2024年8月19日月曜日

兼題「西瓜」&題「こわいもの」

暑き風回し回して扇風機
背に扇風機ドレッサーとにらめっこ
熱々の湯の出る蛇口八月(はちぐわつ)
八月五輪の選手小指立て
水撒くや蛙と蝉が一斉に

■NHK俳句 兼題「西瓜」
選者 木暮陶句郎 ゲスト 関根麻里 司会 柴田英嗣
年間テーマ「器に季語を盛る」

西瓜切るすぐに帰るといふ人に   西村和子

▪特選六句発表 兼題「西瓜」
西瓜食む島の新築現場かな   川上茂
決断の速い姉より西瓜とる   玉家屋(たまいえや)
父植ゑし西瓜よ父へ供へたる   井出浩堂(こうどう)
(「よ」という助詞 詠嘆の助詞 お父さんへの気持ちが寄り添っている
 「や」だと俳句的に突き放した感じになってしまう
 「父植ゑし西瓜を父へ備えへたる」情が少し薄れてしまう
 この場合の助詞は「よ」で間違いない)
西瓜すきママがすき兄ちゃんきらい   門未知子
(並列に並べてた対句表現、最後にどんでん返し)
 ぢいちゃんのとなりがいいと西瓜食ふ   北清水麻衣子
叩いても分らぬままに買う西瓜   佐々木康二
(西瓜を叩くというのは西瓜の概念 
 「分らない」と言ったことがこの句の良ささ)

▪俳句やろうぜ
若手俳人探査隊長 黒岩徳将

わかりやすさとユーモアの俳句 筑波大学3年生 西野結子さん
「科学の街」茨木県つくば市
朝永振一郎、江崎玲於奈の銅像が迎えてくれる

夏木立よりロケットの飛び出せる   黒岩徳将
傘を返しに傘で行く青楓   西野結子

▪関根麻里の一句
西瓜割りなかなか割れず仲間割れ   関根麻里
(俳句は一人称の詩自分がどうしたのか 自分がどう思ったのか
 実際に体験を通して作ったのか 想像を広げて作ったのか
 目線が上から見ている 演出家の俳句 演出家にならないほうがいい
 自分のことを詠んだ方がいい)

▪特選三席 兼題「西瓜」
一席 一度だけすいかどろぼうやりました   丸田征男(いくお)
(NHK俳句で懺悔したのだから、
 これからは美味しく西瓜が食べられますよ)
二席 抑留の叔父は西瓜のたびに泣く   原田香伯(こうはく)
(比喩表現の中の「換喩(かんゆ)」という比喩を使っている 
 やかんを沸かす⇨湯を沸かす ゴッホを見る⇨ゴッホの絵を見る)
 抑留の叔父⇨省略するための換喩表現となっている
 食べるも省略されている)
三席 メロンより西瓜の好きな妻が好き   塚本治彦
(西瓜とメロンに比較が面白い)

▪柴田の歩み
柴田家は若い順

■NHK短歌 題「こわいもの」
選者 大森静佳 ゲスト 神田山緑(さんりょく) 司会 尾崎世界観
年間テーマ「“ものがたり”の深みへ」

講談はト書きの文化

こはきもの失せたるときに髪の毛を三つ編みにして死が立つてゐる
山田富士郎

▪歌に❝ものがたり❞あり
入選九首 テーマ「こわいもの」
一席 タワマンの部屋の明かりが消えていくジェンガであれば右に倒れる
西田浩之
いい人、と姉はきのこの毒の有無みたいに言って写真を見せた
葉村直(なお)
豚を乗せ工場へ向かうトラックが法定速度でわが前を行く
飯田英範
 笑い声の足されたお笑い番組にわたしの笑い声が消される
三月とあ
どうでも良いニュースが続くどうでもいい深夜一時を作り出すため
藤森円
唐突にやさしくされると怖いんだ平らに変わるエスカレーター
谷口奈月
 ご丁寧に私のネットの悪口をプリントアウトしてくれた人
羽石(はねいし)ねこ
三席 祈る手の中に怖い手だってある千手観音どの手で救う
稲山博司
二席 夏の宵スペアを持たぬ眼球で戦争映画の字幕をたどる
芍薬

▪ものがたりの深みへ
小泉八雲の代表作「耳なし芳一」
住職が芳一の体中にお経を書いて怨霊から芳一が見えないようにする
耳にだけお経を書き忘れてしまう

全身の経文(きょうもん)の字が泡立ちぬみりみりめりっと耳ねじ切られ
大森静佳

転の声
思わず両耳に人差し指を突っ込んだら、自分が聞こえた。
じゅわじゅわ脈打つ自分の内側の音が逆流して
一瞬、ライブの音が完全に消えた。

▪言葉のバトン
初夏に聞く蝉の歌声初々しい
神田日陽里(ひより)(東京学館新潟高等学校3年)

命の限り歌えよ恋を
田村裕
(東京学館新潟高等学校教諭)
鯉って生命力かなと思って
アイタクテ アエナクタッテ アイタクテ アナタヲイツモ オモッテイマス
感情とか思いと毛先の感覚ってつながっているんじゃないかなと思いますよね

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