2023年9月7日木曜日

理想的本箱 もう死にたいと思った時に読む本

丸々と肥えた真鰯はんぱねぇ
秋鰯六尾買って帰る人
温(帯)低(気圧)や毎夜どしゃ降り月隠す
スーパー(ブルー)ムーン前日後日見届けり
鑑賞すスーパー(ブルー)ムーンはパソコンで

■理想的本箱 君だけのブックガイド
選書のテーマ
もう死にたいと思った時に読む本

▪人間滅亡的人生案内 著者 深沢七郎
悩みそのものを解体する
学校生活が息苦しくてたまらない
友人関係が上手くいかない
思い通りにならない恋愛が苦しい

▪しろいろの街のその骨の体温の 著者 村田紗耶香
スクールカースト
学校のクラスで生徒間に形成される序列
自分の価値は自分で作ることができる

▪悲しみの秘義 著者 若松英輔
人生には悲しみを通じてしか
開かない扉がある
悲しむ者は、
新しい生の幕開けに
立ち会っているのかもしれない。

花の供養に
この数年来、春になると想い出す一文がある。
(中略)
石牟礼道子の「花の文をー寄る辺なき魂の祈り」である。
そこで石牟礼は、坂本きよ子という
水俣病で亡くなった女性を語った。
きよ子の母親から聞いた言葉として彼女は、
次のように書いている。
(中略)
少し長いがそのまま引用したい。
できれば、声に出して、ゆっくり読んで頂きたい。
一度でなく二度、読んで頂きたい。

「花の文をー寄る辺なき魂の祈り」石牟礼道子
きよ子は手も足もよじれてきて、
手足が縄のようによじれて、
わが身を縛っておりましたが、
見るのも辛うして。
それがあなた、
死にました年でしたが、
桜の花の散るます頃に。
私がちょっと留守をしとりましたら、
縁側に転げ出て、縁から落ちて、
地面に這(は)うとりましたですよ。
たまがって駆け寄りましたら、
かなわん指で、
桜の花びらば
拾おうとしよりましたです。
曲がった指で地面ににじりつけえ、
肘から血ぃ出して、
「おかしゃん、はなば」ちゅうて、
花びらば指すとですもんね。
花もあなた、かわいそうに、
地面ににじりつけられて。
何の恨みも言わんじゃった
嫁入り前の娘が、
たった一枚の桜の花びらば拾うのが、
望みでした。
それであなたにお願いですが、
文ば、チッソの方々に、
書いて下さいませんか。
いや、世間の方々に。
桜の時期に、花びらば一枚、
きよ子のかわりに、
拾うてやっては
下さいませんでしょうか。
花の供養に。

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