに見せよかわしの本棚

ヒコロヒー

 

コジヤジコ

中身、海かな。

抱きつくなり、すすり泣く月だ。

なら軽くがんばるか、光る番が来るからな。

 

牛乳パックしろきくらがりきりひらく耳はさびしき音に悦ぶ

荻原裕幸

 

・入選九首 テーマ「家事」

味噌汁を一人分だけ作るのは難しいから結婚しましょう

殿内佳丸

一席 私 蕗の薹の土の苦みを揚げてゆく油が春の音を呼ぶまで

古関聰(あきら)

父さんの作るカレーは丁寧でワールドカップくらいの頻度

富尾大地

柿の木を育てるやうにアイロンのありかを何気に夫(つま)に伝へる

青木鈴子

三席 アレクサ、ねぇ?今日の天気は?ニュースある?ラッキーカラーは?好きって言って?

成見薫

もし今日が地球最後の日としても作っていたい我が家の夕餉(ゆうげ)

角谷陽子

二席 パンパンと悪夢追い出しお日様を乗せた布団をふんわりと敷く

西村真千子

生きている限り家事から逃れられぬ峰不二子でも洗濯をする

立田渓(けい)

朝刊の見出しを犬に語りかける無駄よと笑われつつ十五年

野分のわ

 

・荻原流 詠み方指南 ことばあそびをしてみよう

理屈で説明しようと思っても 意味のある繋がりで表現しようと思っても

難しい時がある オノマトペとか「ことばあそび」を入れて

表現の中で生かしてみる

 

んんんんん何もかもんんんんんんんもうなんもかもんんんんんんん

荻原裕幸

意味を引っ張ってこない「ん」が並んでいても何も引っ張ってこない

何も出てこない絶望感が出せる

短歌づくりのコツ

伝えたい思いを表す 

音や響きを自分ならではの「ことば」にして詠んでみよう

 

コジヤジコさんの家事短歌

食洗器のラストピースが足りなくてこんな時間にお茶しませんか

コジヤジコ

 

回文の作り方

ひっくりかえして くっつけて ひともじたして できあがり

イカ カイ 真ん中に一文字入れて文章にならないか

一文字入れてそれがどういう世界なのか想像することで

回文の基本的な部分はできる

イカあカイイカあ あカイ この間に何を入れるか?

しを入れると イカ足赤い  げを入れると イカ揚げ赤い

その一文字で世界がガラッと変わっていく

イカすカイ? 初めに作ろうとしたものからだんだん変わっていく

自分なりの着地点までいった時にこれで作品にしようと決めている

 

短歌で嘘はついてもいいのか?

自分が感じたり思ったりしていないことを書くという

意味での嘘だと噓っぽさが作品に滲みでてきてしまう 

嘘はつかない方が表現としては良くなる

 

・ことばのバトン

夏の夜にブロッコリーを蒸し上げて

上坂あゆ美(歌人)

フェスの熱気は醒めないままで

福岡県立八女高校 文芸部

熊谷涼那 

アルバムのばあちゃん見つめるじいちゃんの目は初恋のあの日のように

紫村菜々子

冷静な我の理性はオムライス恋に落とせるものなら落とせ

谷田礼 橋村美南

アーティストの音楽に酔いしれて熱気を感じるような

フェスにもこのあつさと同じ雰囲気を感じとって

行ったことはないんですけどいつかは行きたい

2025年10月13日月曜日

美の壷「民藝」

秋の色知れば知るほどリスペクト

咲き始む母の嫌った彼岸花

堤防を真っ赤に染めん彼岸花

秋の山白く可憐なそばの花(猿飼集落)

男たれ声裏返し秋の月

 

■美の壷「民藝」

民衆的工藝品 訳して「民藝」

名付け親は 思想家「柳宗悦」 陶芸家「河井寛次郎」 陶芸家「濱田庄司」

三人が木喰仏(もくじきぶつ)を集めている時に命名

機能的で健やかな作品

バーナード・リーチも民藝運動に身を投じた

映画監督マーティ・グロスは全国を回り映像に記録

百年前に生まれた民藝は今も人気

伝統を継承しながら進化を続けています

鉄瓶 やむちん 

 

「暮らしが仕事 仕事が暮らし」河井寛次郎

 

壷一、集い 和になる

京都

河井と濱田は同じ大学で学んだ同級生 京都の就職先も同じ

共に創作の道を歩む 

浜田は大正9年イギリスに渡る(バーナード・リーチといた)

河井は京都で新進陶芸家として頭角を現す

関東大震災1923(大正12)民藝運動が始まった

柳は京都に住まいを移す

そこで河井 柳 濱田が京都に揃う

柳が河井の作品を批判 二人は避けていた 

そこを取り持ったのが濱田と木喰仏

下手ものと呼ばれ軽んじられてきた民衆の工藝品

民藝にこそ真の美しさは宿ると考えた

 

1931年創刊「民藝」編集長 髙木崇雄

柳が見出していく美しさというのはみんなで共有できるもの

柳とその周辺の民藝運動 同人と呼ばれる人たちは

単に物をつくって売るというだけでなく

一つの社会の美 公共の美 みんなの美というものを

つくり出すために活動してきた

 

沖縄

やちむん(やきもの) チューカー(酒器) 

柳は昭和13年から沖縄を訪れ100日ほど滞在

「私たちは沖縄で学ばねばならぬことが いかに多いか知ったのです

そうして こんな土地がこんな状態で 

今なお地上に残されていることを 軌跡のごとく感じました」

 

紅型(びんがた)

柳は沖縄を訪れるたび、紅型や上布を買い求めた

 

紅型作家 冝保聡

夜に咲く「下がり花」に合わせて「こうもり」を飛ばした

「柳さんの一行が来て それを買って持って帰らなければ

もう灰になっているかもしれませんし どういうふうに繋いでいくというのは

これからの僕世代の課題でもあるので やっていくべきではないか」

 

壺二、風土を映す色と形

陶工 松田教司

アンダーガーミ(油壷)ラードを入れるふたもの

沖縄の美学というのはさくましさ 力強さ 健康である 美しさ

憧れてきた人 金城次郎 

次郎さんの作品というのは 誰にでもできそうでできない

普通にある器なんだけど できない 青竹を割ったような清々しさがある

非常に健やか ねじくりまわしてない

陶工(人間国宝)金城次郎

1213歳の時に住み込みで働きます 先輩の人たちが夜 

仕事を終えて 工房から帰ると 次郎さん達は職人さんたちが使っていた

ろくろの上に座って 一生懸命練習するわけです 人に教えられて

言葉で学ぶのではなくて それを身体につけていくわけです

次郎さんは壺屋の多様な技法なり技術なりを身につけ自分のものにしていく

 

金城次郎館 事務局 九髙美佐子

使ううちに次郎さんの素晴らしさ 良さが わかってきた

言葉では言えないけれど体で感じていたのかな

私たちにとって金城次郎というのは 沖縄の宝

 

民藝の担い手たちも一目置いていた

河井と濱田は柳より20年前に壺屋(金城)を訪れています(大正7)

濱田は冬になると壺屋で作陶 1940(昭和15)の壺屋

 

数年すると濱田庄司が教えるより聞くわけです そうなっていくと

濱田庄司も次郎さんを尊敬します 次郎さんは濱田庄司に

近い感じを持つようになる 内地の有名は作家の先生と

見習い陶工の立場から やがてお互いに自分の知っていることを

分ちあうような関係になっていったのだと思う

次郎さんは伝統の仕事をする職人 濱田は伝統を踏まえた創作的な

仕事をする作家 2つの民藝の道を代表した人だと思う

 

益子 栃木県芳賀郡益子町 濱田庄司が暮らした町

京都 イギリス 沖縄で経験を積みながら大正13年創作の拠点とする

益子参考館 事務局 濱田雅子

厨子甕(ずしがめ)沖縄 遺骨を入れる 死者を弔う

山水土瓶 運命を決定的にした 絵付けに惹かれた

「苦しくても 焼き物村に入るのが本当の道」

理想を実現できる場所を探していた

陶芸家として初めて人間国宝(昭和30)となる

 

陶芸家 濱田友緒(濱田庄司の孫)

濱田庄司の目で見て健やかな雰囲気のもの 自分で作ったものも

そういう健やかなものでありたい そのためには豊かな自然と

豊かな自然の中の立派な建造物 華美なものでなくて

素朴なものですけれど 民藝と向き合って自然に

わいてくるかのようにものをつくりたい それには健康な営みや

健康な精神が必要だと 喜怒哀楽が人生にありますから そういうものを

全部ひっくるめて 自然の営みの美しさというんですか それが

かたちになったものを いただいてくるという感じなんです

京都で道を見つけ 英国で始まり 沖縄で学び 益子で育った

自分の仕事というのは 56年かけて覚えたものを

10年以上かけて捨てて捨てきったところに 本当の答えがあるんだ

濱田庄司が参考にしたのは職人たちの手技でして 自分を捨てきって

機械のように日々仕事をしていくんですけれど 

機械ではなく人間なので 正確な仕事にも味わいとか温かみが出るわけです

 

濱田窯

柿釉 素材と友だちになるのは難しい

 

民藝とは庶民の芸術 暮らしの中にある美しさ

 

英国 芸術家 バーナード・リーチ

20世紀を代表する芸術家 1920年イギリスに登り窯を構えた

リーチ工房 イギリス セントアイヴス

1934年日本を旅した時のフィルムが残っている

映画監督 マーティ・グロス 本人からの依頼で修復保存をしている

民藝の本質を捉えていた

バーナード・リーチ

「彼(濱田)の弟子たちは作業を把握している 段取りがあるんだ

 彼らは段階ごとにさまざまな訓練を受ける 彼らは手を良く動かして

 作陶を行った 我々以上にね 一方でその動きには無駄はなく

 絶妙なバランスを保っている そこにリズムを生じる

 神秘的な光景だった」

 

Potters at Work(1976)「陶器を作る人たち」

上映会 主催者 大角康 

「私自身 背景を仏教に持っている 特に禅に持っているもの

なんですけれども 禅と民藝のつながりというのは 私は

個人的に以前から感じていたのですけれども 

つまり修行生活全般です 草をむしったり 枯れている花を

入れ替えたり 掃き掃除とか ふき掃除もそうです

お料理も洗濯もアイロンがけも そういった生活のことを

僕は淡々と呼びたいのですけれども この淡々という点において

禅と民藝というのは全く手を取り合うのではないかなと思うんです

それを見てホッと気持ちが安らぐとか 民藝品はどれを見ても

すごくかわいらしかったりとか 力みがなくて ホッとする温かみを

持っていたりとかする 道具がすごく多い ホッと肩の力を抜いて

これでいいじゃない というような気楽さ 温かさみたいなものを

感じていただけたのではないかと推測というか希望しています」

 

壺三、淡々が生む温かさ

福岡県朝倉郡小石川

陶工 太田哲三

マーティ・グロスは映画の舞台を探していた

美しい自然と陶工 太田熊雄さんの手技が決め手となりました

昭和29年マーティ・グロスが小石川にやってきました

バーナード・リーチ

「ぐっと情熱が湧いてきたと思うのです 民藝に対する何か

大きな人たちにも ぜひ会って話を聞きたいとか そういう気持ちは

常々持っていたみたいです つくるものに対しての自信とか

そういうものも含めて ひとつのものをみんなに喜ばれるものを

つくりたいという気持ちはあったみたいです」

 

バーナード・リーチが訪ねて22年後 記録映画製作をしようとしています

 

昔の小石川の文化がまだ残っているから 日用品は段々変わっちゃう

50年前のものですから 現代の人と話して どういう印象とか

どういう意味とか それを聞きたい ものを見て 昔の人の人生とか

どこから出てくる どういうふうにつくりました どこから

その手創りのノウハウが出てくるか 素材のこともある

日本の民藝の基本も 素材は大事 素材をわからないと

いいものをつくれない 日本だけじゃない もちろん 

人間の手はどこにでもある 

 

あえて民藝を意識して ものをつくっているわけではない

基本となる庶民の人たちが みんな使えるもの 形を変えながら

そういう技法は 守っていきたいと思っています

 

岩手県盛岡市

南部鉄瓶が発達しました 茶の湯釜

創業者 及川四郎(宮沢賢治の1年後輩)

卒業後は出版社を立ち上げ 宮沢賢治の本を出版

「注文の多い料理店」営業先には鉄瓶を持って行くほど

鉄瓶に誇りを持ち愛用していました

昭和2年 鉄瓶工房を立ち上げました

たびたび東北を訪れていた柳に四郎さんは出逢い交友を深めた

柳宗悦から及川四郎に宛てた手紙が残っています

「民藝運動は活発な未来を約束される」

 

「民藝」編集長 髙木崇雄

柳は「見て知りそ 知りてな見そ」ということをよく言います

まず見なさい そのあと知りなさい 一つのものをきっかけにして

その背後とか そのものがどういうふうに なぜ自分は美しいと

思うんだろうかとか あるいは 自分が良いなと思うものが

どうやってつくられているのだろう どんなところで

つくられているのだろう どんな人がつくっているのだろう

ということを 知っていくことで 自分の中の暮らしの豊かさと

いうものは もっと広がっていく それ自体が 柳たちが目指した

民藝運動の小さな実践になるのではないか と考えた

 

壺四、ものをよく見る そして知る

三代目 佐々木和夫

鉄というのは 生き物と表現する人もいます 

私たちの師匠たちは 実は 魔物と言ったのです

ちゃんと作業を進めても なかなかうまくいかないものだと

そっちの方が強かったのです 

大粒の突起は「鬼霰(おにあられ)」と呼ばれます

400年前からの技法で守り作られています

四代目 佐々木健二

鉄瓶は使うことで風合いを増していきます

2025年10月12日日曜日

安楽死という選択がある国で

二日前今期は消したエアコンの

べたなことまたやり過ごす秋の風

赤蜻蛉羽を広げて鳥兜

竜胆が咲きて雷鳥散歩せり

秋の野や芒穂を出し吾亦紅

 

■安楽死という選択がある国で

いま世界で、安楽死を合法化しようという動きが加速している

中でも急速に拡大しているのがカナダ

2016年に合法化して以来、安楽死を選択する人は年々増加

カナダは安楽死を医療の選択肢とひとつとして考えてきた

さまざまな波紋を引き起こしている

 

Medical Assistance in Dying(MAID)

死への医療的援助

・深刻な病気 障害(精神疾患のみの患者を除く)

・衰弱し回復不可能な状態

・耐えがたい苦痛

 

患者は深いこん睡状態になり呼吸が停止して 死に至ります

 

カナダでは安楽死は個人の権利という考え方が広がっています

精神障害の除外は憲法違反か

 

脆弱な人々を保護するという国家の利益と

社会の価値観に照らして憲法違反ではない 2013

 

安産策を講じれば弱者が非利益を被ることはない 10年後

終末期の患者のみ安楽死を認める

終末期以外のにも安楽死を認めて欲しい

 

障害者が両親を亡くした時の選択肢は3

在宅介護 長期介護施設 安楽死

 

自宅で過ごす方法が見つからず必然的に安楽死が唯一の選択肢となった

母親が亡くなって半年後、安楽死を申請。

在宅介護の申請書類は100ページ以上あるが、安楽死の申請は3ページ。

安楽死へ誘導されている様である。

 

自分で着替えやシャワーができる人は公的介護は受けられない

安楽死を申請すると1カ月半で申請が下りた

人々が安楽死を選ぶのは必要な支援が提供されないから

 

カナダでは安楽死を受ける人がほかの国に比べて急速に増えています

自分で生と死を選択できる理想的な方法として政府が打ち出していて

それは財政的にも影響がある 

安楽死の合法化を支持した人たちが

コスト削減を目的にしていたとは思えません

しかし すでに連邦議会の報告書で

どれだけ費用が削減できたかが示されている

 

安楽死のコスト分析

医療費は年間160億円削減

安楽死は安上がりな選択肢になります

一度合法になれば医療や社会福祉への投資を主張するのは困難になります

 

私感

日本でも早く安楽死の議論がなされますよう期待しています。

早く始まらないと間に合いません。

高市早苗新総裁!期待しています。

 

2025年10月11日土曜日

あの本、読みました? 逢坂冬彦 松下龍ノ介 池谷真吾

秋の声明日は我が身ぞ独り言

見えてくる指折りてこそ秋の色

雨あがるツリフネソウへ秋茜

秋の空老いと抗いまた負けん

鈴なりの銀杏ずしり青き空

 

■あの本、読みました?

「国宝」「同志少女よ、敵を撃て」「汝、星のごとく」

文庫本ランキング

 

逢坂冬馬 松下龍ノ介 池谷真吾 鈴木保奈美 山本倖千恵 林祐輔P

 

「同志少女よ、敵を撃て」の一文 逢坂冬馬著/早川書房

セラフィマは走って行ってその銃を拾った。

男の兵士たちがやめろ、と叫ぶなか、ボルトを引いた。

そして女性兵士に向けようとした瞬間、彼女は足を振り上げ、

ブーツのつま先がセラフィマのみぞおちに入った。

「ぐ、う…」「それでは軍用犬にもならんな敗北者め!

ドイツに負け、私にも負けて死ね!」

銃を拾い高らかに笑った 女性兵士は、もう一度叫んだ。

「お前は戦うのか、死ぬのか!」「殺す!」這いつくばったまま、

セラフィマは答えた。生れて初めて口から出た言葉だった。

「ドイツ軍も、あんたも殺す!敵を皆殺しにして、敵を討つ!」

静寂が突如として訪れた。床を焦がす炎が壁に移り、

徐々に大きくなっていった。女性兵士は、笑みを消して答えた。

「そればれば、有用だ。今は殺さずにおこう。

 

ナチに交渉は通じない。これは通常の戦争ではない。

軍隊が瓦解すれば全ての人民は虐殺され奴隷化される。

故に、組織的焦土作戦を用いて撤退する。

局面を除いては、踏みとどまって防戦することが、

唯一ソ連人民が生き残る術なのだ。

逃亡する兵士は、もはや敵であり、ファシストの手先なのだ

 

松下龍之介 千葉工業大学大学院工学研究科修士課程を修了

現在は電機システム事業を扱う会社で高圧ポンプの設計等に携わる。

 

仙波佳代子 分子生物学の世界的権威 を記した一文⇩

「一次元の挿し木」の一文 松下龍之介/宝島社文庫

研究者となったあとも、佳代子は変わらず

自らの欲望に忠実に突き進んだ。

たくさんの人間とさまざまなプロジェクトに携わった。

時には倫理に反することもあった。

引き換えに、その分の成果は科学の進歩に還元した。

その結果、世間から多くの賞や賞賛を受けたが、

それらは彼女自身が自らの欲を満たしたあとの排泄物でしかなかった。

(中略)

多くの若い学生と出会った。中には優秀と思われる若者もいた。

しかし、彼らが研究者として名を馳せることはないとわかっていた。

彼らの目はとても澄んでいて、

人類への貢献を目指し、野心に燃えていた。

しかし、それではだめなのだ。遺伝子学者に必要なのは、

生命への歪んだ好奇心。そして、神を演じようとする傲慢さ。

 

科学者を動かす「知りたい」欲求が行動原理になっている人が多い

 

石見崎は自宅のリビングでテレビを点けた。

(中略)

〈新しい命を前に眠っているぞ〉

テレビに映る男はそう言って、

墓場から掘り起こしたばかりの棺桶を叩いた。

それから助手の男とともに、

人目を忍んでそそくさと棺桶を運び出す。

この映画は観た記憶がある。「フランケンシュタイン」だ。

遺伝子に携わる人間として、この映画は興味深い。

DNAの二重らせん構造を初めて発見したジェームズ・ワトソンも、

こう述べていた。「『フランケンシュタイン』ほど、生命の神秘を

解き明かすという、恐ろしくも胸躍る科学の姿を捉えて

人々の頭に焼き付けた作品は、これ以降出現していないのではないだろうか。

そしてまた、神のごとき力を行使することが社会の及ぼす影響に、

これほど深く向かい合った作品もないだろう」

 

最新作

「ブレイクショットの軌跡」の一文 逢坂冬馬著/早川書房

意と決したように、翔は突然正面に向き直り、後藤さん、と言った。

「俺が後藤さんみたいになるには、どうしたらいいでしょうか」

急な話だったので、友彦はあっけにとられた。

後藤さんみたい、とはなのことだろう。

「板金一級ってこと?それとも?課長になりたいの?」

「そうじゃなくって…それも、あるんすけど、

あの、後藤さんみたくかっこよく働いて、修理箇所みるだけで

タワーでどこ引っ張るか分かって、ボルトも溶接も完璧で、

そんで、しっかり働いて家族を幸せにしてる感じです。

後藤さんは、かっこいいっす」

(中略)

「翔。俺はそんなに大層な人間じゃないし、職人としても、

特別ってほどの技量を持ってるわけじゃないんだ。課長といっても

他の同い年の連中に比べれば稼ぎも良くない。でも、そんな俺にも、

なくしようがない取り柄はある。それは善良さだと思っている」

「善良…」翔は聞き返した。そう、と友彦はうなずく。

「世の中には、なにがなんかんだか分からないほど

難しい仕事をして一年に何億円も稼ぐ人が

大勢いるし、俺は一生かかってもそっちにはいけないよ。

でも善良さってのは、最大の資産じゃないかな」

 

ヤングケアラーと毒親について

時勢も国もバラバラ

「オッペンハイマー」

世界初の原子爆弾の開発を指揮したオッペンハイマーの伝記映画

3つの時系列が交錯しながら描かれている

 

池谷真吾(「国宝」担当編集者)

「国宝」映画にない登場人物の物語がある

映画とは違うエンディングが待っている

主人公の喜久雄を献身的に支える幼なじみの徳治との関係

喜久雄の隠し子である娘の綾乃の物語

本の方が映画より映像的

映像は5時間くらい撮ったが3時間に切り取った

2025年10月10日金曜日

激辛料理で一句

秋の風上手下手より好き嫌い

秋晴る(菅井)円加のBallet Japanese

裸足で踊るラ・シルフィード初秋

バウンスで阿吽の呼吸星月夜

秋を舞うこれらが才というものか

 

■プレバト纏め 2025109

激辛料理で一句

特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句

唐辛子食みて胃の腑に龍二匹

(龍と唐辛子 何となく似合う 俳句で言う「付かず離れず」

 胃の腑に龍二匹 大胆な比喩もいい 「て」が原因・理由を説明する

 緊迫感がなくなる 「て」一文字が愕然と緩ませている)

唐辛子食むや胃の腑に龍二匹

 

名人への試験 森迫永依

天高し検診終わりの激辛麵

(んが韻を踏んでいるので中八下六が気にならない 

リズミカルな調べを作っている)

 

1位 高橋光臣

夜稽古ここ一番のとうがらし

(情景と心情が浮かび上がる シンプルに書けばいいだけ

 燃やしたり気付いたりする必要はない 店の名前にしなかったことは得をした

 とうがらしは漢字で書くと閉まった感じになる 時間情報を入れた方が良い)

稽古ここ一番の唐辛子

殺陣稽古ここ一番の唐辛子

 

2位 豆原一成

秋時雨辛き余燼(よじん)が腹にあり

添削(余燼:事件や騒動などが一段落した後もまだ影響が残っていること

   人生の辛い出来事辛い心情 まだ腹に残って燻ぶっているのです

   冷ますかのように秋の時雨が降ったり止んだりしています 

深い人生の一句にも読める 語順 散文 普通の文章の語順)

腹にあ辛き余燼秋時雨

 

3位 鈴木亜美

秋澄むや蒙古タンメン香り待つ

添削(蒙古が強過ぎて季語が際立っていない)

10辛のタンメンの香や秋澄めり

 

4位 三島達矢

唐辛子気づかぬマーク地獄行き

添削(詩のかけらが全くない)

唐辛子激辛マーク見落として

 

5位 眞鍋かをり

椀に燃ゆ彼岸花見し気は朧

添削(秋の季語:彼岸花と春の季語:朧 大凶の一句 

   表現者としてプライドかけて言葉紡いでいるのに 

彼岸花は季語として機能しない) 

朦朧(もうろう)と椀に唐辛子の赤し