関わりのなか生まるる心秋の草
立ち振る舞いに宿る心や月夜
Technologyの平和利用月の暈
雨の秋コディー(・ウォーカー)が江戸へ帰りきた
意を現わさん秋インスタレーション
■NHK俳句 兼題「紅葉」
選者:和田華凛 ゲスト:安田登(能楽師) 司会:柴田英嗣
年間テーマ「季語からみるDNA」
鎮魂は生きている私たちの魂をも鎮めてくれる 安田
紅葉は雪月花と並んで日本の四季を代表する季語
美しすぎる季語を俳句で読むのは難しい 和田
能には「紅葉狩」という演目がある
日本の鬼は悪いものだけじゃない
悲しみとか抱えた者がいつの間にか鬼になる
(「紅葉狩」に登場する)女性も見つからなかったら
悪いことはする気なかった 安田
俳句でも紅葉狩という季語がある
桜狩と対になっていて桜狩は桜を見に行ってめでるという季語
紅葉狩も紅葉を見に行ってめでるという季語
常に移りゆく諸行無常 夏には青かった葉が赤くなり黄色くなり
そして枯れていく 命を燃やすような人の人生に例えている 和田
俳諧の有名な松尾芭蕉の弟子で
宝井其角(たからいきかく)という人がいる
「俳諧をする人は能を学ばないといけない」と言っている
能って舞台が狭い 狭い舞台の中でさまざまなことを
演じなきゃいけない 場所の制限がある
能は固い着物を着ているので動きも制限がある
制限があるからこそ実は制限を超えられる
「羽衣」という能があって天女が天高く昇っていく
宙づりすることも可能 でも宙づりすると天井がある
狭い舞台をぐるぐる回っていると客は本当に
天に昇っているような気持ちになる 制限があるからこそ
制限を超えることができる それが能という芸能 安田
俳句は十七音という世界最短の文学 足元の草花や虫から
宇宙の月や星まで詠める 有季定型という制限があるからこそ
余白に生まれる自由がある
有季定型:季語を入れて五七五という定型で詠む俳句の決まり 和田
引きこもりの人と一緒に細道を歩くと言うことをやっている
歩きながら俳句を作ってもらう
「ああだめだだめだ自分のことばかり」
この句を詠んだ人はつらいことがあって
自分を客観的に見ることができなかった
五七五という定型によって初めて自分のことを見ることができて
ただこの中に季語がない 季語集を持っていないので
目に見えるものを詠んでいく そうすると何が起こるかというと
自分の感情が景色に入っていく 自分だけの苦しみじゃなくて
景色が一緒に苦しさを持ってくれるので すごい句が
どんどんできていく 有季と定型の両方は本当にすごい 安田
俳句を詠むということは花鳥風月を詠むということで
この世の暮らしとは違う別世界に行ったような感情になる
リズムをもって歌にすることは音楽と同じ
音楽は「音を楽しむ」と書く 言葉を定型に当てはめることで
苦しみとか悩みが軽くなって昇華される 和田
有季定型を重視したしかも能をやっていた高浜虚子
高浜虚子が「(俳句は)極楽の文学」と言っている
文学には「極楽の文学」と「地獄の文学」がある
人生は苦しい 苦しいのをそのまま書くのが「地獄の文学」
苦しさの中に極楽を見つけることができる
そんな文学もありなんじゃないかと虚子は「極楽の文学」を
提唱している 和田
虚子は「(俳句は)花鳥風月」と言っている 自然を賛美する
自然の美しさ良い面を詠むことによって自然という別世界の
中で悩みを昇華できる 和田
虚子は「能も極楽の芸術」と言っている どんなつらいことが
あっても能は最後に舞を舞う 舞を舞っているうちに
いつのまにかすべて昇華される どんなつらいことがあっても
全て舞の中で昇華される だから「(能は)極楽の芸術」 安田
言葉にすること 五七五にまとめること
(俳句は)舞とも一緒ですね 昇華すること 和田
・名句鑑賞
この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉 三橋鷹女
すごいのは「この樹登らば」の「らば」
「登れば」じゃない「登らば」だと登れるかどうか分からない
自分の意志で登れたら私は鬼女になれるというすごい強い句 安田
この樹に登ったらどうなるだろうと読者に想像させる間を与える
定型を崩すことであえて印象を強めている 和田
・特選句発表 兼題「紅葉」
紅葉山神の吐息は裾野まで 君島忍
乗り換えて紅葉を浴びに行く切符 塩田良一
一村に一寺一宮紅葉濃し 南波ムツ
トンネルの丸が切り取る紅葉山 水野高爾(たかじ)
本丸を残し紅葉の暮れにけり 板倉富士夫
紅葉冷え珈琲の香の女坂 星月彩也華
・特選三席発表
一席 赫赫(かくかく)と日輪めぐる紅葉かな
東沖和季(ひがしおきわき) (赫赫:赤赤と照り輝くさま)
二席 みづうみにたてよこのあり山紅葉 岡本戎(えびす)
三席 夕紅葉そろそろ鬼が動き出す 尾﨑光洋
・とびだせ!教室俳句
和歌山県智辯学園和歌山高校
理科 浅野剛史先生
楠若葉すべての窓を開け放ち 浅野剛史
ポイント
細かな要素と植物の季語との取り合わせで感情豊かな表現に
ホームラン歓声響く若楓 前田紋里
・能楽師 安田登の一句
行き暮れて空一面の紅葉哉 安田登
推敲(山路を行って寝ころんだ時にこの「暮れて」がすごく効いてくる
夕日に照らされた夕紅葉が見えて美しいオレンジの景が
広がるんじゃないかなという提案 和田
歩いているのが止まった感じがします 安田 静と動 柴田)
行き暮れて空一面の夕紅葉
・柴田の気づき 季語から見たDNA
十七音で嫌な事は昇華しよう
■NYK短歌 テーマ「気候/気象」
選者:永田紅 ゲスト:南利幸 司会:尾崎世界観
年間テーマ「“理科のことば”で羽ばたく」
「気候/気象」が詠み込まれた歌
人はみな馴れぬ齢を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天
永田紅
・入選九首 テーマ「気候/気象」
気象とは関わりなしに亡き夫は雲を見ていたいつもベッドで
越湖(こしこ)早苗
私 1㎜に満たない雨は雨じゃない それならこれは恋じゃないかも
可笑式(おかしき)
三席 原宿に小雨の降れば人々は傘の幅だけ離れて歩く
村川愉季(ゆき)
君がくれたビニール傘のたくさんある街にくる秋雨前線
ねこたりん
私 ミリバールには戻れないでもヘクトパスカルに心を開けない
前川泰信
君に会う前の私の内側は百葉箱のような静けさ
鈴木るい
二席 私 泣きじゃくる吾子の周りの等圧線みるみるうちに狭くなりけり
ツキミサキ
一席 循環する水が一瞬雨だったように私であった一瞬
横縞
私 気圧には高いと低いしかなくて中途半端な僕を転がす
秋野トウゴ
・❝理科のことば❞ピックアップ
目視から機械に変わり「快晴」は辞書の中なる空の青さよ
佐藤一央(いちお)
快晴って言葉を返せ
・私の❝理科のことば❞
CAT(キャット) Clear-Air Turbulence(晴天乱気流)
晴れているがすごく風が乱れているという現象
目に見えていないものを具現化(可視化)する 南
短歌も見えない気持ちを表現している 永田
天気予報もストーリーを作ることが大事
視聴者の皆さんと共感できることを探している
晴天の辟易
霧が出た車の運転キリっとね 南
学振(がくしん)が苦心、科研費書けん日、と言葉に遊ぶを息抜きとして
永田紅
(学振:日本学術振興会 科研費:科学研究費助成金)
折句(おりく) 回文短歌
・ことばのバトン
フェスの熱気は冷めないままで
福岡県立八女高校
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喉焦がし明日の私へ應援歌
宮崎県立宮崎北高校
石田千夏 岡田華音 海野漣
校庭の君と目が合うたまゆらの0.2秒夏が変わった 岡田華音
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