柔らかく射し込む光秋の朝
(佳松亭)竹林の静かな食治秋の草
丹念に丁寧に秋のもてなし
緑深き山に抱かれ秋の空
秋の声歴史重ねて息づいて
■NHK俳句 兼題「秋刀魚(さんま)」
選者 夏井いつき レギュラー 家藤正人 中西アルノ 司会 柴田英嗣
凡人からの脱出
秋刀魚の「本意(ほい)」
本意とは季語によって最もふさわしい性質やニュアンスの事
▪ボンの段
立ち上がる煙の中に秋刀魚焼く 安藤美智代
煙り立つ烟(けぶ)り染み入る秋刀魚よし 鈴木ミキ枝
じゅうじゅうと煙の中の秋刀魚かな 手島文代
じゅうじゅうとはじける煙秋刀魚焼く 一日一笑
秋刀魚焼く煙にありし匂いかな 村野文一
黄金の煙をたたせ初秋刀魚 兵藤康行
秋刀魚焼く煙苦いか目に染みる 大滝たもつ
(今回の凡人パーツ「煙」)
半ボンの段
秋刀魚焼き立つ白煙しみる風 浅井柚茉
秋刀魚とは煙が誘う涙かな NAさん
秋刀魚焼く煙かぼそくなりにけり 鳴海進
(小さな観察がある)
秋刀魚焼く噂は路地の煙の中 加藤賢蔵
脱ボンの段
べらぼうに煙出さうな秋刀魚選(よ)る 床井和夫
▪季語の「本意」
秋刀魚は昭和の路地で、
七輪使ってじゅうじゅう焼いて、
皿をはみ出すように盛りつけて、
大根おろしが欠かせない。
もちろん腸(はらわた)の苦味を楽しむのが大人。
しみじみと人生振り返りつつ、
食べ終わったら、標本のような骨だけが
美しく残っている。
庶民の魚だったのに、
急に高値になってきた。
1行1行が「ボン」の句「脱ボン」をしたかったら
言わなくていいことを書かない
本意を分かって踏まえてその上にちょっとした
オリジナリティーやリアリティーを乗せる
タクシーより七輪と秋刀魚六匹 粟田すず
(匹と表現するのはおかしいのでは…❓)
書いていない部分を読み手に想像・追体験させる
匂いや肌触りや味がよみがえってくる
それが俳句の力
夏井家伝来! 家藤正人&中西アルノ
0から俳句
切れ字
0から俳句POINT
三大切れ字「や」「かな」「けり」
(切れ字)それぞれに効果を果たす役割が変わってくる
強調 詠嘆 省略
名月や男がつくる手打ちそば 森澄雄
うつくしや障子の穴の天野川 小林一茶
や 強調・感動が伝わる
に とすると何も強調されない
▪特選六句
これはこれは研ぎに研ぎたる秋刀魚かな 北藤詩旦(しいたん)
待つとれよ秋刀魚鬼おろしガシガシ 野地垂木(のじたるき)
燃え出す秋刀魚絶叫のサヨナラ打 中村恵子
砂町にちらと覗きて秋刀魚の値 上川畑裕文
(時代と共に本意は動いていく 季語は生もの)
秋刀魚の眼迄を焦がせる叔母の恋 内藤羊皐(ようこう)
秋刀魚焼くしっぽのあたり昭和です 吉田昌之
▪柴田の歩み
「本意(ほい)」
おまけ
「タクシーより七輪と秋刀魚六匹 粟田すず
(匹と表現するのはおかしいのでは…❓)」
上記の異議申し立てに対し
NHK出版「NHK俳句」編集部@nhkpb_haiku様より
いいねを頂きました。
ありがとうございました。
読んでくださったのですね。吃驚致しました。
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