2023年9月19日火曜日

題「他者の行動を描写する」テーマ「店員」

伝統的寓意鞍馬の火祭
ぶりっこナレーター虫唾月の雨(新美の巨人たち)
秋の夜醜き心晒しをり
嘘の中みえし真実秋意かな
嘯かれかりがね寒し独りぼち

■NHK短歌 題「他者の行動を描写する」
選者 吉川宏志 ゲスト 岨手由貴子 司会 尾崎世界観

年間テーマ 実感的 表現力アップ
今週の題「他者の行動を描写する」「店員」

乱れたるTシャツをまた折りてゆく店員の手が棚の間に見ゆ
吉川宏志

▪入選九首 テーマ「店員」
二席 辞めそうな気配漂う店員が置いた苺のパフェも寡黙だ
広木登一(とういち)
手の甲に返品の文字太くありレジ打つたびに淡くうごめく
芍薬
一席 「店員」と怒られるなら耐えられる右手がそっと名札を隠す
かきもちり
店員は明るい声色奏でつつ片手で伝票ざんと串刺す
加川斐乃(あえの)
縫い付けたくるみボタンのような目でお似合いですと店員は言う
大岩真理
三席 月曜日雨の匂いの人が来てお店に雨を落として帰る
有村鹿乃子
 臓器別に串を通して店員は人間たちを待つ夕間暮れ
小鷹(こたか)佳
ふんわりと釣りを渡してきたひとの書く閉店の文字の鋭角
三月とあ
店内の小さなゴミをつまみつつシフトを終えたあなたが去りぬ
竹内一二(かつじ)

▪入選あと一歩
怒ってる。今日も変わらず「領収書。」詫び状なんだうちの大福
柊樹(ひいらぎいつき)
添削
「領収書。」今日も怒った顔で言うお詫びに行くのかこの大福と

現場で感じる嗅覚は大事 岨手由貴子

▪表現の最前線
落合直文(1861~1903)
我が子をばいくさにやりて里の爺(をぢ)がむすめと二人早苗とるなり
(早苗とる 田植えをする)

岨手由貴子監督の表現の最前線
「あのこは貴族」の中から
惰性で使っているものや
日常的にやり過ごしていることに
人間らしさが出る
漏れ出てしまうその人らしさを
如何に表現できるか考えた
如何にほつれを作っていくか
演出する上で大切なポイントです
お互いがお互いを観察できる距離感

短歌の中で人との距離感はどう出していく?
映画の手法を短歌に生かす

短歌と映画が似ているところが
▪ことばのバトン
目を閉じて戦に揺れる無窮の野(や)
ガリーナ・シェフツォバ(キーウ国立建設・建築大学教授)

誰のバトンも落とさず走れ
久永草太(獣医師)
(人間は殊更しゃべる物言わぬ猫に変わって物を言うとき)
前期終了!

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