2024年8月6日火曜日

あの本、読みました?朝井リョウ

不眠症眠気が襲う夏の朝
開店前汗がぽたぽた駐車場
若年層の仕事憶えや御来迎
夏の空客が続々開かぬドア
夏の風エアコン止めた待ち時間

■あの本、読みました?
夏の本の選び方!朝井リョウが語る新聞書評&課題図書
朝井リョウ 桂星子 待田晋哉 鈴木保奈美 角谷暁子

▪隠れた名作に出会える!新聞書評の楽しみ方
朝井リョウの書評 印象に残っているのは❓
「望むのは」古谷田奈月/新潮社
スペースは21文字 38行に決まっている
段落の改行も計算に入れていた
「動物のキャラクターがさらりと登場すると書
いたが差別や偏見が全くない作り物めいた世
界が舞台なわけではない。皆で一つに、といっ
た説教臭い雰囲気も、マイノリティーがその生き
づらさを訴えることもない。」

「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」若林正恭著/KADOKAWA
気合いが入っている書評は「みっちりしている」

池上冬樹
日本の文芸評論家「週刊文春」「本の雑誌」「ミステリマガジン」
「日本経済新聞」などで幅広く書評・批評を行なう

「性欲」朝井リョウ著/新潮文庫
相変わらず語りが巧い。群像劇のスタイルで、思いがけない人物の
交錯と展開があり、後半からは事件の加害者たちも加わり、人間模様は
いちだんと複雑になり、各自の秘めたる欲望もあらわになる。
冒頭に提示される児童ポルノという色物的な煽情(せんじょう)は一切なく、
むしろ誰とも異なる固有の欲望の形をひとつずつ明確にしていき、
いったい性欲とは何なのかを徹底的に問いかけていくのである。

書評を書く人の選び方

「日本エッセイ小史 人はなぜエッセイを書くのか」酒井順子著/講談社
山崎ナオコーラの書評
現代小説を書く私はよく「小説がエッセイっぽい」と批判される。
そのフレーズが批判として成立するのは世間がエッセイを侮っているからだ。
「小説が詩的だ」と言ったところで批判にならない。
エッセイは時代を写す鏡としても出版されてきた。
エッセイストにはエッセイだけを書く人は少なく、本業が他にある人が
多いのだ。エッセイは他のジャンルと組んだときに強く輝く。
その時代に活躍した学者や芸能人などが、その道を極めた半生を振り返ったり、
あけすけな本音を語ったり、文学者の凝り固まった文章とは違う抜群に
自由な言語センスで散文を書いたりする

読売新聞 書評の仕組み 読書委員 書評を載せる本の決め方
池澤春奈 尾崎世界観 為末大 宮内悠介 宮部みゆき など
各分野で活躍する20名で構成される 2024年8月現在

朝井リョウの印象に残った書評

「蝶として死す 平家物語推理抄」羽生飛鳥著/創元推理文庫
宮部みゆきの書評
東京創元社「ミステリ・フロンティア」から登場する
新鋭ミステリー作家の作品には、歴史ミステリーの佳品が多い。
今、八十年代、九十年代生まれの若い作家たちのこの分野に
引きつけている名作は何だろう。この叢書(そうしょ)の新鮮な
面白作を堪能するたびに、その謎に時めいてしまう。

新聞書評のいいところ
「世界と僕のあいだに」タナハシ・コーツ(著) 池田年穂(翻訳)/
慶応義塾大学出版会2017
書評・旦敬介 明治大学教授ラテンアメリカ文学者
現代のアメリカ合衆国において、アフリカン・アメリカンの
つまりいわゆる黒人の、特に男性がどのような意識をもって
社会と対峙して生きていくことを強いられているのか、
驚くべき率直なもの言いで語った本である。十四歳の息子に
語りかけるという体裁をとって、極度に不利なゲットー環境の山で
著者がいかにして自己形成することになったのか、情熱と怒りを
込めて、しかしきわめて明晰に、丁寧に説いて言う文体が魅力的だ。

鈴木保奈美さんのおきにいりの三浦しをんの書評
三浦しをん
「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞受賞
2013年~2016年まで朝日新聞の読書面で書評を担当

大人だって楽しめる《課題図書》8万冊から選ばれた18冊
設楽敬一 瀬野尾真紀 小宮山民人 
2024年注目の課題図書「宙わたる教室」伊与原新著/文藝春秋
選定理由
「集団就職というのは、専用の列車に乗せられていくわけです。
昭和三十九年三月、私も福島の湯本駅から、
上野行きの汽車に乗り込みました。
家族だけでなく、中学の同級生も大勢、見送りに来ていてね。
みんな、高校へ進む者たちですよ。
私の隣に座っていた男子は、うつむいて悔し涙を流しとりました。
「あいつら、勉強なんか嫌いだと言ってたじゃねえか。
俺はもっと勉強したいのに、なんでだ。」と。
私は泣くどころか、彼らをにらみつけていましたよ。
『お前らには絶対負けん』と、心の中で叫びながらね」

2024年注目の課題図書「おちびさんじゃないよ」
マヤ・マイヤーズぶん ヘウォン・ユンえ まえざわあきえやく
株式会社イマジネイション・プラス

「希望のひとしずく」キース・カラブレーゼ著 代田亜香子訳/理論社

課題図書は面白くなくてはならない

▪千代田区立図書館《貸出予約》ランキング 九段理江 樋口万季

「成瀬は信じた道を行く」の一文 宮島未奈著/新潮社
テレビではUFOらしきものが見つかったという映像が流れていた。
慶(よし)彦が子どもの頃からUFOがいるとかいないとか言っているが、
謎はまだ解明されないのだろうか。
それにしても朝のニュースで流すような内容じゃないだろうと思いつつ
あかりの様子をうかがうと、身を乗り出して映像を見ている。
「世の中まだまだわからないことがたくさんあるな。
わたしはUFOを見たことがないから、ぜひ一度見てみたいものだ」
どうやらあかりは本気でUFOがいると思っているらしい。
慶彦はUFOなどいるわけないと思っていたが、
よくよく考えてみれば完全に否定できる材料はどこにもない。
「見つけたら動画を撮ってテレビ局に送らないとな」
慶彦が話を合わせると、あかりは
「すぐにカメラを取り出せるよう特訓しておこう」と斜め上の返答をよこした。
あかり…主人公 慶彦…あかりの父

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