2025年10月27日月曜日

兼題「会う」&テーマ「目覚めても忘れられない夢」

 

秋の声唯一無二の生と死と

流れ星最後の権利安楽死

交わることのない世界線夜長

物理学の世界線や秋を詠む

騙されませぬクリックベイト秋気

 

NHK俳句 兼題「会う」

年間テーマ「語ろう! 俳句」

選者:高野ムツオ ゲスト:小川軽舟 谷さやん  

モーリー・ロバートソン かわにしなつき 司会:柴田英嗣

 

短い言葉で周りのスペースも一緒に風景ですよと(描く)ことは日本語固有

英語で少ない言葉で何か言おうとすると伝わらなくなる 圧縮不能というか

モーリー

 

「会う」超難易度じゃないか 動詞なので普通は季語か季語でなくとも名詞

「会う」は会いとか会わないとか いろいろ変化もする

誰がどんな時にどのように会うのか想像するのは難しい 高野

 

   暑さ明け会う人と語る火星の水   モーリー・ロバートソン

中八を「会えば語ろう」とすると

呼びかけにもなるし流れもよくなったのでは?

「暑さ明け」は「涼新た」「暑さ終え」の方が良かったのでは?

天気予報と報道のニュースって切り離されていて 温暖化を誰も議論

しないから この星火星に向かっているぞと思ってパニックしていた

表現に盛り込めなかったけど背景には自分自身のパニックを詠んだ

   とんぼうがとんぼうと会う豊の秋   高野ムツオ

「と」頭韻がうまくいっている ゆったり感がある

季語が3つ並んでいる 「が」と「は」で悩まれたとか…。

   名月や心だけ里会いに行く   かわにしなつき

「心は里へ会いに行く」調べが流れだすと抒情的な句になりそう

三段切れになっている 行儀が良すぎる 忖度し過ぎ

「会いに行くのは心だけ」という手もある

   会へば行く店あるふたり秋の宵 小川軽舟

「秋の宵」パワーワードにひかれた 季語がピッタリすぎる

俳句は意外性がないといけない 想像をひっくり返す季語が良い

   黒葡萄洗えばこぼれ会いたいなあ   谷さやん

心理描写 俳句では主観は言ってはいけない

濁音 ばびぶべぼがいっぱいある 緩急感が音声として面白かった

 

五者五様の句が並びました 柴田

 

・特選三席発表 兼題「会う」

一席 久々に会ふ白息をぶつけ合ひ   渡辺みほ

二席 星座盤まはして母と会ふ夜長   押見げばげば

三席 会()うて先ずひつつき虫を摘()り合ひぬ   中川いづみ

 

・特選六句

地下で会い地下で別れる温め酒   鈴木研児

会へばまた会つたで揉めて芋煮会   丹下京子

レコードや十五の吾に会ふ夜長   小林飄

夢に会ふ夫は逞し霜の菊   うーみん

やまひ得て出会ひし友や鰯雲   伊藤柚良

亡き父に会ふマフラーの匂ひかな   萩尾節子

 

日本語の持つ深さとか優しさとか

いろんな力が出てくる表現方法だなと思いました

この美しい言語をあと少なくとも

五十年か百年は温存したいと思っている

一言一言美しく話さないと 

一千年前の人に顔向けできないと思っている。

モーリー・ロバートソン

 

NHK短歌 テーマ「目覚めても忘れられない夢」

年間テーマ「“伝える”短歌 “伝わる”短歌」

選者:木下達也 ゲスト:ラランドニシダ 司会:尾崎世界観

 

・入選九首 テーマ「目覚めても忘れられない夢」

泣きながら置き去りにしたボクサーが俺より先に家に着いていた

大橋奥文

三席 引き留めるつもりで目から出た鎖つむるとすぐにちぎれてしまった

佐藤研哉

エレベーターの閉まるボタンを押したとたん奥に倒れて火葬をされた

高橋泰源

グローブに手が入らないグローブがしっくりこないグローブがない

中村一郎

二席 向こうだけ時間がはやく流れてて電話の声がしわがれてくる

小鷹(こたか)

駅前で配られているそれぞれの好きな固さに合うゆでたまご

葉村直(なお)

一席 私 透明なエレベーターで上昇し空まで鳥を何羽撥()ねたか

常田瑛子

 病院のシーツたなびく屋上にもういない犬の足だけ見える

公木正(こうきせい)

ラーメンの中に小さな街があり麵(めん)を啜(すす)ると見上げる人々

野口み里

 

・“伝える”短歌 “伝わる”短歌 木下流短歌の育て方

じゃあ女性代表として母さんは喉が壊れるまで叫びます

注がれたのに無駄にしたいくつもの母性と懺悔室で向き合う

わだかまりそれは叫びの輪唱であなたを責める女性の名前

 

言葉になっていないものを31音にしてみるのは

自分で短歌を作るときにもその感覚がある 木下

 

お客さんの心や目を引き付けるような言葉を伝授して欲しい 木下

自己紹介ルーレットを教授するラランドニシダさん

 

・文芸って何がおもしろいと思いますか❓ ラランドニシダ

自分の中に無いものを入れてもらったとき

自分は崩れる感覚が気持ちよさにつながる 木下

短歌だと生まれてから短歌を書くまでの道はそれぞれ違う

だからその人が書く短歌も必ず違う

 

ギャグの副作用みたいなものがふわふわしています ラランドニシダ

ギャク酔い? 尾崎世界観

 

・ことばのバトン

喉焦がし明日の私へ應援歌 

宮崎県立宮崎北高校 石田千夏 岡田華音 海野漣

こぼれないよう握ったバトン

秋田県立秋田北高等学校 村田成実 佐々木乃愛 村上響

「再」の字の線対称じゃないところ馬鹿だ私だけ会いたがって 

佐々木乃愛

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