墓洗ういつまでできることでしょう
手を合わす二十四基の墓参
お線香火がつきませぬ秋の風
秋彼岸泥をかぶった青蛙
青蛙墓をしばしの一休み
■NHK俳句 兼題「新酒・古酒」
選者:堀田季何 レギュラー:庄司浩平 司会:柴田英嗣
年間テーマ「俳句のコリをほぐします」
今週のテーマは「数」
数を確定されている句
①
金剛の露ひとつぶや石の上 川端芽舎(ぼうしゃ)
②
一対(いっつい)か一対一か枯野人 鷹羽狩行(たかはすぎょう)
③
故郷へひとりの道や青葉風
ツボポイント
数を示す言葉が不可欠なら、ためらわずに入れる
数を確定させていない句
④
雁(かりがね)の声のしばらく空に満ち 高野素十
⑤
露の玉蟻たぢ〱となりにけり 川端芽舎
ツボポイント
句で大事にしたいことを見極め、優先順位をつける
①
金剛:ダイヤモンド あるいはそれ以上に硬いもの
露:秋の季語 金剛と露 真反対のものを合わせている
あえてひとつぶだと言いたい 「ひとつぶ」で露の輝きが際立つ
②
枯野:冬の季語
数そのものが主題 言葉遊びの面白さ
③
青葉風:夏の季語
「ひとりの」の部分にもっと情報が入れられる
数を入れた句と入れていない句を見比べると分かりやすい
④
雁:秋の季語 満ち:言い方に余韻がある
味わいをメインに言いたいので数を入れない
⑤
数は必然でない限り要らない
・実践
必要な数と必要じゃない数を見極めよう
A筍や雨粒ひとつふたつ百 藤田湘子(しょうし)
雨後の筍という想像もできる
キャベツのしのし積むやスーパーマーケット 相子知恵
数がない方が想像がふくらむ
C流燈や一つにはかにさまのぼる 飯田蛇笏
まとめ 数を効果的に使って句の魅力を引き上げる
・特選六句発表 今週の兼題「新酒・古酒」
季語の「古酒」は新酒ができて余った酒
信教の自由たとえば新酒の香 伊藤映雪(えいせつ)
新酒酌み蛸の利き足研究会 杉浦孝子
新酒ああ僕らは生きていたのだな 里山子
古酒ごくん喉がなんだか壇ノ浦 元野おぺら
胃袋は日本のかたち新酒酌む 押見(おしみ)げばげば
月入れて月に呑まるる新酒かな すまいるそら
・柴田
庄司の歩み
数は想像させた方が楽しい‼
俳句の学びひとつふたつ百
■NHK短歌 テーマ「雲」
選者:横山未来子 レギュラー:菊池銀河&横田真子 司会:ヒコロヒー
年間テーマ「三十一音の扉」
履歴書の写真のような顔をして飛んでいるのにかもめはきれい
北山あさひ「崖にて」
作者の個性があらわれた意外性のある比喩を使うと良い
その名前口にするときわたしにはまだ使えない呪文のようだ
雪舟えま「たんぽるぽる」
目で見て似ているものだけではなく
心情や抽象的なものも比喩にすることができる
比喩はオリジナリティーが大事だが
読み手に伝わらないと困るのでバランスが大事
「ような」「ごとし」などを使った比喩は直喩
「ような」「ごとし」などを使わない隠喩(暗喩)
直喩 彼女は天使のようだ
隠喩 彼女は天使だ
直喩はわかりやすく伝えられる
隠喩は若干わかりにくく立ち止まる感じがある
謎めいた感じを出したいときに隠喩を使う
隠喩の作品
君が抱くかなしみのそのほとりにいてわれは真白き根を張りゆかむ
横山未来子「樹下のひとりの眠りのために」
・入選六首 テーマ「雲」
鉄棒におしりを乗せてゆっくりと流れる春の雲に吸い込まれる
吉行直人
一席 肩先の産毛まだ濃き吾子を抱き雲湧き上がる夏空を見き
浅見邦恵
私 群雲(むらくも)にかくれたる月ゆつくりと押し出されたり生まるるごとく
土屋ひろ菜
四人部屋廊下側なる病室の妻に話しぬけふの白雲
後藤進
私 カワセミは八十五度の角度から水面の雲を突き破りたり
山本里枝
真っ白な飛行機雲が伸びてゆく誰かが誰かに会いに行く空
木村修司
・菊池銀河&横田真子 歌人への道
テーマ「雲」比喩を使った歌に挑戦!
シュークリームのような雲見つめては空を頬張る君をおかわり
菊池銀河 添削
シュークリームのようなる雲をぱくぱくと頬張る君を何度もみたい
読み手に伝わるか客観的にチェックしよう!
雷(らい)おちて見上げた空に龍ひとつ見つけてしまい急ぐ坂道
横田真子 添削
雷(らい)おちて見上げた空に一頭の龍を見つけて急ぐ坂道
歌人への道ポイント
イメージが浮かぶ比喩を工夫しよう!
・ことばのバトン
夏の夜にブロッコリーを蒸し上げて
上坂あゆ美(歌人)
母と鳥姉には獅子と羽根があり私は刺青(タトゥー)がないという刺青
上坂あゆ美「老人ホームで死ぬほどモテたい」
自分の地獄が誰かの希望になる
自分が最も美しいと思う表現方法ができた
ちっぽけなことから壮大なスケールに接続する歌が好み
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